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米Sony Online Entertainmentは、現地時間の4月19日、「Ever Quest II」の公式サイト上において、ユーザー同士が安全にリアルマネートレード(RMT)を行なうためのシステム「Station Exchange」の構想を明らかにした。RMTは、SOEでもユーザーに対する禁止事項のひとつに数えられており、180度の方向転換となる。同社では、来週にもユーザーを対象に意見を取りまとめ、6月末にも運用を開始するとしている。 「Station Exchange」は、従来、禁止事項と知りながら裏で取引されていた現金によるバーチャルコンテンツ(アイテム、通貨、キャラクタ)の取引を、SOEオリジナルのシステムを介して、公式サポートするというシステム。現在アジア圏で一部導入されているアイテム課金とは本質的に異なるもので、ユーザー間の現金を介した取引を公式に認めるという“公式RMTシステム”とも言うべき内容となっている。これは言うまでなくこれまでチート行為と並んで禁止事項の筆頭事項だったRMTの解禁が前提となっており、「Ever Quest II」ユーザーは、6月末以降、Station Exchangeを介して自由に現金によるコンテンツの売買が可能になる。 今回の発表は、SOEのRresident John Smedley自身が、ユーザーに対して直接語りかけるという形式をとって行なわれた。その中では導入の経緯が披露されており、導入を決断した一番大きな理由として、カスタマーサービス部門が取り扱うサポート内容のうち、RMTの占める割合が実に40%にも及んでおり、この膨大なリソースを他のことに振り分けることが得策だと判断したためだとしている。 構想としては、現行のゲームサーバーを一律Station Exchangeに対応してしまうのではなく、対応サーバーと非対応サーバーに分類し、Station Exchangeシステムを導入するか否かの最終判断はユーザーにゆだねるとしてる。つまり、一応名目上は、全面採用ではなく、一部採用という形を採る。ただし、Station Exchangeという“公定価格”の設定と、圧倒的な“宣伝力”により、「Ever Quest II」のRMTは半ば公認されたことになるのは間違いない。今以上に裏取引が活発化する可能性も否定できない。 気になるのは日本運営を担当するスクウェア・エニックスの対応。広報部に問い合わせてみたところ、「いまのところ未定です。発表する時期が来たらお知らせします」との回答だった。本来あるべき衝撃の共有などはなかったところからみれば、Station Exchangeは規定事項として準備が進められている可能性が高い。 トップの和田代表取締役社長の過去の発言を振り返ってみると、RMTのビジネス化については肯定的な見解を示してきていることがわかる。ただし、前提事項として“RMTを想定したゲームデザインを採用していること”を挙げており、「Ever Quest II」が果たしてRMTを想定したゲームデザインか否かが導入の争点になりそうだ。 ちなみに日本運営に関しては、くくりとしては「プレイオンライン」コンテンツのひとつで、ゲームサーバーも日本に存在するが、課金決済やアカウント管理はSOEのStation.comを採用している。プレイオンラインの運営ポリシーは、タイトル別に異なっており、「ファイナルファンタジー XI」が禁止だからといって、「エバークエストII」も禁止になるということにはならない。日本でもStation Exchangeが導入される可能性は十分にあると考えていいだろう。
今回の発表では、RMTの安全性の確保や導入によるリソースの解放といったメリットが強調されており、Station Exchange導入後に予想されるゲーム世界の価値観の変貌や、現金獲得のために特定の狩り場が占拠される可能性といった負の面にはふれられていない。今回の発表は、EQ2に留まらず、MMO史上最大級のターニングポイントであるだけに、現時点で導入時期を6月末と特定せずに、ユーザーと十分な対話を行なうべきだろう。全世界のMMOユーザーにとって大いに注目される発表内容だけに、今後も引き続き注目していきたいところだ。 (2005年4月21日) [Reported by 中村聖司]
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