|
【秋葉原エンタまつり】
会場:秋葉原駅前広場、ダイビル・秋葉原コンベンションセンターホールなど
「秋葉原エンタまつり」に特別協賛として深く関わっているソニー・コンピュータエンタテインメントは、23日も引き続き積極的に各種イベントを展開。中でも同社がこの秋から冬にかけて発売を予定しているPS2「ワンダと巨像」、PSP「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」、PS2「ローグギャラクシー」の各開発者が登場する「クリエイターズトークショー」はコアなファンの注目を集めた。
ひとつ残念なのは「ローグギャラクシー」のレベルファイブが福岡で制作を行なっている都合上、日野晃博氏が収録映像による出演となったこと。おそらくは制作も大詰めにさしかかっているであろう事から仕方のないことだろうが、直接お話を伺いたかった。それでもレベルファイブのこの作品に賭ける意気込みが伝わってくる内容だった。 ■ PS2「ワンダと巨像」の上田文人氏、海道賢仁氏が巨像を倒しながら魅力を解説 まずは最初に登場したのは、発売直前となったPS2用タイトル「ワンダと巨像」のディレクター/ゲームデザイナー/アートディレクターの上田文人氏と、プロデューサーの海道賢仁氏が登場。 上田氏は「ワンダと巨像」について「前作の『ICO』がアクションパズルのような作品で、その反動というわけではないが、今度はもっと広い世界で、オブジェクトだけでなくカメラなどもダイナミックに動く作品を作りたかった」と制作までの動機を説明。上田氏によれば「ICO」の時は初めてゲームを制作することもあり「まったく新しいものを作ると言うことでほかのゲームと差別化しなければならないと思った。そういった意味で、画面上から体力ゲージなど、ビデオゲームをプレイする上で煩わしい部分を全て排除した。もちろん、それはゲームに感情移入させるためでもあったのですが」と前作を振り返った。それをふまえた上で、「ワンダと巨像」については、逆に「必要なものはどんどん取り入れていくことにした」という。 ゲームに登場する“巨像”については、最初は“グラフィックス”、“映像”として力のあるものというところからスタート。戦闘にはいると「攻略すべきステージが映像として現わされており、そのまま巨像として描いている (つまり、攻略ステージ=巨像という意味)」と語った。巨像についてはほかにも「重さの表現やエフェクト、“その場”を表現する臨場感を大切にした」と続けた。 ここで海道氏がゲームを実際にプレイしながらコメントしていくスタイルに移った。「ワンダと巨像」では広大なフィールドをシームレスに移動していき、巨像を探し出し、出会うところから戦闘シーンに突入する。上田氏は「巨像と出会うと戦闘中心となるので、のどかで牧歌的なフィールドは、対比という意味合いもあり和める」と説明。 一方、海道氏は愛馬“アグロ”がお気に入りなのだという。アグロに乗ったままで様々なアクションをとれると実例を示しながらプレイし「走るだけだけどこれがゲームの醍醐味だと思う」とコメント。スタッフ全員で乗馬の取材も行なったという。 ここで初めて登場する巨像にとりつき、1体目を倒すところまでをプレイ。あまりに巨大で迫力のある巨像。その目は遠くにいてもプレーヤーをジッと見据えているが、近くにまでよじ登ってみてみると、そのデザインはリアルではない。これについて上田氏は「あまりリアルにすると残酷になってしまうかなと思い、シンプルにした」とコメント。 海道氏はこの「ワンダと巨像」について「(巨像が動くことで足場が失われることについて) 床が揺れると言うことはこれまでになかったと思う。その新しさを感じて欲しい」とアピール。
最後に海道氏はゲーム作りについて「(必要なのは) いいものを作ろうというエネルギー。モチベーションを高めて“作る”という意志が重要」と語った。上田氏は「(色々な意味での) サービス精神。それで制作期間が長くなっちゃうんですが(笑)。もっといいものを目指すことです」と熱いコメントを残した。プレーヤーへのメッセージとして上田氏は「今回も制作に長くかかってお待たせしました。『ICO』と同じくこの世界を気に入ってもらえればと思います」と語り、海道氏は「お待たせしただけに、いいものになった。この世界の中で、色々と触って楽しんでもらえればと思います」とコメントし締めくくった。
■ PSP「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」は気軽に楽しめるが遊び甲斐のあるタイトル
「モンスターキングダム・ジュエルサモナー」については「RPGにこだわったわけではないが、これまでの据置型の (プラットフォームで作られた) 作品のように『寝ずにプレイするぞ!』といったスタイルではなく、携帯ゲーム機の利点を生かした気軽にプレイできる作品。その一方で、ガッチリしたやり込み要素も用意した」と制作への経緯を説明。 作品の背景はかなり奥深いもので、舞台となる惑星の創世から設定は作られているという。そのなかの一時代として「ジュエルサモナー」の物語が描かれることとなる。ステージでは大きなスクリーンに貴重な設定画なども映し出された。ジュエルというエネルギー源を手に入れた人間はそれを利用することで機械文明に近いものを手に入れる。便利になった反面、凶悪なモンスターが現われ、人間達はそれに対抗していく……といった展開となる。 100体以上のモンスターが登場するが、このモンスターを錬成などのシステムを使いカスタマイズすることができる。このカスタマイズはすぐにできるわけではなく、実時間と連動しているという。つまり、朝に錬成を行ない、昼や夜にカスタマイズしたモンスターができあがるといったシステムだ。同じ姿形のモンスターでもカスタマイズによって性能が違うといったことも起こりうるという。 会場では設定画像だけでなく、実機によるリアルタイムのプレイ画像も上映された。イベントシーンなどはキャラクタのバストアップ画面が登場し、感情移入しやすくなっている。また、キャラクタボイスも1週間かけてばっちり収録したといい、フルボイスに近い展開となるという。斜め俯瞰で見たフィールドを歩いているとモンスターとエンカウントし、戦闘シーンに突入する。戦闘シーンは画面が左右に2分割され、派手なエフェクトで描かれている。 イベントシーンからフィールドへ行き敵とエンカウント……といった一連の流れを見せたが、UMDでありながらも読み込みがほとんど感じられないスピーディさだった。岡田氏は「UMDということでローディングなど不安感もあったが、切り替えは速い。そういった技術的な挑戦も行なっている。携帯ゲーム機ということで、待たされると言うことではなくストレス無く楽しめるようにしたい。スタッフのがんばりで実現した」と制作スタッフをねぎらった。 このほかで注目なのは音楽。10名くらいのビッグネームのアーティストが参加しており、そのコラボレーションもなかなか面白そう。たとえば細江慎治氏が作曲を行ない崎元仁氏がアレンジを施す。そして再度それを細江氏が「ギターを加えたいなぁ」といったように幅を広げていく。そういった刺激を与え合ってのコラボレーションで楽曲が生まれていくといい、岡田氏も音楽についてはかなりアピールしていた。 前述のように、この「ジュエルサモナー」は壮大な「モンスターキングダム」の世界の一部を切り取った作品。つまり、このほかにも構想はあるわけで、シリーズものとして制作される可能性があるととらえることもできる。この点について岡田氏は「全部は言えない」と口を濁した。現在SCEJのプレイステーション 3用作品のラインナップに、同じ“モンスター”という文言を読み取ることができる「Monster Carnival (仮)」がある。こちらの作品との関連性もあながち無いとは言えず、そういった意味では世界観やゲーム性の繋がりに期待が集まるところだろう。
岡田氏は最後に「PSPというプラットフォームでいままでにないRPGにしたい。いつでもどこでもという利便性を追求するのとは別にモンスターコンプリートなどやり込み要素もある。いままでにないPSPオリジナルタイトルとして制作している」と語った。発売は今冬ということで、制作真っ最中という感じだが、楽しみな要素が数多く用意されている期待作といった感じだった。 □「秋葉原エンタまつり」のページ http://www.akibaentamaturi.jp □東京国際映画祭のホームページ http://www.tiff-jp.net/ □ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ http://www.scei.co.jp/ □プレイステーションのホームページ http://www.playstation.jp/ □関連情報 【10月7日】「秋葉原エンタまつり」にSCEJ特別協賛 海道氏と上田氏による「ワンダと巨像」トークショウやPS3の映像出展など http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051007/enta.htm 【10月21日】SCEJ、PSP「福福の島」、「TALKMAN」 「秋葉原エンタまつり」などに合わせ体験会を実施 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051021/scej.htm 【10月21日】コナミ、「秋葉原エンタまつり」に 「METAL GEAR」シリーズ最新作を出展 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051021/mgs.htm 【10月22日】「T!FF in AKIHABARA 秋葉原エンタまつり」開幕 30日までの9日間、秋葉原のあちこちで各種イベントなどを開催 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051022/entama.htm (2005年10月24日) [Reported by 船津稔]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|