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★GCゲームレビュー★

タルコンガで熱く燃え上がる!
新感覚アクションゲーム

「ドンキーコング ジャングルビート」

  • ジャンル:タルコンガアクション
  • 発売元:任天堂株式会社
  • 価格:5,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーゲームキューブ
  • 発売日:発売中(2004年12月16日)



「タルコンガ」。音楽ゲーム用に作られたこのコントローラをアクションゲームで使用する、それが「ドンキーコング ジャングルビート」の魅力につながっている
 「ドンキーコング ジャングルビート」というタイトルだけを聞くと、ドンキーコングの音楽ゲームかな? と思いがちだが、本作はバリバリのアクションゲームである。実はこの作品は今までの「ドンキーコング」シリーズとは少し違ったゲームだ。その違いとは、ゲームキューブ初の音楽ゲーム「ドンキーコンガ」と同時に発売された一風変わったタル型コントローラ「タルコンガ」を音楽ゲームではなく、なんとアクションゲームで使用してしまうというところにある。実際にタルコンガを使用してのプレイはどうなのか? というところに重点を置いて本稿をお伝えしたい。

 まず、本作で使用するタルコンガというコントローラとはどんなものかというと、その名の通り2個のタルが楽器のコンガのように繋がっているコントローラのことで、このコントローラ自体は「太鼓の達人」で言えば「タタコン」のような、音楽ゲーム専用のコントローラ、であった。もちろん筆者自身もこの作品をプレイするまではそう思っていた。だが、「ドンキーコング ジャングルビート」は、このタルコンガを音楽ゲームの枠を越えて、“実はノリノリでアクションゲームを楽しむことができるデバイス”として、新たな生き方を見出す革命的な作品といえる。

 リズムアクションゲーム「ドンキーコンガ」の発売から約1年が経った今、あなたの家にはタルコンガがひっそりと部屋の片隅に置かれていたりはしないだろうか? もしあるのならば、ぜひともジャングルビートにチャレンジして欲しい。あなたの部屋にあるタルコンガと「ドンキーコング ジャングルビート」さえ揃えば、手が痛くなってもたたき続けるほど面白く、熱中度の高い新感覚リズムアクションゲームというゴールデンセットができあがってしまうのだ!


■ コントローラがタルコンガに変わっても、ドンキーコングのパワーは止まることを知らない

 このゲームはプレーヤーがドンキーコングを操作して、ジャングルや雪山、火山などの奥に潜む動物の王と戦い、ドンキーコングを“王の中の王”にするのが目的である。ただし、本作はタルコンガを使用するアクションゲームなので、一般的なアクションゲームと比べ、操作面において一味も二味も違った内容に仕上がっている。簡単に言えば普通のアクションゲームの様にコントローラをチョコチョコ動かす訳ではないと言うことだ。

 画面上のドンキーコングを操作するためにはタルコンガ上部にある左右の「たたき面」をバチコーン! と己の手で叩く。実にワイルドな操作方法である。たたき面はドンキーコングの移動方向とリンクしており、左右に移動させたい方向のタルを、直感的に叩くだけで誰でも簡単に操作できる。このコンガを用いた移動方法は、ドンキーコングの居るジャングルを感じ取れるようなダイナミックさが伝わってきてとても良い。左右に移動しただけで思わず「ウホッウホッ」と声が出そうなほどの一体感を感じ取れる。

 各ステージのボスである動物の王と戦うためにはアクションステージを2つ突破する必要がある。アクションステージでは、ボス戦に向け、途中に落ちているバナナを拾っておくのが有効。実はこのバナナはドンキーコングの体力としてカウントされ、収集すればするほどボス戦が有利になるからだ。またジャングルや火山など、危険が多くすんなりとはボスへとたどり着けない。時には壁の間をジャンプして登っていき、時にはツタにつかまり、時には他の動物の力を借りるなど、周りのものを臨機応変に使っていくことが大切なのだ。

壁ジャンプやツタを使ったアクションも、ドンキーコングにとっては朝飯前だろう。ちなみに水中を勢いよく泳いでいるシャチの名前は「シャッチー」である


 ドンキーコングがところ狭しと走り、跳び、時には泳いだりもするアクションステージだが、その行く手を阻む敵は後を絶たない。そんな敵がいる時には「手拍子」をしてみよう。タルコンガには手拍子を感知する「手拍子センサー」が搭載されており、手拍子すると画面内のドンキーコングも同様に音を鳴らし、何らかのアクションを起こしてくれる。

 例えば、敵が近くに居る場合には、「音波アタック」を発生させて敵をしびれさせることができる。しびれている敵には、近づいてドンキーコングのパンチをお見舞いしてやろう。他にも、近くにバナナがある場合に手拍子をすれば、周囲のバナナを一度に収集する「クラップキャッチ」というアクションをしてくれる。また、ステージ中に隠された仕掛けを発動する場合にも手拍子を使うことが多いので、行き詰まった時には忘れずに手拍子を使おう。

邪魔な敵がいる場合は、まず拍手をして音波アタックをくらわせてみよう。敵がひっくり返ったらすかさず攻撃だ



■ 「男ならげんこつで通りな……」という言葉を地で行く拳と拳のぶつかり合い!!

 アクションステージ2つをクリアすると、ついにボスキャラとの一騎打ちに突入する。ボス戦はさながらボクシングのようなタイマンバトルと、ステージ内を動き回りボスの弱点を探っていくアクションバトルの2種類が用意されている。1面のボス「ドレッドコング」との戦いは、本作の醍醐味と言って良いほど盛り上がるボクシングバトルとなっている。左右のタルコンガが右手左手のパンチとリンクし、手拍子をすると敵の攻撃を避けるというシンプルな操作でボクシングバトルを繰り広げることとなる。

 決戦の舞台は大木の枝である。両者にらみ合ったまま真剣勝負開始の時を待つ。にらみ合った画面から、ボクシングの構えをしている画面へと切り替わった瞬間からバトルの火ぶたが切って落とされる。まずは“とにかくパンチを繰り出さねば”と思い、左右のたたき面をポポポンと連打してみる。すると我がドンキーコングからのワンツーパンチがバシバシと見事ヒットしたではないか。“これは単純明快で気持ちが良い!”と思ったのもつかの間、3発目のパンチはボスにあっさりと避けられてしまった。こういった場合は、この後に相手からの仕返しが待っていることが非常に多く、例外なく我がドンキーコングもボスの仕返しパンチをくらってしまった。

 “そうか、相手のパンチが繰り出された瞬間に手拍子をして避ければ良いのか!”そう理解した筆者は、ボスが再度パンチを打ってくる瞬間を見計らって避けアクションである手拍子を「パン!」と鳴らしてみた。するとドンキーコングはぐいっと体を仰け反り、ボスのパンチをかわすことができた。更に次の瞬間、“ボクシングマンガで絶妙のタイミングでパンチを避けた瞬間”の様なスローモーションで画面が表示されたのである。“今がチャンスだ!”と感じ、タルコンガを叩いていくとバシバシと面白いようにパンチがヒットする。

 こうなると気分はマンガの主人公である。「打つべし! 打つべし! 打つべし!」や「ホォアタタタタタ!」とそれっぽい声を上げながら左右のたたき面を叩きまくる。このボス戦で「手拍子で相手のパンチを避けてから打ちこむ」という流れを覚えてからは気持ちが良いぐらいドンキーコングのパンチがヒットしていき、難なくボスを倒すことができるようになったのだ! ボス戦終了後も、声には出さなかったが「いいパンチだったゼ……」と最後までマンガの主人公気分だったことは言うまでもない。

 ボスとの激闘の末、冷静になった筆者は自分が操作していたタルコンガを見てハッとした。たった15分程度の操作をしただけで、自分の中にあった“音楽ゲームの専用コントローラ”というタルコンガの概念が“リズムに乗ってアクションゲームをする道具”に変化しているではないか。普通のコントローラでは味わえない爽快感は、タルコンガならではのもの。なぜ今までタルコンガを活用したアクションゲームが出てこなかったのかさえ疑問になってくる。それぐらいに、タルコンガを叩いて「ドンキーコング ジャングルビート」をプレイする気持ちよさを知ってしまったのだった。

ボス戦ではド派手なバトルが繰り広げられる。ボスとのボクシングバトルは相手の攻撃を避けることがポイント。バトルを自分のペースに持ち込むことができれば勝ったも同然だろう



■ コンボを決めてコンガのビートを受け止めろ

 “タルコンガで遊ぶと最高に楽しい!”という感覚を味わう頃には、画面で飛び跳ねるドンキーコングを自由に操作できるようになっているだろう。1面で味わった新感覚操作の楽しさを“楽しさの第1波”とするならば、ここから先は高度なアクションにのめり込むという“楽しさの第2波”を感じる事になっていく。

 先にも記述したが、アクションステージで収集したバナナはドンキーコングの体力として重要になっている。実はそのバナナの数は、ボスとの戦闘終了後に「奉納」という形でスコア表示され、スコアにあわせて次ステージへの切符とも言える「クレスト」を入手することができるのだ。“”アクションステージのバナナを全部忘れずに取れば良いのでは?”と思うところだが、普通にバナナを集めただけでは高スコアを獲得することはできない。さらに多くのバナナを入手するためには、タルコンガの高度な操作と「クラップキャッチ」や「コンボ」などの高度なアクションが要求される。

 例えば、ステージ上にバナナが並んでおり、普通にバナナを拾っていくと合計7本にしかならない場面があったとする。ここでプレーヤーがクラップキャッチを使ってバナナを拾うと、なぜか合計22本も手に入れることができるのだ。さらにドンキーが壁を蹴っている間はコンボ状態となり、通常よりも多いバナナを得ることができる。

 つまり、地に足をつけずにコンボ状態を保ち、いかにして多くのバナナを集めるかが重要になってくる。また、このコンボ状態にもワクワクさせる仕掛けが用意されている。コンボ状態でバナナを集め続けるとBGMに加えて、どこからともなくドンドコドンドコと太鼓の音と手拍子、そしてワーワーという大歓声が聞こえてくるのだ。全てが合わさった大合奏が聞こえてくると、もう地に足をつけるのすら嫌になってくる。このノリノリでバナナを集めることこそが先ほど述べた“楽しさの第2波”なのである。ただ、このノリノリプレイだが、丁度プレーヤーのノリノリボルテージが上がってきたところでステージが終わってしまう。ここは筆者的にはもう少し長いステージが用意されていると嬉しかったところだ。

バナナが並んでいる中央へジャンプしてクラップキャッチを使うと、22本ものバナナを取得したことになる。小さな工夫がクレスト入手への第一歩となるコンボ状態でバナナを集めているところである。ドンキーコングの周りにある光はコンボ状態を意味し、ドンキーコングの下に表示されている数字はコンボ状態で収集したバナナの数を意味する



■ 体感コントローラ特有の悩みを解消!? 気になる騒音問題の“オレ流”回避術

 このように新感覚操作を楽しみながらリズムに乗って進めていくのだが、ノリノリの状態になると自然とタルコンガを叩く力も強くなってくる。そうなると音が結構響くので、騒音の問題から夜間のタルコンガを使用したプレイは考え物だろう。ちなみに騒音を気にすることのない通常のコントローラでの操作も可能だが、タルコンガ並の連打をコントローラの左スティックで行なうことになるので、左手の親指を酷使することになる。

手びょうしセンサーはオートとマニュアルでの感度設定が可能だ。手びょうしセンサーの感度を下げすぎると、コンガを叩いた音を拍手と誤認識してしまうので注意
 筆者はどうにかして夜間もタルコンガを使用して思う存分に遊びたいと思い、タルコンガに毛布を巻き付け、さらにそれをクッションの上に乗せて夜間プレイを実践してみた。始めのうちは「おっ! 少しは防音になったかな?」と思っていたのだが、ゲームが盛り上がってくると騒音はタルコンガではないところから発生していることに気づいたのである。

 実は「パン! パチパチパチ!」という筆者自身の手拍子が思いのほかうるさかったのだ。手拍子の音が出ないよう手に手袋をして拍手……というのも味気ない。困り果てていると、ソフト側のオプション設定に「手びょうしセンサー」の項目があったことを思い出した。早速オプションをチェックしてみるとズバリ自分が求めていた手拍子センサーの感度調節の項目を発見。手拍子の感度を上げることで、軽く手拍子をしただけでもセンサーが感知してくれるようになった。この機能のおかげで、現在は夜間でもタルコンガを使用してノリノリでプレイしている。

(C) 2004 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「ドンキーコング ジャングルビート」のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/ngc/gybj/

(2005年1月24日)

[Reported by 菅原吏利]


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