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【編集部より】

発売日から日が経ってもまだまだ売れ続けるソフト、売れ続けてほしいソフト……そんなライターの思いを込めたレビューを「発掘レビュー」としてお届けします。掛け値なしでオススメするこのレビュー、買い忘れていた人はぜひチェックしてみてください。

悪魔城シリーズの集大成的作品
「悪魔城ドラキュラ-蒼月の十字架-」

  • ジャンル:2Dアクション
  • 発売元:コナミ株式会社
  • 価格:5,229円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(8月25日)



 今回レビューをお届けするニンテンドーDS(DS)ソフト「悪魔城ドラキュラ-蒼月の十字架-」は、GBAソフト「Castlevania -暁月(あかつき)の円舞曲(メヌエット)-」の続編となる。テンポのよい2Dアクション、やりこみ甲斐のあるゲームシステム、描きこまれた2Dグラフィックなどで人気の高い本シリーズに対し、プラットフォームをDSに移した本作が前作と比べてどこが変わり、どこが変わっていないのか、今回のレビューではその辺りに注目してプレイしてみた。

■ 月下の夜想曲の流れを汲む探索型アクション

レベルはソウル集めをしていると勝手に上がる。「レベル上げが面倒」だと感じることは一切なかった
 本作のジャンルは探索型アクションRPG。メインとなるシステムはPSソフト「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」の流れを汲むGBA作品「Castlevania -暁月の円舞曲-」を踏襲している。ストーリーも「暁月の円舞曲」の続きとなっていて、世界は前作の1年後、主人公は前作同様「来須蒼真」だ。

 探索型アクションゲームとは、通路と部屋で仕切られたマップ内を探索し、謎解きやアイテムを手に入れることによって行動可能な範囲を広げていくアクションゲーム。本シリーズではこれに加えて経験値の概念もあり、敵を倒していくと主人公のレベルが徐々に上がっていく。こう書くと「レベル上げが面倒くさそうだな」と思われるかも知れないが、レベルはあくまで補助的な役割。特別意識してあげなくても、敵の動きを把握できれば問題無く先に進める程度の難易度になっている。逆に多少アクションゲームが苦手なプレーヤーでも、レベルを少し高めにすればごり押しでも進める程度になっていて、全体を通じての難易度はやや低めといえるだろう。その分ゲーム進行のテンポがよく、プレイしていてストレスを感じにくい作りになっている。この辺りの特徴は本作でも同様だ。

■ パワーアップしたタクティカルソウルシステム

 前作と大きく異なる点として、タクティカルソウルシステムの変化が挙げられる。タクティカルソウルとは敵モンスターを倒した時に、個々に定められた一定の確率で手に入るモンスターの魂(ソウル)のことで、これを装備することによってプレーヤーはそのモンスターの能力の一部を行使することができるようになる。タクティカルソウルにはバレットタイプ、ガーディアンタイプ、エンチャントタイプ、アビリティタイプの4種類がある。

 バレットタイプ(赤色)は↑+YでMPを消費しつつ発動できる。瞬間的な攻撃で、名前の通り遠距離攻撃ができるようなものが多い。

 ガーディアンタイプ(青色)はRボタンで発動し、効果が持続するもの。発動している間は継続的にMPが減っていく。バレットタイプと違い、Rボタンを押し続けて効果が続くタイプと、再度Rボタンを押して終了させるタイプのものがある。

 エンチャントタイプ(黄色)は装備するだけで発動し、MPを消費しない。プレーヤーの能力が変化したり、継続して体力が徐々に回復し続けるなど強力な効果を持つものが多い。

 アビリティタイプ(シルバー)は持っているだけで効果が発動する。数が少なく、主に先に進むためのキーアイテムになっている。

 このタクティカルソウルを全ての敵モンスターが持っており、その性能は多岐にわたる。今回はこのタクティカルソウルが9個まで持てるようになっており、一部のソウルは集めた数に応じて段階的にレベルアップするようになった。例えば「スケルトン・ボーイ」のソウルはバレットタイプで、カレーを出して攻撃すると言うユニークなものだが、集めたソウルの数に応じて見た目も『カレー→カツカレー→ナンカレー』と言うように3段階にレベルアップする。このナンカレーがまた非常に細かく描き込まれており、最初に見たときは思わずニヤリとしてしまった。レベルアップすると大抵はこうして見た目が変化するので、当然性能もアップしているのだが、そうでなくともグラフィック見たさに収集欲をくすぐられてしまうのだ。

スケルトン・ボーイのソウルはひとつしか持っていないと普通のカレーだが、5個集めるとカツカレーに。さらに9個集めればナンカレーにパワーアップする。異様なまでに細かい演出だ


ソウルを装備して使うか、合成に使うかも好みの分かれるところ
 さらに本作ではソウルと武器を合成して武器をパワーアップさせることができる。本作の武器は短剣・突剣・剣・槍・大剣・ハンマー・斧・カタナ・パンチ・銃・投擲など種類が豊富。筆者は一撃の威力重視でプレイしていたので斧を継続的にパワーアップさせていたが、同時期にプレイしていた友人はリーチの長い槍をメインに使っていた。どちらを使っていても行き詰まるようなことは無く、自分の好みによって武器を使い分けられる自由度の高さも本作の魅力ではないだろうか。

■ GBA→DSの変化がインターフェイスに与えた影響

 プラットフォームがGBAからDSに変わったので、当然インターフェイスも少し変わっている。もっとも大きな違いはやはり2画面になったことだろう。本作でメインに使われる画面はタッチパネルでもある下画面となっており、上画面はマップ表示とステータス表示を任意にセレクトボタンで切り替えることができるようになっている。言ってしまえばこれだけの違いなのだが、実際にプレイするとその操作感のよさに驚くのではないだろうか。

ソウル収集時はステータス画面、探索時はマップ画面などと使い分けられる。快適


ボスを倒すには魔封陣を描かなければならない。ギリギリの状況では緊張の一瞬だ
 従来のシリーズではマップを見るたびにいちいちステータス画面を出さなければならなかったが、2画面になったことでその必要がなくなった。ただそれだけのことだが、画面切り替えがなくなったことでアクションゲームの肝であるテンポが損なわれないことや、リアルタイムでマップが見られることで自分の位置が把握しやすくなるなど、その恩恵は非常に大きい。本シリーズのファンであるなら、この部分はぜひ実際に体感してみて違いを感じて欲しいところだ。

 逆に、少しストレスを感じてしまったのはタッチパネルに関する操作。本作ではボスとの対決において「魔封陣システム」と言うシステムが導入されている。これはボスにある程度ダメージを与えると「魔封陣」が出現し、ここにタッチパネルを用いて正確な図形を描けばボスを封印できる、と言うものなのだが、タッチパネルの操作で図形をなぞる順番が間違っていたり、一定時間が経過すると封印失敗となり、ボスの体力が一定量回復し、再度ボス戦が継続されてしまうことになる。

ワープ先をタッチで指定することもできる。ワープポイントの増えてくる後半はありがたい機能だ
 やや個人的な話になるが、この操作をする際、筆者は左利きなため、タッチペンを使うとなると左手にペンを持ちながらボスと戦わなければならない。これだと操作しづらいので、初めはタッチペンを使わず指で直接タッチパネルをなぞっていた。それでも序盤は単純な図形なため、タッチペンを使わずにある程度簡単に成功させることができたのだが、後半に行くにつれて図形が複雑になり、指でのタッチでは失敗しやすくなってしまった。終盤ではタッチペンを使って丁寧に入力しても失敗になってしまうことが多々あり、この点についてはややストレスを感じてしまった。

 DSではシリーズ最初の作品であるため、この辺りは仕方ない部分ではあるが、やはりこういった複雑な操作はできればタッチパネルでやらされたくないな、とは思ってしまった。逆に同じタッチパネルでの操作でも、ワープの行き先指定時に直接マップをタッチして指定できるのは直感的で使いやすいと感じた。タッチパネルでの操作はこう言った補助的な方向で進化してくれると、ユーザーとしてはありがたい気がする。

■ 本編とは対照的に、難易度の高めのおまけモード「ユリウスモード」

ユリウスモードではユリウスが主人公。ムチはリーチが長く、扱いやすい
 本作の難易度は低めと言ったが、それは本編においての話で、本編はアイテム集めやソウル集めにやや比重が置かれていることも考えれば、テンポを損なわないちょうどいいバランスと言える。その本編である条件を満たすと出現するおまけモードがこの「ユリウスモード」。このモードでは本編の登場人物である『ユリウス=ベルモンド』を操り、本編と同じマップを進んでいく。途中でヨーコ、アルカードと言った仲間と合流すると、この二人とも任意のタイミングで交代し、使うことができる。ユリウスは悪魔城シリーズ伝統のムチ使い、ヨーコはメイスと魔法、アルカードは剣を使って攻撃し、コウモリに変身することもできる。この構成はFC版の「悪魔城伝説」を彷彿とさせ、懐かしい気持ちにさせてくれる。

 しかし単なるノスタルジックなおまけモードかと思うとそうではなく、レベル制こそあるものの、装備切り替えや回復アイテムの使用はできない、難易度の高いモードとなっている。本編では多少ボスの攻撃パターンが読めなくても装備をしっかり整えればごり押しでなんとかなってしまっていたが、ユリウスモードではその作戦が通用しない。しっかりボスを攻略しなければクリアするのは難しいだろう。このモードをプレイすると、本編の難易度が少し控えめになっているのも頷ける。本編では物足りなさを感じてしまうプレーヤーでも、このモードをプレイすれば満足できるのではないだろうか。

ユリウスモードのボスは手強い。本編では全く苦戦しなかったボスに大苦戦する可能性も……


ボスラッシュモードはスピード重視。本編とは違った攻略が必要だ
 その他のモードとしては、「ボスラッシュモード」、「エネミーセットモード」、「ワイヤレスモード」などがある。ボスラッシュモードは自分のデータを使ってボスとの連戦が楽しめるモード(ただしレベルは50に固定)。タイムに応じてアイテムが手に入るので、アイテムコンプを目指すのならタイムアタックにチャレンジする必要がある。本編とは違って、体力よりも速度重視の戦略を練らなければならず、また違った面白みのあるモードだ。

 エネミーセットモードはダンジョンの通路内に自分の手に入れたソウルを配置して楽しむことができるモード。ここで作ったダンジョンはワイヤレスモードで他人にプレイしてもらい、クリアする時間を競うこともできる。ワイヤレスモードでは上記のエネミーセットモードで作ったダンジョンをお互いにプレイして楽しめる「VSモード」と、手に入れたソウルを交換できる「ソウルトレードモード」がある。ただいずれもユリウスモードのボリュームと比べると、おまけ的な色合いが強い。やはり本作のおまけモードとしては、ユリウスモードが一番の目玉と言えるのではないだろうか。

■ 悪魔城シリーズの面白さが詰め込まれた集大成的作品

 全体的に見て、完成度の高かった前作の良かった点をよりパワーアップさせた、と言う印象の強い本作。数を増やすことによって効果のあがるタクティカルソウルシステムはゲーム全体に深みを与えているし、武器とソウルの合成システムも収集欲をさらに刺激する面白いシステムだと感じた。個人的な唯一の不満点は魔封陣システムだが、実際にストレスを感じさせられた部分はほんの一瞬。ゲーム全体の評価に影響を与えるほどのものでもないだろう。

 個人的に評価が高かったのは、ナビゲーション的な役割をこなす上画面の存在。その役割は特別目新しいものではなく、2画面の使い方としては予想の範囲内だが、実際に体感してみると想像以上にやりやすく、本作のゲームシステムと非常にマッチしていると感じた。この点はシリーズのファンであれば、一度は実際にプレイして体験してみてもらいたいところだ。またおまけモードであるユリウスモードは本編と打って変わって難易度が高めでかなり手ごたえのある内容。最近の悪魔城シリーズに物足りなさを感じているプレーヤーにはこちらもぜひ体験してもらいたいと感じた。

 総合的には、期待を大きく上回るほどの驚きは無かったが、期待していた分はしっかりと楽しめたと言う感じ。悪魔城シリーズのファンであるならば、十分満足させてもらえる内容なのではないだろうか。むしろシリーズの面白さがしっかりと受け継がれているため、旧作をプレイしたことがないプレーヤーにもお勧めしたい。できのいい2D探索型アクションと言うのは数が多くないので、このジャンルのファンであればぜひ手にとって遊んでみてほしい。

(C) 1986 2005 KONAMI

□コナミのホームページ
http://www.konami.co.jp/
□「悪魔城ドラキュラ」のページ
http://www.konami.jp/gs/game/dracula/
□「悪魔城ドラキュラ-蒼月の十字架-」の公式ページ
http://www.konami.jp/gs/game/dracula_ds/
□関連情報
【5月20日】コナミ、DS「悪魔城ドラキュラ-蒼月の十字架-」
公式サイトオープン。ムービーなどを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050620/dracula.htm
【5月20日】「キャッスルヴァニア」シリーズ、PSP、NDSタイトルをまとめて紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050520/kona2.htm
【1月31日】コナミ、ロサンゼルスで「Gamers Day」を開催。PS2/NDS「キャッスルヴァニア(仮)」を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050131/konami.htm

(2005年10月18日)

[Reported by 米澤大祐]


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