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会場:Los Angeles Convention Center
肝心の出展タイトルは、2タイトルだった昨年に比べると格段に充実。Ensemble Studiosの人気シリーズ最新作「Age of Empires III」を筆頭に、「Rise of Nations」シリーズ最新作「Rise of Nations: Rise of Legend」、昨年に引き続き2度目の出展となる「Dungeon Siege 2」、「Vanguard」、Xboxからの移植となる「Fable」、そして早くも拡張ディスクの登場となる「Zoo Tycoon 2: Endangered Species」の計6タイトル。安定感たっぷりの粒ぞろいのラインナップといえる。
■ 「Age of Empires III」はエンジンだけでなく、ゲームデザインも全面的に改良
ゲームエンジンの先端性についてはGDCレポートで詳しく紹介しているので、今回はゲーム内容を中心に見ていく。今回、Ensemble Studiosのデモを受けて驚いたのは、「Age of Empires」シリーズ最新作でありながら、まったく異なるゲームデザインを採用しているところだ。最終的に敵勢力を打倒するというコンクエストゲームの部分は維持しているが、そのプロセスが激変してしまっている。 今回戦略の中心拠点となるのは、町の中心や城などではなく、ホームシティと呼ばれる“首都”になる。「Age of Empires III」の発表時に、謎の夕焼けの町並みのインゲームショットが公開されたが、アレである。このホームシティは、ランダムマップ上のどこにあるという具体的な存在ではなく、多分に概念的な存在で、たとえばドイツならベルリン、イギリスならロンドンといった具合に、本国の首都をビジュアル化したものになっている。 すでに発表されているように、「Age of Empires III」は、新大陸を舞台としたヨーロッパ諸国の勢力争いがテーマになっている。ホームシティは、これまで曖昧だった首都の概念を明確に規定し、さらにマップ上での戦いを総力戦ではなく、限定戦争という位置づけを明確にした新しいシステムといえる。 このホームシティは、これまでキーボードショートカットを駆使して入力してきたあらゆる戦略的なコマンドが実行できる。具体的には、ユニットの生産、進化、新しいテクノロジーの開発などがそれに当たる。今回ユニットは、戦場で“生産”するのではなく、必要な分だけその都度、本国から輸送されるという、リアリティのあるプロセスを経て戦場に出現することになる。 現在のテクノロジーの履修状況や進化の過程を、ホームシティという個々のシナリオとは完全に切り離した部分に置いたことで、シングルプレイでは、これらを引き継いでキャンペーンを継続することが可能になっている。つまり、最新作ではシリーズ初のグランドキャンペーンが楽しめるわけである。これはRTS史上でも、極めて大きな進化といえる。 次に重要なのはXP(経験値)という新しいリソースの存在。これはその名のとおり、文明の経験値で、特定の箇所から採集することはできず、敵を倒したり、建物を建設したり、ユニットを進化させたりすることで蓄積される。貯めたXPは、ホームシティでさまざまなテクノロジーのアップグレードに利用することができる。 ちなみに時代の進化に経験値は必要なく、特定の建物を建設し、金と食料を払うことで行なえるようになっている。進化させる際に、「Age of Mythology」の従神の選択のように2つの選択肢が用意され、そのいずれかを選ぶことになる。「Age of Empires」では神ではなく、政治家を選ぶ。これにより文明の方向性が変化していくようだ。 第3の注目要素は、入植、交易、探検など、いかにも新大陸らしいフロンティアスピリッツ溢れる要素をシステムとして取り込んでいるところだ。これまでの作品では、交易は建物の市場に付随したマイナーな金稼ぎ手段のひとつで、速効を求めるユーザーにはまったく支持されなかった。 今回は、新大陸入植のプロセスの中に、交易が重要な要素として組み込まれており、見た目も相まってかなり楽しませてくれる。交易対象は、同盟国やNPCだけでなく、自勢力も含まれる。基本的なシステムは、前線に町を中心に建設するような感覚で、入植ポイント(foundation)に建物を建設し、町の中心(拠点)から、入植ポイントの間を馬車でつなぐというもの。 時代やマップによっては、道路の脇を蒸気機関車が走っており、入植ポイントを押さえることで馬車の高速版として交易に利用できる。さらにユニットを運ぶようなこともできるようだ。ちなみに交易相手には、中立勢力であるアメリカ先住民族も選択できる。彼らをいかにうまく利用するかも重要なようだ。 今回のデモで、ゲームシステムの根幹となる部分は理解できたが、実はマルチプレイの部分は、よくわかっていない。後日期間中に、リードデザイナーであるBruce Shellyとのインタビューが予定されているので、マルチプレイに関してはそこで補足するつもりだ。
■ ヒストリカルから一転、SFファンタジーになった「Rise of Nations: Rise of Legend」
ゲームのキーワードは“Magic & Technology”。前作では中世の世界を舞台に、壮大なコンクエストを繰り広げるという内容だったが、今回は魔法とSFが共存するファンタジー世界が舞台になる。新規開発の3Dエンジンを採用し、2D、3Dのコンパチエンジンを使っていた前作のイメージを完全に払拭している。 とにかく驚いたのは、派手なエフェクトと、ユニットや建物の巨大さ。拠点となる施設は、画面を覆い尽くすほどに巨大だったり、足が6本、手が2本の“メカロボ”も人型ユニットを踏みつぶせるほどにデカイ、そのほか巨大なドラゴン、召喚モンスターなどなど、それらが細かいギミックで動き回り、ミサイルやレーザー、範囲魔法を撃ちまくるから、とんでもなく賑やかな画面になる。 ブースで取材をしていたらたまたまクリエイターのBrian Reynoldsがぶらりと視察に来たため、「前作が歴史だったのに、なぜファンタジーなのか」と聞いてみたところ、「自分のやりたいことを実現するには、舞台をファンタジーにするしかなかった」という答えが返ってきた。ヒストリカルRTSでは表現形式に限界があるのは事実で、まるでファンタジーMMORPGのようなエピックスケールのゲーム映像を見せられると、その意見に頷かざるを得ない。
ただ、基本的なゲームシステムは前作と変えていないようで、ボードゲームスタイルのConquer the World Campaignは、舞台をオリジナルの世界で実現。きちんとワールドマップとゲーム内で2重の国境線が引かれるのも変わっていない。逆に進化したのはマルチプレイモードで、マッチメイク用のロビーも準備し、20分程度で濃厚なゲームプレイを堪能できるシステムを検討しているという。
□Microsoft Games Studiosのホームページ (2005年5月19日) [Reported by 中村聖司]
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