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★PS2ゲームレビュー★
前作のリリースから約9カ月。あのオンライン対応版「バイオハザード」が帰ってきた。独自のアプローチで展開されるシリーズの最新作を、前作との比較を中心に、その魅力に迫ってみたい。 ■ 新作というよりグレードアップ版 まず、最初に感じたのは、基本は前作と変わっていないということ。映画的な雰囲気はもちろんのこと、キャラクタ、システムなど、大部分を前作から受け継いでいる。もちろん、新たなアクションが加わったり世界観の広がりなど、改良やボリュームアップはされている。
例えば、本家「バイオハザード」シリーズは、毎回、システムやテイストを変えていくことで、ユーザーの興味を引き付けてきた。しかし、本作はあえて前作を踏襲することで、プレイする人間を混乱させないような配慮がなされている。そこがスタンドアローン版とオンライン対応版の差と言えるだろう。つまり、これは続編というより、グレードアップ版なのだ。 ■ 前作以上に多彩なシナリオ では、まったく変わりばえのしないのかというと、そうではない。前述したアクションの追加、世界観の広がりに加え豊富なオマケ要素など、前作を遊んだ人でも新鮮な気持ちでプレイすることができる。基本的な部分が変わっていないからこそ、変わった部分の印象も強く感じられるのだろう。 それでは、各シナリオを紹介しながら、前作にはなかった新要素を検証していこう。 【咆哮】 メインの舞台となるのは動物園。ここでは、シリーズ初となる犬以外の動物型ゾンビが出現する。巨大な象ゾンビのインパクトやライオンゾンビの獰猛さは、今までのシリーズにない恐怖を与えてくれる。EASYモードとNORMALモードで攻略法が変わるのもポイントだ。 【異界】 地下鉄の駅を舞台にしたシナリオ。マップの構成はシンプルだが、イベントは入り組んでおり、あちらこちらを移動しながら脱出方法を見つけ出さなくてはならない。人間型ゾンビが中心だが、後半は巨大ノミが登場。こいつが血を吸うことによって巨大化するのだが、その様はシリーズ中、一、二を争うヴィジュアル・インパクトである。このシナリオには、エンディングが2つ用意されている。 【記憶】 冒頭はオープンフィールド、中盤以降は廃墟となった病院が舞台になっている。覆面をした上半身裸の斧男と半身植物と化したクリーチャーが、他のシナリオにはない不気味さを醸し出している。 他にも、巨大植物や巨大スズメバチなど、個性的なモンスターが登場する。まるで短編怪奇小説のようなストーリーが味わい深い。 【死守】 「バイオハザード」シリーズではお馴染みとなったラクーン市警が舞台。迫り来るゾンビの群れをいかにして防ぐか。手に汗握る戦いが繰り広げられる。一定時間放出される毒ガスが緊張感をさらに高める。 【突破】 前4シナリオをクリアすると出現する最終章。研究所から地下道を通って市街地に至る逃走路は危険に満ち溢れ、クライマックスにふさわしいスリルが味わえる。「バイオハザード」シリーズの名敵役「タイラント」も登場し、行動しだいでエンディングが変化する。
他にもアクションを前面に押し出したスペシャルシナリオ【殲滅】やボス戦のタイムアタック【対峙】などがある。これらはシナリオをプレイし、クリアー時間やイベントの達成率などにより獲得することができる「リザルトポイント」を消費すると出現し、ネットワークプレイでも遊ぶことができる。
■ 他人を気にせず、じっくりプレイできるシングルプレイモード 前作はネットワークプレイ対応であるものの、ネットに接続しなくても十分楽しめる作品となっていた。本作でもそれはきちんと受け継がれている。本作から加わった新要素としては、シナリオ開始時、AIPCと呼ばれるCPUが操作するキャラクタを任意で選べるようになった。そのため、誰と誰をパートナーに選ぶかによって、戦術も変わってきて自分のプレイスタイルに合わせた遊び方ができる。戦闘系と回復系をバランスよく選択するもよし、戦闘系に偏った構成で強行突破するもよし。同じシナリオでも組み合わせを変えてプレイすれば、リザルトポイント集めも苦にならないだろう。
しかし、前作に比べネットワークプレイ寄りになったという印象は否めない。理由のひとつとして、マップが横に広がったことが挙げられる。そのため、AIPCの居場所が掴みづらくなった。一応、プレーヤーのキャラクタを追尾してくれるのだが、見失ってしまうことも少なくない。また、難易度が上がったことも、ネットワーク寄りと感じた要因のひとつだ。とはいえ前作同様、短時間でサクッと遊べるのは嬉しい。 ■ より洗練され、遊びやすくなったネットワークプレイ では、ネッワークプレイはどうか。こちらもプレイ中の雰囲気などは変わっていないが、ロビーなどは前作より洗練され遊びやすくなった。前作でもそうだったのだが、筆者の見た限りではモラルも安定している。そういう意味では、ネットワークゲーム初心者でもプレイしやすい環境であると言えるだろう。環境別、難易度別にエリア分けされているため、自分に合った遊び方を選択できるのも嬉しい。 全体的に難易度が上がったため、最初のうちはかなり苦戦するかもしれない。しかし、熟練者についていけば、十分生き残ることはできる。初心者であることをアピールすれば、手助けしてくれるプレーヤーも少なくない。しかし、まずはシングルプレイで全体の流れを把握しておくに越したことはない。前作同様、コミュニケーションが比較的制限されているため自分が次に何をすればよいのか把握していないと厳しい。とはいえ、アイテムの使用指示やマップを使った発言もできるため、ストレスは軽減されている。
RPGと違って、プレーヤーの習熟度がそのままキャラクタの強さに直結しているため、数値の差に泣かされることなく公平な条件でプレイできるのがいい。上達したければシングルプレイをやりこめばよいのだ。それが、家庭ゲーム機で練習を積んだ後、ゲームセンターに乗り込むという構図を彷彿させ、いかにもカプコンらしい。同時にリピートプレイへのモチベーションにもなっている。 ■ 間口の広さがウリとなったシリーズ第2作 以上、「バイオハザード アウトブレイク FILE 2」について筆者の雑感を述べてきた。映画版「バイオバード」の2作目とほぼ同時のリリースとなった本作だが、映画版を見て興味を持った人が「ちょっと遊んでみたい」と思ったならば、購入して損はないだろう。また、「ネットゲームは未経験だけど、どれから遊んでいいかわからない」という人にも最適だ。そういう意味では、間口の広い作品と言える。
前作は実験的な印象が強かったが、本作でほぼ完成されたと言ってもよいのではないだろうか。そうなると、気になるのは今後の展開だ。あくまで「アップグレード」感覚で、新シナリオの追加に留めるのか、それとも次なる進化を目指し、根本から作り変えるのか。シナリオ数の増加、キャラクタの追加など、課題は多い。個人的には、映画版のようにハデでスピーディーなシナリオも遊んでみたいと思った。次はどんな手でユーザーを驚かせてくれるのか。想像するだけでもワクワクする。 (C)CAPCOM CO., LTD. 2004 ALL RIGHTS RESERVED.
□カプコンのホームページ (2004年10月28日) [Reported by 中川裕介(冒険企画局)]
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