【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

東京ゲームショウ2005レポート

World Cyber Games 2005日本予選レポート
「Counter-Strike:Source」日本代表の栄冠は2年連続で4dN.psyminの手に!

9月16日~18日開催(16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

 今年で5年目となるWorld Cyber Games。今年開催されるWCG2005は、8つの競技種目、参加国数70カ国、そして800人以上のトッププレイヤーたちが世界一の座を競い参加する、押しも押されぬ世界最大のゲームイベントとなる。

 11月16日にシンガポールにおいて行なわれるWCG2005グランドファイナルに向け、東京ゲームショウ会場において日本代表を決める予選会が行なわれた。最終日となる今日は決勝戦。筆者は2種類の競技種目のうち「Counter-Strike:Source」の模様をしっかりと見てきたので、その内容をレポートしよう。


■ プレーヤーが主役となる特別なゲームイベント

会場は「オンラインゲームビレッジ」内に設置され、黒山の人だかり。独特の熱気を感じた
 WCG2005に日本人選手がエントリーする競技種目は「Counter-Strike:Source」と「Dead or Alive 2: Ultimate」の二種類。予選会場は東京ゲームショウ会場の「オンラインゲームビレッジ」内に置かれ、非常にオープンな雰囲気の中で行なわれた。

 今回、会場として東京ゲームショウが選ばれた事は筆者にとって意外だった。しかし、なるほど、他のブースでは「企業」が中心となってショウを行っているのに対し、予選会場では「プレイヤー」が中心となってショウを行うという、全く違ったアプローチとなっている。  これは、eスポーツの特徴であるプレーヤーによって作り出されていく価値を、より広く認識させるチャンスとなる、非常に興味深い試みであるといえるだろう。こういった多数の人々の目に留まる場所で試合を「魅せる」選手達にとっても、非常にやりがいのある晴れの舞台となったに違いない。

 「Counter-Strike:Source」の予選に参加したチームは全国から集まった8チーム。総勢40名を超える選手が、このゲームをWCG2005本選への出場権利を賭けて熾烈な戦いを繰り広げることとなった。

 試合はおなじみダブルエルミネーション形式のトーナメント。このルールでは一度敗北したチームでも即失格とはならず、「敗者ブラケット」のトーナメントを勝ち進むことで最終的に優勝を目指すことができる。

 一方、「Dead or Alive 2: Ultimate」の予選会も同じ会場で行われた。こうしたeスポーツのイベントで、コンシューマゲームも競技として含まれたのは今回が初めて。eスポーツはPCゲームだけではなく、競技的な要素を持つコンピューターゲームすべてを包含するものであるとの理想が、こうやって着実に実現しつつあることは喜ばしいことだ。

 予選の進行は試合時間の短い「DOA2:U」が先行して行われ、最終日となった今日、優勝のコニダッシュ選手、準優勝の活忍犬@神々の宴選手の両氏がWCG2005本戦への代表権を獲得した。これに続き、日本予選最終イベントとして「Counter-Strike: Source」の代表権を賭けた決勝戦が行われた。


■ 「4dN.psymin」と「Aggressive Gene」の両雄が再び合いまみえる

「4dN.psymin」の面々。あらゆる試合において安定感のあるプレイを見せてくれる、名実共に日本最強チームだ
「Agressive Gene」の面々。なにかと「4dN」と比較されることの多い彼らだが、着々と実力を伸ばしつつある期待のチームだ
最終的なトーナメント表。「AXG」は一度「4dN」に敗れたものの、敗者ブラケットで復活を遂げ、再び「4dN」に挑戦した
 今回の「Counter-Strike: Source」の日本予選で優勝候補と目されていたチームは2つある。

 ひとつは「4dN.psymin(4dN)」。株式会社PSYMINの支援のもと活動し、日本で行われた公式戦のすべてに勝利してきた最強チームだ。KeNNy、XrayN、ENZA、iceBerg、PARANOIAXの各選手は国内Counter-Strike界での認知度も高いスタープレイヤー達。世界大会への出場経験も豊富で、今年夏に行われた CPL2005 Summerでは日本人チームとしては快挙となるベスト12位進出を果たした。

 もうひとつの優勝候補は「Aggressive Gene(AXG)」。プロフェッショナルなチーム活動を目指し「Counter-Strike」を極めるために上京した彼らは、チーム全員で共同生活を行いながら腕を磨き、各種大会へ出場してきた。今年に入って頭角を現してきた新進気鋭のチームである。

 両チームは夏に開かれた「CPL 2005 Summer 日本予選」の決勝戦で対決。そのときの勝利は「4dN」の手に渡ったが、「AXG」も善戦し、両チームが運命的なライバルとなる予感を与えてくれた。

 「4dN」は前評判どおり順調に駒を進め、第一試合で「FearLess」を、第二試合では「The Gang source」を下し、全体的に危なげのない試合展開を見せた。第三試合では宿敵・「AXG」と対決。

 同じく順調に勝ち進んできた「AXG」。第三試合で「4dN」相手に非常な善戦を行い、あと1ラウンド取得で勝利というところまで「4dN」を追い詰めたものの、惜敗。「4dN」にとってもあわやという場面もあったが、敗れた「AXG」は敗者ブラケットで再起を図る。

 続いて敗者ブラケットでは「AXG」と、第二試合で「AXG」に敗れた「Meri+Meiden」とが激突。再び敗北すれば後はなく、決勝進出を賭けた緊張感のある戦いとなったが、「AXG」は優勝候補チームの格を見せつけ、見事決勝進出を決めた。

 そして決勝戦。再び「4dN」との直接対決となる。「4dN」はここまで負け知らず。対する「AXG」は勝者ブラケット第三試合で「4dN」に敗北を喫している。ぎりぎりまで追い詰めたという事実は両チームを緊張させるに十分な材料となるが、たとえ負けてもまだ後がある「4dN」のほうが精神的には有利な条件となっただろう。


■ 緊張の決勝戦。安定感のある「4dN」、プレッシャーに押される「AXG」

作戦を相談する両チーム。最終決戦を前にして、その表情は真剣そのものだ
1ラウンド目、Bポイントへラッシュすることを選択した「AXG」チーム。作戦に問題はなかったが、スキルの差を露にする結果とも言えた
全体的に安定感のあるプレイを見せた「4dN」。序盤、PALANOIAX選手が連続3ヘッドショットという印象的なシーンを見せてくれた
 決勝戦のマップに選ばれたのは DUST2。遠距離、近距離ともにきわどい攻防が多発するマップだ。テロリスト側が2箇所の爆破ポイントに達する経路は、爆破ポイントAに達する広い通路、爆破ポイントBに達する狭い通路とがあり、加えてそのを結ぶ複雑な構造。チームを分散させるか、集中させるか、作戦は複雑なものになる。狭い通路に集中して一気に攻めていく場合、チームが一度に全滅するようなリスクも考えられる。プレッシャーに押されたチームはつらい戦いになるマップだろう。

 第1ラウンドをテロリスト側でスタートした「AXG」は、接近戦が発生するBポイントへラッシュ。これに対する「4dN」は、相手がどのように出てきても対応できる分散した布陣を取る。Bポイントの防備に回ったのはKenny選手だが、多勢に無勢、遭えなくヘッドショットを食らい倒れる。無難にBポイントを制圧するかに見えた「AXG」だが、「4dN」ENZA選手、XrayN選手がすばやくカバーに入り、Bポイントで激しい銃撃戦。射撃能力では定評のあるENZA選手が次々にヘッドショットを出し、1ラウンド目は「4dN」が勝ち取った。

 このマップ、基本的には戦力を集中できるテロリスト側が有利だ。しかしテロリスト側として1ラウンド目を落とした「AXG」に緊張が走る。大きなプレッシャーがかかったことだろう。おそらく、この時点で試合全体の流れた決定付けられたように思う。

 2ラウンド目、3ラウンド目は装備に優れる「4dN」が無難に勝利。しかしここで、装備を整えた「AXG」が4ラウンド目を勝利する。連勝の流れになるかと思えたが、ここで互角の条件となった5ラウンド目では「4dN」が勝利し、基本スキルの高さを見せ付けた。

 その後の数ラウンドは一進一退の攻防となったが、「4dN」有利は変わらず11対4で前半戦を終了した。場数を踏んできた「4dN」とっては、試合によるプレッシャーはさしたる問題ではなかったのだろう。全体的に安定した動きで、チームの連携もすばらしいものがあった。対する「AXG」は、プレッシャーのためか動きに精彩が欠ける。HEグレネードで自爆してしまったり、フラッシュグレネードを壁にぶつけてしまい、自分の視界を奪ってしまうような初歩的なミスが目立った。これが場数を踏んできたチームとそうでないチームの差なのだろうか。

 後半戦、総計30ラウンドを争うこの試合では、11ラウンドを先取している「4dN」はテロリスト側として5ラウンドを取得すれば勝利となる。対する「AXG」は、不利なカウンターテロリスト側で後半15ラウンド中12ラウンドを取得しなければならない。

 試合はスピーディに進み、「AXG」は1ラウンド取得したものの流れを作ることができず、危なげなく5ラウンドを取得した「4dN」が勝利を決め、WCG2005グランドファイナルへの代表出場切符を獲得した。

惜しくも準優勝となった「AXG」の面々。笑顔の中にもどこか悔しさが残る 中央は「CS:S」代表権を獲得した「4dN」。前列右は「DOA:U」代表権を獲得したコニダッシュ選手、前列右は同じく活忍犬@神々の宴選手。本戦での彼らの活躍に期待したい


■ WCG2005グランドファイナルに対する抱負を聞いた

試合後インタビューに答えてくれたKenny選手。気持ちは既にWCG2005本戦への闘志で満ちているようだ
次はCPL冬季大会を目指してがんばると言う「AXG」の面々。果たして4dNの厚い壁は乗り越えられるのか。これからも期待していきたい
 試合後まだ興奮冷めやらぬ中、「4dN.psymin」のリーダーであるKenny選手にインタビューを行なった。

 今回の勝因について尋ねたところ、「今回については自分たちも十分な練習をつんできたとはいえないが、勝つことができた。基本的なスキルの差だと思う」とコメント。自信たっぷりの表情を見せてくれたが、やはりこれが王者の貫禄というものだろう。気負った雰囲気は微塵もなく、空気や水を摂取するかのごとく「Counter-Strike: Source」をプレイし、そして勝利してきた。その自信が表れていた。

 WCG2005本選への意気込みについて、Kenny選手は、「頂点を目指します。がんばります!!」と力強く答えてくれた。夏のCPL大会ではベスト12位という日本人チームとしては最高の快挙を成し遂げた「4dN」であるが、彼らはまだまだ満足していない。世界の頂点を目指して、まだまだやるべき事は多い。そんな意気込みを示してくれ、非常に心強く感じた。

 そんな「4dN」に再び敗れ、惜しくも代表権を逃した「AXG」の面々にもインタビューを行った。彼らは今回の敗因について「練習相手になるチームが少なく、対策が不足していました。今回4dNが取ってきた作戦に対応できず、残念。」と語ってくれた。また、次のチャンスとなる CPL冬季大会でも代表出場を目指してがんばっていく様子。敗北してもまだまだあきらめず、いつか4dNを倒し、日本代表として世界を舞台に活躍していきたい、そんな意気込みを語ってくれた。

 「常勝の4dN」を見せ付ける結果となった今回のWCG2005日本予選であったが、ライバルとして戦い続ける「AXG」の熱意にも大きな感銘を受け、日本の「Counter-Strike」界はまだまだ熱く、おもしろい世界であることを再認識した次第である。

 しかし、日本では負けを知らない「4dN」も、世界の舞台では「中堅クラス」のチームに数えられるかどうか、いまだ微妙なラインに立っている。彼らにはもっと経験が必要だ。経験を積むためには、厳しい練習をつまなければならない。その相手が務まるのは、日本国内の優秀なプレイヤー達だ。プレイヤーは、実力が匹敵するプレイヤーと戦い続けることによってのみ、その実力を向上させていくことができる。もって生まれた才能だけでは、頂点を目指すことは難しいのだ。

 願わくば、彼らが世界の舞台でもっと活躍するためにも、「4dN」「AXG」以外にも有力な国内チームが台頭してくることを願ってやまない。それが、世界的なムーブメントとなっているeスポーツの世界に、ゲーム大国日本としての意地を見せ付ける手段のひとつになるだろうと、信じてやまないからである。「Counter-Strike」を熱心にプレイし、実力に自負を持っているプレイヤーの皆さんには、ぜひとも、これからも日本のゲーム界を盛り立てて行って欲しい。

 ひとまずは、11月16日、シンガポールで開催されるWCG2005本戦において、日本代表「4dN.psymin」がどこまで戦えるか、非常な興味を持って見守っていきたいと思う。

□World Cyber Gamesのホームページ(英語)
http://www.worldcybergames.com/
□World Cyber Games日本予選のホームページ(日本語)
http://www.worldcybergames.jp/2005/

(2005年9月19日)

[Reported by kaf@ukeru.jp]



Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c)2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.