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会場:Shanhai New International Expo Center
■ プレス発表会ではSOE CEO John Smedley氏に質問が集中
現在、台湾、中国、香港、韓国の4地域を対象にオープンβテストが行なわれている段階で、8月にも順次正式サービスへと移行していく方針。ちなみに「EQII 東方版」は、台湾版、中文版、韓国版の3つのバージョンが存在し、すべてSOGAがローカライズを行なっている。アジア限定とはいえ、全エリア同時展開というのは、Gamaniaでも例のないケースで、ある意味極めて博打性の高いプロジェクトだ。 さて、今回のGamaniaのブースはシアターボックス形式で、ボックスの周囲を取り巻くように試遊台を設置。シアターは、30人ほどが立ち見できるスペースで「EverQuest II」の映像を公開していた。このシアターを使ったデモは、E3で多く見られる手法で、SOEの意向も込められてのものだと思われる。 ムービーは昨年と今年のE3でSOEが公開した映像とまったく同じものが使用された。昨年のムービーは、キャラクタを作り、さまざまな仕草をさせたり、スタート地点であるケイノスとフリーポートのイメージの違い、さらにパーティープレイの様子という、いわば「EQII」の基礎部分の紹介である。 今年のものは、米国で9月に発売される拡張パック「Desert of Flames」の紹介ムービーだ。アラビアンナイトに出てきそうな砂漠の街、ワニや銀色の巨大なドラゴンといった新しいモンスター、地形を利用した戦い方、新しいPvPルールなどをストーリー仕立てで紹介する。こちらの方が来場者の受けがよく、主人公のひとりであるノームのアクションに笑ったり、新しい要素に関して話し合う人たちもいた。 さて、21日の午後には、開発者を招いてのQ&Aセッションが行なわれた。イベントにはSOE CEOのJohn Smedley氏や、SOGAの代表を務める「EQII 東方版」プロデューサーJohn Laurence氏が出席し、メディアの質問に答えた。質問の前に放映されたのは特別版のムービー。ハウジング要素やゲームの実際の進め方などを紹介した後、EQII 東方版ならではの要素として、制作者のスケッチからキャラクタが書き起こされていく様子や、新しくデザインされたキャラクタが活躍する場面などが流された。 Q&Aセッションでは、中国のゲームメディアが次々と質問を制作者にぶつけていった。次々と手を上げ、積極的に質問をしていくメディアの「EQII 東方版」への注目度には驚かされた。以下に質問の内容をまとめておきたい。
A. 我々はキャラクタの表情、仕草などでアジアの雰囲気を出すために努力をしている。今後は、キャラクタの顔形だけではなく、装備や武器などにも東方版ならではの精神を活かすべくデザインし直している。また、ゲームの見た目のデザインだけではなく、インターフェイス部分も工夫をしていく予定だ。 もともと「EQII」はアジア向けを考えず制作されていた。現在、20~30名のスタッフと、多くのテストをしているユーザーの声を参考に、中国市場にあわせた形のサービスをするべく、さまざまな試みを行なっていく。 また、ネットカフェを中心に働きかけており、よりプレイしやすい環境を提供していく戦略をとっている。 Q. EQIIは中国のユーザーにとって難しいというイメージがある。これに対してスタッフはどんな働きかけをしていくつもりなのか? A. ホームページ上で、専用の窓口を設け、詳しくゲームの説明をしていき理解してもらえるように働きかけている。それに実際プレイしてもらえれば、イメージよりずっと簡単にプレイできることがわかるはずだ。 Q. 中国のユーザーはソロプレイを好む。EQIIではこういったプレイは可能か? A. ある程度職業は限られるが、ひとりでプレイを楽しめる要素も充分ある。EQIIには膨大な数のクエストが用意されており、これらのクエストを積極的に遂行していけば、ひとりでもゲームを楽しむことは可能だ。 Q. このゲームではキャラクタは英語でしゃべり、字幕で中国語が表示される。中国語の吹き替えを行なう予定はあるのか? A. 英語版は有名な俳優を起用している。彼らの雰囲気を壊さないためにも、中国語の吹き替えは予定していない。中国語はテキストとして難しい言語ではあるが、日々スタッフによる見直しが行われ、どんどん改良され、読みやすいテキストになっていると思う。 Q.中国ではいつから正式サービスが行われるか。 A.現在はオープンβテスト中。8月を目処に正式サービスへの意向を予定している。
■ 「EverQuest II 東方版」のキャラクタデータが英語版にも導入決定
「EQII 東方版」では、過去に何度か触れてきているように、顔を中心にキャラクタデザインが一新されている。例外なのはイクサーやトロール、ラトンガといったモンスター種族で、これらのデータに変更はない。ヒューマン、エルフ系種族、ドワーフ、ケラといった人間、半人種族は、ジオメトリレベルでキャラクタデータが一新されている。これに伴い、防具をメインとした装備品も、キャラクタデータにフィットするようにデータが作り直されている。 モーションに関しては、モーションキャプチャから生み出されたすべてのデータを直すのはさすがに大変なので、そのままとなっている。ただし、モデリングが一新しているため、たとえば同じヒューマンの女性でも、歩いた時の光景は、客観的に見てより自然に、よりセクシーに映るように洗練されている。 こうしたキャラクタまわりのリファインは、意地の悪い言い方をすれば、キャラクタの立ち居振る舞いが普通の一般人から、プロのモデルに変化しただけとも言える。ゲームデザイン論として、それは果たして“改良”といえるのか、あるべきカルチャライズといえるのか、今回のケースは規模が大きく、また今後のカルチャライズのモデルケースともなりうるだけに、我々メディアや業界関係者は一歩引いた視点から冷静になって考える必要があるように思う。 ただし、客観的な事実として、台湾、中国、香港、韓国のユーザーは、全面的に今回のカルチャライズを支持しているということで、正式サービスへの移行する際に、本来のデータに戻したり、オプションとして選択の余地の与えるようなプランは採らないという。さらに、大元の開発元であるSOEも、SOGAのカルチャライズを非常に気に入っていて、このほど、欧米で展開されている英語版にこのキャラクタデータを採用することを決定したという。
「EverQuest」のグラフィックスエンジンのアップデートのように、ある時を境に全面的に置き換わるのか、インストール時のオプションとして選択可能にするのか、それとも完全にグラフィックスオプションのオンオフによって動的に切り替えられるのか、そのあたりのプランは未定とのことだが、こうなるとスクウェア・エニックスが展開する日本語版でも採用される可能性が出てくるだけに、SOEとSOGAの連携の動向は気になるところだ。
□China Digital Entertainment Expoのページ (2005年7月23日) [Reported by 中村聖司 Photo by 勝田哲也]
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