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devcat開発室長キム・ドンゴン氏インタビュー
「マビノギ」次期アップデート“G2”の魅力と、今後の展開について

6月31日収録

収録地:ネクソンジャパン本社

 今年4月に正式サービスがスタートしたネクソンのMMORPG「マビノギ」。ファンタジー世界ならではの日常生活をアニメタッチで描いた同作は、秋葉原での大がかりなイベントなど、ターゲットを明確に絞ったプロモーションにより、着実にユーザーを集めつつある。月額課金ベースのMMORPGとしては、まずまず順調な滑り出しといっていい。

 来る7月21日には、日本サービスでは初となる大規模アップデート「ジェネレーション 2」のシーズン1が実装される。「ジェネレーション」は、他のタイトルで言うところの“エピソード”、“クロニクル”に相当するアップデートの集合体で、「マビノギ」では、7月21日以降、数回にわけて全4シーズンが実装されていく計画になっている。

 今回は、「ジェネレーション 2」のプロモーションのために来日したdevcat開発室長キム・ドンゴン氏に「マビノギ」の今後の展開について話を伺ってきた。devcatは、韓国NEXON内の開発チームの名称で、「マビノギ」が最初の作品となる。キム・ドンゴン氏へのインタビューはこれで3度目。過去に伺った内容もふまえつつ、「ジェネレーション 2」以降の話も詳しく聞くことが出来たので、ぜひ一読頂きたい。


■ 日本の「マビノギ」と韓国の「マビノギ」

編集部(以下、編): 「マビノギ」が日本で正式サービスを開始して2カ月あまりが経過しましたが、日本運営の感想を聞かせてください。

キム・ドンゴン氏(以下、キム氏): 「マビノギ」は、最初から日本での展開も考えて開発された作品なので、サービスが開始できたことは嬉しく感じています。しかし、まだスケジュールの面で韓国よりだいぶ遅くなってしまっていることと、日本での独自のサービスができていないことを残念に思っています。できるだけ早く韓国と環境を同じにして、日本のユーザーに向けたサービスをしていきたいです。

「マビノギ」の開発総指揮を執るdevCATチーム開発室長 キム・ドンゴン氏
企画チーム長 イ・ヒヨン氏
運営チーム長 海外サービス総括担当 チェ・ムンヨン氏
編: 実際に運営を開始してみて、日本と韓国のユーザーの間で、それぞれの「ライフスタイル」に違いなどは感じましたか?

キム氏: 韓国のユーザーは、ゲーム内で頻繁に他のユーザーにゲームのことについて尋ねる人が多いのですが、日本のユーザーは何でも1人で研究し、1人でゲームを分析する傾向があるようです。

 プレイスタイルに関しては、日本のユーザーは韓国に比べ屋外で戦闘をする人や生産を熱心にする人が目立ちます。韓国のユーザーは街の真ん中でチャットを楽しんだり、みんなでダンジョン攻略に乗り出す人が多いですが、日本のユーザーは戦闘をあまりしないという印象があります。

編: 現在韓国では「マビノギ」のサービスはどのような状況なのでしょうか?

キム氏: 韓国では6月22日がサービス開始からちょうど1周年でした。その時期にあわせて、「ジェネレーション 3(以下、G3)」をスタートしました。このスタートから新しいユーザーが増えて、ゲーム世界が一層活発になっています。

編: 現在の韓国での会員数と同時接続者数を教えてください。

チェ氏: 累計会員数は295万人を超えました。サーバー数は現在6つでそれぞれ10チャンネル、同時接続者数は3万5,000人です。

編: この数字には満足しているのでしょうか?

キム氏: もちろんより増えてほしいと思っていますが、「マビノギ」のユーザー数はずっと右肩上がりで、減っていないのです。このまま増えていけばいいな、と思っています。ある程度、満足していますね。

編: 韓国のユーザーの間で、いま何が流行っているのでしょうか?

イ氏: 現在韓国ではG3がスタートしたばかりで、ユーザーの多くはメインストーリーを体験するのに夢中になっていますね。G3のユーザーの反応に関してはまだデータがそろっていませんが、G3は「マビノギ」が、G1、G2で語られてきたストーリーの最後の部分になっているので、その結末について議論が交わされています。もうエンディングまで到達したユーザーもいるようですね。現在ストーリー展開に期待をしながらプレイしている人が多いです。

チェ氏: それ以外に、G3ではゲームバランスの調整も行なっているのですが、これについても上々の反応を頂いています。ゲームのプレイのサイクルが早くなって、どこが変わったのかについての情報交換が活発に行なわれています。


■ 「ジェネレーション 2」のメインテーマとなるパラディンとは?

編: 次に日本でスタートするG2についてお聞きします。G2とはどのようなアップデートなのでしょうか。

キム氏: 「マビノギ」において「ジェネレーション」というのはそれぞれストーリーを持っているのですが、G2では「パラディン」という存在について物語が展開します。G2がG1と違うところは、ただストーリーを体験できるだけではなく、ストーリーのエンディングを迎えることでプレーヤー自身がパラディンになれることです。

G2をクリアすることで変身することができるパラディン。光の騎士として、真の正義を得るための試練に望むことで変身することができるようになる。キム室長によると、「ウルトラマンや仮面ライダーのような存在」とのこと。ゲーム内で「変身!」と叫びたいところ
 パラディンというのは、いわばもうひとつの自分といった存在です。パラディンは他のMMORPGのような「職業」といった概念ではありませんし、キャラクタが転職するわけでもありません。日本の仮面ライダーやウルトラマンのように、キャラクタがパラディンというヒーローに一時的に「変身」するのです。いつものキャラクタとは異なった、強い力を持ったもう1人の自分なのです。

編: G2のストーリーをクリアすることで、すべてのプレーヤーはパラディンになれるのですか?

キム氏: なれます。G2のストーリー自体が女神によって精霊の力を受け取り、自分がパラディンになるための修行を積んでいくというものになっているので、すべてのキャラクタがエンディングを見ることでパラディンになれます。

編: G2以降のプレーヤーは、例えばダンジョンなどの危険な場所に行ったりする時はみんながパラディンに変身するのでしょうか?

キム氏: パラディンへの変身には制限時間があって、最初は2分くらいしか変身していられません。パラディンのスキルを鍛えることで変身時間は長くなりますが、基本的にはピンチの時の変身して危機を脱する、というスタイルになると思います。

編: そうなると高難易度エリアに関しては、パラディン前提のゲームバランスとなっているのですか?

キム氏: バランスに関してはパラディンは変身時間が限られているので、一番きついところでパラディンに変身すれば「クリアしやすくなる」という感じですね。

チェ氏: 韓国の場合ではみんなでパラディンに変身して戦ってみたりして、強さを確かめたりしていますね。ダンジョンなどではプレーヤーがみんなで変身したからといって一気にクリアできる、というわけではないです。

編: 制限時間つきの変身という、ウルトラマンのような発想はどういったところから生まれたのですか?

キム氏: 「マビノギ」ではG1の時からロールプレイダンジョンといって、他のキャラクタになりかわってダンジョンに挑戦するような展開があったのですが、G2ではロールプレイに対してもっと本格的に取り組みました。プレーヤーはパラディンだけではなく、ペットになってプレイすることもできます。

 今まで自分が育てたキャラクタ以外になってプレイが楽しめるという、ロールプレイの基本的な視点を「マビノギ」に取り入れたいと思いました。それによって新しい遊びを作り出していきたいと考えたのです。

編: 話が横道にそれますが、G3でも何かに変身できるのでしょうか?

キム氏: G3ではメインストーリーとしては変身要素はないのですが、「ダークナイト」が新たに登場します。これはパラディンと対をなす存在で、プレーヤーはパラディンからダークナイトになるという選択が可能になっています。G3のテーマはパラディンとダークナイトの対立です。ダークナイトを選択したキャラクタは、もうパラディンに変身することはできなくなってしまいます。

編: パラディンにしてもダークナイトにしても、戦闘に特化した、言わば戦いを象徴するキャラクタだと思います。「マビノギ」は戦闘以外にも、歌を歌ったり、羊の毛を刈ったりという生活のプロセスそのものを楽しむというコンセプトのMMORPGですよね。たとえば今後、非戦闘系キャラへの変身といった要素もあるのでしょうか?

キム氏: 生産系の変身というのは今のところ企画していません。パラディンはもともと戦闘中心でプレイしている人以外でも、ある程度戦うことができるようにと考えた存在なのです。生産を中心にキャラクタを育てていても、ストーリーを進めることでどうしても戦わなくてはいけない場面がでてくる。これをクリアするためのパラディンなのです。

 生産系のスキルに密接な関係を持った変身というのは、まだ未定です。ストーリーは一端G3で完結し、G3以降は私以外のディレクターが新しい「マビノギ」を展開していく可能性が高いので、この時に生産向けの変身がでてくるかもしれませんね。

編: といいますと、キムさんはG3以降は、「マビノギ」の開発から抜けてしまうのですか?

キム氏: いえ、私はディレクターからプロデューサーの立場になります。今後も作品には関わっていきます。

強力な戦闘キャラクタとなるパラディン。G2のストーリーを完結することで変身できるようになる。G2のストーリーを進めるためには、キャラクタのレベルが10以上で、G1をクリアしていることが条件となる。変身ヒーローのように、変身に制限時間があるのがユニーク


■ 動物としてのロールプレイも楽しめるペットシステム

編: パラディン以外の新要素についてはいかがでしょうか。

キム氏: メインストーリーはパラディンですが、このほかにペットシステム、精錬武器というのがポイントになると思います。これ以外にもファイアーボールやサンダーなど強力な魔法が追加され、ゲームの雰囲気が今までとは変わったものになると思います。

キム室長オススメのペットシステム。ペットが飼えるだけでなく、ペットとなって冒険を行なうことも可能だ。動物たちで行進したり、動物とキャラクターでパーティーを組んでみたりと、想像するだけでも面白い冒険が楽しめそうだ。なお、ペットシステムはシーズン2以降の追加となる
追加される新マップ。森と湖が美しいイメンマハという街が中心となる
編: なるほど。G2の中でキムさんが特にお気に入りの要素は何ですか?

キム氏: ペットシステムですね。特に自分自身がペットになってゲームの中で歩き回れるのがお気に入りです。ペットは連れて歩くだけではなく、ペット自身を自分のキャラクタとして使用することができるのです。ペットになって他のキャラクタに声をかけるのが一番面白いです。

編: ペットでログインした場合は、プレーヤーキャラクタの名前は分かりますか?

キム氏: ゲームではペットの名前しか表示されないので、飼い主を知っている人しかプレーヤーの正体はわかりません。

編: 面白いアイデアですね。このシステムはどんなコンセプトで作られたのでしょうか?

キム氏: 「マビノギ」では最初の段階からプレーヤー、モンスター、そして動物たちはすべて同等の存在である、ということを考えていました。プレーヤーは自分のキャラクタだけでなく、モンスターや動物にもなることができる、だからペットとしてもプレイできる、という考えで実現したシステムです。

編: そうなるとプレーヤーがみんなペットでプレイする、というようなこともあり得るのですか?

キム氏: ユーザーがみんなで話し合って実行すれば町中みんなペットということも可能ですね。韓国ではプレーヤーキャラクタと、ペットを連れた人、ペット自身でログインしている人が適度に混じり合っていて、いい風景だな、と思っています。

編: ちなみにペットでログインするというのは、クリエーターとしてどのような遊び方を想定していますか?

キム氏: プレーヤーが動物になることができるというのは最初から考えていたコンセプトでした。韓国でクローズドβの時に、プレーヤーが犬や熊、羊というような動物になってダンジョンを攻略するというイベントをやったのですが、これが非常に好評でした。だからこそ、それをシステムでなんとしても取り入れようということで実現したのです。

編: ペットは何種類くらいいるのでしょう?

キム氏: 15~20くらいで、まだ企画されているものもあります。G2は「シーズン」という単位で分かれていて、段階的に実装されます。G2の初期段階で実装されるのは8種類、その後数種類ずつ追加されます。個性的なペットもいろいろ導入されますよ。

ペットにはさまざまな種類があり、薬草を採取する能力を持ったペットも ペットはヒーリングなどのスキルを使うことができる 戦うことでレベルアップが可能
【その他の追加要素】
G2で追加されることになる新しい街イメンマハ。美しい湖と森に囲まれた、近代的な建築物の立ち並ぶ美しい街だ
イメンマハでは新たに20人以上のNPCが登場する。中には特別なアイテムを販売しているキャラクタもいるという。「マビノギ」は他のMMORPGには少ないNPCへの親しみを感じさせるような工夫をしている作品である。アルバイトやクエストで彼らの意外な一面を見ることができるかもしれない
ジャイアントファイアスプライト。コイルダンジョンのボスとしてプレーヤーを待ち受ける ジャイアントヘッドレス。こちらもコイルダンジョンのボスである ルンダ上級 船長スケルトン
ルンダ上級 サイクロプス 名前はまだ明らかになっていない赤い頭蓋骨の中で光る目が不気味だ ここからは新装備、エレノキュートフリルスカート
エレノアヒーラードレス グラディウス メイス


■ 今年中に日本でもG3を。近い将来に日韓同時アップデートを目指す

編: 現状では、韓国とはかなりスケジュールのズレがありますが、これは今後改善されていくのでしょうか。

キム氏: 現在のスケジュールの差は半年くらいですね。韓国ではG1は6カ月ほどかけて実装されましたが、日本では3カ月で導入されています。G2もより短い期間で導入されるでしょう。今後はもっと差をつめて、年末くらいまでには韓国と日本の差をなくすくらいにまで縮めたいと思っています。

キム室長は静かな口調の方だったが、言葉からはゲーム製作へのこだわりと、ユーザーへのサービス精神を強く感じた
編: ということは、日本では年内にG3 まで実装されるということなのでしょうか?

キム氏: 日本で今年中にG3がスタートすることはもう決定しています。

編: なるほど。それでは、仮に次のアップデートをG4とすると、G4は韓国と日本でほぼ同時に実装されるということですか。

キム氏: 「ジェネレーション」という名前を引き継ぐかどうかはわかりませんが、G3の後のアップデートは韓日同時であることを開発側は強く望んでいます。

編: そのアップデートはいつ頃になりそうですか?

キム氏: 韓国ではG3は年内で完結する予定です。スケジュールが確定するのはそれからですね。名称に関しても未定です。

編: G3以降のアップデートの方向性として、現在考えているものを教えてください。

キム氏: G3がまだ終わっていませんし、次のアップデートに関してはまだ時間もあります、公開する段階ではないと思っています。G3の段階で自分の家を持つことができるハウジングシステムを導入したいと考え、開発を進めています。

編: 質問を変えますが、「マビノギ」の最初のコンセプトとして「生活を楽しむ」というものがあったと思いますが、現在の「ジェネレーション」の流れはストーリーの進行が中心になっていて、ゲームのテーマが生活よりもストーリーを重視している印象があります。これ以降のアップデートでもこの姿勢は継続されるのでしょうか。

キム氏: メインストーリーはG3で完結します。今後ストーリー重視で進めていくか、他の方法を採用するかは次のディレクターの意志が大きく反映されると思います。

 「マビノギ」が根本的に目指している、望んでいる方向性というのは、開発チーム全員が考えていますし、すでに同意しています。例えば、「暴力的なものにはしたくない」というものであったり、「ユーザーの自立性をできるだけ活かしたい」といった根本的な方向性は開発チーム全体が同意しているものです。これをベースに今までとは違う試みをやっていくことになるでしょう。

編: キムさんが「マビノギ」に対してもし点数をつけるとしたら何点くらいでしょうか。

キム氏: 現在韓国ではG3がはじまったばかりです。私がとりあえずのゴールとしているのはG3の完結までですから、今の段階では70点と言うところでしょうか。G3の完結までには100点にしていきたいですね。

編: 今後追加したいこと、現状の不具合で直したい部分というものがあったら教えてください。

キム氏: 現在企画しているもので一番大きなものはハウジングシステムです。これがシステムの中では一番重要な要素ですね。修正点に関してはギルドシステムや生産系のスキルなど生産系のためのものを追加していきたいですね。

編: ハウジングシステムについてもう少し詳しく教えてください。

キム氏: 以前お会いしたときもお話ししましたが、まず、城を建てられるフィールドを導入して、その城をギルドで持てるようになったら、城の周りにユーザーが家を建てられるようになって、ひとつの村を形成していけるようにしたいですね。

編: 城を建てて村を作るというのは、「マビノギ」の世界観に合致しているのでしょうか?

キム氏: 「マビノギ」でプレーヤーの街を作りたいというのは制作当初から考えていたアイデアです。現在ゲームのフィールドで隣に行けないような閉じられた場所がありますが、ここは村を作るためにあらかじめ用意してあるスペースなんです。村を作るというのは最初から企画されていたので、世界観と合わないということはありません。


■ 現状の「マビノギ」の問題点、今後の課題について

編: 「マビノギ」は、ユーザーからマクロやBOT等の不正行為に対する取り組みに関して高い評価がありますが、どのような取り組みをしているのでしょうか?

キム氏: 不正プログラムなどの対策に関しては開発当初からのはっきりと対応していかなくてはいけないと考えていました。それがたとえゲームを楽しむためのものだとしてもそういったプログラムを使用すれば他のユーザーに迷惑がかかるかもしれない。これに対応するのは、サービスを行なう会社の責任であると考えています。私たちは他のユーザーを守るためにも、不正プログラムに対応していくのは当たり前のことだととらえています。

編: 日本のユーザーからは特にアイテムの許容量に対する不満が多いようです。これについてはどのように考えていますか?

キム氏: それは、韓国以外の地域では導入されていない「中型カバン」の問題だと思います。現在韓国ではこれを複数持つことができ、このカバンにアイテムを入れて多くのアイテムを持ち運べてしまうのですが、これは制作側の意図したものではなく、修正していきたいと思っています。ユーザーが複数のカバンを持つのはデータベースを不安定にする要因にもなっています。日本だけではなく、中国や台湾でも複数のバッグはもてないようになっています。

 その代わりに現在はサイズを大きくしたカバンを用意して、できるだけ多くの荷物を持ち運べるようにしたいと思っています。また、ペットにも独自のインベントリーが用意されていてこちらでも荷物が入れられるので、今のユーザーの不満は解消されると思っています。

編: ハウジングによって、家にアイテムを収納することができますか?

キム氏: もちろんより多のくアイテムを保管できるようになりますが、それは今の銀行程度の容量ですね。家では展示して他の人に見せられるような要素などもあります。


■ 見た目だけではなく本質を受け継ぐ作品を。devcatチームのこれから

編: 「マビノギ」の成功によって、NEXON社内におけるdevcatのプレゼンスは大きく向上したと思いますが、devcatの今後の展開について教えてください。

キム氏: MMORPGに限らず、他のジャンルのタイトルも手がけていこうと思っています。「マビノギ」以外にも2~3のゲームタイトルを周期的に安定して開発していく能力を持つスタジオに育てていきたいと思っています。

編: 次のタイトルはどのようなものになりますか?

キム氏: NEXONは開発者にとって素晴らしい環境が整えられた会社です。私は2つほどのタイトルを企画として持っていますし、他のディレクターもひとつ企画を持っています。その開発にも関わっていますね。ただ、今は企画の段階なので、これが市場に出るのかは未定です。

編: 今後のタイトルも「マビノギ」に見られるような、女性にも受けいられやすい柔らかな雰囲気を持った作品になるのでしょうか。

キム氏: いろいろなタイトルがあります。柔らかなものの他に、まったく違うものも考えています。devcatスタジオが持つ特性というものは何なのか、というのは常に考えているのですが、それはグラフィックなどの視覚的なものではなく、システムとしての特性をどうやって作っていくかというものだと思います。

 見た目で分かるようなものではなく、常に動いているような内容を持つゲームであり、アニメーションのような魅力を持ち、ユーザーのコミュニケーションを重視する、こういった共通点を作品の特性として持てるようにしていきたいですね。

編: NEXONというと、先日、次期MMORPG「ZerA」を正式発表しましたが、これについてはどのような感想を持っていますか?

キム氏: 「ZerA」は社内でも秘密のプロジェクトとして進んでいましたし、韓国で6月28日からクローズドβがはじまったばかりでまだわからない部分もあります。グラフィックのこだわりはすごいと思います。ただ、「マビノギ」と比較すると、対象年齢が高いところもあって、意識することはあまりありません。

編: 最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

キム氏: 私たちのゲームを楽しんでくださってありがとうございます。私たちとしてはユーザーがゲームの中でいろいろな話を作りだしていってくれればと思っています。一緒にゲームを楽しんでほしいですね。

 私達は日本のユーザーが作ったファンアートやイラストなどを見て楽しんでいますし、感動しています。こういった作品を見せていただくと、「マビノギ」は生きているゲームだな、ということを実感します。この生きているゲームを一緒に楽しんでいきましょう。

□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「マビノギ」のページ
http://www.mabinogi.jp/
□関連情報
【5月26日】「マビノギ」一日親善大使ナオさん、編集部を訪問
今後のアップデート計画の一部が明らかに
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050526/mabi.htm
【2003年11月23日】NEXON日本事業部ディレクター姜 鎮求氏インタビュー
韓国のゲーム事情とNEXONの今後の展開を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031123/nexon.htm
【2003年10月7日】「マビノギ」開発者インタビュー
これまでにない要素を多数盛り込んだフリースタイルMMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031007/nexon_02.htm

(2005年7月1日)

[Reported by 中村聖司 Photo by 勝田哲也]


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