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G★ 2005現地レポート

韓国の新しいゲームショウ「G★ 2005」がソウル郊外にて開催
韓国大手が勢揃い、会場はカジュアルオンラインゲーム花盛り

11月10日~13日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(約500円)
子供3,000ウォン(約300円)


 KAMEXに変わる韓国最大規模のゲームショウ「G★ 2005」(GSTAR:Game Show & Trade、All-Round)が、11月10日より、ソウル郊外の京畿道高陽市にある韓国国際展示場(KINTEX)にて開幕した。会期は11月13日までで、全日一般公開日となっている。入場料は大人が5,000ウォン(約500円)、子供が3,000ウォン(約300円)。本稿では取り急ぎ、G★の概要と初日の模様をお伝えしていく。各メーカーの出展の詳細については、追ってお伝えしていきたい。


■ 韓国ゲーム業界が一丸となって企画された国際ゲームショウ「G★」

開会の祝辞を述べるG★組織委員会会長を務める韓国政府情報通信部のDae-Je Chin部長
KINTEXのロビー。設備は最小限で真新しさが目立つ
 G★は、近年、分裂状態にあった韓国のゲームショウをひとつに統合し、オンラインゲーム大国としての国際競争力をさらに高める目的で開催された、韓国初の国際ゲームショウ。昨年まで開催されていたKAMEXやSeoul Game ShowなどはすべてG★に吸収統合され、大手メーカーが一堂に会した大規模なショウスペースと、欧米風の商談専用の独立スペース、そしてこれまで独自で開催されていたゲーム開発者向けのカンファレンスKorea Games ConferenceをひとつにまとめたものがG★となる。

 主催単位はG★組織委員会で、韓国政府の情報通信部、文化観光部の両長官が組織委員長に就任し、組織委員にはKGDI(Korea Game Development & Promotion Institute)をはじめとしたゲーム関連団体、組織がずらりと名を連ね、これまでになく強力な組織によって運営されている。

 会場となったKINTEXは、ソウル中心部から車で約1時間ほど北東に行った場所にある韓国最大規模の国際展示場で、今年4月にオープンしたばかりの施設。ちょうど東京ゲームショウにおける幕張メッセのような位置関係に相当するが、車以外の公共交通機関だとかなり不便で、これからの発展が期待されるところだ。

 建物の大きさは、幕張メッセ本館よりやや小さい程度で、G★では全5ホール中3ホールをメイン会場として使用していた。G★の規模は、東京ゲームショウより少し狭い程度で、キッズコーナーと物販コーナーを除けばほぼ同等となる。これはKAMEXと比較して倍以上の規模だ。

 出展メーカーは、NCsoft、Nexonの大手を筆頭に、Gravity、HanbitSoft、NHN、Webzen、JCE Entertainment、WindySoft、JoyOnなど、文字通り韓国を代表するオンラインゲームメーカーが顔を揃えている。日本勢はSCEK、SEGA KOREA、コナミと、数は少ないもののこちらも大手ばかりで、2001年から韓国のゲームショウを見てきた限りでは、これほど出展メーカーが充実した例は今回が初めてだ。初日は平日まっただ中だったため、主に業界関係者の姿が目立ち、一般来場者はまばらだったが、週末、どれだけの訪れるのか楽しみだ。

会場となった韓国国際展示場(KINTEX)。今年オープンしたばかりの新しい施設だが、実は全体の1/4ほどしか完成しておらず、今後も工事が続けられていく。完成は2013年というから超長期プロジェクトだ。周囲はアパートが多く、ソウルで働く人々のベッドタウンといった感じだ

オープニングセレモニーの様子。G★組織委員を務めるVIPが参席した。Gravity CEO 柳日栄氏、HanbitSoft CEOキム・ヨンマン氏、Flagship Studios CEO Bill Roper氏などの姿が確認できる


■ 韓国オンラインゲームのトレンドはカジュアルオンラインゲーム+ゲームポータル

劇的なイメージチェンジを果たしたNCsoft。「リネージュ」シリーズを出展しないNCを誰が想像できただろうか。左手に見えるのが「Smash Star」
Gravityの期待の新作「ペーパーマン」。横を向けば当たらない、銃弾を受けると穴が空くなど、紙人形ならでは(!?)のギミックが満点。要注目のタイトルだ
数少ない大作MMORPGのひとつであるNexonの「ZerA」。カジュアル分野で圧倒的な成功を収めている同社だからこそ出せることで、大作MMORPGは確実に減少傾向にある
 初日、ひととおり会場を回ってみたが、右も左もMMORPGばかりという大作指向は完全に過去のものになっており、代わりに目に付いたのがカジュアルオンラインゲームだ。この傾向は2003年あたりからゲームポータル系のメーカーを中心に少しずつ顔を覗かせていたが、今年は昔からカジュアルオンラインゲームに強いNexonに加え、NCsoft、Gravityといった大手メーカーすべてが、メインタイトルとしてカジュアルオンラインゲームを持ってきているのが印象的だった。

 中でもイメージをガラリと変えていたのがNCsoft。韓国での大規模出展は実に2002年のKAMEX以来となるが、E3や東京ゲームショウのような大作MMORPGメインの出展かと思いきや、同社が今年発表したゲームポータルサイト「PlayNC」コンテンツ一色だったのには驚かされた。中でも注目を集めていたのが、オンラインテニスゲーム「Smash Star」。「スカッとゴルフ パンヤ」と同様のアプローチを採用した、ファンタジー世界で可愛らしいキャラクタが活躍するアイテム課金ベースのカジュアルオンラインゲームだ。

 一方、ソフトバンクグループとなってから初の出展となるGravityも、オンラインゲームポータル「STYLIA」に加え、カジュアルオンラインゲームにカテゴライズされるFPS「ペーパーマン」を初公開。コアゲーマーの専売特許である1人称視点のアクションシューティングを、「パンヤ」や「FreeStyle」といった年齢性別を問わず楽しめるカジュアル層まで落とし込もうという野心作で、ぺらぺらの紙で出来た可愛らしい男女キャラクタを操り、銃撃戦を展開する。落としどころが絶妙で、感心させられた。韓国オンラインゲーム業界の新たな活路とはこのあたりに正解がありそうだ。

 あまりに多すぎて本稿では紹介しきれないが、上記以外にも無数のカジュアルオンラインゲームが各社から出展されていた。共通するキーワードは、基本プレイ無料、アイテム課金制であり、ゲームジャンルはいわゆるMMORPGよりも、スポーツ、アクション、シューティングが多い。会場を見て回る限りでは、たった1年のうちに、市場のメインストリームが、一気にMMORPGからカジュアルオンラインゲームに変わったようで、繰り返すが、定点観測している立場としては大きな驚きがあった。

 ただ、関係者に話を聞いてみると、この変化は実は自然な流れだという。現在の韓国オンラインゲーム市場の収益源は、実はゲームではなくアバターで、アバターの活躍の場であるポータルを押さえたところが最終的に勝つ、という日欧米に置けるプラットフォーム戦争のようなことを、韓国ではゲームポータル市場において行なっている。

 つまり、ビジネスモデルとして、オンラインカジュアルゲームは、アバターをコアとしたゲームポータルビジネスの延長線上にある。ゲームポータルビジネスが発展途上の日本との大きな違いはここにあり、日本で単発でカジュアルオンラインゲームをリリースしてもなかなか成功しないのはここに遠因がありそうだ。

 逆に言うと、日本を含むアジア圏では、ゲームポータルのビジネス規模が小さいため、大きなチャンスが眠っている。NC、Nexon、Gravityといった大手各社がゲームポータルに力を入れているのはそういう理由からだ。日本でも近くゲームポータルビジネスの本格展開が始まるのは間違いと見ていいだろう。

G★では韓国大手が一堂に集まった。各社とも個性的なブースデザインで来場者にアピール。各社とも東京ゲームショウにならい、しっかり試遊台を用意しているところが特徴である


■ SCEKはPSPが中心。セガはアーケード市場に本格参入

 コンシューマゲームは、SCEKの出展のみで、任天堂やMicrosoftの出展はなかった。SCEKは、プレイステーション 2とPSPを半々のボリュームで、試遊台を中心とした出展構成だった。ブース奥は2階構成になっており、1階はプレイステーション 3シアターで、東京ゲームショウと同じ映像をハングル字幕付きで上映し、2階では「PlayStation Spot」の体験コーナーや、韓国独自のストリーミングコンテンツ配信のデモなどを行なっていた。詳しいレポートについては別稿にてお届けするつもりだ。

 セガは、「サクラ大戦 V」や「Shadow The Hedgehog」といったPS2タイトルのほか、同社の強みであるアーケード筐体を多数出展していた。同社の韓国におけるアーケード事業は、代理店によるライセンス販売のみだったが、今年4月に子会社をソウルに設置し、自社販売をスタートさせている。

 主な出展コンテンツは、「甲虫王者ムシキング」、「おしゃれ魔女 ラブ&ベリー」、「THE HOUSE OF THE DEAD」、「THE KING OF FIGHTERS XI」、「北斗の拳」、「UFO CATCHER」など。ほとんどは日本語版のままだが、「甲虫王者ムシキング」と「おしゃれ魔女 ラブ&ベリー」は、カードも含めすべて韓国語化されており、熱意のほどが伺える。日本で大成功した両タイトルが韓国でどう評価されるか注目されるところだ。

SCEKは、PS2とPSPを織り交ぜて出展。入り口には巨大なモックを飾り、入ると韓国では12月に白いPSPを持ったコンパニオンがお出迎え
韓国オリジナルのPS2タイトル「Lulurara」。韓国の新曲800曲を収めたカラオケソフトで、著作権使用料はまとめ払いが可能な韓国だから出せるソフトだ
PSPの韓国オリジナルタイトルは、アクションゲームなどのほか、教育分野にも及んでいるのがユニーク。左は辞書ソフト、右は日本語学習ソフトだ

アーケード市場は、縦長の液晶が人気。利用法はほとんど韓国版パチンコだ。SEGAブースで人気だったのは、意外に「UFO CATCHER」。その一方で、「ムシキング」は苦戦気味だった。遊び方を飲み込むのに時間がかかるようだ

□G★ 2005のホームページ
http://www.gstar.or.kr/

(2005年11月11日)

[Reported by 中村聖司]


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