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★PS2ゲームレビュー★

ファンが待ち望んだパーフェクトな1本
「SEGA AGES 2500 Vol.19
ファイティングバイパーズ」

  • ジャンル:3D対戦格闘
  • 発売元:株式会社セガ
  • 価格:2,625円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(4月28日)



 アーケードで好評を博し、現在もなおファンの根強い人気を誇る3D格闘ゲーム「ファイティングバイパーズ(以下、FV)」が、SEGA AGES2500シリーズとしてついにプレイステーション 2(以下、PS2)で楽しめる日がやってきた。

 アーケード版の「FV」がリリースされたのは'95年のこと。かれこれ10年ほど前になるのだが、本作は一度セガサターンのソフトとして移植が行なわれている。筆者も家庭で楽しめる「FV」の恩恵を存分に味わった思い出があるのだが、細部にはやはり不満が残る移植であったのは事実であり、アーケード基板とセガサターンのハードウェア性能を見比べ「『FV』の雰囲気だけでも楽しむことができるのだからよしとしなくては」と自分に言い聞かせていた部分もあった。

 今から振り返ってみると、ハイスペックのアーケード基板「MODEL 2」を使用し、圧倒的なクオリティでリリースされていたアーケードタイトルを移植する舞台としては、セガサターンは残念ながら力不足であったと言わざるを得ないところだ。

 そして2005年4月28日。家庭用ハードという舞台にSEGA AGESという機会を得た「FV」が再び舞い降りた。完璧と言っても過言ではないという移植はどれほどのクオリティなのか? 待ち望んでいたファンの方は気になって気になってしょうがないところだろう。本稿では特に「移植の忠実度」に焦点を絞ってお伝えしていこうと思う。

アドバタイズのキャラクタ紹介もそのままに再現。鏡の前にたたずむバージョンの他に、「FV」のロゴがペイントされている壁の前でたたずむバージョンもしっかり収録されている



■ 大げさなほど吹き飛ぶキャラクタ! はじけ飛ぶアーマー! 今なお新鮮な「FV」の魅力

 セガの格闘ゲームといえば、まず挙げられるのが「バーチャファイター(以下VF)」だろう。VFの味わいは己の肉体のみを使って技を駆使し、相手の繰り出す技に読み勝ち、ストイックに強さを求めて行くところにある。では「FV」は? というと、派手なコスチュームに身を包み、さらにその上に着脱式のアーマーを着込んでいる。技を見ても、キャラによっては、スケボーだったり、ギターだったりと武器(?)を駆使して相手を打ちのめしていくといった様子。演出面でも違いは明らかで、大げさなほど大きく吹っ飛んでいくキャラクタ、3度異なるカメラアングルで演出されるアーマー破壊シーンなどなど、エンターテイメント色の強いショーのような戦いが繰り広げられるのである。

ピッキーとラクセルは、背中に背負ったスケボーやギターで攻撃! これが「FV」なのだ


アーケード版でタイアップが組まれていたPEPSIの看板やペイントも完全再現
 「FV」が持つ独自の要素の中でも、最も重要と言えるのが「アーマー」の存在だ。登場するキャラクタは全て上下のアーマーを着込んで試合を行なっている。このアーマーには耐久力が設定されており、相手の技を食らったり、ガードしたりすると耐久力が減っていく。そして、耐久力がなくなった状態で「アーマー破壊技」を食らった瞬間……ズガン! と音が響き、カメラアングルが壊れた瞬間を演出、アーマーは粉々に砕け散ってしまうというわけだ。

アーマーがはじけ飛ぶ! 上下に着込んだアーマーはそれぞれ、上・中段のアーマー破壊技やガードアタックで上のアーマーを、下段のアーマー破壊技やダッシュからのスライディングによって、下段を破壊することができる


 このアーマーが破壊された状態では、技を食らってしまったときのダメージ値が大幅に増えるほか、ノーマルヒットならば途中からガードすることができるコンボも、全弾ヒットのコンボに変化するなど、かなりのデメリットが発生する。ちなみにこのアーマー耐久度は、体力ゲージ横にある人型のアイコンに状態が表示されるため、対戦相手同士がお互いのアーマー耐久値を見ることができる。そのため、耐久値の下がっているアーマーを積極的に破壊しにいくかその逆を行くか、といった読みあいが発生するのである。

アーマーが上下とも壊れると、ダメージが激増。見るからに打たれ弱くなってしまう →←→←P+K+Gのコマンドを入力すると、自らアーマーを脱衣! 脱衣には当たり判定があるため、これでトドメをさすこともできる


 「FV」が持つ魅力の中でも最大のものといえば、やはり“爽快感”だ。ド派手な技、壁に叩きつけられる対戦相手、吹き飛ぶアーマー、当時の格闘ゲームには見られなかったカメラアングルの凝った試合中の演出。中でも、相手の動き・心理を読みとって、アーマー耐久力が減少している相手にアーマー破壊技をクリーンヒットさせ、思い描いた通りに相手のアーマーを破壊できた時などは、従来の格闘ゲームが持つ“読み勝つ”という楽しさに“過剰なまでの爽快感”が加わり、“キモチイイ”という感覚に昇華されているのである。


■ 最大のポイントであるグラフィック面も極限の再現度。細かな特徴、魅力の再現もパーフェクト

 さて、ここからは移植具合をチェックしていこう。まずグラフィック面の発色やテクスチャの具合に関して、第一印象はかなり高いレベルでアーケードの水準が再現されていると感じることができる。多少、MODEL 2基板特有のギラギラとした発色がソフトになっているかな? と感じるものの、そこはソフトの問題ではなく、ハード的な違いであろうことは容易に想像がつく。

 ちなみに筆者の場合、S端子ケーブルでテレビとPS2を接続してプレイし、今回のレビューを作成している。アーケード移植タイトルのグラフィック面というと、アーケード版という比較対象の中心が存在するぶん、個人個人のプレイ環境によって差異が出てきてしまうのだが、これはしょうがないところだろう。テクスチャの具合やシャギーに関しても若干の違いは感じるものの、これ以上の再現度を求めるのならば、今のところは基板を購入するしかないです……というところまできている。

試合開始前の雰囲気やサウンドもアーケード版そのもの(写真左)。ステージの上を飛んで行く飛行機(写真中央)や、ステージ外のオブジェクトも完全に再現されている(写真右)


アーケード版でもできた、KO後のダッシュ。もちろんPS2版でも可能なうえ、走る感触も同じ
 「FV」の大きな特徴のひとつに「ステージを囲む金網」があるのだが、文字通り四角形のステージの周りは全て金網や、ガラスの壁で覆われており、KO時にキャラクタが大技で吹っ飛ぶと、金網は吹き飛び、ガラスの場合はコナゴナに音を立てて割れるのだ。このあたりのエフェクトの再現度もかなり高水準で、ステージ周りに置いてあるオブジェクト、巨大なクマなどの動きもそのものである。

 ちなみにアーケード版では、KO後に吹っ飛ばした相手キャラクタに向かって走っていくことができるのだが、PS2版でももちろん可能。KO後の残り少ない時間で走れる距離などもアーケード版と同様のフィーリングを感じる。

ガシャーン! バリーン! スガーン! と派手な音を立てて割れたり崩れたり、バラバラになる壁。大げさな演出、派手なサウンドが爽快感を増幅させる


 「FV」の雰囲気を形成する材料の中に、光と影の演出というものがある。昼間のステージでは太陽の強い光とキャラクタや金網の影が、夜のステージではスポットライトを浴びているかのような光がキャラクタにあたり、長い影が壁に映りこむ。このあたりの再現度もパーフェクトといって問題ないだろう。

光源の位置にあわせて、キャラクタの影もしっかりと表示される。壁に大きく写りこんだ影は印象的だ(写真右)


 また、本作にはアーケード同様の秒間57.5フレーム稼動のほかに、家庭用テレビでの描画に適した秒間60フレーム稼動にもオプション内で切り替えることができる。この2.5フレーム差がある2つの設定だが、若干、描画が異なってくるのを発見できた。大体の単発技ではほとんどその違いは見られないようなのだが、同じ動作を繰り返す連続技などだと、描画の違いを感じることができる。今回特に強く感じたのは、グレースのPPPPPという連続技。コマンドのとおり、両手でパンチを交互に繰り出す技である。このパンチの動作の中で、肩の動きの描画に関して60フレーム設定の場合には、ギクシャク感を非常に微妙だが感じるのだ。筆者の体感としては、素直な描画をしていると感じられたのは、57.5フレーム設定のほうだ。

オプション設定の中で、60フレーム描画と57.5フレーム描画を切り替えることが可能。開発スタッフのこだわりを感じる設定である 描画フレームによる違いを感じれたグレースの連続技「PPPPP」。単純な動作の繰り返しであるだけに、肩周りの描画に違いを感じた


 グラフィック面は多少ハードウェア的な差も感じたものの、ステージやオブジェクト、そして演出に至るまで、微細な違いも感じることができなかった。本ソフトをこれから購入する大多数のかたも筆者同様「まさしくアーケード版そのまま!」という印象に落ち着くのではないだろうか。


■ 操作のフィーリングもアーケード版そのもの

 格闘ゲームの移植タイトルといえば、やはり技の判定やフィーリング、コンボのつながりなどが気になるところだろう。ここが異なってしまうと、似て非なるもの、下手をすればバランスの異なるゲームになってしまう。さて、「FV」においてだが、まず個々の技の威力や、判定、フィーリングに関して違和感を感じることはなかった。筆者の記憶にある限りの連携なども試してみたのだが、同様にアーケード版そのままの感触を得ることができる。これは技に限らず、ステージの特徴である壁がからんだ空中コンボや、アーマーが破壊されたあとの技特性の変化、ダメージ量の増加に関しても同様である。コンボや連携にしても複雑な要素が絡んでくるゲームなのだが、この再現度は驚きである。

一世を風靡した恐怖の即死コンボ、振り投げからの背後鉄山もばっちり再現。壁がからんだコンボもアーケード版と同様の結果を得られる


 ちなみに「FV」の場合、相手の技によって浮かされてしまった時には“空中受身”をとって相手の連携を回避することができるうえに、受身をとるタイミングやレバー入力に、さらに壁の位置などによってその後の展開をコントロールすることができる。この受身という要素は「FV」というゲームの魅力のひとつであり、受身を取るのか、取らないのか、受身をするにしても、どの方向の受身をどのタイミングで行なうのか? といった読みあいが発生するというわけだ。ちなみにこの空中受身による回避運動やそれに伴う結果に関しても、アーケード版の記憶と比べて違いは見出せない。

空中受身を発動! (写真左)空中受身はレバー操作や受身入力のタイミングによって、その後の方向を操作できる。受身がからんだコンボの展開もアーケード版そのまま


 他のポイントにおいても違和感を感じることがなかったという内容に終始しているのだが、筆者の記憶とすり合わせて、しつこくプレイしてみたのだが気になる点は見出せなかった。「よくぞここまで完璧に……」という移植レベルである。

バンの「イテマウゾコラァ!! 」というボイスも忠実に再現(写真左)、ハニーの膝かっくんこと、ベリベリチェック(写真中央)、各キャラの2Pカラーも忠実に再現されている(写真右)



■ 「FV」ファンが待ち望んだ、パーフェクトな1本

 再現度に重点をおいてお伝えした今回のレビューだが、唯一気になったのは、アーケード版で見られたバグに関連した現象。アーケード版「FV」のバージョンはいくつかあったので、どのバージョンで起こったか、そして今回のPS2版の移植がどのバージョンを元にしているのか(おそらく最終版だろう)によっても異なる話なので確実とはいえないのだが、サンマンがタイムアップぎりぎりにジャイアントスイングを決めた場合、次のラウンド開始時にジャイアントスイングのモーションでくるくる回りながら試合がスタートする、という現象が極まれに見られた。今回PS2版でしつこく試してみたものの、その現象を見ることはできなかった。ただ、“この現象がないと『FV』じゃない!”なんていうのはおおげさな話であり、純粋に「FV」という格闘ゲームを楽しむ面では問題ないだろう。

 また、これは価格とトレードオフの関係だが、本作で楽しめるゲームモードは、「アーケードモード」、「VSモード」、「ランキングモード」そして「オプション」と、かなりシンプルである。SEGA AGESタイトルの2,500円という価格を考えた上に、ここまでの移植がなされている本作なので、これ以上の贅沢は求められない! と思うものの、若干寂しいというのが本音だ。

 ゲーセンに通いつめ、当時のアーケード版を楽しんだ方ならば、間違いなく「いい時代になったなぁ……」と感じられるクオリティである。完全移植を心待ちにしていたファンの皆様が待ち望んだ1本であることは間違いない。


■ 「ファイティングバイパーズ」のソフト+復刻版セガサターンバーチャスティック プレゼント!

【復刻版セガサターンバーチャスティック】
セガ・ロジスティックスより5,980円で発売中
 セガ様より、PS2「ファイティングバイパーズ」のソフトと、復刻版セガサターンバーチャスティックのセットをご提供いただきましたので、3名の方にプレゼントさせていただきます。

 復刻版セガサターンバーチャスティックは、かつてセガサターン向けに発売された「バーチャスティック」を、PS2向けに復刻したもの。カラーこそリアレンジされているものの、当時のサイズ、操作感を再現したノスタルジーに浸れる1品です。

 「『FV』のプレイはやはりジョイスティックでないと!」という方からのご応募をお待ちしております。

【応募方法】

応募締切  :5月19日 23:00 まで
当選発表  :発送を持って代えさせていただきます
応募方法  :下記のフォームに入力して、送信してください

※ 応募フォームの送信はSSL対応ブラウザをご利用ください。SSL非対応のブラウザではご応募できません。
※ ご回答いただいた内容(データ)は、当選者の選考および、プレゼントの発送にのみ使用し、その他の目的で使用することはありません。



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(C)SEGA 1995,2005

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□製品情報
http://ages.sega.jp/fv/

(2005年5月12日)

[Reported by 山村智美]


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