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★Xboxゲームレビュー★

「アーセナル」と「スキル」による駆け引きの深みを味わえる
「ファントムダスト」

  • ジャンル:タクティカルアクション
  • 開発元:Microsoft Game Studios
  • 発売元:マイクロソフト株式会社
  • 価格:6,090円
  • プラットフォーム:Xbox
  • 発売日:発売中(9月23日)



 「ファントムダスト」は地上を覆う未知の粒子を力としてそれを具現化し、能力(スキル)として扱うことができる通称「能力者」を操作して対戦するサイキックアクションだ。本作最大の特徴はなんといっても、「アーセナル」と呼ばれる、カードゲームにおける「カードデッキ」のような物を作成して、戦闘時にはそのアーセナルから出現する「カプセル(スキル)」を取得し、様々な行動を行ない敵と戦うという点につきる。さらにこの行動システムに加え、キャラクタの移動やスキル発動のタイミングはアクションゲームのようにリアルタイムで行なうという要素が加わっている。これらの要素が複雑に絡み合い、今までにない新鮮な感覚を作り出している。


■ 荒廃した世界、失われた記憶……しっかり味わってプレイしたいシナリオモード

 本作にはオフラインモードとも言える「シナリオモード」と、システムリンク、画面分割による対戦に加え、Xbox Live対応によるオンライン対戦が可能な「マルチプレーヤーモード」の2種類のゲームモードがある。どちらのモードでも基本的には最大4キャラクタによる戦闘が行なわれる点では同じ。まずはシナリオモードを進めながら、本作のシステムに慣れていくのがオススメだ。

 シナリオモードは、「未知の粒子」に覆われた世界に目覚めた2人の人間のうちの1人である、「主人公」を操作してシナリオを進めていく。このタイトルの舞台となる世界では人々の記憶が失われており、荒廃した世界の中で人々の記憶に唯一残る「遺跡」を目指していくこととなる。シナリオモードでは基本的に、ミッションを受けクリアすることでストーリーを進めていくことになるが、特に序盤のミッションでは基本となる操作や、スキルの扱いに関するチュートリアル的なものが用意されていて、斬新かつ複雑なシステムを採用している本作でも、すんなりと理解していけるよう配慮がなされている。また、ゲーム中盤からはスキルだけでなく、「アーセナル」を使用した戦いが行なえるようになるので、対戦への足がかりとしてもぜひプレイして欲しい。




■ スキルを入手し、自分だけのアーセナルを構成する楽しさ

 初めてミッションにチャレンジすると、まず驚くポイントがある。戦闘開始直後、移動とジャンプぐらいしか行動する事ができないのだ。攻撃も守備もまったくできない。「なんだこのゲームは」と面食らうところだが、戦闘のメインとなる攻撃や防御といった行動は、バトルエリア内に出現する「カプセル」をキャプチャして、はじめて可能となる。キャプチャする際には、それぞれコントローラーの4つのボタンにスキルを割り振ることが可能、出現するカプセルの順序は毎回ランダムとなるため、出現したカプセルに応じて戦闘ごとに戦略を変えていく必要がある。この、スキルを順々に場に出現させ使用していく感覚は、カードゲームの感覚に近い。

 カプセルをキャプチャすることで使用可能になるスキルは攻撃だけにとどまらず、防御、また消去や状態変化、特殊スキルやゲームのシステムを変化させる環境スキルなども存在する。この基本はシナリオモードに登場する一部のボス敵を除いて、すべての敵も同様。また、敵が使用してくるスキルもプレーヤーが使用するものと同じものである。

 スキルには念動、光学、自然、気孔、信仰といった系統が存在する。戦闘時に使用するスキルは30個指定することができるのだが、この30個のスキル集を「アーセナル」と呼ぶ。カードゲームで遊んだ経験のある人には「カードデッキ」のようなものだと表現するとわかりやすいかもしれない。アーセナルは複数所持することができるので、様々な系統を収録したタイプの違うアーセナルを用意することが可能となっている。

光っている球体がスキルの詰まっているカプセル。これをキャプチャすることでスキルをボタンに割り振ることができる アーセナルの構成画面では、そのスキルがどんなものであったのかが確認できるように、画面下部に小さく動画が表示される



■ スキルにより生まれる奥深い読みあい

 「スキル」という要素は本作に終わりのない奥深さを持たせているポイントでもあり、今回プレイして一番“面白い!”と感じたポイントである。例えば、単体で発動しても相手にことごとく避けられてしまう攻撃スキルでも、「束縛のツタ」という相手キャラクタを植物のツタでからめとって動きを封じるスキルを使用してからであれば確実にヒットする。逆に相手は「束縛のツタ」の発動にあわせ、「氷の壁」などの様々な守備スキルで防ぐこともできる。「氷の壁」で攻撃の防御に成功すると、相手を凍りつかせてボタン操作を不能にすることができる。凍り付いてスキルが発動できない相手ならば、リスクを背負うことなく攻撃が可能になるのだ。

束縛のツタがヒットし、相手が行動不能に陥っている(画面左)。ここぞとばかりに火炎剣でダメージを与える 反対に防御スキルである氷の壁で防御されてしまった状態。自分の画面が凍り付いてしまい、操作できなくなっている


 スキルには攻撃スキルだけでもさらに重要なポイントがあり。相手に向かって放つタイプのスキルには適した距離、レンジが存在する。レンジは近距離(Short)、中距離(Med)、遠距離(Long)の3種類。相手をロックしてスキルを撃ち出すわけだが、このレンジが相手との距離に適していなければ、ほとんどの場合相手に命中させることはできない。戦闘中に手札として保持できるスキルは4つまでなので、戦闘中すべての距離に対応できるようスキルを入手することは難しい。それは相手も同じで、例えば相手が「近距離のスキルしか持っていない」と予想できたのならば、相手との距離を一定以上保ちながら攻撃することで戦闘を有利に進めることができるわけで、その逆も当然ありうる。また、この要素を逆手に取った読みあいもある。遠距離攻撃を中心に戦闘を進め、わざと相手を近距離におびき寄せ、隠し持っていた強力な近距離スキルを命中させるといった駆け引きも可能なのだ。

各スキルには使用コスト、攻撃力(防御スキルの場合は防御力)、レンジが設定されている。特にレンジは適した距離でスキルを使用しないと相手にヒットさせることは難しい


 この駆け引きの感覚は格闘ゲームなどで見られる「じゃんけん」的な読みあいに近い。ゲーム内に登場するスキルには絶対的に強いというものは存在せず、どんな攻撃スキルでも防ぐ方法となる防御スキルが存在する。また、敵の状態を変化させる状態スキルや、様々な効果のある特殊スキル、エリアのルールを変化させてしまう環境スキルにおいても、絶対的なものというのは存在しない。どれもなんらかの対処法が用意されており、また有効な使い方を考える余地が残されている。リスクの少ない状況で相手の取得しているスキルを探り、戦闘を優位に進められるようスキルを組み合わせて使用していく。戦闘に勝利していくにはスキルを理解し、そこから生じる読みあいに勝利するための駆け引きこそ、その面白さ真髄といえるポイントなのだ。


■ Xbox Liveでスキルはさらに多彩になる

 本作はもちろんXbox Live対応。オンライン上には、独自に構成したアーセナルで対戦に望むプレーヤーが大勢いる。日々対戦を行ない、少しづつ自分なりのアーセナル、戦略を作り上げていくことも本作の大きな魅力のひとつだ。現在のところ、多く見られるスキルは、単体でも使い勝手のいいものが人気のようだが、中には、複数のスキルを組み合わせて威力のある攻撃を確実に命中させるといった、テクニカルな構成を使用するプレーヤーもすでに見られる。本作では操作方法にアクションの要素があるので、ゲームに慣れてきている人が相手だと、ただスキルを撃ち込むだけでは対人戦で勝利を得ることは難しい。また、300種類にも及ぶスキルの中には、単体では使用用途に頭を悩ませることになるが、他のスキルとの組み合わせることによって脅威となるものや、2vs2のチーム戦などにおいて真価を発揮するであろうスキルなど、様々なものがある。


■ 対戦では楽しさが無限大

 ここまでは斬新ながらも複雑な「ファントムダスト」のシステム部分を解説したが、ここからは、筆者のXbox Liveでのマルチプレイ体験を中心に面白さを伝えていきたいと思う。

 まずはゲームのメニュー画面からXbox Liveにログイン。Xbox Liveによるマルチプレイではセッション制で対戦が行なわれており、最大4人プレイが可能。セッション内ではプレイするゲームタイプ、バトルエリア、さらにゲームルールを設定して対戦を行なうことになる。この設定の組み合わせだけでもかなり多彩なプレイが楽しめるのだが、一番ポピュラーに行なわれているのは、4人全員が敵となるバトルロイヤルモード、ルールは通常対戦の設定で、今回もその設定のセッションに参加してみた。通常対戦は自分で準備したアーセナルを使用して対戦相手のライフをスタート時の「20」から「0」にしていくというもので、これはシナリオモードでも慣れ親しんだルール。

 だが、問題はバトルロイヤルというゲームモードである。シナリオモードでの戦闘は通常2vs2のチーム戦が基本となっているのだが、このバトルロイヤルモードでは全員が敵であり、生き残りをかけた命の削りあいであり、渡る世間は鬼ばかり。目の前の敵に集中していると背中から斬りつけられるという一瞬の油断が敗北を呼ぶ激しいゲームモードなのだ。早速セッションを発見した私は、緊張感に身を引き締めセッションに参加した。だが、聞こえてきたのは「オネガイシマース」、「おねがいします」、「おねがいしまっすー」といった、さながら“Xbox Live部の部室”のようなフレンドリーな挨拶であった。それぞれのルール・対戦エリアの了承やアーセナルの準備が整ったら、いよいよバトルがスタートする。

Xbox Liveのロビー画面では、ボイスコミュニケーターを使用して音声でルールやステージの選択などを話し合うことができる 光学系の攻撃スキルであるスライドレーザーを発動した場面。大きく弧を描いて飛んでいくため、障害物の後ろから攻撃することができる ゲームの読み込みもストレスなく行なわれる。また、ローディング中はゲーム内の情報がTIPSとして解説する画面が表示される。こういった何気ないところも嬉しいポイントだ


宇宙空間を高速に動き回りつつ敵を撃破。動きをお見せできないのが残念だ
 それぞれのカプセルが出現するポイントに降り立った4人のプレーヤーだが、最初はスキルを使用するために必要となるオーラレベルを高めることになる。オーラレベルはアーセナルに組み込んだ「アジエル粒子」というスキルを使用することで高めることが可能。スキルを使用するには、それぞれにオーラコストというコスト値が設定されていて、使用するたびに消費される。このオーラレベルを高めるのはバトルを展開するうえでも重要な要素だといえる。

 順調にスキルをキャプチャしていきオーラを高めていると、突然バシッという音と共に、私のキャラクタの背中にレーザーが飛んできたっ! 誰かの放った遠距離スキルだ。戦闘中は相手が離れているときでも、他プレーヤーをロックオンし、それを切り替えて状況を把握することが大事なのだ。「お、当たった(笑)」という声もボイスで聞こえてきた。

 ゲームプレイ中もボイスによるコミュニケートは可能である。こちらも負けじとレーザーによる遠距離攻撃でけん制を試みる。だが、しっかりとこちらの攻撃を確認していた相手はレーザーを難なく防御した。すると突如、私のキャラクタは移動できなくなった! 「パラライズバリア」という防御スキルによって私のレーザーは防御されてしまったのだ。パラライズバリアは防御に成功した際に攻撃を放った相手の動きを3秒間の間、拘束してしまう。動けない。それを見ていたもう1人のプレーヤーから攻撃が放たれる。なすすべもなく攻撃をもらってしまう私のキャラクタ。なんということだ。このままでは真っ先に倒されてしまう。

近距離スキルであるサイコナイフをパラライズバリアで防御。攻撃を防がれたプレーヤーは動きが3秒間封じられてしまう


 ここで私はエリアの隅に隠れ、静かに成り行きを見守ることにした。“バトルロイヤルは頭数が減ってから参戦するものだ”とどこかの誰かも言っていた。他の対戦相手である3人は激しいバトルを展開し、徐々にスキルとライフを減らしていく。が、またしてもここで「1人、こっそり隠れてるよ(笑)」という声が聞こえ、私の周りの静寂は破られてしまった。こうなるとLiveも考え物だ。だが、しばらくのあいだ消耗戦を避けられた私は、なんとかバトルロイヤルの最後の2人まで残ることができた。

 残った2人はお互いに微妙な距離を取る。先ほどのパラライズバリアのように防御にも様々な効果があり、おいそれと手を出せないのだ。お互いにライフも残り少なく、次の攻撃がヒットすれば勝敗が決するだろう。いやな静寂が流れる。と、相手は突然沈黙を破り、レーザーを1発発動した。私はレーザーをからくも回避した。ほっとしていた次の瞬間、ガラガラと音を立てて頭上の地形は崩れ、私のキャラクタの上には大きな破片が降り注ぎ、大きなダメージをくらっていた。地形の一部はスキルによって破壊することにより倒壊する。その破片に激突してしまうと大きなダメージをもらってしまうということを生かした攻撃だったのだ。かくして私は敗北し、悔し涙を飲んだ私は、それから時間を忘れて対戦に没頭したのだった……。

Xbox Liveでの対戦終了時には、順位に応じてゲーム内貨幣であるTipを取得することができる。このTipでスキルを購入することができるのだ バトルエリアに存在する建物は、スキルによって破壊することができる。画面は天上が崩れ、破片がヒットしてダメージをくらっているところ



 「ファントムダスト」は自分だけのアーセナルを組み、戦略を立て、時には地形をも利用し、戦っていく。さらにXbox Liveでのマルチプレイでは、ボイスによるコミュニケーションも加わって楽しさは加速していく。純粋に勝利を求めるもよし、爽快感を重視したアーセナルを組むもよし、時には相手に合わせて普段使っていない特殊なスキルを使用するのもいいだろう。興味を持ってくれた方には、この奥深くも楽しいタイトルをぜひ楽しんでもらいたいと願うばかりだ。

(C)2004 Microsoft Corporation. All rights reserved.

□Xboxのホームページ
http://www.xbox.com/ja-jp/default.htm
□「ファントムダスト」のページ
http://phantomdust.jp/
□関連情報
【8月27日】マイクロソフト、Xbox「ファントムダスト」
エンディングテーマにVincent Gallo氏を起用
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040827/pd.htm
【8月24日】マイクロソフト、Xbox「ファントムダスト」
ガイドブックなどを同梱した初回限定版を発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040824/pd.htm
【5月15日】【E3 2004】アクションとカードバトルの融合!
ストラテジックな要素が満載の新感覚アクション
Xbox「ファントムダスト」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040515/pd.htm

(2004年10月14日)

[Reported by 山村智美]


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