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株式会社スクウェア・エニックスは8月4日、和田洋一代表取締役社長兼CEOを囲んでの記者懇親会を開催し、同社の現状と今後の方向性の一端を示した。 和田氏の講演は、現状の報告に始まり、今年末から来年に向けて発売が予定されている次世代コンシューマゲーム機の発売に向けての同社トップとしての見解までざっくばらんに語ったもの。基本的には各発表会や決算発表時にこれまで話してきた内容を踏襲するものだが、一部面白い話題も聞かれた。 ごく近い話では、「キングダムハーツII」の発売日だが、これまで通り「今冬」としながらも、今期中に発売されることは確定だという。同社はこれまで「ファイナルファンタジー」シリーズ、「ドラゴンクエスト」シリーズ、そして「キングダムハーツ」シリーズを3本の大きな柱と位置づけてきた。これまで大型タイトルが同一年度内に発売されることはなかったが、先日のスクウェア・エニックスパーティ2005において「ファイナルファンタジーXII」の発売日が2006年3月16日発売と発表されただけに、選択肢として「キングダムハーツII」の発売時期の変更がある可能性もあった。しかし和田氏は「発売日はそろそろ発表してもいいと思うのだが」と語り、今年度中に発売すると断言した。 また、「ドラゴンクエストVIII」の海外展開については、「『ドラゴンクエスト』の魅力は堀井節ともいうべきちょっとひょうきんなところだと思う。このニュアンスが米国などで伝わり、受け入れられるかが鍵なのではないだろうか」と分析。ただ、「ドラゴンクエストVIII」が成功することで、ドラゴンクエストを中心とした多方面に展開する関連ソフトや商品の販売が見込めることから、期待はしているようだ。 次世代機についての見解はこれまでと同じで、「いままでとは質の違う環境変化を向かえている。これまでの一強皆弱ではない時代がくる」とコメント。各プラットフォームが併存し、国や環境によって勝ち組プラットフォームが変化するとの見方だ。そういった時代においては「任天堂のレボリューションはコントローラが発表されておらず、ニンテンドーDSがそうだったように手触り感を出す異質なものになるだろうが、PCやプレイステーション 3、Xbox 360はPCで根っことなる研究開発を行ない展開していくことになると思う」とマルチプラットフォーム展開を行なう選択肢があることを示した。 これまで「ドラゴンクエスト」は、たくさんの人に遊んでもらうために、もっとも販売台数が多いプラットフォームに対して展開してきたが、逆に和田氏が考えるようなプラットフォームが均衡した状況になれば、全てのプラットフォームで展開することも視野に入れなければならなくなる。この点について和田氏は「あり得ますね」とマルチプラットフォーム展開の可能性を示唆した。 ソフトウェアメーカーのこういった姿勢は、ハードウェアメーカーとしては驚異で、ソフトウェアメーカーの囲い込みにつながっているが、この点については「それだけのコストに見合うソフトを発売し続けなければならないため不利だと思う」と和田氏としては疑問を感じているという。ハードウェアメーカーとしては受難の時代となるが、「次世代機はマーケティング次第ではないだろうか。売るのは本当に難しいと思う」と和田氏はコメントした。こういった背景から、常々和田氏は「次世代機を判断することはできない」としている。 このほかでは、先日行なわれた「PlayStation Meeting 2005」で久夛良木健氏が発表したHavokおよびAGEIAとの戦略的提携について「非常に評価できる。わざわざアイルランドまで行って契約しなくてもいい。大手は別として中小のソフトウェアメーカーには本当にありがたい」と歓迎の意向を示している。
今回の懇親会はもちろん不確定要素を含むものだが、同社の方向性を計る上では興味深いものであった。 (2005年8月4日) [Reported by 船津稔]
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