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会場:有明TFTホール
決勝大会進出者は、クアドラ氏(セガ ワールド 籠原)、タカヒロ氏(クラブセガ金山)、おだだいき氏(セガ ワールド 新座)、ウラセヨシ氏(広島ギーゴ)、A・馬場@反選手会同盟(セガ アリーナ 浜大津)、M・O氏(クラブセガ新宿西口)、青葉連盟9・6@MP氏(クラブセガ秋葉原)、カズヤ氏(セガ ワールド 日立)、アヒト氏(セガ ワールド 幸手)、ナゾ@鬼姫氏(ハイテク セガ 千葉)、TEAM R・Y・B@ニュート氏(3代目最速)、青葉連盟POOH@MP氏(クラブセガ渋谷)、TEAM R・Y・B HIKKY@MP氏(ハイテクランド宝塚)、オイケ@野連進戦隊氏(クラブセガ綱島)、青葉連盟トウカイテイオー@MP氏(セガワールド藤枝駅南)、リョウタ@八戸長者山SS隊氏(セガ ワールド 八戸R45)の計16名。
初代「史上最速伝説」で10代前半パワーを炸裂された(当時12歳)ユウスケ氏は、今回は残念ながら不参加となった模様。とはいえ、続く全国大会で“さらなる10代前半旋風”を巻き起こした青葉連盟トウカイテイオー@MP氏、TEAM R・Y・B@ニュート氏の両名がきちんと決勝トーナメントに名前を連ねているあたりは「さすが!」のひとこと。他のプレーヤーも大半は十分若いのだが、この3人は“若さの象徴”につき、いやがおうでも注目を集めてしまう。
今回は、午前中に最終予選大会を行ない、午後に全国決勝大会を開催するという二部構成。全国63店舗の予選を勝ち上がってきた63名に、前回大会優勝者「TEAM R・Y・Bニュート」氏を加えた64名が最終予選大会に参加。全国決勝大会に駒を進めた16名は、お世辞抜きに「誰が優勝してもおかしくない」といった超絶技巧の持ち主ばかりで、いずれも前回大会から切磋琢磨を怠らず地道にドラテクを磨いてきたことがうかがえる。
ただし、レース中の激しいせめぎあいとは裏腹に、選手たちの間柄は“ライバル”というよりも“『頭文字D』仲間”といった雰囲気。勝ち負けは大切だが、それ以上に「トップクラスのレースバトル」を心底楽しんでいるからこそ、こうした空気や人間関係が自然と築かれていくのだろう。「勝敗だけに固執すると、どうなるか」は、某対戦ゲームを見れば一目瞭然。参加者の大半は、勝つとか負けるといったステージの先にある領域で、「頭文字D」のゲーム性と、プレーヤー間の駆け引きを咀嚼しつつ堪能できる精神性と技術を有しているのだ。
近日中に(早ければ明日にでも)セガ アミューズメント情報サイトに大会動画がアップロードされるため詳細は省くが、参加者のドラテクと対戦の駆け引きは、前回大会から約半年という短期間にも関わらず“さらなる深化”を遂げていた。単純に追い抜くポイントひとつとっても、そのバリエーションにはスピーディかつ繊細な“読み”と“駆け引き”がともなうから「これで完璧」といった画一的な答えは存在しない。 筆者ごときが解説するのもおこがましいが、トッププレーヤーたちは、コースや車種はもちろん、距離、動き、直線やコーナーの立ち上がりなどの速度差などの複雑な要素を、当然のように把握し、そして利用する。自分のラインをキープするだけで精一杯の筆者には、その先にある“対戦の駆け引き”でトッププレーヤーたちが造作も無く繰り出すドラテクと予測行動の連鎖は、まさしく“神の領域”。自分なりの走りを追求するだけでも十二分に楽しめる「頭文字D」ではあるのだが、全国決勝大会という場でトップクラスのレースバトルを目の当たりにしてしまうと、できもしないのに身体がムズムズしてしまう。 しかも、ハイレベルなドラテクと同レベルで“遊び心”に長けた「頭文字D」プレーヤーたちが、いわゆる“漢車(おとこぐるま)”と呼ばれるネタ車(性能的に不利なクルマ)でガチ(真剣)の駆け引きを繰り広げるのだから、もうたまらない。後述のミニインタビューでも触れられているが、彼らが体言するプレイは、スポーツでいう“プロ”と“アマ”の違いにも通じる領域にまで到達している。ひねくれた人は「ネタ車で馴れ合ってんじゃねぇよ」などと悪口をいうかもしれないが、それはお門違いというものだ。 準決勝で実現した、TEAM R・Y・B@ニュート氏 vs 青葉連盟トウカイテイオー@MP氏の“前回大会決勝”カードなどは、そうしたプレーヤーたちが口を揃えていう“レースバトルを楽しみたい”というハートが生んだ白熱の戦いとなった。コース決定の札に書かれていたのは「秋名・下り・雪」の文字。ここで青葉連盟トウカイテイオー@MP氏が選んだクルマは、あろうことかロードスター。それを見てTEAM R・Y・B@ニュート氏が出したクルマは……これまたシルビアS14という漢車対決。 ただでさえ走りにくい雪道なのに……と思いきや、ふたりとも、まるで雪道の不安定な路面感覚を楽しむかのようにコースを疾走していく。先行したシルビアがテールを滑らせながら適確なブロッキングを見せるも、1stコーナーでロードスターがインをすり抜けることに成功。そこから繰り返されるコーナーや直線における激しいアタックの応酬には、もしかしたらプレイしている本人以上にギャラリーのほうがハラハラドキドキしていたかもしれない。
最終コーナー、インから乾坤一擲のアタックをしかけたシルビアが、その衝撃でスピン。「あ~っ!!」というため息とも歓喜ともつかないギャラリー全体のどよめきが「両方とも勝たせてあげたい」といった複雑な心境をあらわしていたように感じられた一瞬。この時点で、TEAM R・Y・B@ニュート氏の連覇とともに“前回優勝者はトーナメント初戦で負ける”というジンクスは消えたが、もうひとつのジンクス“前回準優勝者が優勝する”は残された。
コース決定のクジは、土坂、往路。ギャラリーから「雨コール」が発生するも、引いてきたカードには「晴れ」の文字。カードを入れる青葉連盟トウカイテイオー@MP氏。画面に映し出されたのは……赤いロードスター! ギャラリーの大歓声は、青葉連盟トウカイテイオー@MP氏が選んだシルビアS14で、さらに大きなものになる。決勝戦は、ロードスターとシルビアS14の“漢車”対決だ。 スタートはシルビアS14が先行。第2セクション中間まで、さながら“送り狼”のようにジッと車間距離を保っていたロードスターだが、ヘアピンで一気に距離を詰めると猛烈なアタックを開始。トンネルで一瞬だけ距離が開くも、その後は激しいアタックの連続。その緊迫感たるや、見ているこちらの側が疲れてしまうほど。直線の追い越しで、両者の画面から車体が消えたときなどは、仕事を忘れて思わず身を乗り出してしまいそうになったくらいハードなバトルがゴール直前まで延々と続く。 並みのプレーヤーなら、矢継ぎばやに繰り出されるシャープなアタックに「参った」をしてしまうだろうが、驚異の12歳は冷静かつ適確なドラテクで紙一重のブロックを敢行。「これはもうダメか!?」といった局面でも決してあきらめない粘り強い走りが、ギャラリーの熱気を更に煽りたてる。結局、同門かつ人生の先輩に後塵を拝させたまま、シルビアが見事ゴールイン。青葉連盟トウカイテイオー@MP氏が、「史上最速伝説4」の覇者となった。
プロデューサーの新井氏は「次回開催できるように頑張りますので、今回残念ながら負けてしまった人もぜひ参加していただきたいと思います。トウカイテイオーくんは、凄く成長して運転も上手くなってて。こういう仲間に囲まれて、人間関係が上手くいってるの、楽しそうだね。凄くいいなぁと思いました。本当におめでとうございます」とコメント。ファンは節度を持って煽りつつ(笑)次回開催を期待して待つこととしよう。もちろん筆者も、心の底から楽しみにしている。
■ 優勝記念・ミニインタビュー
9・6氏: いつもやってますね。でも、最近はチームメイトしか対戦してくれない状況になっちゃってるんですよ。(正式稼動から)時間が経ちすぎちゃってて。結構長くやってますから、新規参入プレーヤーとうちらの感覚が、ちょっと合わなくなってきちゃってるんですよね。 -- スタイルが違う? 9・6氏: 大会とかでも強いクルマと“下位車種”でやるっていう。下位車種のほうが“抜きつ、抜かれつ”が増えるから、観てるほうも面白いんですよ。上位だと、結局先行フルブロックとか一発抜いて終わりとかになっちゃって、うちら的には、観ててもやってても“清々しくならない”んですよ。で、神奈川勢が当たると毎回こんなになっちゃって。ヘンなクルマのほうが強くなっちゃう(笑) -- 全車種、カードは揃えてある? 9・6氏: 一応、ひと通りあります。 -- チームで対策を立てたり? 9・6氏: そうですね。色々な……とりあえず、何が出てきたら何を出すっていうのがあって。それを色々と考えてて、最初のほう(予選)は実行してました。 -- 決勝戦、クルマはふたりであらかじめ決めていた? それともインスピレーション? 9・6氏: いや、ヒッカケっていうか……俺もやりたいし、こっち(トウカイテイオー氏)も本心はやりたいと思うんですよ。さっきも「おぉ、やっとできるよー」と言ってたんで。そういう対戦で決勝ができたのは、ボク自身も嬉しいです。あれで普通に完封されちゃったんで、ボクの実力が劣ってたってこと。納得のいく負けです。 -- そのあたり、事情を理解できない人もいたと思うので確認したいんですが……勝負はガチ? 9・6氏: 本気(と書いてマジ)ガチです。ガチガチ! 今回はブレーキランプを「ガガガガッ」とかやらなかったし、クルマがクルマだけど、本気でやろうって。 トウカイテイオー氏: うん。 -- 優勝したのに、淡々としてますけど…… トウカイテイオー氏: あんな完璧に乗れるとは思わなかったんだもん! -- 自然体だなぁ(笑) 9・6氏: 賞品で萎えちゃってるみたいで(笑) -- えぇっ! 賞品が期待ハズレ!? トウカイテイオー氏: 今、賞品自体、あること忘れてた(笑:ここでセガスタッフが平謝り) -- 念のため、もし貰えるとしたら、どんな賞品が良かった? 9・6氏: 前回みたいに小物が多かったら良かったよね。 トウカイテイオー氏: うん。 9・6氏: 色々な種類があったじゃないですか。ソフトだったり、酒だったり…… トウカイテイオー氏: 俺、豆腐好きだからいいや(一同爆笑) 9・6氏: 作るのが面倒くさいだろ? トウカイテイオー氏: 豆腐好き~(ここで母性本能を刺激された女性スタッフが悶絶) 9・6氏: 次回またあれば、今度は本気出して…… -- 今回、本気じゃなかったってワケじゃないでしょ?(笑) 9・6氏: 本気で下位車種も使い、上位車種も使うみたいな感じで。 トウカイテイオー氏: (決勝戦)初めて走った、あんなコース。 -- えーっ!! それちょっと信じられない…… トウカイテイオー氏: 普段、走らないよ。 9・6氏: そもそも、彼は晴れを好まないんですよ(笑) -- じゃぁ、仲間内で対戦するときは? 9・6氏: 雨です! 雨しかやらない。 トウカイテイオー氏: 雨のほうが面白い。雨はズルズルすべって楽しいです。いっぱい抜いたり(できるから)。 -- バッドコンディションのほうが、駆け引きが楽しめる? 9・6氏: 下位車種でフルブロックできるというのは、逆にいえば相当な技術ですから。 トウカイテイオー氏: でも雪が出るのは……。 -- 雪の勝率は、どれくらい? トウカイテイオー氏: 勝率? 9・6氏: (トウカイテイオー氏を見て)身内だったら、みんな5割くらいだよね? -- 雪が得意な人は? バッドコンディションの鬼とか。 9・6氏: います。バッドコンディションしか走れなくて、普通の「晴れ」が、もうタイヘンになっちゃってる人とか。 -- それ、予選やばくないですか? 9・6氏: そうそう(笑) それで予選が苦しくて出られなかった人も、少ないですけど、います。 -- チームのメンバーは、何人くらい? 9・6氏: うち……青葉が約10人で、R・Y・Bが12~13人くらいいるんですよ。 トウカイテイオー氏: で、それが合体して…… 9・6氏: 合体というか、ホント隣同士なんですよ。元々ホームの場所が近かったんですよ。でも、チームが立ち上がってから会っちゃったんで。 -- それから仲良くなった、と。 9・6氏: そう。で、みんな“MP”をつけるようにしようって。本当だったらTEAM R・Y・B@ニュートくんも“MP”をつける予定だったんですけど、彼の書類提出が早くて。そのときは、まだ決まってなかった。 -- では、準決勝も実質“同門対決”だったんですね。 9・6氏: ベスト4までいったら「もう、これどうしよう?」って感じでしたねぇ。 -- トウカイテイオー氏は、優勝していかがでした? この際だから、思ったことを…… トウカイテイオー氏: ……。 -- あんまりない? トウカイテイオー氏: うれしいだけ。頭真っ白です。ほわぁ~。 -- 疲れているという気持ちのほうが大きいのかな?(笑) トウカイテイオー氏: 6割疲れた(一同笑) 9・6氏: 微妙だなぁ。新しい単位だ(笑) -- 4割は? トウカイテイオー氏: 4割はうれしい。すっきりした。 -- いいオチがついたところで(笑) 今日はどうもありがとうございました!
(C) しげの秀一/講談社
□セガのホームページ (2005年3月20日) [Reported by 豊臣和孝]
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