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バンプレスト、PS2「ウルトラマンFighting Evolution Rebirth」
トークショーライブを開催

11月1日 開催

会場:新宿・ネイキッドロフト

左より、木原氏、半澤氏、在原氏
 株式会社バンプレストは、10月27日に発売したプレイステーション 2用「ウルトラマンFighting Evolution Rebirth(FER)」の発売を記念したトークライブを新宿のネイキッドロフトにおいて開催した。

 トークライブに出演したのは、バンプレストのプロデューサー半澤氏、開発を担当した株式会社メトロのディレクター在原氏、そして、ビジュアルスーパーバイザーとして本作に参加した作家の木原浩勝氏。木原氏は、「空想科学読本」に企画から参加している怪獣に関するオーソリティであり、「新耳袋」の作者としても名を馳せている。トークライブは、木原氏の司会・進行で進められた。

 「FER」は、円谷プロ製作の「ウルトラマン」シリーズ歴代のキャラクタ、そして怪獣や宇宙人たちが登場する「ウルトラマンFighting Evolution」シリーズの4作目となる作品。悪のウルトラマンとして「カオスロイドU」、同「S」、同「T」、そして「エレキング」や「レッドキング」、「タイラント」といった歴代怪獣などがパワーアップした「改造怪獣」などオリジナルキャラクタが多数登場するほか、各キャラクタの必殺技がド派手な演出によって再現されるなど、「FER」としての進化が話題を呼んでいる。

 前作「FE3」は、原作「ウルトラマン」ありきのゲームで、「もう最後のつもりで作りこんだ」という原作のエッセンスを再現することに注力した充実した内容で、ウルトラファンをうならせるものに仕上がっていた。その「FE3」の次回作である「FER」では、「正直最初はやることがないんじゃないかという空気だった」と木原氏が開発当初の話題からトークショーがスタート。

 開発は2年前から手がけていたという。「円谷英二氏の映像に関するトークショーに、メトロの方がいらして声をかけていただいた。ビジュアルエフェクトにまだやることがある、ということで、メトロで5時間もスタッフにしゃべった」と木原氏。

 在原氏は「『FE3』は決定版というつもりで作った。『FER』はその方向で作るとマニアックな方向で行くしかない……と煮詰まっていたところに、木原さんの話を聞いて『なるほど』と思った。そのプランをバンプレスト側に提出したらウケがよかった」と続けた。

 半澤氏は、「『FER』は『FE3』の開発中に、“違う『ウルトラマン』の見せ方はないかな”というところから始まった。若い世代から初代~セブンあたりを見てきた世代まで、いろんな層のユーザーを取り込むべく、『メガトンインパクト』というコンセプトで、“原作に忠実に再現するか”という部分とは別に、“今風に解釈した『ウルトラマン』があってもいいんじゃないか”ということで、木原さんにアドバイスをいただいたスタッフのがんばりによって、これまでの『ウルトラマン』と違った可能性を見せることができたかなと思っている」と挨拶。

 公式サイトのインタビューにも掲載されているが、木原氏の狙いは「このゲームでしか見られないシーン」をいかに表現するか、ということがこのタイトルのメインとなる要素なのだろう。「制御できない必殺技」というコンセプトで作られたスペシウム光線を放ちながらあとずさりするウルトラマン、そしてその衝撃で壊れるビル、さらに光線を受けながらそのエネルギーに押されるように下がっていき、派手に爆砕する怪獣のデモをはじめ、前述の“悪の存在”としてのカオスロイドUをはじめとしたオリジナルキャラクタたちもその一助になっている。

 ちなみに、「カオスロイド」の名付け親は原作の版権をもつ円谷プロによるもの。原作にないシーンやオリジナルキャラクタの監修には「円谷プロさんには多大なご協力とご理解をいただいた」と開発陣が何度も述べていたが、「ゲームでしか見られない『ウルトラマン』を作り上げるには相当の試行錯誤があったようだ。「最初は正直ダメもとで円谷さんに持って行った」と半澤氏が述べていたように、キャラクターゲームならではの難しさも見え隠れしている。

 木原氏の思い入れはやはり初代「ウルトラマン」、そして「ウルトラセブン」にあったようで、「必殺技のシーンに関しては、この2体に関する指示を出しただけ」だそう。「セブン」の場合は「ワイドショット」のシーンが特徴的だが、一度腕のサイズの光線が放たれた後、さらに後押しするようにセブンが力を込めると、もっとド派手なエフェクトが現れる。この「最後まで搾り出す、というのがコンセプト(在原氏)」というような、今までに見たことのない必殺技シーンに惹かれてこのゲームを手にしたユーザーも多いと思う。

 木原氏はかねてから「フィルム合成で製作されていた初代、セブンあたりの光線エフェクトと、ビデオ合成で作られたエフェクト、そして平成ウルトラマンのCGで作られたエフェクトによる違いが気になっていた」という。そして「フィルム合成でのエフェクトを平成シリーズのテクノロジを使った映像表現に引き上げる」ことを狙ったのがウルトラマン、そしてセブンの今作の必殺技映像になるということらしい。例として「ウルトラセブン」のエメリウム光線を挙げ、「アイデアとしては、まず細い光線で目標をサーチし、ロックオンしたらピンポイントにビームが放出され、そのエネルギーが怪獣の体を貫く、もしくは体に蓄積されて一気に爆発するような感じにしたかった」とアイデアの一部を披露してくれた。

 ただし、「フィルム合成のエフェクトは映像にエッジが立っていた。光線と背景の領域は混ざることがなく、シャープで、細く、それでいて強力なイメージを作りたかった。CG作品のエフェクトは背景と混ざり合ってしまい、エッジが立っていない」とこだわりを見せていた。

 木原氏のコンセプトを受け止めたメトロ開発スタッフは、CGで作られた平成ウルトラマンたちの必殺技にも独特の演出を施している。「こっちがこうだ、とアイデアを提供すると、開発スタッフからこれならどうだ、とさらにすごいものを作ってくる」と、木原氏は開発陣とのキャッチボールを楽しんでいたようだ。その成果がこのタイトルにはあふれているわけだ。

会場でしか見られないものも多数登場
 また、ゲームシステムの部分にも話が及んだ。今回もネビュラコンボや必殺技回避など、単なるキャラクタゲームからの脱皮が図られているが、「ゲームシステム的に、ボタンを押しているだけでしょっぱい戦いにならないようにしている。格闘ゲームとして成り立たせたかった(半澤氏)」という狙いがあったようだ。

 また、「もっと必殺技を連続技などに組み込んでいきたい。例えば、ウルトラマンが相手を抱えて放り投げたあと、タイミングが間に合えば八つ裂き光輪で空中で攻撃できるとか(在原氏)」といったもくろみもあるようだ。「現状の必殺技シーンをよりプレーヤーが介入できるものにしたい(半澤氏)」という。ただ、「システムが込み入ってくると小さなユーザーの方には遊びにくいものになってしまう。『FER』はちょっと難しくしてしまったという反省はあります(半澤、在原)」という。

 ほかにも、開発初期のプランや、デザイン画、そして開発途中の映像なども公開された。スペシウム光線のエフェクトが炎のような色だったり、カット割が変わっていたバージョン、そしてボスキャラのデザイン画など、ファンにはうれしいプレゼントだっただろう。また、「ウルトラマン」のLEVEL1の必殺技は当初「アタック光線」だったことなども語られていた。

 会場に駆けつけたファンからの質問に答える時間なども設けられた。「ウルトラマンや怪獣のセレクト」に関しては、「アンケート葉書のデータをリストアップしてあり、そこからモーション的に面白いもの、ゲームシステム的にいろいろできそうなもの」をメインとして取り上げているという。「ガッツ星人は毎回候補に挙がるんですが、縁がないんですかね(在原氏)」といったように、まずは要望が高いもの、そしてそれをゲームに取り入れたときにどういったアイデアが組み込めるか、ソフト的に再現できるか、といったさまざまな角度からの検証を経て、ゲームに登場することになるということだ。ちなみに「FE3」でバキシムが登場したのは超獣が好みという在原氏のプッシュによるものらしい(笑)。

 最後に、会場のファンと半澤氏、そして在原氏との「FER」対決が行われた。非常に白熱した戦いで「ウルトラマンタロウ対ブルトン」、「ウルトラマン対カオスロイドU」、そしてエキシビションマッチとして、半澤氏と在原氏の「ウルトラマンガイア対ウルトラマンガイア」も行われた。

 ともあれ、2時間以上にわたったトークショーだったが、非常に濃い内容で、製作スタッフの思い入れが感じられるイベントだった。ファンにも満足できるものだったのではなかろうか。

(C)円谷プロ
(C)2001 円谷プロ・毎日放送
(C)BANPRESTO 2005



□バンプレストのホームページ
http://www.banpresto.co.jp/
□公式サイト
http://www.banpresto-game.com/ultraman_fer/

(2005年11月4日)

[Reported by 佐伯憲司]



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