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システムソフト・アルファー「大戦略生誕20周年記念・新製品発表会」を開催
「大戦略VIII」の開発バージョンを公開

2005年1月27日 開催

開催場:ホテルグランドヒル市ヶ谷

 システムソフト・アルファー株式会社は東京・ホテルグランドヒル市ヶ谷において「大戦略生誕20周年記念・新製品発表会」を開催した。

常務取締役、宮迫靖氏。20年間の「大戦略」シリーズを語った
取締役、藤本淳一氏。氏の持ち込んだ作品が歴史を生むことに
 「大戦略」はシステムソフト・アルファーの代表作であるシミュレーションゲームシリーズ。発表会では大東亜戦争を深いこだわりを持って描く「大戦略 大東亜興亡史」と、同社初のコンシューマタイトルとなる「大戦略 VII EXCEED」をはじめとした20周年記念作品の紹介が行なわれた。

 中でも、シリーズ最新作「大戦略VIII」はシリーズの生みの親である取締役・藤本淳一氏が自ら開発中のバージョンのデモプレイを行なった。ヘックスを廃し、マップやユニットすべてを3Dで表現、シリーズで追求し続けているリアルタイム制を採用することでよりリアルな戦場表現を目指すという。

 作品の発表に先駆けて、常務取締役、宮迫靖氏によって20年の大戦略の歩みが語られた。'85年11月19日に発売された記念すべき第一作「現代大戦略」は、もともとは藤本氏がシステムソフト・アルファー(当時はシステムソフト)に持ち込んだ作品だという。

 当時はボードゲームとしてプレーヤー間の対戦のみが行なわれていた戦略シミュレーションを、コンピューターゲームとして再現することで複雑な計算が必要だった敷居を下げ、CPUとの対戦によるシングルプレイを可能にしたことで、ファンから高い評価を得た。 そして間接攻撃などさまざまな要素を盛り込み完成度を上げた「大戦略II」は、名作として幾多の作品の基礎となった。

 以降、「大戦略III」ではリアルタイム制を導入、さらに通信対戦要素など、2001年12月20日発売の「大戦略VI」まで進化を遂げてきた。これら基幹をなす直系のシリーズだけではなく、様々なスタッフと、アプローチにより「大戦略」シリーズは多彩な作品を生みだしてきたのである。


■今までにない切り口で史実を描くWindows「大戦略 大東亜興亡史」

取締役の前田康仁氏。歴史や兵器にこだわりを感じさせながら、新作を紹介
 シリーズの歴史の歩みが語られた後に取締役の前田康仁氏によって説明されたのが20周年記念作品第一弾になる「大戦略 大東亜興亡史」。発売日は1月28日、価格は10,290円。

 現代を舞台にしていたシステムソフト・アルファーの今までの「大戦略」シリーズとは異なる、太平洋戦争をテーマにした作品である。 同社の人気シリーズである「太平洋の嵐」などの要素も盛り込んでいるとのことだが、チキンヘッドが制作、セガから発売された「ADVANCED大戦略」に強く影響を受けた作品のようだ。

 本作は日本軍を中心に、さまざまな国の思惑が交差する7年もの戦いの歴史を描くキャンペーンが大きなウリとなっている。'38年にソ連と日本の軍隊がぶつかった「張鼓峰事件」から開始し、日本とアメリカの太平洋を舞台とした戦いだけではなく、中国大陸での攻防など、より硬派なシナリオ展開を目指すという。

 キャンペーンマップは50以上。史実の戦いを再現したマップの他、満州でのソ連軍との戦いや、アメリカ本土での戦いなどifのシナリオも用意されている。アメリカ軍として戦うシナリオも収録されており、こちらは17のマップがある。マッカーサーとニミッツ二人の指揮官のルートにストーリーが分岐する。こちらにも九州上陸作戦など架空シナリオが用意されている。

 マップは天候などで大きくその姿を変える。雨が続くと平地が泥に変わってしまうことも。また、夜には戦闘機の有用性が極端に低くなる。日本軍の場合は、夜間攻撃が得意ということを活かして、装備や物量の不利をフォローする必要もあるという。

 収録兵器は1,000以上。開発が間に合わず、史実の戦いには参戦できなかった兵器も用意されている。「ADVANCED大戦略」シリーズにあった「進化/改良システム」が採用されており、兵器ユニットは経験を積むことで次世代兵器に進化していく。一見デメリットに見えるコンセプトでも後の優れた兵器を開発するためには必要であったりと、進化を見越した育成が必要となる。

 歩兵が戦車に火炎瓶を投げつけたり、日本歩兵は銃剣突撃を行なったりと兵器ユニットの描写には強いこだわりがある。進化によっては核兵器なども開発できる。前田氏は、「核は開発できますが、それを使うかどうかは、プレーヤーの心にゆだねています」とコメントした。

 「戦後60周年を迎える現代、戦争の記憶を受け継いでいくような作品を作りたかった」という前田氏の言葉通り、本作は歴史に関して並々ならぬこだわりと、膨大な資料によって作られている。日本、米国、英国、ソ連、中国(中共)、オランダ、オーストラリア、インド、フランスの10の陣営の著名な将軍のプロフィールをみることができるほか、歴史上重要な事件が起きた日にキャンペーンで遭遇すると、それらを解説するダイアログが表示される。プレーヤーは戦いを楽しむだけではなく、事件や出来事の背景を学ぶことができるのである。

 システムソフト・アルファーは「太平洋の嵐」をプレイしていたシニア層のユーザーの意見を採り入れて、本作を大きなフォントで楽しめる機能を導入。スイッチ一つで表示を切り替えることが可能だという。

オーソドックスなヘックスマップで壮大な戦いを描く 今までにないこだわりで選択された「張鼓峰事件」 ifの史実のマップを含む、多彩な戦場
歩兵の銃剣突撃。スタッフの強い思い入れを感じさせる 史実を語るダイアログが表示される 天候や時間によって状況は刻々と変化する


■迎撃システムなど新要素を取り入れたPS2「大戦略 VII EXCEED」

 本誌でも以前情報をお伝えしたPS2「大戦略 VII EXCEED」。記念作品第2弾として、2005年3月、価格は7,140円で発売予定だ。「大戦略 VII」をグラフィックやA.Iに大きな改良を加えた、システムソフト・アルファー初となるコンシューマ向け作品である。

 本作のベースとなっているのはクールキッズより発売されたXbox版「大戦略 VII DX」。立体ヘックスにより臨場感たっぷりの3Dマップで戦場を再現、現代兵器を使用した戦いを体験できる。

 本作の特徴はパトリオットやイージス艦など高度な迎撃システムを持った兵器の能力の再現である。これらのユニットに対象兵器が近づくと、相手のターン中でも兵器による攻撃が行なえる。これは、敵の索敵範囲を見切ってぎりぎりでいったん停止をするという狡猾なプレーヤーたちによりリアルな駆け引きを要求する要素だ。

 本作には男女さまざまなオペレーターが登場。指揮官の命令を復唱するなど「指揮官」気分を満喫できる。当初は女性のオペレータのみだったのだが、ユーザーの強い要望で、ごつい男性オペレーターなどを登場させたとのこと。
 
マップを3Dで表現。回転なども可能になっている 男性オペレーターはファンの強い要望で実現 現用兵期による迫力の戦いが描かれる


■ヘックスを廃し、3Dとリアルタイム制を導入したWindows「大戦略VIII」

藤本氏のデモプレイにより最新作の一端が明らかに
ユニットに指示を与えるのは2D画面
 今回の発表会の目玉として紹介された「大戦略VIII」。藤本氏のデモプレイにより開発中のバージョンが紹介された。

 今回の作品のテーマは「フル3D表現によるリアルタイムの大戦略」。兵器だけではなく、地面や海面、都市など、地形を含めたすべての要素を3Dで表現し、リアルタイムで状況を変えていく戦場を表現する。今までの「ヘックス制」を廃し、正方形のマス目で戦場を再現。高低差を取り入れ、よりリアルな戦場を目指す。

 まずプレーヤーは2Dの戦略画面で部隊を選択、各ユニットを生産した後、行き先などの指示を出していく。この時ゲームはポーズがかかった状態になっている。3D画面に切り替わることで時間が動き出し、各ユニットは指示の通りに動いていく。目的地に着くとユニットは立ち止まり次の指示を待つ。

 戦場の様子は各ユニットを中心とした画面で確認する。飛行機を追尾しているときに、他のユニットが視界を横切っていったりと、フライトシミュレーターの外部視点のような感覚だ。3Dモデルで描かれたユニットは、様々な方向からみても破綻がないようにデザインされている。特に潜水艦から、戦艦の船底を仰ぎ見たりするシーンは独特の臨場感がある。

 現在みることができたのは、指示によってユニットが動くシーンまで。敵ユニットとの遭遇による戦闘画面などは見ることができなかった。指示をしている地域までに敵と遭遇した場合は、戦闘が開始されるという。指定された位置に達したユニットは現在では停止してしまう。地上車両や、ヘリコプターでは違和感がないが、飛行機では少し不自然だ。航空機に関しては、待機を命じられた場合旋回を繰り返すようになるという。

 少し気になったのはそのグラフィックだ。現時点でみることができた艦船や飛行機のグラフィックはポリゴンがあらく、現在の最新のゲームに比べると、世代的に古い印象を受けてしまう。また、マップの雰囲気も現状では無機質な印象がある。今までにないアプローチで戦場を表現しようとする意欲作だけに、よりリアルなグラフィック表現にも期待したい。

指示に従い動くユニットたち。現在は8つの方向からみることができる 指示などを与えるのは従来の感触に近いようだ


■自分のお気に入りの部隊を保存できるWindows「大戦略パーフェクト2.0 DX」

従来の製品を持っているユーザーもフォローしている
 全バージョンの中から好みのルールでプレイできる「選択式ルール」システム、「256ヘックス」までサポートしたスケールの拡大化、1,000種類以上の兵器など過去の大戦略の集大成を目指す「大戦略パーフェクト2.0」。このソフトをパワーアップしたバージョンを2005年3月に発売予定だ。

 「現代大戦略2004~日中国境紛争勃発~」から取り入られた「国境線」、「地雷・機雷」、「シンプルモード」などを盛り込み、さらに思考ルーチンの強化を計り、3D兵器図鑑が追加された。

 本作の目玉となるのは「マイ部隊」機能。ゲームに勝利時にお気に入りの部隊を保存しておくことができる機能で、現在は50部隊を予定しているという。保存した部隊は他のマップをプレイしているときに使用できる。使用コストは経験値に応じて高価なものになっていく。本作の価格は10,800円 。同時に「大戦略パーフェクト2.0」や「大戦略パーフェクト1.0」を購入済みのユーザーのためにバージョンアップさせるキットも発売される。


■システムソフト・アルファー今後の戦略

 発表会の締めくくりとして、システムソフト・アルファーの今後の戦略が発表された。今後の計画として、タイトルのみの情報だが、「現代大戦略2005」、「リアルタイム版大戦略パーフェクト2.0」、「大戦略パーフェクト3.0」の3つのタイトルを制作していくという。併せて、携帯電話向けに「大戦略シリーズ」を提供しているジー・モードから、「大戦略 Collection」、「対戦!!大戦略MobileDocomo」のふたつのタイトルも明らかになった。

□システムソフト・アルファーのホームページ
http://www.ss-alpha.co.jp/
【2004年10月10日】SSアルファー、「大戦略 VII EXCEED」を12月に発売
ナンバー「大戦略」シリーズ初のPS2タイトル
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041010/exceed.htm

(2005年1月25日)

[Reported by 勝田哲也]


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