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★GBAゲームレビュー★

無心にキャラを動かすことが楽しいアクションゲーム
「ガンスタースーパーヒーローズ」

  • ジャンル:シューティングアクション
  • 発売元:株式会社セガ
  • 開発元:株式会社トレジャー
  • 価格:5,040円
  • プラットフォーム:ゲームボーイアドバンス
  • 発売日:発売中(10月6日)





 メガドライブ(MD)の代表的アクションゲームとして名高い「ガンスターヒーローズ」。その続編タイトルであるGBA「ガンスタースーパーヒーローズ(以降GSH)」が発売された。開発元は元祖「ガンスターヒーローズ」を手がけた技術力の高さに定評のあるゲーム職人集団「トレジャー」。「GSH」には「ガンスターヒーローズ」を手がけたスタッフが多数参加している。

「GSH」は2人のガンスター「レッド(左の写真)」と「ブルー」のどちらかを選び、多彩なアクションとショットで悪の軍団を倒していくライフ制の1人用アクションシューティングゲーム


 多間接オブジェクトで動く伝統美あふれるボス、アイディア溢れるステージ、敵をなぎ倒す爽快感、前作から継承された郷愁を誘うエネミーやステージ……「GSH」の魅力は枚挙にいとまがないが、最大の面白さは「キャラを操作し、攻撃することが純粋に楽しい」というアクションゲームの基本とも言うべき点に集約されると筆者は考える。

 長距離を滑り込むスライディング(威力も超強力)や上空にカッ飛んでいくアッパーといった高速アクション、そして画面中の敵機を灰燼と化すショットでステージを切り抜けていくことが純粋に楽しいのだ。スライディング1つ放つだけで脳髄に走るエクスタシー、キャラを無心に動かすことに没頭できるアクションゲームが久々に来た、という感じだ。

【プロローグ】
かつて……
地上によみがえった恐るべき破壊神に立ち向かった2人の英雄がいた。
ガンスター・ヒーローズ。
長い長い戦いの果てに彼らは、はるか月世界で破壊神を葬った。月とともに砕け散った破壊神は新たな4つの月となって、地球の周りをめぐるようになった。
そして現代……。
英雄の時代は過ぎ去り、地球は4つの月とともに、繁栄のときを迎えていた。しかし、新たに出現した第5の月「帝月」が不吉の影を落とし始めていた。
それは、超古代文明の遺産「メガリス」の啓示を受け、再び破壊神を復活させようとする巨大な軍事衛星都市だった。
しだいに勢力を増す「帝月」に対抗するため、地球ではひそかに防衛組織「3YE(サードアイ)」が作られた。
彼らはかつての英雄たちになぞらえて、こう呼ばれた……。
「ガンスター・スーパーヒーローズ」。
そんな最中にあって、今日もパトロールを続ける3人のガンスター、レッド・ブルー・イエローのもとに緊急連絡が入った!
サードアイ本部が帝月の急襲を受けているという!
急げ、ガンスター!


キャラ、ショット、ステージの一部はMD「ガンスターヒーローズ」から継承


今作では要所に会話デモが入るようになった。細部まで構築されたストーリーラインが会話デモできちんと語られる



■ 射撃と体術で敵を殲滅~あなたもスライディング中毒に~

 キャラクタの操作体系、攻撃まわりは実にスムーズ。今回はGBASPでこのゲームをプレイしてみたが、キーレスポンスは上々で快適な操作ができた。「斜め方向キー入力の空中ドリルキックが稀に別の技に化けるかな~」と感じたのも数回程度。ジャンプの方向制御も含め、プレーヤーが思い描いた通りのアクションをキャラクタに実行させることが可能と思って間違いない。

 このゲームが生み出すスーパーな爽快感の要因の1つに、スピード感のあるプレーヤーキャラクタの体術が挙げられる。先ほども例に出したばかりだが、体術の最たるものがスライディング。コマンドを入力すると、キャラはスライディングの範疇を超えた長距離を超高速で滑走していく。スライディングが敵に当たると雑魚なら一撃、耐久力のある敵には「ガッ、ガッ、ガッ」と連続ヒット。この撃ち込み(当たり込み?)の感覚は、プレーヤーの脳の快楽神経を刺激する。

スライディングと同様に大方のアクションに病みつきになるほどの気持ち良さが備わっている ボタンを連射すると近距離を攻撃する「ソード」。ハラキリという名前はつかない


 次はショットによる攻撃。このゲームのショットは強力で、一度ショットを撃ち出せば並み居る雑魚兵士を一掃できる。撃ちまくりの楽しさが感じることができる火力だ。そんな痛快な通常ショットは、3種類のタイプを武器チェンジボタンで状況によって切り替えるスタイル。MD「ガンスターヒーローズ」のようにショット切り替えアイテムを取るのではなく、どこでもショットタイプを変更できるようになった。

 ショットタイプは、1方向に弾丸を連続して撃つ「バルカン(ブルーは「暴れん坊レーザー」が「バルカン」に相当)」、自動で敵にレーザーが向かう「シャチョーレーザー」、弾丸が炸裂する「バクレツファイアー」の3種類。各タイプとも弾数制限はなく好きなだけ弾をばらまくことができる。

追尾レーザーが画面上を駆け巡り、画面上の敵を破壊し尽す「シャチョーレーザー」 飛距離はないが爆風にも攻撃判定のある「バクレツファイアー」 手堅い攻撃力で安定感のあるバルカン(暴れん坊レーザー)に切り替えよう


 各ショットで攻撃していくと武器エネルギーが貯まっていき、このエネルギーを消費して「バズーカ」という特殊武器を使用できる。前作の合体武器「ロンリーソウルファイヤー」などを連想させる「バズーカ」もあるのが往年のファンにはたまらない。

 キャラを移動させずにショットを撃つ場合の「位置固定ショット」と、ショット使用時の「方向固定ショット」はRボタンを併用して使用する。MD「ガンスターヒーローズ」のようにゲーム開始時に方向固定ショットか位置固定ショットかを選ぶのではなく、ゲーム中いつでも通常ショット、方向固定ショット、位置固定ショットを切り替えられるようになったわけだ。

 なお、ショットの操作タイプはオプションで「NORMAL-A」、「NORMAL-B」、「SIMPLE-A」、「SIMPLE-B」の中から選ぶことができる。一般的なキーコンフィグのようにカスタマイズタイプではないが、考えられる操作スタイルはこの4種類でカバーされているといえるだろう。

 このゲームは昨今のゲームの風潮に反して、操作系のチュートリアルが一切無い。初心者でもやっている内に自然に覚えていくとは思うが、マニュアルを読まずに始めると「下+Bでアイテムを拾う」こともできないはず。できることならイージーモードにはチュートリアルデモを実装してほしかった。


■ エネミーが高速アクションを引き立てる

 爽快感溢れるアクションは、敵役がしっかりとやられてくれなければ成り立たない。「GSH」はその敵のやられぶりが秀逸で画面には雑魚兵士が次から次へと出現し、ショットに撃たれると「ウワァー」と吹っ飛んでいく。エネミーをバッタバッタとなぎ倒していける主人公たちの無敵感、少々アブノーマルな快楽かもしれないがぜひ一度は体験してほしい。

また、迫力のあるエネミーの破壊演出も見所の1つ。大きめの敵を倒すと爆風と爆炎エフェクトが発生。シリーズの醍醐味とも言うべき爆発演出は、画面が爆風で埋め尽くされるほど強力にパワーアップされて継承されている


 サクサクと進む道中とは異なり、LIFEの高いボスとの決戦は長期戦となり、難易度は跳ね上がる。被ダメージも高く多彩な攻撃手段を持つボスたちには、弱点を探し攻略パターンを考えない限りクリアは難しいだろう。一瞬のミスも許されないボスとの一騎打ちは嫌が応にも心拍数が上昇する。このボス戦と道中の温度差がゲームの展開をさらに盛り上げてくれる。

存在感のあるボスたちだが、中でも圧倒的なカリスマ性を誇るボスが「セブンフォース」。その名の通り巨人を模したソルジャーフォースや猛獣の動きをするタイガーフォースなど七つの形態に変化。多間接オブジェクトが用いられたそのなめらかな動きは、当時のメガドライブファンの心に感動を与え、記憶に刻みこまれた


 今作の「セブンフォース」はグラフィックスや攻撃方法の一部は刷新されているが、形態の種類はほぼMD「ガンスターヒーローズ」と同様だ。そのため、当時を知る者には出会った頃の「巨大ロボが全力疾走で追いかけてくる!」という新鮮な衝撃は希薄かもしれない。それはそれで、「セブンフォース」がGBAというハードでどれだけの進化を遂げたのか確かめる義務はあるだろう。

MD「ガンスターヒーローズ」の紹介には高確率で掲載されるボス「セブンフォース」のGBA版。10年の時を経て蘇った古代兵器を君は倒すことができるか?


イージーとノーマルにはスマッシュ大作の会話絵はなし。ハードに期待……
 焼き直しなしの完全新作なのでグラフィックスは当然リファインされているが、悪役の帝月幹部の構成もMD「ガンスターヒーローズ」とほぼ同じ。グレイ将軍率いるピンク(手下のカイン&コタロー)、オレンジ、グリーン、ブラックだ。各キャラの会話シーンではなぜ帝月に組みしているかも判明していく。


■ 特殊ステージはオールドセガゲーム濃度高し

 本編の途中では通常とは操作方法が異なる特殊ステージがエリア単位で存在する。その中でもセガの名作「サンダーブレード」、「フリッキー」、「アフターバーナー」、「ギャラクシーフォース」をフューチャーしたステージは、レトロゲームファンの帰巣本能(?)を刺激したような作りとなっている。

●MOON1エリア01-「アフターバーナー」ステージ

 セガの体感ゲーム「アフターバーナー」をフィーチャーしたステージ。グラフィックスはオブジェクトを連続表示する擬似3D。地形オブジェクトが一瞬で画面奥へ流れていく(乗り物は画面手前に向かっている)高速スクロールは激しいスピード感を生む。方向キーを横に入れると背景オブジェクトが回転する「ローリング」に似た行動が取れる。攻撃方法は通常ステージと同一。

●MOON1エリア03-「フリッキー」ステージ

 アクションゲーム「フリッキー」のごとく、ガンスターが画面中のヒヨコを集め出口まで連れて行くステージ。ダメージを受けると集めたヒヨコが散らばり、一からやり直しとなってしまう。猫はいないが、虫のような敵が妨害する。

●MOON2エリア02-「サンダーブレード」ステージ

 セガのシューティングゲーム「サンダーブレード」の2Dステージをモチーフにしたステージ。グラフィックスはGBAの多重スクロール機能を使い擬似3D化している。内容は攻撃ヘリを操り、敵を撃破していく任意スクロールシューティングゲーム。対地、対空の攻撃と機体の回転が攻略の鍵だが、自機がデカイ、敵弾がデカイ、進路が狭いとストレスがたまる……。

●MOON5エリア03-「ギャラクシーフォース」ステージ

 セガの体感ゲーム「ギャラクシーフォース」をモチーフにしたステージ。操作方法は「アフターバーナー」ステージと同一。拡大・縮小機能と半透明機能を駆使し、オブジェクトが粗くならない擬似3Dを実現した。背景の拡大速度がゆるやかで「アフターバーナー」ステージのようなスピード感はないが、それっぽい敵艦や宇宙戦艦内部のオブジェクトの作り込みの美しさには溜息がもれる。

 上手くは言えないが、特殊ステージの映像はクレイアニメを見た時の「奇妙な温かみ」の感覚に似ている。筆者もネタを楽しむ感覚で特殊ステージを遊ぶことができた。


■ 難易度によって変化するストーリーにも注目

 ゲームの難易度はイージー、ノーマル、ハードの3種類。各モードによって、ステージ開始時のライフの量、被ダメージ量、ボスの攻撃方法が異なる。このゲームではステージのエリア単位でデータがセーブされ、好きな時間に中断データを読み込める。コンティニューも無限なので、3段階の難易度のうちイージー、ノーマルは比較的簡単にクリアできるだろう。筆者の場合、総プレイ時間10時間程度のプレイでレッドとブルーの「イージー」と「ノーマル」をクリアできた。

 難易度に関してもう1つ、ゲーム中で語られる物語は使用キャラや難易度によって変化するという点だ。試しにイージー、ノーマルをレッド、ブルーのそれぞれでクリアしたが(それぞれの話に分岐はない)、それでもまだストーリーの謎はすべては語られない。どうやら、すべての謎を解き明かすにはハードモードをクリアしないといけないようだ。

 やり込み要素は各ステージのエリアごとに記録されるハイスコアとクリアタイム。ひたすらハイスコアを伸ばし、クリアタイムを短縮するというオールドゲーム的なシンプルなやり込み要素だが、遊び方が散漫にならずに腕を磨くことに集中できるストイックな面白さがあるといえる。

 前作にあった投げ技の削除や、人によっては多少セガゲームファンへのアピールが前面に出すぎて鼻につくかもしれないといった気になるところはあるが、ゲーム性を損なうものでは決してない。オールドゲームファンは素直に歓喜し、元ネタに触れていない世代は知らなくても構わずに楽しめる作り。本当の意味ですべてのユーザー層を大事にしたゲームといえるのではないだろうか。芸術の秋、セガとトレジャーが生み出すアクションゲームの美学を堪能してほしい。

 また、セガの名作を復刻する「SEGA AGES 2500」シリーズで「ガンスターヒーローズ ~トレジャーボックス~」がリリースされる予定(発売日は未定)だ。「GSH」を遊んで前作に興味の沸いたユーザーは、こちらもチェックしてほしい。

(C)SEGA,2005
CREATED BY TREASURE 2005

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□トレジャーのホームページ
http://www.treasure-inc.co.jp/
□「ガンスタースーパーヒーローズ」の公式サイト
http://www.gunstar-s-heroes.com/

(2005年10月7日)

[Reported by 福田柵太郎]


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