|
会場:韓国国際展示場
一方、Windysoftは'86年にアーケードゲームとしてデビューした「熱血硬派くにおくん」から続く「熱血」シリーズをオンラインゲームとして制作することを発表し、一躍日本で注目を集めた韓国のゲームパブリッシャーである。今回は、ブースの紹介とともに「熱血高校Online」の開発者のコメントを紹介したい。
■ 韓国No1玩具メーカーSONOKONG、ゲーム業界に参入 SONOKONGは国内の玩具の流通とアニメ製作の最大手である。最近では、日本でも放映されている韓国ドラマ「チャングムの誓い(大長今)」のアニメ版の製作を行なっている。他にも様々な日本のアニメを韓国国内に紹介したり、アニメ作品の関連玩具の展開、女児向け玩具のジェニーをライセンスを受けて制作するなど、韓国の玩具業界、アニメ業界で大きな存在感を持つメーカーである。そのSONOKONGは2005年より韓国でオンラインゲームのパブリッシャー事業を開始した。現在、3つのオンラインゲームのパブリッシングを行なっている。
今回のSONOKONGは赤ちゃんが歩行器や車、ゾウにまたがってレースをする異色のカジュアルゲーム「Come On BABY」を中心に出展、武侠ものをテーマにしたMMORPG「龍天気」と女神の光と闇の争いをテーマにPvPを中心とした成人向けMMORPG「shaiya」、日本で話題となった「ダイノキング」を出展していた。 広報担当者によれば、この他に、2006年公開予定として「Life Online」、「Zenon Online」という2つのタイトル自社開発で制作しているという。今はまだタイトルしか公開されていないが、「Life Online」は「シールオンライン」の開発チームを招いて開発している。SONOKONGは自社開発タイトルをラインナップに加えることでより本格的にオンラインゲーム事業に取り組んでいくという。 SONOKONGのラインナップから見ることができる戦略は、「Come On BABY」では低年齢層を対象に、「龍天気」で青少年以上、「shaiya」で成人以上をユーザー対象とするというそれぞれのタイトルで明確に対象年齢を打ち出し、複数のタイトルで多くのユーザー層にアピールをしているということだ。複数のラインナップで幅広いユーザー層を取り込もうという戦略は、玩具メーカーならでは、といえるだろう。 ブースでは、「龍天気」のフィギュアが特に注目を集めていた。このフィギュアは、武侠ものの登場人物そのままの美しい刺繍のついた服と、様々な武器でゲームの登場キャラクタを再現している。フィギュアを集めて展示していたコーナーは、カメラを構える人の姿がとても多かった。今回出展されたフィギュアは、そのまま販売される予定だ。
個人的には展示されていたフィギュアは、武侠ものという割には、線が細く、元となった女児向けの「お人形さん」感が否めないのだが、韓国のユーザー達はしきりにカメラを構えていてとても人気が高かった。日韓の嗜好の差のようなもの少し感じた瞬間だった。
● 独特のエグ味を持ったコミカルなレースゲーム「Come On BABY」 「Come On BABY」は、最大8人で楽しめるコミカルなレーシングゲーム。韓国、イギリス、日本、アフリカ、中国、そして謎の民の世界の6つの民族の赤ちゃん達が、歩行器やヒヨコ、ゴリラといった独特の“乗り物”を乗りこなし、レースを繰り広げる。'99年アーケードゲームとして登場し、プレイステーション2に移植され、今回、expotatoの開発によってオンラインゲーム化された。現在クローズドベータテスト中で、年内に正式サービスに移行するとのことだ。
ゲームの展開としては「マリオカート」を参考にしているようで、コース上のクッキーを取ることで、その種類に応じたスキルを得ることができ、自分の車のスピードをブーストしたり、目玉焼きやバナナのような道具で対戦相手の邪魔をしたりといった方式でレースを進めていく。 ゲームはリアルなシミュレーション的な側面よりも、コミカルな駆け引きを主に楽しめるようになっている。コースにはヘアピンカーブやジャンプ台、ジェットコースターのようなギミックが随所にほどこされ、一回の失敗やショートカットの成功で1位から最下位までの順位が一瞬で入れ替わるといったこともしばしばだった。厳密なレースゲームとは違うが、このゲームならではの楽しさを強く感じることができた。 一見かわいらしいレースゲームだが、独特の「エグ味」が本作ならではの魅力となっている。登場する赤ちゃん達は、ちょっと憎たらしく“濃い”感じでよく表現されている。レース中に対戦相手のプレーヤーと並んだ際には、赤ちゃん同士がハエタタキでシバキ合ったり、爆弾を投げつけたりと、毒々しくも楽しいシーンとも遭遇できた。公式HP内では「猟奇的」という言葉を使ってこの独特の感覚を表現している。
年内に正式サービスに移行する「Come On BABY」は、現在課金方法は未定とのことだが、アイテムショップでヘルメットや服、おむつ、顔のペイントや乗り物の動物などをコーンという通貨を使って揃えていく、アイテム課金を想定しているようだ。韓国発の毒々しさを盛り込んだ「Come On BABY」の公式リリースに期待したい。
■ 的当てやラジコンの戦車ゲームなど、手作り感たっぷりで来場者を迎えたWindysoft Windysoftブースでは、最大8人での対戦が楽しめるオンラインアクションゲーム「INFINITY」を大きなコーナーで展示、他にも自社の看板タイトルである「ゲッドアンプド」、ロボット対戦アクション「Buzz Fellowz」、2Dアクションの「LUDY-PANG」といったタイトルを展示していた。
他のブースに比べて「お祭り感覚」を出していたのがWindysoftのブースの特徴だった。各ブースにシールを用意し、来場者は各タイトルのブースを巡ってポイントを集めていく、全部集めるとグッズがもらえるというイベントを開催していた。 「INFINITY」の試遊台をさわった感想としては、攻撃のモーションが大きく隙が大きかったためか、敵にコンボを決めているときに後ろから攻撃されることが多かった。敵の群れにつっこんでなぎ倒す形ではなく、自分の技を把握し、外から攻撃を当てて距離をとるヒットアンドアウェイの戦略が良さそうだ。攻撃判定も少し小さく感じた。派手なゲームイメージがあるが、緻密な駆け引きが楽しめそうな作品という感触を持った。 ポイントをもらうためにはゲームを遊ぶのではなく各コーナーにある的当てゲームや神経衰弱に挑戦する。タイトルとあまり関係のないゲームで盛り上がっている来場者とスタッフの姿は見ていて少し面白かった。こういった風景は、昨年までの韓国のゲームショウKAMEXでよく見られた風景だった。G★では東京ゲームショウを思わせる洗練されたゲームタイトルの紹介を行なっているメーカーが多い中、こういった出展方法を行なっていたWindysoftのブースは少し懐かしい雰囲気を感じた。
「PunkyOn」のコーナーではゲームそのものの出展はなく、戦車をテーマにしたアクションゲームということで、ラジコンの戦車で進むための曲がりくねった道をわざわざ作ったり、「ゲッドアンプド」では、大きなジョイスティックでのプレイが体験できたりと、各担当者がそれぞれ頭をひねって来場者を迎えようとしているのが伝わる、「手作り感」あふれるブースであった。
■ 1万人規模のプレーヤーが交流する「熱血高校Online」の世界 G★初日の11月10日、会場のセミナールームで、WidySoftの戦略発表会が行なわれた、この発表会ではWidySoftが現在運営しているタイトルと、これからサービスするタイトル、さらに今後日本を皮切りに、世界を舞台にオンラインカジュアルゲームのパブリッシャーとして、世界市場に挑戦していくプランが語られた。
その後、「熱血」シリーズはものすごい勢いでボールをぶつけ相手を倒してしまうような過激な「熱血高校ドッジボール部」、「熱血高校サッカーボール部」といったくにおくんのキャラクタが登場する作品が登場したり、横スクロールアクションに戻ったりと、様々な続編を生み出していく。2004年にも横スクロールアクションの「ダウンタウン熱血物語ex」が発売されるなど、今なお新しいファンを獲得しているシリーズなのである。 横スクロールアクション、サッカー、ドッジボールと様々なアプローチで制作されてきたこの「熱血」シリーズがどういったオンラインゲームになるか興味がひかれるところだが、今回の発表会では映像として出展されたのは過去の作品を集めたムービーのみ、ゲームの具体的な情報はまったく提示されなかった。 今のところ「熱血高校Online」に関しては、「熱血」シリーズを手がけた吉田暁浩氏と関本弘之氏が制作に参加するという以外、ほとんど情報が公開されなかった。今回、会場で本作のプロデューサーを務めるJae-Hyun Kim氏と、ディレクターのHyoung-Cheol Kim氏に話を聞くことができた。 両氏によれば、「熱血高校Online」は今までの「熱血」シリーズの雰囲気を守り、ディフォルメされた2Dグラフィックでキャラクタ、背景を描き出し、懐かしい雰囲気を前面に出していく。ノスタルジーだけでなく、ゲームの内容を充実させ、みんなが楽しめるようなゲームにしていきたいという。 「熱血」シリーズはアクションゲーム、ドッジボール、サッカーゲーム、など様々なアプローチが行なわれているが、「熱血高校Online」は基本は横スクロールのアクションゲームとなり、ミニゲームとしてドッジボールやサッカーなどの要素を入れていき、今までの作品の集大成となる、「熱血ワールド」を展開させる。 プロデューサーのJae氏は、「オンラインゲームで大事なのはコミュニティー」と語る。みんなで会話を楽しめたり、対戦要素もあり、仲間とNPCの不良達を相手に戦ったりできる作品にしていくという。氏は最終的には1万人以上のユーザーが、「熱血ワールド」で交流できる様な世界にしていきたいというビジョンを持っている。氏としては女の子のキャラクタでもプレイできるようにはしたいとも思っているが、原作を手がけた吉田氏、関本氏と話し合って今後世界観を決定していくという。 最後に両氏は日本のプレーヤーへのメッセージとして、「『熱血』シリーズは日本だけではなく、韓国でも人気のあったタイトルで、プレッシャーも感じています。面白い作品ができるようにがんばっていきたいです」とコメントを寄せてくれた。
まだまだ本格的な制作はこれから、というところだが、日韓の制作者が作る「熱血硬派」な世界はどんなものか、興味をひかれるところだ。
□ 「G★2005」のホームページ (2005年11月13日) [Reported by 勝田哲也/如是]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|