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会場:上野の森美術館
入場料:一般1,300円、高校生以上1,000円、小中学生700円
開催初日となった3日には、10代後半から30代を中心としたファンが多数来場していた。美術展としてはかなり低めの年齢層で、「ファイナルファンタジー」シリーズなどのゲームのイラストで天野氏を知った人が大部分を占めているようだ。ちなみに会場はかなり広めで、じっくりと絵を鑑賞するには十分な余裕があるのでご安心いただきたい。 今回の出展内容は、「ファイナルファンタジー」シリーズをはじめとしたゲームに関連する作品だけでなく、本の挿絵やアメリカンコミック、かわいらしいキャラクタものなど、これまでに天野氏が手がけてきたさまざまなジャンルの作品が並べられている。展覧会の明確な切り口はあえて設けず、混沌とした中でそれぞれの作品を楽しんでもらいたい、というのが「マニエラ」のコンセプトだという。 展示されている絵画は、額に収まるようなサイズのもののほかに、幅10メートルを超えるような巨大なものも数枚用意されている。さらに陶芸家とのコラボレーション作品など、絵画以外の作品も展示されており、天野氏の活動の幅の広さに驚かされる。 各作品はある程度ジャンル分けされ、それぞれコーナーが設けられている。ゲーム関連のコーナーは、'87年に描かれた「ファイナルファンタジー」のコンセプトアートをはじめとしたシリーズ関連作品や、新作の「フロントミッション オンライン」のイラストが展示されている。特に「ファイナルファンタジー XI」の作品が多く、パッケージイラストなどでおなじみのものだけでなく、この展覧会で初公開となるものも見られた。
中でも注目なのが、コーナーの壁一面を使った、巨大なインスタレーション。幅11メートル、高さ5.7メートルという大きさもさることながら、複数のパネルを組み合わせた立体的なつくりで、「ファイナルファンタジー XI」の世界に吸い込まれるような臨場感がある。いかにもゲーム関連の作品らしい、遊び心のある演出が面白い。
まずゲームファンに最も注目されるであろう、巨大インスタレーションについては、「普通、ゲームというのは、モニターの中にあって遊ぶものだけれど、そこに自分が入っていく、というのがこの作品のコンセプト。また、インスタレーションをイベントや舞台で使うのではなく、美術館でやるということに意義がある」という。インスタレーションをアートとして扱うということも、ひとつの狙いとしてあるようだ。 ちなみにこのインスタレーションは、「ピエゾグラフ」という特殊な技術を用いて引き伸ばされたもので、数百万円という費用がかかっているという。これには、「メカとして魅力的なハーレーを買うか、これ(巨大インスタレーション)を作るか考えたりもした。免許は持ってないんだけど」という笑い話も。 実はメカ好きという天野氏に、ロボットを扱った「フロントミッション」について伺ってみると、「僕の場合、ロボットを生き物として見てしまう。皮膚や内臓が金属の生き物。でもメカは好きなので、描くのもとても楽しい」という。これも天野氏の意外な一面であるが、今回展示されている「フロントミッション オンライン」のイラストに描かれている躍動感あふれるロボットをみれば、なるほどと納得してしまう。
他にも、既に20年近い歴史を持つ「ファイナルファンタジー」シリーズについての話のなかで、「親子で楽しんで欲しい。子供が『ファイナルファンタジー』を遊べば、親子の断絶がなくなるんですよ」と冗談交じりに話した天野氏。今回の「マニエラ」も親子でとはいわないまでも、美術展だからとあまり肩肘を張らずに楽しんでいただきたい。
(2005年5月3日) [Reported by 石田賀津男]
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