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シブサワ・コウ氏、黒澤監督の遺稿、映画「鬼 (仮称)」をプロデュース
コーエー、次世代プレイステーションで映画公開と同時にゲームを発売

10月28日 発表

 株式会社コーエー、株式会社シブサワコウプロダクション、株式会社黒澤プロダクションは28日、都内で記者会見を開き、故黒澤明映画監督の遺稿をベースにした映画「鬼 (仮称)」を、2006年の公開を目指して制作を開始すると発表した。また映画の公開と同時に次世代プレイステーション用ゲームソフトの発売、携帯コンテンツのサービスなど総合エンターテインメントコンテンツとして展開する。

 映画の監督は、黒澤明監督のご子息にあたる黒澤久雄氏が担当。脚本は黒澤氏とシブサワ・コウ氏の共同執筆となり、シブサワ・コウ氏は映画のプロデュースを担当するほか、ゲームのエグゼクティブプロデューサーを担当する。

 「鬼 (仮称)」の映画制作費、ゲーム開発費など30億円を投入し、総売上規模は100億円を見込む巨大プロジェクトとなる。2006年の公開予定だが、時期は未定。配給会社についても「全世界展開を考えるとハリウッドをベースにして、各国の地域に密着した配給会社を選ぶことになると思う。考えはあるが、これから詰めていく (襟川恵子氏)」と答えるに留まっている。

 映画のストーリーについてはほとんど明かされていないが、ベースとなるのは黒澤明氏が監督した映画「乱」のシノプシスとなる遺稿だが、黒澤久雄氏の手が大幅に加えられたオリジナル作品になるという。記者会見に出席した黒澤久雄氏は「僕が10代の頃だったと思うが、うちの親父が『金髪の目の青い武者が大活躍するのは面白いと思わないか? スティーブ・マックイーンでやってみたいんだよ』というのを聞いたことがあるんです」とコメント。大まかなストーリーとしては、ある大名と外国の女性との間に生まれた、金髪で体が大きく青い目を持った主人公が、まわりから“鬼”と呼ばれながら戦場で大活躍していくもので、エンターテインメント作品となるようだ。

 都内で行なわれた記者会見に出席したコーエーの襟川恵子代表取締役会長は「2001年12月27日に黒澤さんの方から『鬼』のアイディアを聞き、アニメ化しないかとの意向を受けた。しかし黒澤さんの感性豊かな説明を聞いていると、これはアニメではない、実写でやろうと思った。その後、機が熟すのを待ち、私から黒澤さんに映画監督を依頼したのだが、本人もビックリしていると思う」と制作に至る経緯を説明。ゲームについては「圧倒的な強さを誇る、次世代のプレイステーションに対応する世界で初めてのソフトとして発表する」と力強く宣言した。

 ゲームについてシブサワ・コウ氏は、「映画の『鬼 (仮称)』を元に次世代のプレイステーション用に、新しいタイプのゲームシステムを持ったゲームを作ってきたい。主人公が“鬼”という非常に強い侍で、自分の運命を切り開いていくタイプ。そのため、ロールプレイング性が強いアクションゲームを考えています。2006年のリリースを予定していますので、その時にはインターネットを使った新しいタイプのシステムを発表していきたい」とその一端を明かしている。また、ひとりで突き進むのではなく「仲間がいますから、協力して戦略性の強いゲームシステムを考えたい」という。

 シブサワ・コウ氏は次世代プレイステーションについては「口止めされている (笑)」と前置きしながら、「プレイステーションからプレイステーション 2に移行したとき、リアルタイムレンダリング能力が向上した。今回もリアルタイムレンダリング能力が圧倒的に向上していることを想定してゲームシステムを組んでいる。次世代プレイステーションの機能を使いきった新しいシステムを考えたい」とコメント。ちなみにCGやモデリングデータ、モーションデータなどは、映画で使用したものを共用し、登場人物の顔などは、俳優と似たものになるという。シブサワ・コウ氏はまた、「ゲームと映画の親和性の高さを改めて感じている。(メディアミックスすることで) もっともっと楽しんでもらえる」とメディアミックスの意義を説明した。

 発表会には、ソニー・コンピュータエンタテインメントのコーポレート・エグゼクティブ(SCEJ プレジデント 兼 COO) を務める竹野史哉氏も出席。竹野氏は「また、素晴らしいコンテンツが生まれるんだな」と感慨深げにコメント。発表会に出席できなかった久夛良木健代表取締役社長兼CEOの挨拶を代読。

 久夛良木氏は挨拶状において「今回、シブサワ・コウ氏のプロデュースで故黒澤明監督の遺稿を元に、また新たなチャレンジをされると聞き、胸の高まりを覚えざるをえません。こんどはどんな驚きを我々にもたらしてくれるのか。そしてそれが次世代システムでリリースされるとするならば、我々もその挑戦に十二分に答えられる圧倒的な次世代システムを世に問わなければならないと気が引き締まります。総合エンタテイメントとしての映画や音楽、そしてゲームをさらに有機的に結びつけ、いままで我々が見たことも、体験したこともない世界に誘う日を楽しみにしております」とコメントしている。

 今回は「鬼 (仮称)」の制作に関する発表のみだが、今後も映画の制作は続ける意向だという。記者団の質問に答えたシブサワ・コウ氏は「三國無双」を映画化する気持ちはあるようだ。コーエーは襟川恵子氏のいう「総合エンターテインメントコンテンツプロバイダー」への道を着々と登り始めているといえるだろう。

記者会見に出席した襟川恵子氏、竹野史哉氏、シブサワ・コウ氏、黒澤久雄氏 (写真向かって左から) 「鬼 (仮称)」では映画だけでなく総合エンターテインメントコンテンツとしてゲームや書籍、携帯コンテンツにまで波及していく予定だ その中核をなすのが映画とゲームで、ゲームについては“次世代プレイステーション”用コンテンツとして発売される

シブサワ・コウ氏。ゲームのゼネラルプロデューサーとしてだけではなく、映画の制作にもプロデュースという形で加わっていく 監督を担当する黒澤久雄氏。「えらいことを引き受けてしまった」という心境なのだという コーエーの襟川恵子氏。今回のメディアミックスを仕掛けるのは「千載一遇のチャンス」とコメント SCEJのコーポレート・エグゼクティブ(SCEJ プレジデント 兼 COO) を務める竹野史哉氏「また素晴らしいコンテンツが生まれるんだな」と感慨深げに語った


□コーエーのホームページ
http://game.watch.impress.co.jp/

(2004年10月28日)

[Reported by 船津稔]


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