発売元 ATARI
ATARIが昨年、鳴り物入りで売り出したハリウッドスタイルのカーアクションゲーム「DRIV3R」のPlayable Demo。同シリーズは、近年ATARIとイコールで結ばれるほどのATARIのドル箱シリーズだが、今回の最新作は、欧米のゲームメディアの評価は辛く、さらに「DRIV3R」発売後に、開発スタジオのReflections Interactiveのトップを解任させるなど、厳しい結果となった。今回紹介するのは、コンソール版から半年後の今年3月にリリースされたPC版のDemoである。半年後のリリースにもかかわらずベタ移植ということでさらに酷評を受けたタイトルだが、個人的には結構楽しめた。
「DRIV3R」は、FBI潜入捜査官タナーの活躍を描いたカーアクションゲーム。コンセプト、自由度の高さ、バイオレンス性の高さといった部分は、「Grand Theft Auto」シリーズに近い部分があり、濃厚なストーリーやプリレンダー映像を多用したイベントシーンといった部分は、「Mafia」に近い。「DRIV3R」は、この2作を強烈に意識しつつ、完全に凌駕することを狙った欲張りなゲームデザインがウリといえる。
タイトルが「DRIVER」だけあって、基本的なゲーム性はカーチェイスで、プラスアルファでさまざまなミッションが付随してくる。といった点では「クレイジータクシー」のハードボイルド版と言えなくもないが、街の広さといい、ミッションのシビアさといい、国産ゲームではあり得ないようなピリ辛の難易度になっている。
発表当初大きく話題を集めたグラフィックスに関しては、改めてPC版で観てみるとキッチリPS2レベルのグラフィックスに留まっており、物理エンジンによる衝突判定にしても、Codemastersのレースシミュレータのほうが断然まともで、テクノロジーレベルで「おっ」と思わせる要素は確認できなかった。
それよりむしろ評価したいのは、遠景のリアリティに力を入れているため、車を走らせるだけで楽しいという、箱庭性の高さだろう。遠景のリアルさに関しては、高低差のあるレベルデザイン、樹木や芝生など、手が抜けるところはバッサリ手を抜き、その代わり隅々まで奥行きたっぷりに描くという割り切ったメモリの使い方。そのほか街路樹やバス停、ゴミ箱など、オブジェクトの多様さといった理由が挙げられる。
その一方で、PCゲームとしてはインターフェイス部分が弱い。ゲームパッドでのプレイを前提にしているのはまだしも、アナログ操作軸が半固定だったり、デフォルトのキー設定がPCゲームのスタンダードとはかけ離れていたりして、インターフェイスに力が入れられていないのがありありと実感できるのが残念で仕方がない。
さて、Demoでは、「Boody Trap」と「Tanner Escapes」の2ステージが楽しめる。「Boody Trap」は、爆弾が仕掛けられた車から、時速80km以上のスピードを維持しつつ、脱出を計るという手に汗握るミッションで、10回以内でクリアできる人はいないのではないかと思われるほど難易度が高い。一方の「Tanner Escapes」は、追いすがるパトカー達の群れを相手に、トラック後部から銃撃しつつ逃げまくるというカーチェイスミッションで、こちらも手に汗握る展開になる。
ただ、こちらに関しては前述したようにアナログ操作軸が半固定だったため、ぜんぜんゲームにならなかった。すでにデファクトスタンダードが存在するゲームジャンルにおいて、ユーザーの操作スタイルを、ゲームの仕様に合わせることを要求するのは、インターフェイスデザインとして間違っていて、パッチ等での対応が望まれるところである。“箱”もシナリオも優秀なのに、インターフェイスの部分で大きく損をしているタイトルである。
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