開発元 Techland Software
ポーランド大手デベロッパーTechland Softwareの新作アクションシューティング「Chrome SpecForce」のPlayable Demo。その名が示すとおり、同社が2003年にリリースした「Chrome」の世界観、ゲームエンジンをベースに、エンジンまわりのブラッシュアップを図りつつ、新たなストーリーを盛り込んだ作品で、日本で言うところの「完全版」に近い。ヨーロッパメーカーのDemoらしく、難易度別にたっぷり楽しめる。FPSファンにお勧めのDemoだ。
「Chrome」は、Techland Softwareが自社開発したChromeエンジンを採用したアクションシューティング。ドイツCrytekが「FarCry」で自社開発のCryエンジンのパフォーマンスを世界に知らしめたように、Techlandもエンジンビジネスを始めるに当たり、同様のことを「Chrome」でやろうとしていたのだが、開発に時間が掛かりすぎ、また先述のCryエンジンや、Unreal Engine 2.0の登場により、鳴かず飛ばずに終わったという経緯がある。
中でもグラフィックスやネットコード云々以前に、FPSなのにマルチプレイをオフィシャルで未サポートというのが致命的で、「Chrome SpecForce」では、ようやく32人までのマルチプレイをサポートしているが、各社ともさらに次の世代のエンジンを公表した2005年となっては、もう遅きに失した感はぬぐえない。
ネガティブなことを書き連ねてみたが、ゲームとしてつまらないかというと、決してそうではなく、表現的な部分でストイックすぎて、やや地味な印象はあるが、個人的にはこういうシングルプレイ重視のFPSがあり続けてもいいと思っている。
DemoでプレイできるエピソードIIのシナリオにおいても、鬱蒼とした森林地帯での遭遇戦や、ロングレンジの射撃戦であったり、あるいは敵の死体から弾薬等を補充しつつ、前進していくゲリラ戦的な側面など、SF世界の中で一定のリアリティを感じさせる、ディテールに対するこだわりは一見の価値がある。
「Chrome」におけるスクリプト重視のゲームデザインは、そっくりそのまま踏襲されており、AIが進化した分、より遊びやすくなり、また敵も手強くなっている。不意打ちで射撃すると、それと気づいた敵たちが一斉に散開する様子は、「FarCry」あたりを彷彿とさせる。際だった新しさはないゲームだが、手応えのあるゲームプレイが堪能できるタイトルだ。
Copyright Techland 2005
ダウンロードはこちら(3D Gamers)