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会場:Shanhai New International Expo Center
中国のポータルサイトSINAと韓国NC Softの合弁会社であり「LineageII」や「Lineage」を中国国内で展開するNC Soft SINA。今回は、大きなブースに、このふたつのタイトルの試遊台を多数設置し、来場者にアピールしていた。中国では韓国同様「Lineage」の人気もまだまだ高く、試遊台ではプレーヤー達が画面をみて話をしながらゲームをプレイしていた。
今回のNC Soft SINAはもうひとつタイトルを出展している。米国で60万本の売り上げを記録した「Guild Wars」である。「WAR CRAFT」や「DIABLO」などを手がけたBlizzard Entertainmentの元スタッフが興した開発会社Arena Netにより制作された新しいMMORPGで、米国では特にPvP要素に関する評価が高い。韓国ではダウンロードが2万弱というところで、韓国ユーザーの間ではまだそれほど受け入れられていないというのが現状のようだ。 NC Soft SINAは、ブース中央に20人以上を収容できるシアターを用意、ここで映像とデモプレイによる「Guild Wars」のデモンストレーションを行なった。21日には制作者を招いてのイベントも開催された。 今回発表されたのは、「Guild Wars」にアジア市場を意識したオリエンタルの要素が追加されることである。画面に最初に映し出されたのは古代中国風の鎧を着込んだ戦士。カメラがひいていくと、山水画を思わせる切り立った岩山。そして万里の長城のような城壁、さらに中国風の建物などが確認できた。 また、男性以外にも、薄物を身にまとった女性キャラクタが登場。髪を中国風に結い上げた彼女はくるくると拳法の演舞を披露した。デモプレイで使用されていたものはすでにメッセージやインターフェイスなども中国語版になっており、すぐにでもβテストが始められそうな雰囲気だ。 制作者によるとこういったオリジナルのオリエンタル要素はβテストを通じてユーザーの意見を集め、様子を見ていくという。中国でのβテストの時期はまだ未定であるが、「まもなく」である、ということを強調していた。
海外で展開しているゲームを市場に合わせて追加要素を盛り込むというのは、「EQII東方版」でも行なわれているアプローチであるが、「Guild Wars」では、古代中国の要素というより中国市場を意識したカルチャライズが行なわれるようだ。これらの要素は「Guild Wars」が日本で展開する際にはどうなるかというのは興味深い。
■ Webzen、新しい試みを取り入れたMMORPG「SUN」と「一騎当千」を出展 「ゼルダの伝説 風のタクト」にそっくりなキャラクタが登場するMMORPG「Wiki」を制作したことで話題を集めたこともある韓国のゲームメーカーWebzen。China Digital Entertainment Expoでは「SUN」と「一騎当千」というふたつのタイトルを多くの試遊台を設置してアピールしていた。
試遊台で遊んでみてすぐに気がついたのは「移動の快適さ」である。従来の韓国産MMORPGは筆者にとって、長距離を移動するのにいちいち地面をクリックし直さねばならず、敵がカメラに近寄ってきた場合など間違ってクリックしたりしてしまうことがとても多く不満を感じていたのだが、本作ではコンシューマーのアクションゲームに近い感覚で移動が行なう事ができる。 攻撃のモーションは非常に早く、ここもアクションゲームに近い。試遊台で遊べるキャラクタの中には両手にボウガンを構える女性キャラクタがいて、敵をクリックすると矢をマシンガンのように連射して敵を倒す。モンスターはキャラクタに近づく前に絶命してしまい、ゲームのリズムにもアクションゲーム的な要素があり、非常に爽快だった。 しかし、だからこそ「変わっていない点」に不満を感じた。攻撃をする時にキャラクタの足が止まってしまい、「操作で敵の攻撃をかわす」という要素がまったくないのである。戦闘は結局体力が0になる前に薬ボタンを連打するという「Diablo」タイプそのままで、敵と距離を考えて戦い方を工夫したり、ジャンプボタンなどで敵の攻撃を避けるなど、アクション要素を取り入れることができれば、ずいぶんゲームの感触も変わったのに、という感想を持った。 「一騎当千」は三国志をテーマにしたMMORPGで、2006年上半期の完成を目指して制作されている作品である。見下ろし型の画面にサイズの小さなキャラクタが登場する、RTSのような雰囲気を持った画面構成だ。この小さなキャラクタは敵の「多さ」を表現するのに非常に効果的だ。わらわらと集まってくる敵キャラクタをプレーヤーはなぎ払っていくのである。 操作方法はクリックによる移動と攻撃というおなじみのもので、キャラクタの小ささから「UO」や「Lineage」も彷彿とさせる。面白いのが敵キャラクタはコンボ攻撃で簡単に倒されてしまうところ。さらにF1キーで前方に範囲の広い衝撃波をとばし、F2キーを押すことでキャラクタがコマのように回転、ばんばんと敵をはじき飛ばしていく。多数の敵をなぎ倒すこの爽快感は「真・三国無双」を参考にしたものだろう。 フィギュアスケートの選手か、バレリーナのように回転するキャラクタを敵の集団につっこませ蹴散らしていくのは見ているだけでも気持ちがいい。試遊台の前を通った人が、このキャラクタの動きを見て、試遊台のプレイヤー越しに画面をのぞき込み、そのまま後ろに並ぶという風景がそこかしこに見られた。
筆者もプレイしてみたのだが、確かに敵キャラクタがどんどん吹っ飛んでいくのは爽快だったのだが、実際にプレイしてみると、キャラクタを移動させ2つのキーを押すことがゲームのすべてなのだ。例えば「真・三国無双」ならばステージならではの仕掛けがあり、戦いながらフラグを立てていくことでゲームが進行するが、現状本作にはこれ以上の展開はない。この派手な攻撃モーションをどうゲーム性に活かすか、期待したいところである。
■ 「Mabinogi」ならではの世界観をブースで忠実に再現した世紀天成 韓国NEXONの「Mabinogi」を中国で展開する世紀天成。中国では7月24日よりアイテム課金による正式サービスが開始される。世紀天成のブースはゲーム内に登場する街「ダンバートン」の雰囲気を忠実に再現。石造りの建物を思わせる外壁、柱には木を使用し、ゲームの中に登場するアーチ型の橋を設置して、まるでゲームの世界をそのまま表現した凝った作りになっている。
しかし、この世紀天成は今回のイベントでもっとも「音が大きい」ブースであった。ブースでは「Mabinogi」の試遊台をを出展しているスペースと背中合わせに大きなステージを設置し、ここでゲームの音楽に合わせたダンスショウなどのイベントをひっきりなしに行なっていたのだが、向かいの中青創先と常に「音量」で張り合い続けていたのである。
その音量合戦はステージで演奏している奏者が思わず顔を見合わせて苦笑いをしてしまうほど。音の大きさは来場者を引きつける効果もあったが、耳をふさいで足早に通り過ぎる人もまた多かった。今回のイベントはすべてのブースで音が大きい傾向があったのだが、このふたつのブースはその中でも飛び抜けて大きかった。中国ならではの熱気に触れた体験だったとも言えるが、「Mabinogi」の雰囲気を忠実に再現していたこのブースが、一方では来場者の事を考えず、ひたすら音量の競争を繰り広げてしまったのは、すこし残念だった。
□China Joyのページ (2005年7月23日) [Reported by 勝田哲也]
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