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★PS2ゲームレビュー★
■凶悪な生物・人間が住む地球でイタズラ修行!
「地球」……それは、全宇宙の住人が最も恐れる凶悪な生物「人間」が住む星。もし宇宙人であることがばれたら、袋叩きにあってしまうという非常に危険な場所だ。また、人間達はイタズラをすると「怒る」という習性を持っており、怒り狂う彼らから逃げ出す手順も考えなくてはならない。 まさに「イタズラのエベレスト」と、言うべき場所なのである。危険な場所にただ1人向かう健気な宇宙人コズミ君。彼はいまだ誰も成し遂げていない地球でのイタズラ修行を成功させ、故郷に錦が飾れるであろうか? 「リトルグレイ」を思わせるコズミ君のデザイン、テーマパークのような楽しいステージ、悪ノリ気味のイタズラ表現。本作「めいわく星人パニックメーカー」独特のセンスが光るアクションゲーム。プレーヤーはコズミ君となって、各ステージの住人相手にイタズラをしかけ、クリア条件達成を目指す。 独特の味のあるグラフィックで楽しそうな街を再現。カジノを思わせるデザインの「カジノランド」や、西部劇をイメージして馬が暴走しまくる「ウエスタンランド」などなど多彩なテーマに沿った形で表現している。 街の住人も頭身が低く設定され、キャラクタも大きいため、カンカンになって怒って追いかけてくる姿など、リアクションがわかりやすい。イタズラの楽しさは、このリアクションがあるから何倍にも増すのだ。コズミ君は街の住人に化けてイタズラをするので、彼らはまたプレーヤーキャラクタでもある。楽しそうにイタズラを「仕掛ける」姿もまた面白い。 音楽もまた良い。非常にポップな調子で、作品世界にマッチしている。各要素が高いレベルで世界観を支えていて、楽しいゲーム空間を演出している作品である。
■人間に化けて、イタズラしまくれ! 本作は面クリア型のアクションゲーム。シングルプレイでは全8ステージに挑戦する。各ステージには、「ライバルより多くコインを取れ」、「コインを500枚集めろ」、「敵が持っているコインを全部奪え」といった目的があり、これらの条件をクリアするべくプレイすることになる。 コズミ君は宇宙人である正体を知られてはならない。まずキャプチャーガンで街の住人を吸い込み、その人間の姿となって街に紛れ込む。住人はそれぞれイタズラをするためのアイテムを持っている。道の真ん中で大音響の調子っぱずれの歌を歌う「カラオケ」や、バネ仕掛けのパンチを繰り出す「ボヨヨンパンチ」、さらには雷や爆弾で攻撃をすることもできる。 真っ黒焦げになったり、しびれたり、パイを投げつけられたりと、住人達はコズミ君のイタズラのせいでさんざんな目に遭う。その瞬間、被害者達は「コイン」を落とすのである。これを集めることがクリアへの道。住人達はイタズラされると当然怒り狂ってプレーヤーを追いかけてくる。 もし住人達の攻撃を受けるとコズミ君は正体がばれてしまう。そうなる前に、他の人間をキャプチャー、ステージに浮遊しているUFOにたどり着けば、姿を変えることができる。さっきまで追いかけていた住人達は、対象を見失い、怒りを解く。イタズラ再開の準備完了、というわけだ。 アイテムには、攻撃系の他に、移動スピードを早くする「ローラースケート」や、コインを吸い取る「掃除機」など補助系のものも多彩だ。さらに画鋲やオナラなど、追いかけられているときに効果的なアイテムもある。状況にあったアイテムを使い分けることが重要だ。 アイテムは、キャラクタに密接に関係している。おばちゃんキャラクタは必ず掃除機を持っているし、女子高生はカラオケというちょっとコテコテなラインナップ。他に、ステージならではの仕掛けとアイテムがある。また、ティラノサウルスやサメといった自分さえ攻撃されかねない危険なアイテムもある。 多くのコインをゲットするには、「コンボ」が必要となる。一個のアイテムで最大の効力を狙うには、住人をうまく1カ所に集めるのがコツだ。怒らせて適度に距離を取りつつ、他のキャラクタにもちょっかいを出し、大人数に追いかけられる、という方法が基本となるだろう。 宇宙人の正体がばれると、多くのコインをその場にばらまいてしまうが、無条件にすべての人から追いかけられるので、コンボチャンスの可能性がある。宇宙人になってしまうとアイテムは使えなくなってしまうが、キャプチャーガンの中にデータがあればUFOにさえたどり着ければその場でイタズラができるようになる。大量得点のチャンスなのである。 この、ピンチがチャンスになる感覚は、たとえが古くて申し訳ないが、「パックマン」的な爽快感がある。相手をひきつけてひきつけて一気に逆転、オバケに追いかけながら、パワーエサを目指すあの感覚が蘇るのだ。 その爽快感を得るためには、ステージを覚えたり、アイテムの使いどころを考えたり、有効なアイテムを持つキャラクタをあらかじめキャプチャしておいたりと、「仕込み」が必要となる。うまくいくことを夢想しながら、いろいろ仕掛けていく高揚感はまさに「イタズラ」の醍醐味だろう。 パズルゲームなどにこういった“準備”の楽しさは継承されているが、面クリア型のアクションゲームでこういった感覚を体験できるのは、筆者にとって久し振りであった。限定されたフィールドをきちんと把握し、ピンチをチャンスに変える。「ハイスコア」を狙っていた昔のゲームの駆け引きが、本作には継承されているように感じた。うまいプレーヤーのテクニックを見てみたいと思わせる作品だ。 筆者自身は「下手の横好き」という程度のアクションゲームの腕前しかないため、「イージーモード」でクリアを目指すのが精一杯。しかし、イージーだとちょっとゲームバランスがヌルく、無我夢中でプレイしていると、何とかなってしまう場合が多かった。セカンドプレイからはノーマルでプレイしてみたのだが、こちらは結構な歯ごたえ。いくつかのステージは「攻略」の必要性を強く感じた。やりこむ楽しさも、ちょっとノスタルジーを感じさせるのである。
■「バイオハザード」のラクーンシティーまで登場。 多彩で凝ったステージの数々 8ステージはどれも個性豊かになっていて、仕掛けも楽しい。「ウエスタンランド」ではガンマンが銃をぶっ放し、逃げるときも一苦労。ガンマンをキャプチャーすればその銃がプレーヤーのものになる。その弾を馬に当てれば、馬は大暴走、街の住人をなぎ倒す。 「トゥームランド」は遺跡のステージ。映画インディ・ジョーンズの冒頭シーンを思わせる巨石がごろごろとステージを転がりまくる危険なステージだ。ここの住人はボーリングの球をもっていて、使うとあたった住人はピンに変身して吹っ飛ばされてしまう。 プレーヤーは人間に化けているとき一度ダメージを受けると「服」が脱げてしまう。キャラクタデザインとしては、いわゆる「萌え」とはちょっと違った方向にある本作だが、「カジノランド」に登場するセクシーなバニーガールは服が脱げたらどうなるのかな? といった、ちょっとしたお色気要素もあるのが楽しい。 「バイオハザード」シリーズをモチーフにした「バイオランド」があるのは、カプコンならではだろう。シリーズのファンにはおなじみのラクーンシティーで、追跡者相手に戦うことになる。ゾンビはもちろん、ジルやカルロスといったゲームに登場するキャラクタもキャプチャして、ロケットランチャーも使いこなして追跡者に迫る。ゾンビに変身できる、というのも、本作ならではの楽しさかもしれない。ゾンビが徘徊しているのに、妙に和んだ雰囲気があるのがユニークだ。 各ステージには「パニックタイム」という時間が設定されている。一定時間危険な時間になる仕掛けになっていて「パイレーツランド」では海賊船からひっきりなしに砲弾が降り注ぎ、「バイオランド」では?アイテムがマイナスアイテムであるウィルスに変化、「ココタウン」では車が大暴走して住人を轢いてしまう。 プレイの仕方によってこの時間をやり過ごす方法が用意されている。「バイオランド」では人間系のキャラクタに変身していれば影響は受けないし、「パイレーツランド」では海賊船に行っていれば砲撃は止まる。また、「トゥームランド」ではパニックタイムに黄金の石が転がってくるのだが、うまく壊せば大量のコインをゲットできる。ステージごとの特性をつかんでうまく稼いでいきたい。 ちょっと注意しなくてはいけないのが、「ホラーランド」の死神だ。このキャラクタは変身をしてもプレーヤーを追いかけるという大変厄介な敵で、倒すには神父が持っている魔法陣を使わなくてはいけない。追跡を諦めないという特性から、危険だがうまく逃げ続ければ、大量の敵を集めることができ、魔法陣で一気に退治することで大量得点をゲットできる。この爽快感は他のステージでは味わえないものだ。 筆者にとって本作は、「間口が広いながらも、かなりやりこめる作品だ」、という印象を持った。ノーマルの難易度で難しく感じたのが「バイオランド」で、プレーヤーは追跡者に攻撃を与える、という他のステージとはちょっと違う攻略法を求められる。この作品は「決まった敵にうまく軸線を合わせて当てる」タイプの作品とは、ちょっと方向性が違う感触がある。また、キャラクタ描写が大きいため、見下ろし型のアクションゲームほど「全体を見通す」という感覚に乏しく、戦略よりも場当たり的な対応に終始してしまった感もあった。 しかし、この問題は、筆者が本作に慣れていないからなのである。ステージの構成や、カメラの操作を覚えると、本作はもっと面白くなるだろうなあと、強く感じさせられたのだ。相手に追いかけられているとき、キャラクタを一網打尽にするのにはうまいカメラワークが必要になる。やりこむことで楽しくなることが容易に予想できるのだ。 ただ、これだけやり込み要素を持った作品なのに、シングルプレイでは、ゲームをクリアするまで一度クリアしたステージに再挑戦できないのは大きな疑問だ。セカンドプレイでも、ステージ制限の条件が残るなど、ちょっと疑問の残るポイントもある。ステージごとにハイスコアを記録し、その記録を更新していくタイプのゲームだと思うが、本作のプレーヤー評価要素は、いかにセーブをせずに、全ステージを安定してクリアしていくか、となっているのだ。ちょっとゲームの方向性とのズレを感じてしまった。最も、ハイスコア要素はVSモード等で追求されているから、あえてシングルプレイは「差別化」を図ったのかもしれない。 シングルプレイ以外では、対戦やチャレンジモードなど画面分割による接客プレイも楽しめる。非常にポップで楽しいゲームなだけに、女の子にも受けが良いだろう。イタズラでの相手のオーバーなリアクションは低年齢のプレーヤーも笑って楽しめる。クリアを目指すだけなら難易度は決して高くない。接待ゲームとしても活躍してくれそうだ。 また、これは本当にオマケ要素なのだが、カプコンの期待の新製品のCMをクオリティーの高い映像で楽しめるのは、DVDならではの特典として非常に良かった。筆者のお気に入りはバイオハザードの映画のCM。皮肉な調子を含めて、アンブレラの薬のCMをやっているシーンが特に良い。老婆が、その薬を使うと美女に若返るシーンで、明るいトーンながらも、いかにも邪悪な雰囲気に満ちていて、「ゾンビを造る薬」という印象を視聴者に印象づける。映画にも強く期待させられる映像になっていた。 (C) CAPCOM CO.,LTD. 2004 ALL RIGHTS RESERVED.
□カプコンのホームページ
(2004年9月27日) [Reported by 勝田哲也]
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