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★PS2ゲームレビュー★
PS2「バーンアウト3:テイクダウン」は、クルマ同士の衝突、対向車線を走る、ドリフトなどの“危険走行”にスポットを当てた公道レースゲーム「バーンアウト」シリーズの最新作。こうした破天荒なレースゲームは海外ゲームメーカーの独壇場で、国内産のレースゲームにはない強烈かつ独特な匂いがパッケージからもビンビン伝わってくる。肝心の内容は、前作をはるかに上回る危険な匂いと疾走感に満ち溢れた素晴らしい仕上りとなっている。まずは、本シリーズを知らない人のために「バーンアウト3」の基本から解説していこう。 ■ ギア? そんなもん無い。ゴチャゴチャいわんと走ったらええんや!
アクセルとブレーキは右スティックの前後にも割り当てられているため、単純に走るだけなら2本のアナログスティックだけでコントロール可能という潔さ。ある意味、70年代後半~80年代のアーケードレースゲーム並にシンプル。この時点で「そんなので走って、何が楽しいの?」と疑問を抱かれるかもしれないが、それは性急というもの。何が楽しいと問われて素直に答えるなら「ただ走っているだけで脳汁が耳からダダ漏れするほどキモチイイ」といったところか。
ヘアピンカーブを何kmで曲がるとか、実車の挙動といった類の話は、本作には一切関係ない……というか、極端にいえば無用の長物。「バーンアウト3」は、公道を無理無茶無謀なスピードでガンガンぶっとばし、ハリウッドのアクション映画も素足で逃げ出す“ド派手なクラッシュ”を堪能するためのレースゲームなのだ。
本作のゲームモードは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを巡る「バーンアウト3 ワールドツアー」、レースやクラッシュだけをシンプルに楽しむ「シングルモード」、2プレーヤーで対戦または協力プレイが可能な「マルチモード」、最大6人まで参加可能な「オンライン」、ゲームの進行状況や獲得したリワード(報酬)が確認できる「オプション」が用意されている。メインモードは「ワールドツアー」で、前述の3エリアを舞台にさまざまなレースやクラッシュイベントを体験していくというもの。最初に選べるイベントは少ないが、タイムや被害総額などの一定条件を満たすことで、チャレンジ可能なエリアやイベントが少しずつ増えていく。
いずれにしても、プレーヤーがやるべきことは“クルマをブッ飛ばす”コレに尽きる。ただブッ飛ばすだけでも爽快感バツグンなのだが、「バーンアウト3」はカンタンな操作ひとつで脳内のエンドルフィンがドバドバ分泌される“スリリングかつ豪快なシステム”を搭載しているのが大きな特徴。それには、前述の“ブースト/インパクトタイム(R1ボタン)”と“クラッシュブレイカー(R2ボタン)”がおおいに関係してくるのだ。
■ どこって、対向車線以外にどこを走るねん ~危険走行でスピードアップ!~
「レースイベント」は、ライバルカーと競争する「レース」、トラックレコードの更新を狙う「タイムアタック」、ライバルカーをテイクダウンさせた数を競う「ロードレイジ」がある。 レースでは、画面下にある“ブーストメーター”がとても重要な役割を占める。ゲージが溜まっているときにR1ボタンを押せば、クルマが爆発的に加速。押している間は、ガードレールなどに接触しない限り300kmオーバーの驚異的なトップスピードが維持される。ゲージを溜める方法は、以下のとおり。
「クラッシュイベント」は、一定の区間(ジャンクション)で他のクルマに体当たりすることで大規模なクラッシュを発生させるというもの。クラッシュの規模は“被害総額”で算出され、巻き込んだ一般車両の数、種類、走行中にゲットしたアイテムなどで増減。巻き込んだ一般車両の数が、各ジャンクションごとに決められた一定数を超えると“クラッシュブレイカー”が使えるようになる。 “クラッシュブレイカー”は、R2ボタンを押すとマイカーおよび周辺が爆発炎上するという強烈なシステム。当然ながら、なるべく多くの一般車両を爆発に巻き込むほど被害額が加算される。なお、「クラッシュイベント」では、クラッシュブレイカーとジャンプ台を使ったアクロバットジャンプの最中は、前述のインパクトタイム同様にR1ボタンを押すことでスローモーションになりマイカーを微妙にコントロールすることが可能になる。
頻発するクラッシュシーンは、すべて詳細な物理計算に基づいて再現されているという。壊れ方も芸が細かく、丁寧に作りこまれたグラフィックとの相乗効果は“素晴らしい!”の一言で、派手なエフェクトや計算されたカメラワークにより、前作をはるかに上回る強烈なインパクトとスケール感を実現している。これが安っぽい作りなら「あ~、またクラッシュね。ハイハイ」となってしまうが、その点「バーンアウト3」は、クラッシュするたびに新鮮な衝撃が味わえる。爆笑モノのクラッシュシーンを目の当たりにしたときなどは「これ、リプレイ保存して編集できたら最高なのになぁ」と思ってしまうほどだ。
各イベント終了後には、タイムや被害総額と一緒に“バーンアウトポイント”が表示される。バーンアウトポイントは危険なドライビングを成功させると獲得できるボーナスポイントのようなもので、被害総額とともに一定のランクをクリアするごとに前述のリワード(報酬)が与えられる。 ■ くれるモンはナンボでも ~貰って嬉しいリワードの数々~
数あるリワードのなかでも、やはり一番嬉しいのが「ガレージ」ではないだろうか。獲得したクルマは、シングルモードなどで使用可能。登場車種は、小型車、セダン、スポーツカー、バン、トラック、レトロカー、消防車、レーシングカーまで多種多様。イベント前のロード画面で“予告編”よろしく「○×ポイントで□△獲得!」などと表示されることがあるため、見かけるたびに「よっしゃ、消防車ゲットするまで頑張るでー!」などと、ついつい気合が入ってしまう。 本作はボリュームがかなりあるため、約60種類以上あるとされているガレージをすべて埋めるには相当な時間が必要。とはいえ、レースとクラッシュともに1回のイベントが数分で終わるため、冗長感はゼロに等しい。むしろ、激しいスピード感や豪快なクラッシュシーンと相まって“やめどき”を見計らうのが難しいくらい。「あと1回だけ……」と思ってプレイしていると新しいリワードが出現し「よっしゃ! それじゃ、もう1回だけ」となってしまうことが多々ある。
イベント前のロードやオートセーブで若干待たされることを除けば、実にテンポがいい。忙しくてゲームをプレイするのにまとまった時間がない人には、もってこいのゲームといえそうだ。
■ 中身はゴッツイ歯ごたえ。一見ライトな仕上がりも、実は“やりこみ派”向けか
被害総額やバーンアウトポイントなどはクリアに失敗しても累積するため、プレーヤースキルに関係なくプレイしたぶんだけ見た目に反映する部分が残されている。しかし、メインモードの各イベントをクリアしていくとなれば、結果に応じて与えられる「ゴールドメダル」、「シルバーメダル」、「ブロンズメダル」といった3段階評価のうち、最高位のゴールドを獲得しなければならない。シルバー、ブロンズでは“クリア”とみなされないのだ。 ゴールドを獲得するには、ほぼノーミスでイベントをクリアする必要がある。たとえばレースイベントなら、常に対向車線、R1押しっぱなし、ノークラッシュが基本。唯一の救いはコース状況がランダムではないことだが、300kmオーバーで対向車線を走行し、ヘッドライトの光を頼りにクラッシュを回避しながらゲージを維持しつつパーフェクト走行というのは、クチでいうほど簡単にできるものではない。橋げたなどの障害物が散在するコースなどは、わかっていてもイージーなワンミスが大クラッシュにつながってしまう。 このときばかりは、「バーンアウト3」の売りである“ド派手なクラッシュシーン”を笑ってはいられない。クラッシュイベントについても、ゴールド獲得に専念すると、肝心のクラッシュシーンよりも“被害総額”にばかり目がいってしまう。クラッシュイベントはアイテムなどで獲得条件のマージンにも多少は余裕があるといった印象だが、レースイベントに関してはかなりギッチギチで、クルマのハンドルでいえば“ほとんど遊びがない”状態に等しい。 筆者などは、ゲームを購入したら一応はオールクリアを目指すタイプだが、そういう人が本作を購入するならば、大げさにいえば“多少の覚悟は必要”かもしれない。ただし「全部やらなくても、ワンメイクレースとかオンラインで気持ちよく遊べればいいし」という人には「バーンアウト3」は間違いなくオススメできる秀逸な作品といえる。
ちなみに筆者のクリア状況は、睡眠時間をのぞく実質2日で全体の約1/5といったところ。ゴールド獲得まで同じイベントに何度もチャレンジして、この有様。正直、自分でもヘタレだと感じているが、それでも年内には何とかコンプリートしたいと思っている。まだまだ序盤にすぎないため、果たしてどうなることやら……。
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□エレクトロニック・アーツのホームページ (2004年10月14日) [Reported by 豊臣和孝]
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