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Game Developers Conference 2005現地レポート
Game Developers Conference 2005がサンフランシスコにて開催 |
会場:Moscone West Convention Center
ゲーム開発者向けのカンファレンスとしては世界最大規模となるGame Developers Conference(GDC) 2005が、現地時間の3月7日より米国サンフランシスコにおいて開幕した。昨年までは同じカリフォルニア州のサンノゼで開催されていたが、今年はサンフランシスコ中心部のMoscone West Convention Centerに会場を移し、5日間の日程で3月11日まで開催する。GAME Watchでは、本日より連日リアルタイムレポートをお伝えしていく予定だ。
また、近年はカンファレンスだけでなく、スポンサーメーカーを中心としたブース出展も行なわれる。この時期、各ゲームメーカーはE3に備えて隠し球の準備を本格始動させているタイミングになるが、Expoではそうした隠し球が、故意か偶然かは不明ながら漏らされることが多々あり、E3の前哨戦的な意味合いにおいても注目度の高いイベントである。
さて、今年のGDCは、キーノートスピーチに任天堂代表取締役社長の岩田聡氏が登壇し、毎年恒例の日本人クリエイターによる講演も、稲葉敦志氏(Clover Studio)や、岩谷徹氏(ナムコ)、水口哲也氏(Q Entertainment)、植松伸夫氏(SMILE PLEASE)など、全部で10セッションが予定されている。さらに日本語の公式サイトも新設され、ピーター・モリニュー(Lionhead Studios)やウィル・ライト(Maxis)といった欧米の著名クリエイターのセッションでは同時通訳が用意されるなど、日本人開発者にとってより親和性が高く、そしてまたGDCにおける日本ゲーム市場の影響力が増した年となった。
GDC初日となった3月7日は、「チュートリアル」と呼ばれるクラスルーム形式による1日コースのセッションが11コマ開催された。ゲーム開発における各カテゴリのディテールをレクチャーするのが「カンファレンス」なら、それらをいくつかの大項目に分類し、丸1日掛けて概括してしまおうというのが「チュートリアル」である。
具体的には、ゲームの学術研究の道筋を探る「Serious Games Summit」、最先端の3Dグラフィックステクノロジーを紹介する「Advanced Visual Effects with Direct 3D」、オンラインゲーム開発のノウハウを提供する「Issues and Implementations in Multiplayer Game Development」、さまざまな角度からゲームデザインのヒントを提供する「The Working Game Designer」などなど、ゲーム開発に関する概論講座がずらりと並ぶ。
いずれも1日コースなので、これらの中身を紹介するのは容易ではないのだが、初日時間をずらして少しずつ見て回った中では、モバイルゲームを扱った「GDC Mobile」がもっとも関心を持って聞くことができた。ここでいうモバイルゲームとは、PSPやニンテンドーDSなどの携帯型ゲーム機ではなく、携帯電話のことを指している。
携帯でゲームというと、日本では当たり前すぎてピンと来ないところがあるが、実はゲームプラットフォームとしての携帯電話は、世界水準で見ると日本だけがハード、ソフトの両面で突出しており、それに遙かに遅れて追随の形を取っているのが韓国、中国といったアジア圏で、欧米はNokiaのN-Gageを初め、いくつかゲームを楽しめる携帯端末が存在するもののまだまだ市場規模としては小さい。
その一方で、携帯電話をゲームプラットフォームとして見た場合のシェアは、既存の携帯型ゲーム機はおろか、プレイステーション 2やXboxなどのコンソール機市場をすら遙かにしのいでおり、そのポテンシャルの大きさに気づいた欧米の巻き返しの端緒が、いわば「GDC Mobile」というわけである。こうした日本やアジアだけでなく世界標準での話がざっくり聞けるというところにGDCのおもしろさがある。
ただ、2時間聞いた限りでは、欧米におけるモバイルゲーム市場は、ようやく“認知”の段階で、現状、ほぼ唯一のプラットフォームであるNokiaのN-Gageからして携帯ゲーム機の扱いになっていて、日本のように「5分の空き時間に立ったまま片手で3Dゲーム」という状況になるまでにはまだまだ時間が掛かりそうだという印象を持った。
また、「World Tours of Mobile Games」では世界中のモバイルゲームが紹介されたが、“World Tours”とは名ばかりで、ほとんど日本の代表的なモバイルゲームの紹介に費やされた。新しいゲームが紹介されるたびにしきりにメモを取る姿や、感嘆の声、カメラでパネルを撮る姿が散見され、無名のクリエイターが開発した日本のゲームがこれほど満場一致で支持されるのはいつ以来だろうと、新鮮な感動を覚えた。
ただ、正直なところ、これほど認識レベルに差があると、ゲーム内容に驚いているのか、売り上げの規模に驚いているのか、ビジネスモデルの新しさなのか、はたまたカラー表示であることなのか、ちょっとよくわからなかった。いずれにしても世界中のデベロッパーに、日本のモバイルゲームが認知されたのは紛れもない事実で、今後のモバイルゲームの進展が楽しみだ。
さて、チュートリアル2日目となる明日は、日本のモバイルゲームを牽引するスクウェア・エニックスから、「ファイナルファンタジー」シリーズのモバイル展開に関するセッションが行なわれる。また、「Serious Games Summit」では、東大教授の馬場章氏、IGDA日本代表新清士氏ら3人の日本人による日本における学術研究動向が発表され、こちらも注目される。引き続き明日以降のレポートにも注目頂きたい。
初日に行なわれたチュートリアルセッションの模様。複数のパネリストによるディスカッション形式が過半を占めるが、中には参加者で円卓を囲んで実技を行なうセッションもある |
初日もっとも多くの参加者を集めたGDC Mobileの模様。正確な席数は不明だが、1,000人以上が参加していたものと見られる。日本のゲームについては、単に内容を紹介するだけでなく、日本オリジナルのビジネスモデルや課金システムにも言及されていたのが興味深かった |
□Game Developers Conference(英語)のホームページ
http://www.gdconf.com/
□Game Developers Conference(日本語)のホームページ
http://japan.gdconf.com/
(2005年3月8日)
[Reported by 中村聖司]
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