発売元 Digital Jesters
英大手パブリッシャーのひとつDigital Jestersの新作リアルタイムストラテジー「1944: Battle of the Bulge」のPlayable Demo。昨年、ズーから日本語版が発売された「Desert Rats vs. Afrika Korps(邦題:デザートラッツ ~砂漠の鼠 vs 北アフリカ軍団~)」のエンジンをベースにした“バルジの戦い版”というとわかりやすいかもしれない。RTSファンというよりミリタリーファンにおすすめしておきたい作品だ。
「1944: Battle of the Bulge」は、第二次世界大戦西部戦線におけるドイツ軍最後の大攻勢“ヴァハト・アム・ライン作戦(通称バルジの戦い)”を描いたリアルタイムストラテジー。ゲームデザインとしてはガチガチにシングルプレイ重視であり、「Desert Rats vs. Afrika Korps」と同様、連合軍対ドイツ軍の最終決戦を仮想体験するというニュアンスの強い内容に仕上がっている。
Demoでは、バルジの戦いにおけるバストーニュと並ぶ激戦地Saint-Vith(サン・ヴィス)の攻略をプレイできる。マップには戦略拠点として主要目標のひとつに数えられる市街の交差路がど真ん中に配置されており、プロローグシーンでは、米第7装甲師団と第106歩兵師団が街の守りを固めていることが知らされる。プレーヤーは、歩兵戦力を主体とした数個の擲弾兵師団を率いて包囲殲滅戦を展開することになる。ミリタリーファンとしてはこの上なく燃えるシチュエーションである。
プレーヤーは、スタート時点こそ限られた戦力しか与えられないが、戦局が進むにつれて続々と増援部隊がやってくるため、ゲームの難易度としてはそれほど難しくない。ただし、史実同様、鎧袖一触のつもりが泥沼の大混戦に引き込まれてしまう。作戦としては、優勢な戦力と火力を背景にした包囲殲滅戦しか選択肢はないのだが、米軍は視界と射程距離の面で優勢で、単純な力押しでは被害ばかりが拡大してしまう。
同作では、戦車が塹壕を掘って守りを固められたり、歩兵が家屋を一種の要塞として活用できるなど、守り側に有利なシステムが充実しており、ドイツ軍の戦車は砲座固定式の駆逐戦車が多いことも手伝って、かなり攻めあぐねてしまうことになるだろう。守り有利のRTSの代表格に「Close Combat」シリーズがあるが、まさに同シリーズを彷彿とさせる展開になる。この攻めあぐね感がゲームとして非常におもしろい。
加えて、市街は戦車が1台しか通れないようになっていて、戦車の頭数が増えてきたからといって、安易にグループ化して突っ込ませると大渋滞が発生し、身動きとれなくなったところを対戦車砲でねらい撃ちにされたり、機動力のある装甲車の突出を許したあげく逆に包囲されたりする。市街戦に戦車を投入することの愚を自覚させる作りが好印象だ。
このレベルデザインで、序盤のパイパー戦闘団の戦いやバストーニュ包囲戦をどう描いているのかちょっと楽しみである。個人的には、こうした作り込みの細かいRTSが増えていくことには賛成で、今後もどしどし作ってもらいたいところである。
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