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バンダイナムコグループ、ゲーム部門は2006年4月に
株式会社バンダイナムコゲームスを設立し統合

9月13日 発表



株式会社バンダイナムコホールディングス代表取締役社長・高須武男氏
バンダイナムコグループのシンボル
 9月29日に設立される、株式会社バンダイと株式会社ナムコの両社で設立される株式会社バンダイナムコホールディングスの経営戦略発表会が9月13日、都内ホテルにおいて開催された。

 司会を担当したのは、株式会社バンダイナムコホールディングスの代表取締役社長である、現バンダイの代表取締役社長・高須武男氏。「バンダイとナムコの統合は、1+1を3にも4にもしていきたい。他業界ともオープンに手を組み、まったく新しいエンターテインメントを創造していきたい」と決意を述べた。

 バンダイナムコグループのシンボルは、「Fusion and evolution」をコンセプトにした、赤とオレンジのレイヤードカラーをイメージしたもの。エンターテイメントへの熱い思いと、発想の自由さを表現。有機的な2つのフォルムが重なり合い、融合し、絶えず進化し続け、これまでにない夢や遊び、感動を生み出していく様子を表したものだという。


■ ゲーム事業は来年4月、新会社バンダイナムコゲームスに統合

グループ再編成の具体的スケジュールが明らかになった
 さて、今回の発表のコアとなったのは、経営統合後のグループ再編計画についてだ。「シナジー効果を最大限に発揮するため」のプランは、まず、9月29日に発足する持株会社バンダイナムコホールディングスの設立から始まり、12月1日に関連会社株式管理業務の一部を持株会社へ移行する、国内事業会社の再編を行なう。

 そして2006年1月1日、北米の持株会社、Namco Bandai Holdings(USA)を設立。その下に、

・Namco Bandai Games America Inc(家庭用ゲームソフトを担当)
・Bandai America Inc.(玩具担当)
・Namco America inc.(業務用機器販売)
・Namco Cybertainment Inc.施設運営事業担当)
・Namco Mobile Inc.(モバイル事業)
・Bandai Entertainment Inc.(映像事業)

の6社へと事業統合を行なう。

 そして、統合事業の一応の区切りとなる、国内ゲーム事業の統合は、2006年4月1日、バンダイナムコゲームスの設立で実現する。新会社にはバンダイ、ナムコの開発職の社員、1,600名が転籍する形となる。

 この新会社では、開発スタッフの高機動化を狙った組織変更が行なわれる。ナムコの場合、従来は家庭用、業務用、モバイル、そのほかといった事業領域ごとに組織が編成されていたが、バンダイナムコゲームスではその壁を取り払い、コンテンツ単位で複数のユニットが編成される。1つのプロダクトを立ち上げ、家庭用、業務用、モバイルと展開する手法は今までもあったが、それをさらに強化し、1ユニットが1コンテンツから複数のタイトルを生み出す。いわゆるマルチプラットフォーム展開を狙ったものだ。

 ユニットによっては、外注対応型の企画集団、企画と製作スタッフがバランスよく配置される内製型といったようにプロジェクトごとにメンバーがバランスよく配されるように対応する(高須氏)という。

 コンテンツの多重展開が容易になるだけではない。開発効率の改善により、リリースタイトルのペースアップが可能になるほか、例えばナムコ開発陣が外注扱いだったタイトルを手がけることで、経費の節減にもつながることになる。開発コストが上昇する次世代コンソールマシン向けのタイトルも、開発リソースの共有などにより、できるだけコストアップを防いで利益率を上げることも狙っているという。

 ちなみに、バンダイナムコグループのグループ経営は、バンダイナムコホールディングスの下に、戦略ビジネスユニットとして、トイホビー、AM施設、ゲームコンテンツ、ネットワーク事業、映像音楽コンテンツなど、ビジネスユニット単位で統括される。株式会社バンプレストは資本統合は行なわれず、独自の立場となるが、この戦略ユニット単位ではAM施設事業やゲームコンテンツユニットに参加する形を取る。

2006年1月に、まず海外事業から本格的に統合される



■ シナジー効果で「トップメーカを目指す(高須氏)」

2007年度の売上高で5,500億円を目指す
 統合の目玉といえる4月からの新会社バンダイナムコゲームスの設立の狙いは、各種シナジー(相乗)効果だ。例えばゲームコンテンツにおけるシナジーとしては、バンダイとナムコが主なターゲット層にしている20代を中心とした顧客に向けて、バンダイのキャラクタとナムコの技術力を組み合わせたコンテンツを重点的に開発していく。

 さらに、そこから顧客領域の拡大を狙って、30代以上、10代以下の顧客へと向けたコンテンツを生み出していくという。会見に集まった報道陣へ向けて、「ゲームソフト事業でトップメーカーを目指す」と高須氏は言い切っていただけに、この領域への力の入れ具合が伺える。

 しかしながら、ゲームソフトの開発ラインは稼動1年で解散というわけにもいかない。現状稼動している複数のラインがあるため、空いたラインから新体制にシフトということになるが、「4月1日にすべての開発ラインが統合されることはない。逐次やっていきたい(高須氏)」という。

 このタイプのコンテンツ例としては、4月に発売されたプレイステーション 2用「機動戦士ガンダム 一年戦争」が挙げられるが、8月のC3、9月のAMショー2005で公開された、バンプレストの「機動戦士ガンダム 戦場の絆」もこのシナジー効果が反映されたタイトルとして、高須社長から紹介された。

 また、アニメとゲームのシナジーも注目すべきポイントだ。新規のキャラクタをナムコがゲーム化し、バンダイがアニメ展開するといったことはもちろん、ナムコの「パックマン」、「アイドルマスター」、「リッジレーサー」といった人気コンテンツをアニメ、玩具、フィギュア、カード、漫画などキャラクタマーチャンダイジングのノウハウを生かして展開するといったキャラクタ世界の深化を狙うという。

 逆に、バンダイのたまごっちをナムコの手法でロケーションへと展開するなど、お互いの得意な事業領域を共同で展開する施策が考えられている。実際に、「北米のナムコロケーションで、ガシャポンのベンダーをすでに展開中(高須氏)」という。

 高須氏によれば、この統合によって一番期待しているのは、「海外事業のシナジー効果」だという。例えば家庭用ゲームソフトの売り上げでは、ナムコが海外に主力をシフトしているが、バンダイはまだ国内販売がメイン。北米でナムコとバンダイの販売ラインで協力することで、「海外と国内の販売比率を1:1へ持っていきたい」という。グループ全体の売り上げは、2007年度の売上高で5,500億円を目指す。

 最後に、高須氏は「このグループの目指すべき方向は『エンターテインメント・ハブ構想』」と述べた。各戦略ユニットが、ひとつのコンテンツを創出し、付加価値を加えながら多重に展開し、同業他社、異業種他社など外部とのコラボレーションも積極的に活用しながら、コンテンツを大きくしていくという方向性だ。

 「エンターテインメント・ハブ構想は永遠に未完成。完成していないがゆえに、常識にとらわれない発想による連携や拡大が可能だと考えている。バンダイナムコグループはこの構想を常に深化、発展させ、世界で最も期待されるエンターテインメント企業グループを目指します」と最後に締めくくった高須社長。その効果が発揮されるのは、目前に迫った東京ゲームショウ2005からだろう。

高須氏は各事業領域ごとのシナジー効果を繰り返し強調した
「機動戦士ガンダム 戦場の絆」が4台出展されていた


□バンダイナムコホールディングスのホームページ
http://www.bandainamco.co.jp/
□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□関連情報
【5月2日】バンダイとナムコ、経営統合に関する説明会を開催
「世界でも類を見ないエンターテインメント企業体となる」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050502/b_n3.htm
【5月2日】バンダイとナムコ、経営を統合し、9月に持株会社を設立
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050502/b_n2.htm
【5月2日】バンダイ、ナムコ経営を統合か?!
エンターテインメント産業再編がまた1歩進む【速報版】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050502/b_n.htm

(2005年9月13日)

[Reported by 佐伯憲司]



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