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★PCゲームレビュー★

英雄としてどんな道を歩むのか
変化していく人生を楽しめるアクションRPG

「FABLE:LOST CHAPTERS」

  • ジャンル:アクションRPG
  • 発売元:マイクロソフト
  • 価格:7,770円
  • 対応OS:Windows XP
  • 発売日:11月11日



 「FABLE:LOST CHAPTERS」は2005年3月17日に発売されたXbox版「FABLE」をパワーアップさせたシングルプレイ専用のアクションRPGである。ピーター・モリニュー氏が監修していることでもゲームファンの注目を集めた作品だ。

 本作ではある陰謀により天涯孤独となった少年が、さまざまな依頼をこなす「英雄ギルド」の一員として成長し、自らの運命を切り開いていく。ゲームの中で、少年は成長し、青年となり、壮年期を迎え、老人となっていく。成長の合間に発生する様々な事件は主人公の外見、そして人々の評価を変化させていく。冒険者としていかに生きるか、そんな架空の人生を体験できる作品となっている。

 Xbox版の内容を含み、さらにその後の冒険を描く本作は、Xbox版をプレイしたユーザーにもオススメである。より壮大に、やりこみ要素が増した本作を是非楽しんでほしい。


■ 行動を積み重ねることで変化する冒険者の人生

 ゲームは主人公の少年時代から始まる。今日は姉の誕生日、父は息子に「良いことをしたらお駄賃を上げよう」と言う。村を歩くと様々な人々がいて、少年に手助けを求めてくる。「いじめっ子から守ってくれ」、「木箱を見張っていてくれ」、「なくなった人形を探して」……。プレーヤーはどうするか?

チュートリアルでもある少年時代。幸せな日々は山賊の襲撃によって無惨にも破られてしまう
街道で旅人を襲う山賊を倒すと、周囲の人は喝采を送る。「観客」の存在が楽しい作品である
 普通にゲームを進めたければ彼らに協力するのが一番だが、あえて「悪い子」になってみるのもOKだ。村にいる人々はプレーヤーが話しかけなくても主人公に対するうわさ話をしている。良い行ないをしていれば「君みたいな子にうちの子も育ってくれればなあ」、悪いことを重ねれば「あっちへ行け!」。主人公の行動によって村人達の反応が露骨に変わる。村を歩いているだけで本作が他のゲームと違うことを感じることができるだろう。

 少年時代はチュートリアルである。平和な日々は、山賊達の襲撃によって突然幕を閉じ、少年は父を殺され、母と姉を連れ去られる。山賊達は少年の家族を狙って襲いかかってきたのだ。主人公は「英雄ギルド」に引き取られ、そこで多くの人々からの依頼をこなすギルドの一員となるべく訓練に励む。

 青年になった主人公は、ギルドの一員として依頼をこなしていく。商人を護衛中に他の商人が保護を求めてきたら? 命乞いをする盗賊の首領を助けるか? また、ある場所を襲うか守るかの相反する依頼が来ることもある。ゲーム中、プレーヤーは様々な選択を迫られることとなる。

 善行を積みつづけると主人公の顔は光り輝き、さらには天使を思わせる輪が頭の上に浮かんでくる。街道を行く旅人を斬りつけ金品を奪ったり、悪いことばかりをしているとやがて悪魔のような角が生えてくる。善行を積めば周りから賞賛されるようになり、悪行なら嫌われる。

 主人公には善悪のパラメーター以外にも、「名声」、「好感度」、「凄み」というパラメーターがあり、これでも反応は変わってくる。任務をこなし、敵を倒し続けることで名声は上がり、好感度や凄みのパラメーターは「タトゥー」で大きく変わっていく。酒場に顔を出せば、周りの人達がそれぞれの反応で出迎えてくれる。道を偉そうに歩く衛兵達も、こちらに名声と善意があれば敬礼を返す。反対に悪の側面が大きいと「いつも見張っているからな」と脅かされる。

 冒険を繰り返すことで、周りから評価されていく事が実感できるだろう。反応はさらに、「恋愛」にまで発展することもある。街を歩いている普通の娘に声をかけ、プレゼントをし、アピールをすることで結婚の約束をすることができるのだ。

 NPCによって恋愛観は違うようで、簡単に結婚できる人もそうでない人もいるのが面白い。ついでに言っておくと男も口説くことが可能だ。筆者は最初善行を積み、いい人としてプレイしていったのだが、中盤以降、町中を通るだけで次々と通行人がこちらに向かって熱い視線を送ってきて、街の中はハートマークだらけになった。

 筆者はそれ以前にかなり無理をしてプレゼントを贈りある女性と結婚していたので、焦って結婚するんじゃなかったと、少しむなしくなった。結婚した相手をさらにくどくとベッドインできるようになるが、残念ながら子供は産まれないようだ。

 本作をプレイして、まず最初に感じるのがこの「人々の反応の楽しさ」であろう。自分の通り名を囁き合ったり、怪物を倒す姿に喝采を送って来たりと、「観客」がいることを実感ではる、まさにこの世界のヒーローになったような、注目される存在になりきれる作品なのである。

 このユニークなゲームをメッセージも含めて完全に日本語化して発売したたマイクロソフトの姿勢も高く評価したいところだ。街を歩いているときに聞こえる人々の話し声は、英語のセリフを翻訳した独特の言い回しで、映画の吹き替えを見ているような雰囲気もある。その日本語の話し声があるからこそ、異世界に旅人として立っているかのような気持ちを味わうことができる。この街の雰囲気は、多くのRPGファンに体験してもらいたいところだ。

青年の外見は時を経るごとに変化していく。邪悪な行動を重ねれば悪魔のような角が生え、善行を重ねれば天使の輪が生まれる。傷跡や皺なども顔に刻まれていく
タトゥーは人々に威圧感や親しみを与える。背中や胸など様々な場所に彫ることで効果を重ねることができる 善行を積み、名声が上がっていくと、多く人から好かれていく 恋愛関係にあるNPCに結婚指輪を渡すことで結婚することができる。家を買って新居とすることも可能だ


■ 剣、弓、魔法を使う、アクション性の高い戦闘システム

 「FABLE:LOST CHAPTERS」ではプレーヤーは剣をはじめとした接近戦武器と、弓、そして魔法で敵と戦う。戦闘はアクション性が強く、敵との距離を測ったり、回り込んだり、受けを使うなどの戦略も必要となっている。

スペースキーを押してロックオン。相手の隙をついて一気に攻撃をたたき込む。囲まれているときなどは、背後からの攻撃に注意しなくてはならない
武器に“オーブメント”というアイテムを装着することで様々な効果を付与できる。「銀のオーブメント」を装着すると、アンデット系への攻撃力が高くなり、武器は銀の光を放つようになる
 近接、遠距離、魔法、それぞれの攻撃で敵を倒すごとに個別の経験値と共通の経験値が入り、その経験値を消費してそれぞれの能力を上げることができる。本作では魔法能力は「ウィル」と呼ばれる。ウィルは攻撃魔法に7種類、敵に影響を及ぼす魔法が5種類、身体能力をアップさせるものが6種類あり、非常に多彩だ。

 稲妻を飛ばしたり、火の玉をぶつけたりする他、敵の動きを遅くしたり、相手の後ろに回り込んだり、攻撃力を上げたり……ウィルは便利だが、最初は威力が低いなど、少し使い勝手が悪い印象がある。筆者は今のところ接近戦を中心に、ウィルは敵の後ろに回り込む「アサシンラッシュ」を使って、力押しで突き進んでいる。

 初心者はまず接近戦中心でゲームのコツをつかんでから、魔法を組み立てた戦い方を模索する、というのが良さそうだ。剣を呼びだし代わりに戦わせる「ゴーストソード」で敵を釘付けにして遠距離のスペルで倒すとか、近寄る敵を範囲魔法で倒すとか、相手の動きを封じ込め攻撃するなど多彩な組み合わせが考えられる。プレーヤー達が情報交換をすることで、より有効な使い方が見えてきそうである。

 弓の攻撃は、左クリックで弦を引き、右クリックで照準モードに切り替えて射撃を行なう。うまく相手の頭を狙うと大ダメージを与えることができる。敵の正面に立ってからスペースキーを押すとロックオンする。華麗なステップで敵の攻撃をかわし、ロックオンした敵を弓で次々と倒すというプレイも可能だ。

 接近戦武器は特に連続攻撃が爽快である。攻撃を連続することで、「フラッシュムーブ」という特殊攻撃が可能になる。この攻撃は敵にブロックされない強力なもので、中盤以降のボスには必須の攻撃となる。

 敵は醜い小鬼の姿をしたボブの他、山賊、ワスプ(蜂)、狼男のようなバルバリン、巨大なトロールといったものが登場する。彼らには固有の攻撃パターンがあり、その特性を理解することでより有利に戦うことができる。彼らは“悪”の存在なため、倒すと善行に+ポイントが入る。ゲームを進めモンスターと戦うと善行よりになるので、邪悪な人物を目指してプレイしている場合は、通行人を切るなどしてバランスを取る必要がある。

 武器や鎧にも多彩なものが存在する。グレートソードといった重い武器を使うには身体を鍛えてないと振り回すことすらままならない。鎧は種類によっては好感度を下げるものなどもある。女性を口説くときにコーディネートを工夫したりする必要もある。また、わざと安心させるような格好やタトゥーをつけて言葉巧みに悪の神殿に連れて行き、生け贄に捧げる、といったプレイすら可能である。プレーヤーの工夫でさまざまなアプローチで本作を楽しむことができるのだ。

 筆者はまず善人として接近戦重視でプレイして接近能力を重点的に上げてプレイしていった。サクサクゲームが進み、非常に快適だったのだが、次に序盤から魔法寄りのプレイをしてみたところ、攻撃能力の不足を痛感して、結局また接近戦に頼ってしまっている。せっかちにゲームを進めず経験値稼ぎをすればいいのか、それとも他の魔法と組み合わせることで有効に戦えるか模索している最中である。接近戦以外を主力に置いたプレイは、少し難易度が上がる、という感触があった。

敵のブロックを無効化するフラッシュムーブ。本作では一般のモンスターもブロックしてくる。積極的に使っていきたい技だ 最初から持っているライトニング。もう少し威力が強くても、と思ってしまった 弓での狙撃。遠くにいる敵や、足が遅い敵には特に有効な攻撃である
経験値を消費してレベルアップしていく。能力値が上がっていくことで、外見も変化していく 地獄からの炎で相手を焼き尽くすインファーナルラス プレーヤーを守るゴーストソード。レベルを上げれば召喚できる本数が増える
結構強敵な山賊。村を襲った敵なだけに、最初は感情的になって攻撃してしまった ホブには魔法使いタイプや戦士タイプなど様々な種類がいる アーストロールは岩を投げて攻撃してくる。後ろに回り込んで斬りつける攻撃が有効だ
ホワイトバルバリン。「バルバリンのエサになっちまえ」など、村人のたとえ話になるようなポピュラーで恐ろしいモンスターである アンデッドは強力なモンスターであるが動きが鈍いため、遠距離からの攻撃が有効だ 高速で飛び回るニンフは火の玉状の時には攻撃が当たらず、さらに護衛モンスターを呼び出す強敵だ


■ 何でも屋の冒険者からやがて英雄に、さらに北の大地へと続く物語

 「FABLE:LOST CHAPTERS」の主人公はある日いきなり村を襲った山賊に父を殺され、母と姉を奪われる。英雄ギルドの魔法使い、メイズに助けられた主人公は、ギルドの一員として生活していくことになる。果樹園を襲おうとする山賊と戦ったり、商人の護衛をしながら、主人公はメイズ達ギルドの仲間と共に己の出生の秘密に迫っていく。

シナリオの進行に合わせてギルドには多くのクエストが依頼される。中には山賊の手伝いをするようなものも
街を歩いているときに小さなイベントが発生することも
 主人公は生き別れの姉との再会を経て、己の運命に気がつき始める。主人公の中に流れる血は世界を揺るがす大きな“力”と関係すること。そして、その力を狙う邪悪な存在と主人公は対決していくことになる……。

 物語はクエストで進行していく。シナリオを進める基本的なクエストの他、行方不明の商人を捜したり、山賊の手先になったりと様々なサブクエストが英雄ギルドに依頼される。また、街角で小さい子に頼まれるといった小さなクエストや、デーモンが守る扉を開けるためのチャレンジ、釣りやレスリングのコンテストなどがあり、世界を探索することで様々な事件に遭遇できる。

 本作ではプレーヤーは年を取る。しかし、筆者のキャラクタは45才を超えてしまったが年齢によるデメリットは今のところないようだ。ゲームの進行上のメリットはあまり感じられないが、結婚をして、故郷に家を買ってみた。たまに帰宅、奥さんにプレゼントをしたりしている。ロールプレイとして楽しい。2度目のプレイでは他の地域に家を買い、また違う伴侶と住む予定である。

 家は借家として家賃を取ることができたりもする。また、ビールなどの製品はある場所で安く買い、他の場所で高く売るといったサイドビジネスも可能になっている。ゲーム本編はダークな雰囲気の漂うシリアスなものになっているが、寄り道をすることでほのぼのした雰囲気を味わうことも可能になっている。

 本作の目玉といえば、Xbox版に比べて実に1/3に当たる追加シナリオが用意されていることである。Xbox版のラストに当たる大きな戦いの後、伝説でしか語られなかった「北の大地」が登場し、新たな仕掛け、モンスターがプレーヤーを待ち受ける。プレーヤーはより強くキャラクタを育てることができ、さらに強力な敵との戦いを体験できる。

 筆者は現在はまだ第2部の序盤であるため、もうちょっとゲームに乗り切れていない。それというのもXbox版のラストに当たる戦いが厳しく、ここに全力を注ぎ込んだため、少し脱力気味なのである。今後、真の敵が明らかになってくると、再び、前回以上の盛り上がりが期待できそうだ。

 現在筆者はストーリーをこのまま進めようか、それともサブクエストを解くか、はたまたまったく別のキャラクタで邪悪な、強大な魔法を使いこなすプレイをしようかで悩んでいる。本作をもう少し余裕を持ってじっくり楽しんでいこうと思っている。

 「FABLE:LOST CHAPTERS」のストーリー本編は一本道の要素が強く、本筋だけをなぞると大作RPGとしては少しボリュームが不足している、と感じられるかもしれない。しかし、本作はストーリーをなぞるだけでは終わらない、プレーヤーによって様々なアプローチで楽しめる作品である。ひとつのキャラクタをひたすら強くすることも、全く違うキャラクタで多彩な人生を楽しむこともできる。厚みのあるゲームであり、ユニークな切り口の作品である。特にRPGファンにプレイしてもらいたいタイトルだ。

幼なじみのウィスパーと共にホブ退治。ウィスパーはライバルとして何度も主人公の前に現われる 山賊と共に衛兵が守る果樹園を襲撃 主人公の命の恩人であるメイズは彼の出生の秘密を探り、協力してくれる
盗賊のアジトに潜入する。スニーキング要素の強いクエストだ 時には幽霊から仕事を依頼されることも 闘技場で多くのモンスターと戦う。勝利の暁には大きな名声を得ることができる
フィールドの行商人と取り引きすることで時には掘り出し物を入手することも 様々な場所にあるしゃべる扉。彼が提示する条件を満たせば中にはいることができる チキンキックコンテスト。ニワトリを蹴ってポイントを競うというちょっとヒドいミニゲーム
Xbox版から新たに追加された北の大地での冒険。より強力な敵に立ち向かうため、プレーヤーはキャラクタをとことんまで鍛え上げる必要がありそうだ

(C)2005 Lionhead Studios Limited. All rights reserved..Lionhead, the Lionhead logo and Fable are registered trademarks owned by Lionhead Studios Limited.Published and distributed by Microsoft Corporation.
(C)2005 Microsoft Corporation. All rights reserved.


【FABLE:LOST CHAPTERS】
  • CPU:Pentium 4 1.4GHz以上
  • メモリ:256MB以上推奨
  • HDD:4.0GB以上
  • ビデオカード:VRAM 64MB以上


□「FABLE:LOST CHAPTERS」のページ
http://www.microsoft.com/japan/games/fable/default.asp
□関連情報
【10月3日】マイクロソフト、「FABLE:LOST CHAPTERS」を11月11日に発売
Xbox版から大幅な進化を遂げたフリースタイルアクションRPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051003/fable.htm
【2004年9月22日】マイクロソフト、マルチエンディング型RPG
Xbox「Fable」を2005年3月17日に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041224/fable.htm
【2003年5月18日】鬼才ピーター・モリニュー氏監修の「Fable」開発者インタビュー
プレーヤーの行動で容姿が変わる異色RPGのゲーム性に迫る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030518/fable.htm

(2005年11月9日)

[Reported by 勝田哲也]



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