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World Cyber Games 2004現地レポート

WCG 2004 Exhibitionレポート その1
VUGが「SWAT 4」と「Empire Earth II」を一般初公開

会期:10月6日~10日(現地時間)

会場:Bill Graham Civic Auditorium

 現在米国サンフランシスコで開催されているWCG 2004では、メインコンテンツであるトーナメントに加え、パートナー各社のブースも設けられ、選手やプレスだけでなく、一般来場者に対しても広く公開されている。出展内容は、WCGというだけあって、対戦型のオンラインゲームが中心となっているが、そのほかにもマザーボードやキューブ型PC、ビデオカード、ゲームコントローラと多種多様な出展内容だった。本稿では、中でも今回、メーカー単独としては最大規模のブースを構えていたVivendi Universal Games(VUG)の新作タイトルを紹介していきたい。


■ リアル系SWATシミュレータとしてチューニングされた「SWAT 4」

一般初出展となった「SWAT 4」。グラフィックスの美しさにひかれたのかギャラリーも多かった
「SWAT 4」のゲーム画面。廃墟を進むSWAT隊員。スポットライトにはHDRレンダリングが使われており、距離と照射角に応じて光量がダイナミックに変化する。レンガや隊員の服の質感にも注目したい
 望外の収穫といえたのが、Sierra Entertainmentの代表作「SWAT」シリーズ最新作「SWAT 4」の出展である。シリーズ第4弾として2002年に発表された「SWAT: Urban Justice」は、E3 2002での出展後、数度の発売延期の発表を経て、今年になって正式にキャンセルがアナウンスされたばかり。「SWAT 4」にしてもE3で発表(未出展)されたばかりのタイトルだ。

 デベロッパーは、「System Shock II」、「Freedom Force」、「Tribes Vengeance」などひと癖もふた癖もある名作アクションゲームを手がけてきたIrrational Gamesが担当。発売ブランドはSierra Entertainmentで、Vivendi Universal Gamesより来春の発売予定となっている。

 VUGブースでは、プレイアブルのデモ機を4台並べ、マルチプレイを楽しむことができた。WCGでの出展だけあって来場者の反応も上々だった。ブースにはIrrational Gamesのゲームデザイナーと、VUGのプロデューサーが来場者の反応を見るために出席していたので、いろいろ質問をすることができたのもラッキーだった。

 「SWAT 4」は、'99年に発売された「SWAT 3: Close Quarters Battle」に続く、「SWAT」シリーズの第4弾。本来ならば2002~3年に「SWAT: Urban Justice」に発売されていたところを同作がキャンセルになったため、「SWAT」シリーズ初のライセンスタイトルであるXbox版「SWAT: Global Strike Team」(2003年発売)を抜きにすると、実に6年ぶりの新作ということになる。

 SWATは、よく知られているようにロサンゼルス市警に所属する特殊部隊で、シリーズでも常にロスが舞台となっていたが、「SWAT 4」では2007年のニューヨークにSWATが出動するという、ちょっとした仮想世界を扱っている。

 念押ししておくと、「SWAT 3: Close Quarters Battle」とはまったく別のゲームで、開発もSierra内部ではなく、Irrational Gamesを採用。グラフィックスエンジンも拡張性に優れた内部エンジンは破棄し、Unreal 2.0世代のエンジンを新しく採用している。同じUnreal 2.0ベースの「Tribes Vengeance」エンジンが直接のベースになっており、これをカスタムしたものを採用しているという。

 グラフィックスの美しさはまさに圧倒的で、「DOOM III」はもちろん、「Half-Life 2」にも勝るとも劣らないリアリティ抜群のディテールを実現している。特に力を入れているのはバンプマッピングで、床や壁、オブジェクト類はもちろんのこと、SWAT隊員やテロリストが着ている服や、テロリストの髪に至るまで、細かくバンプマップが施されている。スポットライトで照らすと、バンプマップが施されたポイントがテラテラ光り、なかなかリアル。最大のライバルである「Rainbow Six」シリーズをあらゆる点で凌駕しようという意志がありありと感じられるグラフィックスだ。

 ゲームモードは、ニューヨークの治安回復を目指すシングルプレイキャンペーン、複数で協力してキャンペーンをプレイするCoopモード、最大16名によるマルチプレイ、そしてゲームの操作方法からSWATチームの指揮、テロリストの逮捕といった一連の操作を学べるチュートリアルの4種類。ブースでは、WCGだけあってマルチプレイモードのみの出展だったが、他のモードの開発も着々と進んでいるようだ。

 まずキャンペーンは、“SWATシミュレータ”としての原点に立ち返り、「SWAT: Urban Justice」やXbox版「SWAT: Global Strike Team」で注力されたゲームとしての楽しさよりも、SWATを指揮できる楽しさを重視したという。

 具体的な例としては、右クリックメニューによるチームに対する細かい指揮で、これは「Rainbow Six」に倣ったものと見られる。そして、銃弾にペイント弾やゴム弾の採用もいかにもSWATらしい新要素だ。これらの特殊弾を用いることで、狙撃したテロリストを殺害することなく捕縛する事が可能になる。

 実際にデモ機ではゴム弾を使用することも可能で、ゴム弾がヒットすると画面全体が激しいモーションブラーの効果に襲われ、戦闘能力が著しく低下していた。ターゲットを必ず捉える必要があるステージなどで大いに活躍しそうな新要素だ。

「SWAT 4」に実装されたバンプマッピングの効果がよくわかる2カット。床のシートや壁に貼られた新聞紙などはともかく、キャラクタの服や髪に至るまでバンプマップが施されているのには驚かざるを得ない

VUGブースには「SWAT 4」、「Empire Earth 2」以外にも、「Tribes Vengeance」、「Men of Valor」、「Riddick」といったアクションタイトルが出展されていた。ちなみに左の写真の左から2番目に座っているのは、試合を終えて「Tribes Vengeance」を楽しむenza選手だ


■ システム、デザイン、グラフィックスすべてが新しくなった次世代RTS「Empire Earth II」

「Empire Earth II」コーナー。単にゲームをプレイするだけでなく、マルチプレイの仕様やオプションなどを確認する来場者が目立った
取材に協力して頂いたEE2プロデューサーのPeter Cesario氏。EE2はWCGの競技種目になることを狙ってますかと聞くと元気に「YES!」との答え
「Empire Earth II」のゲーム画面。攻撃ヘリが建物に対してミサイル攻撃を仕掛けているシーンだが、中東の雰囲気が良く再現されている
 「Empire Earth II (EE2)」は、E3に続いての出展となるが、一般公開は今回が初めてとなる。ブースでは「SWAT 4」同様プレイアブルの形で出展され、RTS久々の大作としてRTSファンに大いにアピールしていた。

 今作は開発元が前作のStainless Steel Studiosから、前作のアドオンを開発したMAD DOC Softwareに変わっており、リードデザイナーも初代AoEのクリエイターとして知られるリック・グッドマンではなくなっている。

 EE2で特筆されるべきポイントは、ルーティンワークの国家育成、ロボット的な操作を要求されるインターフェイスといった現在のRTSの課題に対して、具体的な解答を用意しているところだ。

 まず国家育成では、なんといってもQuick Startモードが新しい。これは、あらかじめ建物やユニットが配置された状態からスタートするゲームモードで、初期ユニットは、バランス型、攻撃重視型、防御重視型、生産重視型といった複数のプランが用意されており、プレーヤーのプレイスタイルに応じて選ぶだけで、すぐにダイナミックなゲームプレイを楽しむことができるようになっている。

 インターフェイスでは、Picture in Picture(PIP)機能が斬新だ。これは要するにサブカメラ機能で、EE2では常時右下に用意されていて、6カ所のポイントを任意で定点観測することができる。EE2のPIP機能で斬新なのは、このカメラに対しても直接操作が行なえるところ。言うなれば同時に2画面分の情報を常時表示させることができるわけで、これまでのようにショートカットキーで慌ただしく視点を切り替える手間は格段に少なくなる。

 インターフェイス部分でもうひとつ新しいのは、画面全体に精細マップを表示させる全体マップ機能の導入。このマップでは、ゲーム世界全体の資源ポイントやユニットたちの動きを確認できるだけでなく、ここから直接指示を下すことも可能となっている。

 さらにこの全画面マップには、特定の資源をクリックするだけで、村人たちがその資源の採集に向かってくれるCitizen Managerと、自分の拠点から矢印を伸ばして最終的な攻撃プランを、チームメンバー全体に示すWar Plans機能が搭載されており、この全体マップ画面を駆使することで、さらに高度な戦略をとることが可能になる。特にWar Plans機能は、すっかり廃れてしまったチームマッチ復活の予感を感じさせるユニークな機能だ。

 そのほかに注目されるのは、グラフィックスの強化。前作におけるダイナミックなズームインズームアウト機能はそのままに、ズームイン時は、これはFPSと言っても通用しそうなぐらいにハイディテールなポリゴンモデルを採用している。時代設定は紀元前800年から2,400年までということで、原始人からロボットまで多種多様なポリゴンモデルが用意されている。

 そして天候の概念の追加により、グラフィックスに大きな変化をもたらすと同時に、天候によって視界が劇的に変わったり、航空部隊の離発着、爆撃ができなくなるといった具合に戦術面での多様化が盛り込まれている。天気は、雪、吹雪、砂埃、雨、風、嵐の6種類。これに伴い、見張り台には数日間の天気予報機能が付き、これに従って随時戦略を変えていく必要があるということだ。

 最後にEE2の基本仕様をまとめておきたい。まず登場国家・文明は、全時代合わせて14勢力。この中には日本も入っているが、キャンペーンは韓国、ドイツ、アメリカ、ターニングポイントの4本となっている。このあたりは歴史の深さ、役割によって選ばれたというよりも、単純にPCゲーム市場の規模に応じたチョイスと言えそうだ。

 国別キャンペーンは、時代別に複数のシナリオが用意されており、最後のターニングポイントキャンペーンは、文字通り歴史転換の契機となった戦いを描いたシナリオが集められていて、ノルマンディ上陸作戦のドイツ、連合軍と中国三国志の魏と呉のシナリオが確認できた。

 マルチプレイは、前作同様にスタートする時代、進化可能な時代の範囲などを設定してプレイできる。GameSpyのシステムを採用し、最大10名で楽しめる。発売時期は来春を予定し、早ければ年内にもマルチプレイのβテストを実施するという。RTS待望の大作の登場と言えそうだ。

【全体マップ画面】
EE2の革新的な要素のひとつである全体マップ画面。単に資源やユニットの位置を確認できるだけでなく、この画面からダイレクトに指示を出すこともできる。War Plansで設定した侵攻ルートは、チームメンバー全員の小マップに反映される。これもまたユニークな機能だ

【最新スクリーンショット】
WCGのために用意したという最新スクリーンショット。このディテールで、さらに嵐や吹雪になるとかなり処理が重そうだった。いずれにしても3,000年の地球の歴史を今までにない細かさで描いたRTSになるのは間違いなさそうだ

(C) 2002-2004 Vivendi Universal Games,Inc All rights reserved.

□World Cyber Games 2004のホームページ
http://www.worldcybergames.com/
□World Cyber Games 2004日本公式サイトのホームページ
http://www.worldcybergames.jp/2004/

(2004年10月10日)

[Reported by 中村聖司]


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