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【連載第2回】巷のゲームライフをリサーチ

GWTTT(Game Watch Tsushin Taisen Tai)がゆく!
第2回・「いきなり連載終了? 負けるな! 通信対戦隊!」の巻(後編)


当連載は、世間のゲームライフを調査しつつ、そこから何か学ぼうという趣旨のリサーチ企画である。第2回があるのかどうかもわからないが、いちおうやっぱりネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので(チキンでごめん)不定期連載を宣言してみる。某研究所ほどみなさんのお役には立たないかもしれないが、ゆるりとお楽しみいただければ幸いだ。今回はPSP、NDSの通信対戦事情をリサーチしてみた。



 さて、前回のあらすじからはじめよう。あるライターの一言から、PSPやNDSでの通信対戦事情をリサーチするGAME Watch通信対戦隊(Game Watch Tsuushin Taisen Tai、略してGWTTT)なるものが発足。したはいいものの、実際には釣果はまったくのゼロかと思いきや、早速隊長が新幹線で通信対戦に遭遇! ちょっと前向きになった隊員たちは、中~長距離電車に的を絞り、東武浅草駅から鬼怒川方面へと旅立つのだった……。

というわけで一行は浅草駅から東武特急「きぬ」に乗車してみたのだが……



● まったりと鬼怒川へ向かってみたものの……

 ある日曜の午前11時。GWTTTのメンバーは東武鉄道浅草駅に集合し、午前11時30分発の「きぬ117号」に乗り込んで鬼怒川へと向かった。もちろん、鬼怒川に到着することが目的ではなく、鬼怒川に到着するまでに、PSPもしくはNDSの対戦およびチャット相手を見つけることが目的である。指定された座席に着き、座席を向かい合わせにセッティングしたのち、おもむろにPSPとNDSを取り出して通信の準備を始めるオーバー30歳の男女4人。周囲を見渡せば、これから日帰りで温泉へと骨休めに向かうと思しき町内会のおっちゃんおばちゃんグループや、家族連ればかりである。他に男女4人で携帯ゲーム機を広げているようなグループは当然ながら見当たらない。そして何より、空席が多い。隊員たちの間に不安が広がる。

 不安は的中した。通信相手が見つからないまま1時間が経過し、きぬ117号はすでに埼玉県を通過して栃木県を進行中であり、おそらくはこのままなんの手応えもないままに鬼怒川に到着してしまう。結論は出た。「行きは空振り」であり、帰りの電車に乗り込むまでの間に本企画として期待される盛り上がりは、もはや隊員Kの湯けむり温泉ポロリだけという絶望的な状況……ではない。通信相手に恵まれなかったという状況はもはや確定的ではあるが、ここで本企画の裏テーマである「無線通信可能エリアの確認」という作業にシフトすることとなった。

 隊長Sが「つばさ」で確認したところによると、PSPの無線LAN通信では「車両間の自動ドアを2枚はさむとキツい。おそらく自動ドア1枚を挟んでデッキと客席での通信は可能」ということだった。早速、座席に残る隊員と隣の車両まで移動する隊員に分かれ、通信距離の確認作業と、デッキごとに他の通信対戦ユーザーをサーチするという、攻めの通信対戦者捜索作戦が展開されることになった。

 その結果、「きぬ117号」においては、隣り合った車両での無線LAN通信はPSP、NDSともに通信可能というデータと、他の車両にNDSを持った女の子の目撃報告がもたらされた。残念ながら女の子はピクトチャットを試みておらず、コミュニケーションを取ることには失敗したが、デッキの両端に自動ドアが2枚ある「きぬ117号」で隣の車両との通信が問題なく行えたことは大きな収穫であった。なお、ここでの隣の車両との距離は、車両の真ん中から隣の車両の遠い端までである。

 ささやかな成果ではあるが、めったに取る機会がない貴重なデータを採取できたということに気を良くしたメンバーたちは、鬼怒川までの残りわずかな時間を無駄にしないためにも、反省点や収穫、本企画において気づいた点や今後の展開について、緊急ミーティングを行なうことにした。

コナミの「麻雀格闘倶楽部」は乱入にも対応しているが……

    W:「リッジ」に関してですが、対戦相手が現れるまで、ひたすら待ち受け画面を見守り続けるっていうのはきついですね。

    H:せめて対戦者が現れたときにアラート音でも鳴ればなあ。ヘッドホンして音だけ聴いてればいいっていうことになるのに。

    W:ええ。

    隊:「みんゴル」も同じ印象かなあ。やっぱり画面を見続けてなきゃいけないのが辛い。

    H:その点だと「麻雀格闘倶楽部」は優秀だね。対戦相手を待ち受けながらCPUと対戦できるし、対戦者が現れるとけっこう派手なアラート音も鳴るしね。ただ……。

    隊:ただ?

    H:対戦者待ちの間にCPU戦やるでしょ? 対戦者が現れない限りはそのCPU戦も個人データの戦歴に反映されるから、対戦待ちとは言え本気でプレイしないと個人成績が……。で、CPUとの対戦が始まっちゃうと、対戦者が現れそうにないからって気軽にゲームを終了できないんだよね。中断機能を使えばその続きから遊べるけど、そうじゃなくて、プレイする前の状態に戻そうとして対局を放棄すると、その対局の成績が強制的に4位になっちゃうから。

    W:あー。それはちょっと痛いですね。

    隊:とりあえず今のところ、アラート音ということで麻雀格闘倶楽部とNDSのピクトチャットが、通信相手を待つ間が若干苦にならない、っていう感じだね。

    H:うん。そんな感じ。で、キミはさっきから何してるの?

    K:あのね、誰かがチャットルームを開いてるときに会話に参加するでしょ? そのときにお互いが描いた絵はルームから出てもコピーできるから、こうやって絵をコピーして加工しておいて、再入室と同時に送信すれば、素早く描き逃げできるの。

    H:ははー。そんなテクニックが。

    W:って、なんで描き逃げのテクニックを開発してるんですか?

    K:なんとなく。

    隊:なんだよそれ(笑)。

    H:通信距離の確認でも、ピクトチャットは優秀だったねー。

    隊:なにしろリアルタイムだからねえ。「リッジ」とかだと通信エラーでゲームが終了したとこで通信精度の目安をつけるしかないし。

    W:もともとそういう確認作業のためにゲーム作ってるわけじゃないですけどね(笑)。

    隊:そりゃそうだ(笑)。

    H:でもさあ、この時点でみんな思ってるっていうか、この企画やる前からの懸案だったけど、例えばPSPやNDSを持っている人を見つけても、その人がどんなゲームをプレイしていて、しかも通信対戦相手を募集してるかどうかっていうのが、さっぱりわかんないっていうのは、どうなんだろうね。

    隊:どうしようもないよね。PSPは画面を認識できる範囲が広いから、チラ見で確認するっていう手があるけど。

    W:素晴らしいですよね。PSPの画面の確認しやすさは(笑)。

    H:ああ、つまりこういうときのために、横から画面が確認しやすくなってるんだ(笑)。

    K:そんなわけがっ!

    H:でも他に確認する手がないもんなあ。GBAなんかだと、カートリッジのラベルを見て、どんなゲームなのかを確認できたけど。

    隊:UMDはカバーの中に入っちゃうし、NDSのカートリッジも隠れちゃうもんね。

    H:ね。だから考えました。USB対戦者募集電光掲示板。

    隊:は?(笑) それってHORIの「periborg」のパクリですか?

    H:今遊んでるソフトのタイトルと、対戦者を募集してるかどうかが発光ダイオード製の電光掲示板に表示されるの。右から左に文字が流れて。

    隊:バッテリーの稼働時間が4時間っていうPSPの、どこにそんな電力が(笑)。

    H:あー、そうかー……。じゃあUSBのとこにアンテナみたいなの立てて、その先にリボンをつけて、その色で判別します。リボンに3本ぐらいのラインが入ってて、最初のラインの色がソフトのジャンル。次のラインの色が頭文字。「えーと、赤のリボンはナムコで、最初のラインが黄色だからレースゲームか。それで2番目のラインが緑っていうことは頭文字がP~Sだから……アレはリッジレーサーズか!」みたいな。

    隊:ラジコンじゃないんだから(笑)。

    W:ラインの色は「抵抗」のオーム数みたいですね。わかりにくい(笑)。

    隊:でもまあ、ここまでの感触だとね。PSPもNDSも、知らない誰かと対戦できる楽しさ!みたいな漠然としたイメージがあったけど、それを見事に打ち砕かれた感じだね。現実味があるのはピクトチャットだけで、ゲームソフトでの対戦プレイっていうのは、よっぽどの偶然がないと実現しないんじゃないかな。

    H:隊長、よくもまあ「つばさ」で対戦相手に出会えたよねえ。

    隊:うん。いろんな要素があるだろうね。乗車時間が長い新幹線だったっていうのと、これからスキーに行く(と思われる)っていうレジャー気分だったとか。

    W:こないだの聞き取り取材だと、通勤中にゲームっていうのは、ちょっとなさそうな感じでしたもんね。

    H:うーん。そのへんを飛び回ってる電波を片っ端から取っ捕まえて、こんなゲームの対戦相手を探してますよーって教えてくれるアプリケーションとか出ないのかねえ。

    隊:どうだろうねえ。技術的には全然可能だと思うけど……。(注:NDSユーザーならご存知でしょうが、この取材後に発売された「タッチ! キャッチ! ヨッシー!」などでは、1人用のゲームプレイと平行してピクトチャットを探すという機能が搭載されています)

    W:まあとりあえず、今回の取材に関しては、帰りの電車に期待しますか。


 といったところでミーティングにも区切りがつき、隊長とHとWでPSPのリッジレーサーズで対戦しているうちに「きぬ117号」は鬼怒川駅に到着した。実感を元にしたミーティングは確かに有意義ではあったものの、見ず知らずのプレイヤーとの対戦やチャットという最大の目的は果たせず、その失意からか隊員たちには疲労の色が濃い。だが、幸いにしてここは鬼怒川。鬼怒川といえば温泉観光地である。名湯に浸かってリフレッシュすれば、帰路での対戦者待ちにもモチベーションを新たにして臨めるはずだ。

「じゃあ、ひとまず温泉に浸かりますか」という隊長の一声で、早くも士気を取り戻したかのような隊員たち。だが、たどり着いた温泉旅館で、女性隊員Kに思わぬハプニングが待ち受けていようとは、通信対戦隊の誰もが予想していなかった。

 というのはまったくのフィクションで、実際は鬼怒川の町を見て回っただけで温泉にも浸かることなく、通信対戦隊は16時33分発のきぬ132号に乗り込んだ。取材という名目で長距離交通機関に乗り、観光地を訪ねるという響きまではステキだが、その先になんのお楽しみがあるわけでもないというのが通信対戦隊のつらいところだ。(こう書いておけば次回は観光ぐらいさせてくれる気に……なりませんか? 隊長?)(隊長:なりません)



● どんより気分で浅草へ戻る

 それはさておき、帰路である。さすがは日曜の夕方、行きは閑散としていた車内に、温泉旅行を楽しんだ乗客が溢れ帰っている。

    H:隊長! 人がいっぱいいます!

    W:これなら期待できるかもしれませんね。

    隊:そうだねえ。けっこう若い人たちもいるし……。

    (1時間30分経過)

    H:ダメだね。

    W:ダメでしたね。

    隊:今回は空振りに終わっちゃったね。

    H:レジャー目的での長距離移動っていう着眼点はそれほど外れてないと思うんだけど……事実、隊長が「つばさ」で遭遇してるし。でもアレだね、若い人たちとレジャーの組み合わせとなると、なんつうか、グループの中に男と女がいい感じで混ざってると……。

    隊:黙々とゲームやってる場合じゃない雰囲気だよね(笑)。

    H:うん(笑)。ということで、我々のターゲットとしては、家族連れでゲーム機を持ってる子供か、同性ばかりでレジャーに向かう若い人っていうことに……なるのかな。

    W:けっこう条件厳しいですね(笑)。

    H:そもそもこうやって待ち伏せっていうか、むしろ出向いていって? 対戦相手を探すもんじゃないだろうしね(笑)。

    K:変な人だ。

    H:まあそういうことになるよなあ。

    隊:かといって1人で移動してる人がアクティブに対戦相手を探してるかっていうと……。

    W:我々みたいに対戦者募集の状態でぼけーっとしてる奇特な人の存在は考えにくいですよね。

    隊:だよねえ。だから、よっぽどタイミングが合わないと……。

    H:1秒遅れてもすれ違いだもんね。むしろ対戦できたら奇跡的っていうか、運命的なものすら感じるかも。

    隊:うーん。夢がない感じの結論になっちゃったなあ。

    H:しょうがないよ。麻雀格闘倶楽部みたいな待ち受けシステムならともかく、たいていの場合は「じゃあ対戦しましょう」っていう前置きで待ち受け状態にしないといけないようなシステムだから。

    W:つまり、対戦募集中の電波を常にキャッチできるっていう仕様か、せめて自分が対戦者を募集していることをアピールできる「何か」が必要っていうことですよね。

    K:「何か」って?

    H:だから、さっき俺が言った、USBの……。

    隊:だから、PSPにそんな電力ないから。

    H:わかった! 解決! じゃあまず大容量バッテリーから!

    K:ただでさえPSPもNDSも重いのに?

    H:あー……言われてみると、これ以上重くなるのはイヤだなあ。

    W:ハード面での改善は望めないかもしれませんね(笑)。

    H:通信距離にはそれほど問題ないんだけどなあ……。

    野外での通信対戦可能距離は約70~80mだった
    W:ですね。さっき障害物が少ない鬼怒川の駅前で試したら、PSPの通信距離が70mぐらいに延びましたもんね。リッジも問題なくプレイできましたし。

    隊:とりあえず、今回の収穫は通信距離の検証っていうことだね。まあ、この結果と反省点を踏まえて、もしも次回があるなら、そこに反映してまた違った角度で検証してみますか。

    H:ほい。

    K:あい。

    W:御意。

    隊:じゃあそれまでの間、メンバーはそれぞれ地道に対戦者を探し続けるということで。お疲れさまでした。




 今回のレポートでは隊長を除いてラッキーな場面に遭遇したメンバーはいなかった。いきなり企画倒れの予感だが、それよりなにより、こういったいきなりの「出会い系通信対戦」に親切な機能を持ったソフトが少ないのが何より残念なのである。もし、そういった仕様のソフトが出たらまた行ないたい企画ではあるのだが……。なお、電車などの公共機関でこういった通信対戦を行なうときは、優先席付近での使用はご法度だ。各交通機関のマナーにのっとって遊んでほしい。


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「麻雀格闘倶楽部」
(C)2002 2004 KONAMI & Konami Computer Entertainment Studios

(2005年4月26日)

[Reported by ゲーム環境調査委員会]


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