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「ファミ通PRESENTS ファイナルファンタジーXI サマーカーニバル2005」開催
開発陣トーク、バリスタ決勝、ライブと内容盛りだくさん

8月27日 開催

会場:日本青年館 大ホール

開催1時間前の開場時には、既に長い列ができていた
 株式会社スクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXI」のイベント「ファミ通PRESENTS ファイナルファンタジーXI サマーカーニバル2005」が、8月27日に日本青年館 大ホールにて開催された。イベントの主催は株式会社エンターブレイン。

 このイベントでは、5月末から行なわれていたPvP戦「バリスタ・ロワイヤル」の準決勝戦および決勝戦を実施。ほかにも「ファイナルファンタジーXI」プロデューサーの田中弘道氏をはじめとした開発陣を招いてのトークショーや、前回のバージョンアップで追加された曲を歌う増田いずみさんと、CDを発売したばかりの「スターオニオンズ」のライブなど、多彩なプログラムが催された。

 会場には、約900人のファンが来場。20代から30代前半くらいの男性が最も多かったが、4、5人にひとりは同年代の女性という割合。また時折、小さな子供を連れた家族連れも見受けられ、プレーヤー層の幅広さが感じられた。



■ 今後の見通しや重大情報の暴露など、注目の開発陣トーク

トークショーに臨んだ田中プロデューサー
 田中氏のほか、戦闘やデザインなど各パートの開発スタッフを招いてのトークショーでは、今後のバージョンアップや、現在の仕様に関するQ&Aが行なわれた。

 レポートの前に、イベントでのトークはその内容を保証するものではないことを断っておく。既に入っている仕様についての回答は信用に足りる情報といえるが、今後の仕様追加、特に既存のバランスを変える調整については、検討やチェックの過程で採用されないことも十分ありえる。会場で語られたことについては確定情報ではなく、「そういう検討もしている」という程度でとらえていただきたい。

 既存の仕様に関する話題では、前回のバージョンアップでの追加・変更点に関する質問への回答が行なわれた。一番会場が盛り上がったのは、「リーピングブーツ」や「クジャクの護符」などの入手方法が変更された件についての話題。一部のプレーヤーによる独占を防ぐ目的で変更されたものだが、これらのアイテムが特定のバーニング・サークル戦(BCNM)でドロップすることが明らかにされた。

 どこでドロップするかという情報に加えて、ドロップ率についても言及。従来ドロップしていたモンスターのドロップ率が、そのままBCNMでも使われているという。一例として、アタッカーから非常に人気の高い「クジャクの護符」は5%、魔法使い系には必須ともいえる「アストラルリング」は25%と公表された。これは現時点での情報なので、今後調整が加えられないとも限らないが、近々BCNMに挑戦する人は参考にしていただきたい。

 このほか、「フェローの経験値は、プレーヤーのレベルに無関係。フェローのレベルに依存するため、強すぎる敵を相手にしても逆に効率が悪い」、「遠隔攻撃が最大の効果を発揮できる距離は、投擲、銃、ショートボウ、クロスボウ、ロングボウの順で遠くなる」といった情報が明らかにされた。

 今後のバージョンアップについては、プレーヤーの注目が高いであろうジョブに関する話が中心。「ジョブの個性を殺さないことが第一。既に多くの人がレベル75に達しているので、あまり劇的な修正はしないだろう」としつつも、「槍が強いジョブについては強化を検討したい」、「召喚獣は増やしたい」といった話が飛び出した。

 拡張版については、もちろん開発を進めているとしながらも、「『プロマシアの呪縛』とは違うコンセプトのものになる」と答えたのみで、内容については一切明らかにされなかった。またジョブの追加に関しては、「何年間も検討しているが、既存の15のジョブに対して中途半端になると困る」と答えるに留まり、特に慎重な姿勢を示した。

 このほか面白いトピックとしては、以前公式サイトでその存在が明かされた「Maatの帽子」(全てのジョブで、クエスト「星の輝きを手に」をクリアすると入手できる)の話題が出た際に、開発陣が「現時点で全てのジョブが75に到達しているプレーヤーは4人いる」と公表。会場にはかなりのヘビーユーザーが参加していたはずだが、この日一番の大きなどよめきが起こった。

トークショーには開発陣4人も参加、左から、「プロマシアの呪縛」ディレクターの河本信昭氏、バトルディレクターの松井聡彦氏、モンスター担当プランナーの岡田厚志氏、アートディレクターの相場良祐氏 トークの途中でスクリーンに映し出されたレアアイテム情報。レベル20から参加できるものもあるので、欲しいアイテムがある人は参考にしていただきたい ゲーム内容ばかりではなく、米国やドイツなど、海外での活動も紹介された。どこにいってもコスプレモデルとの写真撮影は大人気らしい
Xbox 360版のデモプレイも実施。既に発表されているとおり、映像的な特殊技術はあまり使われていないため、画質に劇的な変化はない。ただパフォーマンスや解像度はPS2版から格段に向上している 次世代ゲーム機でどんな映像が出せるかという参考に、PC上で動作しているモンスターの映像を紹介。ポリゴン数は現行ゲーム機の2倍程度だが、ノーマルマップという技術で肌の質感や立体感を出している



■ 今後の課題と可能性が見えた「バリスタ・ロワイヤル」

準決勝の前に「バリスタ・ロワイヤル」のイメージムービーを上映。テンポの早い内容でなかなか格好いいが、一番沸いたのはシャントットの登場シーン
 今回のメインイベントである「バリスタ・ロワイヤル」では、準決勝2試合と決勝戦がステージ上で行なわれた。1チーム6人(+補欠最大4人)でのPvPで、予選参加総数は252チーム。1,500人以上が参加しており、国内で開催されるオンラインゲームの対戦イベントとしては、かなり大規模な部類に入る。

 20分1本勝負、レベルは60制限、サポートジョブなし、チーム内でジョブの重複不可、というレギュレーション。決勝まで全てこれにのっとって行なわれた。

 準決勝に残ったチームの編成を見ると、モンクや暗黒騎士といった強力なアタッカーは必ず入っており、全体的にかなり攻撃重視。6人で行なわれるバリスタでは、相手をひとり倒せるだけで形勢が大きく変わるため、攻撃力の高いジョブが歓迎される。逆にナイトや忍者といった、通常のパーティでは盾役となるジョブは、攻撃力が乏しく、サポートジョブが使えないと「挑発」もできないためか、ひとりも見られなかった。

解説を担当した木越氏
 試合はやはり、どちらが先に相手をひとり倒すかが勝負の分かれ目となった。試合の解説を担当したバリスタ担当プランナーの木越祐介氏は、「バリスタの基本はツーマンセル。ひとりで倒しきるのはまず無理」と話していたが、実際の展開もまさにそのとおり。魔法やアイテムによる回復が間に合わないよう、2人以上のアタッカーがほぼ同時にウェポンスキルを使用し、一瞬で大ダメージを与えるという戦法が非常に強力だった。

 逆に言うと、これができないことにはそう簡単には相手を倒せない。まず回復の要である白魔道士を襲うという戦略をとるチームが多かったようだが、味方との連携がうまく取れないまま逃げられ、逆に攻撃に集中していたアタッカーを狙われて撃破される場面も見られた。

 試合の中で目立ったのは、チームワークと各プレーヤーの修練度。開幕時はきっちりした戦略を立てて攻めているのだが、一度それが崩れるとメンバー間の連携がうまく機能しなくなり、立て直せないまま終わってしまうようだった。またプレーヤーも突出した腕前を持つ人が目立ち、彼らの活躍が勝負に大きく影響していた。

 ただ、現状でプレーヤーを責めるのはあまりに忍びない。現状、バリスタには「アブダルスの箱庭」という練習用スペースが設けられているが、利用には事前予約が必要で、いつでも好きなだけ練習するというわけにはいかない。このため、決勝進出チームも十分な練習ができたとは言い難く、劣勢に陥ったときに立て直す戦略などを練る余裕はなかったのだろう。また各プレーヤーにしても、状況に応じたセオリーが確立していないため、個人のプレーヤースキルに大きく依存してしまう。だが、このような状況で、ここまで戦略を詰めてきた決勝進出チームは、十分評価に値する。

 何にせよ、今後のバリスタを語るには、環境の整備が不可欠だろう。イベントの中では、第2回大会や世界大会を示唆するようなコメントも聞かれたが、そのためにもバリスタに興味を持ったプレーヤーをきちんと取り込めるよう、早急なシステムの改良を期待したい。

 試合の結果は、Sirenワールド代表の「Lovehame」チームが準決勝、決勝ともに完封で勝利するという、圧倒的な内容となった。決勝戦ではRagnarokワールドの「Onipower」チームと戦い、開幕の激突でアタッカーのひとりを撃破。2人の専門アタッカーで攻めるという「Onipower」の戦略を開幕で潰して試合のペースを掴んだ。

 途中、「Onipower」も恐ろしく息のあった動きで「Lovehame」の白魔道士を3度も取り囲むという見せ場を作ったが、ウェポンスキルを叩き込むなどの決め手に欠け、いずれも取り逃がしてしまった。結果は完封試合となったが、「Lovehame」の選手が試合後に「開幕に勝ててよかった」と漏らすほど、実際にはきわどい内容。会場も度々大きく沸き、決勝戦らしい見ごたえのある試合となった。

決勝戦開始前の様子。大勢の人が見ているステージ上で、普段とは違うPCを使ってプレイするのは、かなりのプレッシャーがあっただろう。ちなみに会場でプレイしたのは概ね半数程度の選手で、他は自宅など外部から参加していた 開幕のぶつかり合いで、「Onipower」のUrimoto選手が「Lovehame」のBarlog選手が放ったイーグルアイでダウン。「Lovehame」の作戦が見事に決まった瞬間だ
防御が重要なバリスタでは、物理ダメージを軽減する「アーススタッフ」が近接攻撃をしないジョブの基本装備となっている。こういった通常プレイでは見られないノウハウも未経験者には新鮮 決勝で最も盛り上がったのが、「Onipower」のメンバーが一斉に「Lovehame」のSeraphy選手に3度襲い掛かったシーン。2度目はウェポンスキルも決まって非常に惜しいところまでいったが逃げられ、3度目には逆にTP300%のアースクラッシャーで反撃されてしまった。Seraphy選手の冷静な対応には驚かされたが、「Lovehame」の各選手のサポートも早かった
優勝を決めた「Lovehame」のメンバーには、優勝賞品として、ゲーム内で装備できる月桂樹の冠が授与された。その外見はまさに勝者であることを示すもの。さらに田中氏からは「性能もかなりいいらしい」という話も



■ 音楽で楽しむ「FF XI」 - 増田いずみさん、スターオニオンズライブ

 本イベントでは、先日のバージョンアップで導入された増田いずみさんの歌と、8月24日に発売されたばかりのCD「THE STAR ONIONS FINAL FANTASY XI - Music from the Other Side of Vana'diel」を演奏するスターオニオンズによるライブが行なわれた。

 増田いずみさんの歌は、植松伸夫氏が作曲、水田直志氏がアレンジを担当した曲で、「プロマシアの呪縛」のストーリーのクライマックスで流れる。ステージに現われた植松氏によると、歌い手を探す際にスタッフがCDなどを持ち寄って検討するそうだが、増田さんの曲を推したのはプロデューサーの田中氏だったという。

 「インストゥルメンタルの曲も好きですけど、歌物がいきなり入っていたほうがインパクトがあるでしょう?」とボーカル曲にした理由をさらりと語った植松氏。録音の時には、「初めは少年の声のように、澄んだ声で一本調子に歌ってもらおうと思ったんですが、1回彼女の声を聞いたら、『違う、彼女の魅力はこっちじゃない』とわかった。もっと感情を入れてくださいとお願いして、思い通りの曲ができあがりました」と、植松氏も増田さんの魅力に驚かされたことを語った。

 会場に現われた増田さんは、オペラ歌手とは思えない、Tシャツとジーンズという軽装で登場。「格好がどん、としていると、それに押されて終わってしまうから」という増田さんは、普段のステージも同じような格好で出ているという。植松氏も気に入ったようで「オペラってとっつきにくいですけれど、オペラを歌っている人がこんな格好だったら、すごく入りやすいですね」と話していた。

 歌は既にゲームで聴いた人もいるかと思うが、オペラ歌手ならではの力強い歌声で、かなりボーカルが強調された曲調。感動的な場面を強く演出してくれそうだ。なお、この曲は9月中旬ごろから音楽配信サービス「iTunes Music Store」で販売される予定。また10月21日に発売される増田さんの3枚目のアルバムCDにも収録されることが決定している。

歌い手を増田さんに決め、収録するまでの様子を語った植松氏。曲の依頼は数年前にもらっていたそうだが、今年5月のE3までそのことを忘れていたらしい…… オペラ歌手とは思えない軽装で登場した増田さん。「プロマシアの呪縛」のストーリーをクリアした人へのご褒美と言ってもいい素晴らしいできばえ



スターオニオンズ
 スターオニオンズのライブには、「FF XI」の楽曲を手がけるスターオニオンズのリーダー水田直志氏をはじめ、メンバー5人全員が参加。演奏は、CDに未収録の「ユタンガ大森林」の曲から始まり、「Rolanberry Fields」、「Mog House」、「Awakening」、「Selbina」の計5曲が披露された。

 CDでは比較的ゆったりした曲調のアレンジが多いが、ライブではベースとドラムが効いた別アレンジ版が演奏された。途中、ステージの電源が一部落ちて演奏がストップするというハプニングもあったが、「THE BLACK MAGES」にも参加しているギターの関戸氏がここぞとばかりにお笑いネタを披露。スターオニオンズらしさあふれる楽しさ満点のライブとなった。

スターオニオンズのリーダーでベース担当の水田直志氏。「バラエティに富んだ内容になっているので是非聴いてください」とCDをアピール グループの紅一点、ピアノ&キーボード担当の谷岡久美さん。ライブ中は演奏だけでなくMCも務めた 左がギター担当の関戸剛氏。右はドラム担当のマイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏。英語版でジョーク満点の翻訳を担当しているマイケルといえばピンとくるファンも多いだろう
ベース担当の甲田雅人氏。メンバーで唯一スクウェア・エニックス社員ではないが、水田氏とは十年来の付き合いがあり、スターオニオンズに誘われたそうだ 「Awakening」では、THE BLACK MAGESのドラム担当、羽入田新氏がゲスト参加

会場入口には物販コーナーを設置。イベント開催前にはすし詰め状態になるほどの人だかりができた NECアクセステクニカは、プレイオンライン対応のブロードバンドルータなどを販売。「フロントミッション オンライン」推奨特別モデルの展示も行なわれたが、こちらは参考出展で発売は未定 コスパは「FF XI」デザインのTシャツを販売。「東京ゲームショウ2005」で先行販売が予定されている「マンドラゴラ帽子」も参考出展された


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□エンターブレインのホームページ
http://www.enterbrain.co.jp/
□「ファイナルファンタジーXI」のページ
http://www.playonline.com/ff11/
□「ファミ通PRESENTS ファイナルファンタジーXI サマーカーニバル2005」のページ
http://www.famitsu.com/sp/br/
□「スターオニオンズ」のページ
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/onion/

(2005年9月2日)

[Reported by 石田賀津男]



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