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Electronic Entertainment Expo 2005現地レポート

Epic Games、「Unreal Tournament 2007」プレビュー

会期:5月18日~20日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

「UT2007」を見るために長い列が。1~2時間は覚悟して並ばなければ見れなかった。
 ファン待望のFPS「Unreal Tournament 2007」(以下「UT2007」)が5月18日からロサンゼルスで行なわれているE3 MIDWAYブース横で初めて一般に公開された。「UT2007」は、「Unreal Tournament 2004」等のUnrealシリーズの最新作で、次世代ゲームエンジン“Unreal Engine 3”を搭載したシリーズとしては初の作品となる。

 ゲームエンジン“Unreal Engine 3”は、既に昨年から何度かE3やNVIDIAのカンファレンス等で発表されていた。“Unreal Engine 3”だからこそ可能となった3DCG映画並みの高いクオリティであるグラフィックスでゲームが動く。シリーズのファンならずとも期待される要素である。結果、発表会場となったブースにはその進化した「UT2007」を見ようと連日長蛇の列ができあがった。

 前作に当たる「Unreal Tournament 2004」(以下「UT2004」)は、パブリッシャーがATARIであったが、今回の「UT2007」ではパブリッシャーがATARIからMIDWAYとなった。今年のE3ではこのMIDWAYが、ミニシアターブースを設置し「UT2007」の発表を行なった。今回このミニシアターでは、一回の上映で一度に入れる人数は15人だけ。しかしブースの入り口には“Unreal Engine 3”で、生まれ変わった「UT2007」の映像を見ようと、沢山の人々がブースを囲むように並び、デモンストレーションを見るのに1、2時間待ちは当たり前の大人気ブースとなった。


■ デモンストレーションには、リードレベルデザイナーであるジム・ブラウン氏本人が登場

 シアター内では、写真・ビデオ撮影が一切禁止の厳重な体制の中、「UT2007」のデモンストレーションが行なわれた。まず最初に、本作品のリードレベルデザイナーであるジム・ブラウン氏が挨拶をし、これからシアター内で上映する内容について簡単に説明をした。シアターは2部構成となっており、前半は歴代の「Unreal」シリーズの簡単な紹介、後半は“Unreal Engine 3”で生まれ変わった「UT2007」のデモンストレーションという構成だ。

 シアターの前半部分である歴代「Unreal」シリーズの紹介ムービーは、「Unreal」シリーズを振り返るもので、初代「Unreal」から前作の「UT2004」までが次々と紹介されシリーズの軌跡を追った。その後、スクリーン上には主人公キャラクタ、マルコムが登場し“Unreal Engine 3”によって生まれ変わった「UT2007」はどのようなものかを、主人公自身が解説を行なうというユニークなものとなった。このマルコムというキャラクタは、初代「Unreal Tournament」から登場し続けているキャラクタで、深緑の軍服のようなアーマーに身を包んでいる黒人キャラクタ。緑のベレー帽とサングラスがトレードマークだ。

 通常このようなデモンストレーションでは、開発担当者が直接映像を見せながら話すが、今回のデモンストレーションでは実際にゲームに登場するキャラクタが自ら作品を説明する。筆者が注目したのは、自己紹介をしながらゲームの説明をしていくそのマルコムの顔のしわ、表情、唇、目の動きである。“Unreal Engine 3”により細かく表現されたこれらは、法線マッピングで処理されている。この技術により、3DCG映画並みのクオリティの高いマルコムのモデルがリアルタイムで動いていた。

 マルコムは、モニターに「Unreal Tournament」時代、「UT2004」時代、そして「UT2007」の3人のマルコムのキャラクタを映し出し、シリーズを通してグラフィックスが向上していっている事を説明した。次に、これもまた歴代の「Unreal Tournament」シリーズに登場した武器であるロケットランチャーが最新のものと並べられ比較された。初代「UnrealTournament」のロケットランチャーと「UT2004」のそれとは、発射したときの感覚、音、共に変化していた。

 今回の「UT2007」のロケットランチャーも、ロケット弾を飛ばすというコンセプト、そして3つのバレルにロケット弾を一気に装填し3発同時に発射ができるという部分は前作と変わらないものの、モデルの形が大幅に変化していた。前作「UT2004」のロケットランチャーと比べると新しいロケットランチャーは全体的に赤く塗られ、大きさも一回り大きくなっている。ロケット弾発射時の挙動も激しくなり、より派手さが増した。武器の紹介が終わりに近づいた時、スクリーンには爆発音と共に「敵の攻撃を受けている」と警告メッセージが流れ、マルコムは紹介していた最新のロケットランチャーを手に取り、「すまないが、行かなくては行けない。また後で」と言葉を残し戦場へと赴くというストーリー展開になった。

法線マッピングにより、人間の写真と見間違うほどリアルになった主人公マルコム 肌の質感、アーマーの質感が見ているだけでわかるように表現されている



■ 前作と変わらないシステムだが、グラフィックス、エフェクト共にグレードアップ

 ここから、マルコムの視点に変わり、実際にプレイしているゲーム画面に移った。画面に映し出された光景も、もちろん“Unreal Engine 3”でレンダリングされたマップで、雰囲気的にはサイバーチックな日本のネオン街と香港の町並みが融合したようなマップだ。その町の中を敵を倒しながら進んでいくマルコム。画面に映しだされた全てのオブジェクト、ネオンサインをチカチカと発しながら左右両側にそびえる建物、黒ずんだ汚れがよりリアル感を出す電柱、戦闘により砕け散ったアスファルトを表現した道路など、細かいテクスチャー部分もしっかりと表現されていた。

 この実際にプレイしているゲーム画面は、リードレベルデザイナーであるジム・ブラウン氏がマルコムを実際に操作し、マップを突き進んで行った。戦闘シーンがメインに繰り広げられ、通常武器であるロケットランチャーやショックライフルを使った戦闘シーンを見ることができた。特筆すべきものは、シリーズ毎にグレードアップされるショックライフルによるコンボの表現である。セカンダリ攻撃で発射される青い球体をプライマリ攻撃のレーザー光線で打ち抜くと巨大な爆発を起こす。これをコンボと呼ぶが、この爆発の瞬間のエフェクトが、前作と比べより美しいものとなっていた。青い球体が破裂している瞬間、その球面の表面に青い稲妻が無数に駆け巡るのである。

 このコンボの破裂は時間的に言えば1.5秒ぐらいの爆発なのだが、そのエフェクトの細部まで凝っている。その他にも、戦車などの乗り物に乗っての戦闘も見ることができた。キャタピラの1つ1つのパーツ細部の動きまで表現された戦車は、前作よりも躍動感が増している。前作「UT2004」の戦車は、ただ主砲を持った装甲の塊がヌルヌルとマップ上を移動していただけの物であったが、今回の「UT2007」では、バリケードを乗り上げた時や、主砲を撃った時の戦車の挙動が、物理エンジンで反映されており、リアル感が増していた。

 戦車の他にも乗り物としては、Scorpionという前作にも登場したバギーが登場した。左右両側にカマキリの様な刃を広げ、敵を引っ掛けて倒していく乗り物だ。こちらは、刃の開閉のギミックの表現は前作のScorpionのギミックを継承しており、変化としてはグラフィック・挙動の向上だけに留まった。

 プレーヤーの動きとしては、ダブルドッジと呼ばれる二段ジャンプが健在で、一部コミュニティの間で囁かれていた「ダブルドッジが『UT2007』では無くなる」という噂は、どうやら真実ではなかった。ゲーム中のスピード感も前作と変わらない物で、グラフィックの向上によるプレイ時のスピード感のグレードダウンは心配ないようだ。「Unreal Tournament」シリーズのスピード感は損なわず、グラフィックの向上を成功させているという点が目立った。 乗り物や、ロケットランチャー、ショックライフルを駆使して、襲い掛かってくる敵を駆逐し、最後の敵を蹴散らした後、マルコムはマップの最後にそびえ立つ、建物の奥へと入って行く。

 そして、建物の窓から大爆発とともにマルコムが飛び出して来て、「UT2007」のDEMOは終了した。後半からは、主人公キャラクタであるマルコムが、ゲームの説明をしながらプレイ画面に移行するという一連のストーリーのようなものになっており、シアターで見ていた観客を楽しませるというコンセプトも持ち合わせたこの「UT2007」シアターは、見ごたえのあるデモであった。

実際のゲーム画面。このクオリティーでゲームが動くのは正直凄い 前作から引き続き登場のスコーピオン。テクスチャーが強化されている
戦車のGolaith。こちらも前作同様強力な主砲を兼ね備えている マルコムとRTCのツーショット。このモデルがゲーム内で動いているのを見ると感動する



■ Unreal Engine 3の可能性をアピールさせる形となった「UT2007」

 “Unreal Engine 3”のデモンストレーション、先にリリースされた「UT2007」のスクリーンショットを見た方なら、本当にこのクオリティのモデルがリアルタイムでゲーム中動くのかと疑問に思っていたかもしれない。正直、筆者もシアターで実際にマルコムが動く場面を見るまでは本当にそんな事は可能なのか疑問だった。

 しかしゲームが始まり、前作の「UT2004」同様にスムーズに動く「UT2007」を見た瞬間その疑問も吹き飛んだ。より進化するグラフィックスと、それをスムーズに動かし、前作と同様のゲームのシステム的なバランスを保ち続ける「Unreal Tournament」を作り上げてきたEPIC games。“Unreal Engine 3”の持つポテンシャルがいかに今後世のゲーマーを満足させるのか、今後の「Unreal Tournament」は面白くなるだろう。

□Epic Gamesのホームページ
http://www.epicgames.com/
□「Unreal Tournament 2007」のページ
http://www.unrealtournament2007.com/
□関連情報
【3月14日】PS3やXbox2のゲーム開発はこうなる?
~EPIC GAMESが次世代ゲーム開発プラットフォームを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050314/epic.htm

(2005年5月21日)

[Reported by Nao-K@PSYMIN]


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