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価格:5,040円
映画「ミニパト」は、映画監督の押井守氏が脚本を担当。「機動警察パトレイバー」の世界観をベースにしながらも大胆な手法で演出し、なおかつエンターテインメントとして成立させたことで大きな話題となった作品。独特の紙芝居的な手法をCGを使用することで、これまでにない雰囲気で映像化。今なお、ファンを引きつけて止まない作品だ。 PSP用ゲーム「機動警察パトレイバーかむばっく ミニパト」においても押井守氏が総監修を担当。さらに「やるドラ」を手がけ、昨日制作発表が行なわれたテレビアニメシリーズ「BLOOD+」の監督も担当している藤咲淳一氏が監督/脚本を担当。映画「ミニパト」の作画を担当していた西尾鉄也氏が作画を担当している。会場で流された映像も映画の雰囲気をそのまま伝えるものに仕上がっていた。 ゲームはアドベンチャーパートとシューティングパートに分けられる。アドベンチャーパートでは、プレーヤーは泉 野明となり特車二課での日常を過ごしていく。キャラクタとコミュニケーションをとるのだが、この受け答えによってテンションが変わるという。ここで、事件が発生!! 出動した先ではシューティングパートに突入する。ここでは基本的にコクピットから見た風景となり、リアルタイムに戦うことになる。ちなみに事件は大小様々なものが用意されている。
このほかにも「ハリセンバトル」や「地下(下水道)探索」といった要素も準備されている。たとえば「ハリセンバトル」では、テンションが上がりすぎた隊員と対決することになる。スロット風のシステムで、的確につっこんでいく。地下下水道では横スクロールゲームに早変わり。なんと、ここでパーツを拾ってきてレイバーを強化することも可能となる。
発表会に出席した鵜之澤伸氏が「すでに企画が立ち上がってから2年。はじめはプレイステーション 2用ソフトだったのだが、たまたまPSPが発売され、『ミニパト』っぽいと言うことでPSP用ソフトと言うことになった。ほとんど完成している」ということで、発売はもうすぐということだ。 ところがこのあと挨拶した総監修の押井守氏が「はじめの企画では、春夏秋冬1本づつで計4作品発売する予定だった。それぞれに兵藤まこさんの主題歌が入っていて、彼女のミニアルバムを発売できる……という約束だった。ところがふたを開けると、主題歌もなく1本だけ」とぶっちゃけ、鵜之澤伸氏は冷や汗をかくことに。押井氏は「この作品は必ずゲームになると思っていた。北の方から来た危ないおじさんとか、危ないキャラはまだ出てこない。それを見るためにも……全てスタンバイしているので、是非とも売れてほしい」とコメント。 ちなみに、この発表会に先駆け行なわれた鵜之澤氏との打ち合わせで「『機動警察パトレイバーかむばっく ミニパト』が3万本売れたら残り3作品作る!」という書面にサインをさせたとか。鵜之澤氏は「DVDと違ってゲームだからちょっと勢いがあれば3万本くらい売れますよ」とコメントし、シリーズ化にゴーサインを出したも同然の口ぶり。しかし最後まで手厳しい押井守氏は「制作サイドとしては精一杯いいものを作った。売るのはバンダイの責任」とコメントを続けた。 しかし、これだけでは終わらず、今度は映画「立喰師列伝」のプロデューサーである石川光久氏が「『立喰師列伝』もゲーム化してほしい」との要望を出してきた。さらに過酷なことに、映画が公開される来春に同時に展開したいという。さすがにこれには鵜之澤氏も食い下がったが、石川氏は「ゲームは必ず間に合わせるようにスタンバイするから」と詰め寄った。鵜之澤氏は観念したように「たぶん作ることになるんだよなぁ。腐れ縁で仕事をしているとこうやって苦労するんだ。会社には内緒で、(ミニパトが) 5万枚売れたら……予算は石川さんと相談で」と受け答えした。
制作の現場サイドからは藤咲淳一氏が「永遠の夏休み、文化祭の前夜をゲーム化できればということで、コント集にしたいと思っていた。押井さんからは『好きにすれば』と言われた」とコメント。一方大変だったのが作画と言うことで、西尾氏は「基本的に劇場版から何も変わっていない。でも、時間的にブランクがあるので描き方を忘れていて、カンを取り戻すのに時間がかかった。映画はドラマやストーリーに沿って描いていけばいいけど、ゲームはこれまであまりやったことが無く、シチュエーションを使い回すように、とにかく大量に描かされた。キャラクタ1人あたり50以上ポーズを描き、特車二課の整備員まで描いたので、4桁はいっているんじゃないか。そのうち写経をやっているような気分になってきた」とかなり苦労した様子だった。 (C)HEADGEAR/BANDAI VISUAL/TFC/Production I.G (C)BANDAI 2005
発表会では現在押井守監督によって制作が進められている映画「立喰師列伝」についての発表も行なわれた。公開時期は来春で、渋谷シネクイントなどでの公開が決定している。 GAME Watchという媒体の性質上、映画については詳しくは言及しないが、「ミニパト」で使用した映像表現手法をさらに進化させたアニメーション作品になるという。現在公開されているポスターなどでは、実写映像になっているが……つまり、「ミニパト」ではコミカルなキャラクタを紙芝居風に動かしたが、今回は実際の人間が演じているところを撮影し、同様の手法で動かすのだという。 押井氏は立ち食いへのこだわりについて「立ち食いのプロは、うんちくを語ってただで食べるだけ。お金儲けではないので、メリットはない。この職業を思いついたときは、我ながらいい思いつきだと思った。妻に捨てられたり、会社をクビになったらしたらこの職業になろうと思ったりした、僕の妄想。立ってメシを喰うと言うことになぜこだわるのかは、自分でもわからないが自分の子供の頃に原点があるのでは。戦後、日本が貧しい時代に立ってメシを喰って道ばたで生きると言うことを見てきた。いまは豊かになったが、その失われた胃袋が大切なんだと思うし、それを若い人に伝えたい」と熱く語った。
映像表現的にもかなり満足行くものに仕上がりつつあるようで、周りの評価も高いという。映画「立喰師列伝」がゲーム化されるかは難しいところだが、こちらも楽しみな作品となりそうだ。 (C)2006 押井守・Production I.G/立喰師列伝製作委員会
□プロダクション I.Gのホームページ (2005年8月26日) [Reported by 船津稔]
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