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会場:幕張メッセ第9~11ホール
今回、スクウェア・エニックスが出展したオンラインタイトルは4本。そのうち、現在開発中の「ファンタジアース」のみメインシアターによる映像出展で、そのほかの「ファイナルファンタジー XI」、「エバークエスト II」、「フロントミッションオンライン」は、いずれも独自のブースを設け、それぞれ趣向を凝らしたイベントで作品の魅力をアピールしていた。 中でも常時、大入満員状態だったのが「ファイナルファンタジー XI」ブース。こっそり一般初公開されていたXbox 360版が目当てかと思いきや、実はそうではなく、終日行なわれた特別イベント「ヒーローズコンバット」目当ての来場者が過半を占め、運営4年目にして、いまなお同社の「プレイオンライン」事業を強烈に牽引し続ける同作の馬力を今更ながらに見せつけられた。まずは「ファイナルファンタジー XI」ブースの模様からお届けしよう。
■ FF XIブースは、「ヒーローズコンバット」で大にぎわい
ヒーローズコンバットは、ヴァナ・ディールに存在する主要三国の代表的NPCであるトリオン、フォルカー、アジドマルジドと戦えるというPvPイベント。これらのNPCは、FF XI本編のミッションで実際に戦いに参加するが、ミッションでは味方であり、倒すべき相手として登場するのは今回が初めて。バトルをも包含した強力なイベントスクリプトを備える同作ならではのイベントである。 ルールはシンプルで、戦士、モンク、シーフ、白魔道士、黒魔道士、赤魔道士という6つのスタンダードジョブからなる6人PTを編成。レベルは60で、サポートジョブ、アイテムはなし。ミッションで使用されるバトルフィールド「天輪の間」に、イベント専用アイテムをトレードし、コース(1人、2人、3人のいずれか)を決めると、特別イベントがスタートする。 同イベントはあらかじめ公式サイトで実施が告知されていたため、それなりの集客が期待されたが、実際の会場は予想を上回る集客ぶりだった。FF XIには、レベルや人数を制限し、時限式のプライベートエリアで、複数の敵と雌雄を決するバトルフィールド戦という人気コンテンツが存在する。同イベントはその延長線上の内容で、必ずしも新機軸というわけではないが、対人戦でも、賞金付きでもないのに、優に200人を越す集客を維持し続けていたのは大したものである。 初日、ブースにちょくちょく足を運んでイベントを観戦したが、予想通り、3人を同時に相手にするAコースが人気を集めていた。勝算を抜きにして純粋に戦ってみたいという興味が優先した結果だと思われるが、試合結果は惨憺たる内容で、カウントしていた限りで1勝6敗という成績だった。イベントの編成では、黒魔道士であるアジドマルジドの黒魔法を止める術がほとんどないため、範囲効果のあるガ系の魔法を連発されると回復が追いつかなくなる。その反面、いかに短時間でアジドマルジドを撃破するかに見所がしぼられた面もあって、見ていて楽しかった。 その他の結果は、Bコース(いずれか2人)が1勝2敗、Cコースが2勝。ちなみにA、B、Cの各コースで、それぞれのNPCの強さに補正が掛けられており、実はどれを選んでも一定の難易度になるようになっているという。なかなか凝ったイベントである。 イベント中、ブースを視察していた田中弘道プロデューサーに話を聞くことができたが、「ヒーローズコンバット」は、実は7月19日のアップデートで機能としては実装されており、トレードアイテムさえあればすぐにでも始められる状態にあるという。もっとも、現状では、スタンダードジョブ、アイテム無し、装備必要最低限でバランスを取っているため、簡単に「じゃあ追加」という訳にもいかないようだ。 Xbox 360版については、開発はほぼ終了しており、あとは落としどころを模索している段階だという。落としどころというのは、他プラットフォーム、特にプレイステーション 2版とのバランスを考えて、Xbox 360の能力をどの程度に抑えるかという部分である。Xbox 360のパフォーマンスをフルに発揮させる設計にしてしまうと、クライアントレベルで明瞭な性能の差が生まれてしまうが、それでは不公平感が出てしまうというわけだ。 現時点で考えられている拡張要素は、ビジュアル面ではクリッピング(描画される奥行き)をどの程度まで開放するのか、マルチスレッドを採用するXbox 360のCPUをいくつ、何に使うのかという内部処理プロセスの部分。いずれにしても既存プラットフォームに比べ、平均的なパフォーマンスが大幅に改善されるのは間違いなく、わずかなラグも嫌うユーザーにとって、Xbox 360版はベストソリューションになりそうだ。 ちなみにXbox 360版は、東京ゲームショウでの出展も検討しているという。最後に田中氏は、「実はそれ以外に“のど”まで出かかっている大ネタがあるのですが、今はまだ言えません(笑)」と意味深なコメント。拡張ディスクなのか、他次世代プラットフォームへの展開なのか、それともまったく予測外のことなのか。今後もFF XIの展開を注意深く見守りたいところだ。
■ 実はアドベンチャーパックはローカライズ済み ~EQ2ブース
ブースで実施されていたイベントは、5人PTを編成してNPCを街まで連れ帰るという護衛ミッション。この手のGM主導のエスコートイベントは、先月秋葉原で開催されたプレイオンラインフェスタ2005に続いて2度目。難関に挑戦というものではなく、ガイドの指示に従いながらゲーム世界を体験することを目的としており、難易度は低い。 ブースではイベントの合間を縫って「デザートオブフレイム」のデモが行なわれていたが、EQ2プレーヤーならご存じの通り、「デザートオブフレイム」の前に、2本のアドベンチャーパックの発売が予定されている。アドベンチャーパックは、ダウンロード販売の小規模拡張ディスクといったもので、新しいダンジョンやインスタンスゾーンが追加される。第1弾が「スプリットポゥ サガ」、第2弾が「ブラッドライン クロニクル」で、日本でのレベル帯を加味し、欧米とはリリース順を逆にしている。 対象レベルは、「スプリットポゥ サガ」が20~50、「ブラッドライン クロニクル」が35から50、そして拡張ディスク「デザートオブフレイム」が、45~60となる。これらの対象レベルは、全エリアを遊び尽くす場合であり、レベルに達していなければ遊べないという意味ではない。
アドベンチャーパックについては、いずれも欧米ではリリース済みであり、そろそろ日本にも、という段階なのだが、発売時期は「年内」となっている。開発スタッフに直接聞いたところ、実は「スプリットポゥ サガ」、「ブラッドライン クロニクル」共にローカライズはすでにほとんど終わっているという。発売時期の発表が遅れている理由は、決済手段を増やすための手続きに時間がかかっているのだという。欧米ではクレジットカード決済のみだが、日本ではクレジットカードを持たないユーザーも多いため、新たなオンライン決済手段の導入を考えているという。EQ2ユーザーはもうしばらくの辛抱だ。 ■ ユーザー間の戦いが繰り広げられたFMOブース、PC版の試遊台も設置 「フロントミッション オンライン」ブースでは、PS2版20台の試遊台を設置、ボイスチャットやキーボード、マウスも完備され、どんなプレイスタイルのユーザーにも対応できるように周辺機器が充実していたのが印象的だった。ブースの人気は高く、常にプレイ待ちの列ができていた。ガラスケースに収められたジオラマの前でカメラを構えている人もいた。
「バトルコロシアム」では、5人のチームを組んで役割もすべて事前に決めてこの戦いに挑む、といった気合いの入った参加者も。初心者はスタッフの助言の元にプレイをするのだが、特にセッティングに関しては5分という時間は少し短かったようだ。経験者の活躍が目立った戦いになったが、初心者チームが経験者チームに勝ってしまうということもおきた。リーダーが積極的に周りに声をかけたり、回復役が有能だったりすると、戦況は劇的に変化する。連係プレイの重要さを感じさせられた。 試遊コーナーの中央には2台のPC版「フロントミッション オンライン」の試遊台が設置されていた。PC版は28日よりクローズドβテストの募集が開始されている。 試遊台ではパッドキーボードでの操作が可能で、もうほとんど完成しているかのように見えた。 印象に残ったはグラフィックスの美しさだ。現在のバージョンでは1,280×1,024ドットまでの解像度をサポートしており、プレーヤーキャラクタの表情や基地の計器板などのテクスチャは非常に細かく、かつシャープになっている。戦場に出てヴァンツァーが表示されるとその印象は一層強まる。機体の細かいディテール、腰や足などの関節部分の構造、PS2版とはまったく違う機体である印象すら受ける。 一番の違いは、背景の描画だ。PS2版より遙かに遠くまで見渡せる印象を受けた。情報を表示も小さく、画面全体がすっきりしている。敵を発見するのにかなり有利では、と思った。要求スペックに関しては「FF XI」より少し高めになるが、「EQII」ほどではない、とのこと。 クローズドβテストの募集人数は数千人規模を予定しているが、PS2版の時よりは規模が少し小さくなるという。クローズドなため、別サーバーを使って行なわれるが、正式サービス時にはPS2版ユーザーと同じ戦場でプレイできるようになる。
「フロントミッション オンライン」の今後の予定としては、8月に大きなバージョンアップを予定している。新しいマップや機体アクセサリーの他、戦うシステムにも提案を行なっていきたいとのこと。これらの情報の詳細は、来週以降正式に発表されるという。
■ アクションによる戦争をテーマに生まれ変わる「ファンタジー アース」今回は映像出展のみ PvPを主題にしたMMORPGとして、ユーザーからも期待が寄せられている「ファンタジー アース」。今回はミュージックライブなどのイベントが催されたシアターエリアで、イベント開始前に上映された「最新作スペシャル映像」の中で紹介された。映像の内容としては、キャラクタ達が激しく戦いを繰り広げるというムービーと、争う5つの国の支配者のイラスト、スキルを使って攻撃を行なうほんの少しのゲーム映像といったところで、ちょっと物足りない内容だった。最後にテロップで、「2005年発売予定、クローズドβテスト近日開始」という情報が開示された。 「ファンタジー アース」に関しては、公式ページの更新も止まっていて、今月いきなりジョブシステムの見直しが発表されるなど、制作スケジュールが見えてこない部分がある。新情報に関しては8月下旬に新しい要素などが発表される予定だ。また、今回放映されたムービーもユーザーに見せたいという意向もあるとのこと。 現在本作は「よりアクションによる戦いを楽しむために」というテーマにそって各要素の調整をしているという。アクション要素を持つ戦争ゲームとして作り込んでおり、プレーヤーの操作によっては敵からの魔法攻撃すら回避可能となる。パッドなどの周辺機器の対応も検討されている。 本作では50vs50という数のプレーヤーがぶつかり合う、大規模な戦いが体験できる。それでいながら各プレーヤーはアクションの腕も存分に発揮できるようにしていきたいという。戦争は2国間だけではなく、複数の国がぶつかり合うことも、プレーヤー単位で「第3勢力」としてどちらかの陣営に介入するようにもしていきたいとのこと。戦争は開始や終了が決まっているわけではなく、常に戦っている。プレーヤーはそのフィールドに行くだけでいつでも戦いに参加できるのだ。「個々の力が大きな勢力になり、さらにその勢力図がリアルタイムに書き換えられていく」そのダイナミズムを表現したいとのこと。 レベル制を採用しているゲームだが、コンセプトとしてはキャラクタのレベルが大きく違っても、アクションの腕によってレベル差をひっくり返すようなものにしていくようだ。レベルが高いからといって多くの敵キャラクタを簡単に倒せるわけではなく、低レベルのキャラクタでも戦略を持って連携をしていけば、高レベルのキャラクタでも倒されてしまうようなバランスにしていきたいという。 現在まだ検討中であるが、PvPをメインにした作品だけに、モンスターを倒したりするだけではなく、プレーヤー達と戦っても成長する要素を持たせたいというアイデアがあるとのことだ。 バランス調整部分など、本作に関してはプレーヤーが実際に参加しないと見えない部分が多くある。運営側はβテスト時に寄せられるユーザーの意見を参考にして調整や、本作ならではのシステムを提案していくつもりとのこと。ユニークなゲームになりそうなだけに、テスト開始が楽しみな作品である。
□スクウェア・エニックスのホームページ [Reported by 中村聖司/勝田哲也]
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