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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:5,000ウォン(約500円)
■ 韓国ゲーム業界が一丸となって企画された国際ゲームショウ「G★」
主催単位はG★組織委員会で、韓国政府の情報通信部、文化観光部の両長官が組織委員長に就任し、組織委員にはKGDI(Korea Game Development & Promotion Institute)をはじめとしたゲーム関連団体、組織がずらりと名を連ね、これまでになく強力な組織によって運営されている。 会場となったKINTEXは、ソウル中心部から車で約1時間ほど北東に行った場所にある韓国最大規模の国際展示場で、今年4月にオープンしたばかりの施設。ちょうど東京ゲームショウにおける幕張メッセのような位置関係に相当するが、車以外の公共交通機関だとかなり不便で、これからの発展が期待されるところだ。 建物の大きさは、幕張メッセ本館よりやや小さい程度で、G★では全5ホール中3ホールをメイン会場として使用していた。G★の規模は、東京ゲームショウより少し狭い程度で、キッズコーナーと物販コーナーを除けばほぼ同等となる。これはKAMEXと比較して倍以上の規模だ。 出展メーカーは、NCsoft、Nexonの大手を筆頭に、Gravity、HanbitSoft、NHN、Webzen、JCE Entertainment、WindySoft、JoyOnなど、文字通り韓国を代表するオンラインゲームメーカーが顔を揃えている。日本勢はSCEK、SEGA KOREA、コナミと、数は少ないもののこちらも大手ばかりで、2001年から韓国のゲームショウを見てきた限りでは、これほど出展メーカーが充実した例は今回が初めてだ。初日は平日まっただ中だったため、主に業界関係者の姿が目立ち、一般来場者はまばらだったが、週末、どれだけの訪れるのか楽しみだ。
■ 韓国オンラインゲームのトレンドはカジュアルオンラインゲーム+ゲームポータル
中でもイメージをガラリと変えていたのがNCsoft。韓国での大規模出展は実に2002年のKAMEX以来となるが、E3や東京ゲームショウのような大作MMORPGメインの出展かと思いきや、同社が今年発表したゲームポータルサイト「PlayNC」コンテンツ一色だったのには驚かされた。中でも注目を集めていたのが、オンラインテニスゲーム「Smash Star」。「スカッとゴルフ パンヤ」と同様のアプローチを採用した、ファンタジー世界で可愛らしいキャラクタが活躍するアイテム課金ベースのカジュアルオンラインゲームだ。 一方、ソフトバンクグループとなってから初の出展となるGravityも、オンラインゲームポータル「STYLIA」に加え、カジュアルオンラインゲームにカテゴライズされるFPS「ペーパーマン」を初公開。コアゲーマーの専売特許である1人称視点のアクションシューティングを、「パンヤ」や「FreeStyle」といった年齢性別を問わず楽しめるカジュアル層まで落とし込もうという野心作で、ぺらぺらの紙で出来た可愛らしい男女キャラクタを操り、銃撃戦を展開する。落としどころが絶妙で、感心させられた。韓国オンラインゲーム業界の新たな活路とはこのあたりに正解がありそうだ。 あまりに多すぎて本稿では紹介しきれないが、上記以外にも無数のカジュアルオンラインゲームが各社から出展されていた。共通するキーワードは、基本プレイ無料、アイテム課金制であり、ゲームジャンルはいわゆるMMORPGよりも、スポーツ、アクション、シューティングが多い。会場を見て回る限りでは、たった1年のうちに、市場のメインストリームが、一気にMMORPGからカジュアルオンラインゲームに変わったようで、繰り返すが、定点観測している立場としては大きな驚きがあった。 ただ、関係者に話を聞いてみると、この変化は実は自然な流れだという。現在の韓国オンラインゲーム市場の収益源は、実はゲームではなくアバターで、アバターの活躍の場であるポータルを押さえたところが最終的に勝つ、という日欧米に置けるプラットフォーム戦争のようなことを、韓国ではゲームポータル市場において行なっている。 つまり、ビジネスモデルとして、オンラインカジュアルゲームは、アバターをコアとしたゲームポータルビジネスの延長線上にある。ゲームポータルビジネスが発展途上の日本との大きな違いはここにあり、日本で単発でカジュアルオンラインゲームをリリースしてもなかなか成功しないのはここに遠因がありそうだ。
逆に言うと、日本を含むアジア圏では、ゲームポータルのビジネス規模が小さいため、大きなチャンスが眠っている。NC、Nexon、Gravityといった大手各社がゲームポータルに力を入れているのはそういう理由からだ。日本でも近くゲームポータルビジネスの本格展開が始まるのは間違いと見ていいだろう。
■ SCEKはPSPが中心。セガはアーケード市場に本格参入 コンシューマゲームは、SCEKの出展のみで、任天堂やMicrosoftの出展はなかった。SCEKは、プレイステーション 2とPSPを半々のボリュームで、試遊台を中心とした出展構成だった。ブース奥は2階構成になっており、1階はプレイステーション 3シアターで、東京ゲームショウと同じ映像をハングル字幕付きで上映し、2階では「PlayStation Spot」の体験コーナーや、韓国独自のストリーミングコンテンツ配信のデモなどを行なっていた。詳しいレポートについては別稿にてお届けするつもりだ。 セガは、「サクラ大戦 V」や「Shadow The Hedgehog」といったPS2タイトルのほか、同社の強みであるアーケード筐体を多数出展していた。同社の韓国におけるアーケード事業は、代理店によるライセンス販売のみだったが、今年4月に子会社をソウルに設置し、自社販売をスタートさせている。 主な出展コンテンツは、「甲虫王者ムシキング」、「おしゃれ魔女 ラブ&ベリー」、「THE HOUSE OF THE DEAD」、「THE KING OF FIGHTERS XI」、「北斗の拳」、「UFO CATCHER」など。ほとんどは日本語版のままだが、「甲虫王者ムシキング」と「おしゃれ魔女 ラブ&ベリー」は、カードも含めすべて韓国語化されており、熱意のほどが伺える。日本で大成功した両タイトルが韓国でどう評価されるか注目されるところだ。
□G★ 2005のホームページ (2005年11月11日) [Reported by 中村聖司]
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