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会場:クイーンズスクエア横浜 クイーンズサークル
このイベントには、4人の現役クリエイターが招かれ、ユーザー代表として参加した3名の学生とともに、オンラインRPGに関する話題を展開するというもの。会場は元々人通りの多い場所ということもあり、20歳前後の学生たちのほかにも、家族連れや年配の方などもステージの様子を眺めていた。 来場したクリエイター陣は、Windows用オンラインRPG「Magician Master II」を開発しているハイファイネット代表の三並慶佐氏、株式会社ナムコのAC用FPS「カウンターストライクNEO」のディレクター鶴剛史氏、同じくナムコのWindows用RTS「NEW SPACE ORDER」のディレクター高橋徹氏、プレイステーション 2用アクションアドベンチャー「GENJI」などを手がける株式会社ゲームリパブリック代表取締役兼CEOの岡本吉起氏。ちなみに岡本氏は「ゲームカレッジ」の学園長として、三並氏は講師として、学園にも関係している。 各クリエイターは自己紹介の中で、自らが手がけているオンラインゲームを紹介していった。岡本氏だけはまだオンラインゲームを発表していないが、「現在ゲームリパブリックでは、ゲーム開発が6ライン動いており、そのうちいくつかはオンラインゲームです」と、既にオンラインゲームを手がけていることを明らかにした。 トークショーは、オンラインゲームに関する2つのお題が用意され、それについて各々の考えを発表していくという形式で進行した。まず1つ目は「オンラインゲームを何かに例えると」というもの。鶴氏は、観客にはオンラインゲームについて詳しくない人も多いことを意識して、「日本棋院。一般対局室でカードを出し、腕前に応じて対戦相手が決められ、プロの方に教わる機会もある。これはオンラインゲームのロビー、マッチング、GMのサービスと同じ役割。昔からあるものをデジタル化したにすぎない」と、システムをわかりやすく解説した。 また岡本氏は、「明治維新前夜」と例え、「時代が大きく変わろうとしている。敏感な人は波に乗ろうとするし、鈍感な人は『変わるはずがない』と思っている。でも時代の流れはそんなことに関係なく明治維新を起こす。そのときに先頭に立っていた人たちは、新しい世界のリーダーになる。今までリーダーでなかった人たちにもチャンスがある」と説明した。これはどちらかというと開発者視点の話だが、岡本氏自身はやはりオンラインゲームへの流れは今後も加速すると考えているようだ。 2つ目の話題は「オンラインゲームの10年後」というものだったが、これは現場のクリエイターもなかなか想像がつかない様子。高橋氏は「10年前から今のゲームでは、映像がものすごく美しくなった。でもこれからはそれだけではダメ。オンラインゲームはアイデア勝負になる。匂いや振動などをネットで届ける、五感を使ったものが出てくるのかもしれない」と、今後は発想の転換が必要になるという考えを語った。 また三並氏は、現在のオンラインゲームを鑑み、「ゲームは面白くなければいけないが、麻薬のような中毒性があってはいけない。プレーヤーを楽しませ、幸せにしなければならない。ただ単にはまっていくだけではないゲームが出てくるのではないか」とコメント。さらに岡本氏からも、「映画を見るような感覚で、もっと気楽に遊べる、受動的に参加できるゲームになるといい」という話に続いて、「今の進化は正しくないと思う」と厳しい意見が出た。現在のオンラインゲームについては、ゲームに没頭しすぎてしまうことや、時間的拘束が大きくなることに、開発側も不満や不安を感じているようだ。
ユーザー視点として語った学生の小泉さんからは、「ゲームの中で警察官になり、プレーヤーが自治活動をすることで、現実にお金を得る」という、将来的なアイデアが出された。オンラインゲームでは、ゲーム中のアイテムやお金を、本物の現金でやりとりする「リアルマネートレード(RMT)」が問題になることが多い。このアイデアをもっとブラッシュアップしていけば、RMTとは違った現金のやりとりが生まれるかもしれない。クリエイターたちもアイデアとしての面白さは感じたようで、「ゲーム内で保険なんかが出てくるのかも」(高橋氏)といった声もあがっていた。
イベント終了後、ステージに出演した方々に別室でお話を伺った。学園主催のイベントということで、学生と現役クリエイターとの違いがどこにあるかと尋ねてみたところ、意外なことに「気持ちに大きな差はない」という答えが返ってきた。お金を稼ぐため、という現実はあれども、面白いゲームを作ろうという意識には変わりがないということだろう。ただ私からは、その意識の強さに大きな差があるのではないかとも感じられた。
同校で講師を務めている三並氏は、「仕事ではないからできる、趣味色の強いゲームというのも面白みがあると思う。学生には今のうちにそれを味わってもらって、その上で会社に入って、金儲けのためのゲーム開発を学んでくれれば一番いいのではないか」と話してくれた。学生の方々、またこれからゲーム開発を学ぼうという人の参考になれば幸いだ。
(2005年10月24日) [Reported by 石田賀津男]
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