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ダブル&タッチスクリーンの任天堂新型携帯ゲームマシン
「ニンテンドーDS」試用レポート

12月2日 発売

価格:15,000円

 任天堂株式会社が満を持して送り出した新型携帯ゲームマシン「ニンテンドーDS(NDS)」が12月2日、ついに発売された。当日朝の模様は既報の通りで、十分に準備された生産体制のおかげか、混乱もなく流通している模様だ。記者も取材が終了した後、都内量販店などで本体を確保できたが、価格はA店では14,800円+ポイント10%、B店では15,000円といったあたりに落ち着いていた。

 さて、同時発売タイトルが12本と、新型機にしては充実したソフトラインナップが印象的なNDS、早速試用してみたので、そのレポートをお届けする。

本体と付属物。左からACアダプタ、本体、タッチペン(2本)、タッチストラップ、取扱説明書
 箱を開けてみると、本体であるNTR-001(JPN)と、専用充電式バッテリーパック(NTR-003)はすでに充電済みでセットされたまま箱に入っており、専用ACアダプタ(NTR-002)を接続しなくても起動してくれた。他の付属物としては、専用タッチペン(NTR-004)が2本、専用タッチストラップ(NTR-009)と、マニュアルが1冊(表4に保証書あり)、クラブニンテンドーのシリアルが記された紙といったところ。

■ 初代GBAにフタをつけたイメージ(?)の大きさが印象的

 GBASPに続いて折り畳み形状を採用したNDS。初代ゲームボーイアドバンス(GBA)や、GBASPのサイズと比較すると、目に付くのは初代GBAばりの横幅の広さ。その上でGBASPのように折り畳みが可能な機構を伴った2画面液晶を搭載しており、重量もGBAに比べて135gほど増加している。実際に持ってみると、適度な大きさのボディはバランスよく、それほどの重さは感じられなかった。タッチペンの使用時などは片手で本体を支える必要があるが、それほど長時間持ちっぱなしになることはないし、本体を左右から包むようにして持つことができることも、重さを感じない理由だろう。

 各部の形状をみてみると、ボディ、液晶周りのパーツは独特のラインを描き、GBAやGBASPほどの“塊”感覚はない。特に液晶の裏側(閉じたときに表に来る)は、斜めにそぎ落とされたラインになっており、薄さを感じさせてくれる。

背面。上面とはイメージがガラッと変わる。ゴム足が付いたのはGBASPよりも置いてプレイされることを想定したものだろう
 逆に、本体裏側の方は、プラスチックの成型色ままと思われるグレー部分においては、曲面を適度に配した握りやすい形状をしている。また、GBASPにはなかったゴム足が2つ、そしてプラスチックの足が2つ付いており、机などに置いての使用も考慮されている。

【GBA、GBASPとNDSのサイズ、重量比較】
 厚さ重量
NDS84.7mm148.7mm28.9mm275g(バッテリーパック・タッチペン含む)
GBA82mm144.5mm24.5mm140g(電池含まず)
GBASP84.6mm82mm24.3mm(折りたたみ時)143g(バッテリーパック含む)


 上画面を開くと、GBAと同じく一定角度でクリップし、さらに広げるとほぼ2つの画面が平行となる180度程度まで展開することができる。GBASPは広げてもすぐ反発して元に戻るような印象だったが、NDSの場合は最大角度でクリック感覚を伴ってホールドされる。

 上画面の下半分にステレオスピーカーが備わっており、ソフトによってはバーチャルサラウンドも楽しめる(『大合奏!バンドブラザーズ』などで設定すればOK)。手元にモノラルスピーカーがあったGBASPと違い、音の通りはかなりのもので、ステレオ効果も感じ取れる。ヘッドフォンで聞いた場合と比較すると、やはり低域の音が不足しているようだが、この大きさではいたしかたあるまい。

閉じた状態 1クリック目まで展開 最大角度まで展開


■ 電源ランプには4つの役割が

下画面の左右にコントロール系が配置されている
 下画面のほうに目を向けてみると、その左右には電源ボタン、十字ボタンが左に、右にはセレクトボタン、スタートボタン、X、Y、A、Bボタンが見える。LおよびRボタンは上画面の陰に隠れる形で配置されているが、大きく回りこんだ形状になっており、非常に押しやすい。その間にはACアダプタ接続コネクタ、DSカード差込口、タッチペンホルダーとストラップフックが配置されている。ACアダプタは専用のものだけでなく、GBASPのものとも共用できる。また、ACアダプタ接続コネクタに、GBASP用のヘッドフォン変換プラグやGBASP専用ヘッドフォンも接続可能だ。

 各ボタンには適度なクリック感があるので、押したかどうかはわかりやすいが、X、Y、A、BボタンはGBASPのA、Bボタンよりひと周り小さく、ストロークもGBASP程度に浅い。特に押しにくいというわけではないが、少々窮屈な印象だ。

 ゲームボーイの時代から、電源ボタンはスライドスイッチを採用してきた任天堂だが、NDSはプッシュ式のスイッチを採用している。押して1テンポ置くと電源のON/OFFが行なわれるようになっており、電源ボタンの操作ミスはあまりないだろう。下画面下部にはマイク用のスリット、充電ランプ、電源ランプが並び、その下にはGBASPと同様の音声ボリューム、そしてマイク/ヘッドフォン端子の間にGBAカートリッジ差込口がある。

スリープ中。GBASPの液晶を閉じたとき同様、液晶のフタに隠れるように見えるため、見過ごさないように注意
 充電ランプはACアダプタ接続時、バッテリーチャージ中はオレンジに光る。充電しながらゲームを遊んでいる場合はそのままだが、未使用時はバッテリーチャージが完了すると消灯する。電源ランプはワイヤレス通信インジケータも兼ねており、通常時は緑色で点灯、バッテリー残量少で赤で点灯しているが、ワイヤレス通信時は変則点滅する。また、スリープ中は低速間隔で点滅する。

■ バックライトになった液晶画面。上画面と下画面には多少の差異が

バックライトとなった液晶画面
 GBAと同じ大きさの液晶画面だが、GBASPのフロントライトから、反射式のバックライト液晶となっている。さらに、改めて言うまでもないが、下画面はタッチパネルとなっている。この2つの画面を比べてみると、若干だが下画面の方がやや明度が落ちる印象。GBASPと並べて比較してみると、方式の違いだろうが、GBASPのほうは画面の周囲から明るくなっているように見えるのに対し、NDSは画面全体が明るくなっているように見え、明らかに見えやすくなっている。

 GBA互換機能を持つNDSは、GBAソフトをプレイする際、上画面に表示するか下画面に表示するかを選択できるようになっている。GBAのイメージでプレイするなら下画面、GBASPの気分でプレイするなら上画面、といった使い分けもできるわけだ。設定の変更は、起動時に登場するDSメニューから、本体設定→オプションパネル→GBA表示パネルで行なえる。

GBASPと並べてみたところ。同じGBAソフトを表示してみた。NDSではGBAソフトプレイ時に上、下どちらかの画面に表示する


 DSカードとGBAカートリッジが同時に刺さっていたらどうなるのか? NDSならではの問題だが、ここが今までの携帯機と違うところ。電源を押すと警告文が下画面に現われるが、そこでボタンを押すか下画面をタッチすると、DSメニューが現われる(標準設定:『マニュアルモード』時)。

 DSメニューを介さず、いきなりゲームを起動することもできる。DSメニュー→オプション→起動モードで「オートモード」を選択すればOK。一度電源を落とした後から設定は反映される。

 「オートモード」では、DSカードとGBAカートリッジが同時にセットされていた場合、DSカードが優先して起動するようになる。「マニュアルモード」に戻したいときは、両方をはずしてから起動すればDSメニューが起動するので、そこで改めて変更すればOK。

本体に電源を投入すると、まずこの画面が現われる 次にDSメニューが登場。使い方はマニュアルを参照のこと 本体設定→オプションパネル→GBA表示パネルでどちらのパネルを使うか設定できる


■ DSカードのイジェクトはプッシュ式

下画面の前後を挟むような形で、正面側がGBAカートリッジ、後ろ側にDSカードを差し込む
 本体正面からGBAカートリッジ、後方からDSカードをセットする形になるわけだが、GBAカートリッジは従来どおり、押し込んでセットし、自分でカートリッジの出っ張りを引っ掛けるようにして押し出して取り出す方式。

 対して、DSカードは、カードを再び本体側に押し込むとカチッという音とともに少し排出される。そこから指でつまんで引き出すというイジェクト方式を取っている。カードと本体の相性で、取り出すときに引っ掛かりが強いものがあったりするが、逆にするっと抜けてしまうものは、最初のプッシュ時に指を離さないようにしないとDSカードがヒュンっと飛び出してしまうことがあった。

 DSカードのパッケージは、GBAとは違い樹脂製になっており、カードの大きさに比してかなり大きめ。中にはDSカードホルダー、マニュアルホルダーのほか、GBAカートリッジのホルダーもついているのはユニークだ。

本体にDSカードがセットされた状態から、カチッと音がするまで押し込む すると、DSカードはここまで排出される 後は自分でつまんで取り出す。カードによっては抜けにくいものもあった
DSカードパッケージ。GBA用パッケージと幅は同じだが、高さが違う。厚みはほぼ同じ
中にはDSカード、マニュアルとGBAカートリッジを格納できる。DSカードはSDカードを大きくしたような形状をしている


■ スリープは快適! ダウンロードもなかなか早い!

タッチペンの紛失だけはもったいないので、使ったら必ず元の位置に戻すようにしたい
 価格以上のパフォーマンスを誇るNDS。数時間触って感じられた魅力についてもう少し見ていきたい。

 NDSの最大の特徴は、液晶パネルを閉じるとすぐスリープ(待機電力)状態に移行すること。パネルを閉じたとたんスリープ状態になり、復帰もパネルを開くとほんの数秒で復帰。GBAまではソフトで対応していたこのスリープ機能、NDSソフトで遊んでいるときには必ず機能する。GBAのタイトルでは、NDSのスリープ機能は使われず、従来どおりソフト単位で行なわれる。

 また、ゲームシェアプレイなどを可能にする「DSダウンロードプレイ」も試してみた。GBAソフトにあった「1カートリッジプレイ」と基本は一緒だが、ワイヤレスで行なえる点がなによりうれしい。送信側はソフトを立ち上げ、ダウンロード可能モードに入って設定を終えておく。ダウンロード側はDSメニューから「DSダウンロードプレイ」を選んでAボタンで決定。すると、ダウンロードできるソフトをサーチしてくれる。サーチが終わると、送信側の画面にそれが反映されるので、Aボタンを押して送信開始となる。このやり取りでボーっとしがちなのが、最後の送信アクションだ。これを行なわないといつまで経ってもお互いにデータロードを始めてくれないので注意したい。

 サーチまでは電波状態などによって時間が変わるが、ものの数秒でダウンロードソフトを見つけ出してくれた。そしてダウンロードも、これもソフトや電波状態に応じて変化するだろうが、GBASPのころに比べて「待たされた」イメージはない(「ミスタードリラー ドリルスピリッツ」などで確認)。また、2台のNDSを使って、どこまで接続が可能かどうかも試してみた。鉄筋コンクリートの壁1枚ぐらいなら電波が届くというところだ。編集部のあるフロアで試していたので、電波事情は少々よろしくないと思われるが、見事に壁越しの「ピクトチャット」に成功した。

 逆にちょっと面倒だな、と感じたのは、DSメニューの設定を変更すると、メニュー終了時には1回電源OFFになってしまうこと。「DSダウンロードプレイ」においても、途中で通信が途絶えた後に、エラーメッセージとともに電源OFFの処理が行なわれていたのにはビックリした。とはいえ、電源を投入してから、DSカードやGBAカートリッジをセットしても認識しない(電源が入っているときに逆の行為を行なうことはできるが、データが消えるなどの不具合が出ることも懸念されるのでやめておこう)ため、このような措置が取られているわけだが、PCの再起動のように、電源が一瞬落ち、すぐに復帰するような設定もあってもよかったかもしれない。もしくは、DSメニュー時にはHotPlugのようにソフトをセットしてもいいような規格にできれば……。

 補足としては、ワイヤレス通信使用/不使用、バックライトの使用/不使用といった設定変更は、ゲームソフトのオプションで行なえる(『大合奏!バンドブラザーズ』など)ものもある。ゲーム単位での設定は設定変更が終了しても、電源オフにはならない。

 とまあ、最後に少し気になる点を挙げてはみたものの、やはり任天堂は携帯ゲームマシンに求められるものをきちんと押さえ、新しさとコストパフォーマンスのバランスをきちんと取ってきていると感じさせる。いわゆる「できのいい」マシンであることは間違いないだろう。あとはNDSの魅力をさらに引き出すソフト群が多数登場してくることを願ってやまない。

(C)2004 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「ニンテンドーDS」のページ
http://www.nintendo.co.jp/ds/
□関連情報
「ニンテンドーDS」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/news/ndslink.htm

(2004年12月2日)

[Reported by 佐伯憲司]


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