TGS2004ブースレポート~韓国、台湾、中国メーカー編~
日本を含めた世界へコンテンツを発信
期間:9月24日~26日(24日はビジネスデー)
会場:幕張メッセ
入場料:1,200円(前売1,000円)
小学生以下無料
東京ゲームショウの一角には、毎年、韓国や台湾、中国といったアジアの国々からのゲームが出展されていた。通路に向けて写しているゲーム画面を見ると、日本のメーカーと比べ、「もう少しかな」と言う印象も否めない。しかし、ここ数年で急速にその幅が埋まってきている感触もある。
特に韓国のMMORPGの躍進を境に、東アジアのゲームは変わり始めている。まだ技術的には高いものではないかもしれないが、ゲームに込められたアイディアや、市場への取り組みにもユニークなものがある。今回、気になったタイトルと共に、東京ゲームショウに出展した3カ国のブースを紹介したい。
■韓国メーカー13社を集めていたゲームインフィニティーブース
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ゲーム・インフィニティーではさまざまなイベントが頻繁に開催されていた |
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スタッフふたりが楽しそうに「Digi Dance」をプレイしていたBinaryCraftブースは、注目を集めていた |
ゲーム・インフィニティーとは、韓国ゲーム産業開発院という、政府機関である。今回のブースでは13社の韓国のメーカーを日本のユーザーに向けて紹介しているとのことだ。
筆者は、ゲーム・インフィニティーの出展は非常に洗練されているように感じた。あたかもひとつの大きなメーカーのように、ブース内で、メーカーの試遊台を設置、各メーカーには日本語の通訳を付けているのである。
ブースの中央にはイベントステージを設置、ユーザーへのブースのアピールも、インパクトのあるわかりやすい形で行なっていた。そこで行なわれるイベントが、ゲームとは全く関係がない「韓国の伝統楽器の演奏」だったりするところは、コンパニオンがゲーム内のキャラクタの姿のまま綿飴を作って売っていたり、手品や大道芸人のステージがある「KAMEX」を彷彿とさせる部分がある。
今回驚かされたのが、韓国のゲームメーカーがオリジナルのXbox用ゲーム「Digi Dance」というソフトのデモンストレーションをしていたこと。PCでのゲームではなく、コンシューマ向けのオリジナルタイトルというのは、韓国や台湾では、まだ非常に少ないのである。「Digi Dance」の発売予定しているBinary Craftは、本作を年末にアメリカで発売する計画だという。韓国内ではなく、まずアメリカ向けに、そして日本向けに発売していきたいとのことだ。
お話を聞くことができたゲームインフィニティー、プランニングマネージャーのHyeog-Woo Kwon氏は今回出展した13のメーカーのうち、ふたつがコンシューマのオリジナルタイトルを制作していること、また、ゲームショウに訪れた日本以外の国の来場者からモバイルのゲームの反応が良かったことをあげ、これから韓国は自国内だけではなく、世界に向けてコンテンツを発表していくという動きがあると語った。「NCsoftやGravityといった韓国メーカーが海外に進出をはたしており、ゲームポータルとして成長している。彼らの活躍を見習っていきたい」とのこと。
またゲームインフィニティーは来年のKAMEX開催時期を目指して、より大きなゲームの祭典を計画しているという。韓国内だけではなく、日本理メーカーや、ヨーロッパのメーカーのゲームを韓国に紹介できるような大きな規模のイベントにするため、各国のメーカーに働きかけているとのことだ。
実は、今回紹介した、ゲームインフィニティーの計画や、「Digi Dance」は本誌で既にE3や、UKゲームショウの記事の中で少しだけ紹介している。それだけ韓国の世界に向けた動きは、特徴的で、目に見えるほど活発になった、ということだろう。
【Digi Dance】 |
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BinaryCraftによるXbox向け作品。プレーヤーは音楽に合わせてボタンやレバーを操作、パートナーとダンスを踊る。会場ではふたリプレイで、スタッフが息のあったダンスを披露していた。「世界初のカップルプレーゲーム」とのことだ。北米では2004年末、日本でも2005年に発売を予定しているとのことで、PS2でも同様のコンセプトの作品を制作中とのこと。次回作ではXbox
Live!に対応、通信でダンスを楽しめるようにしたいという |
【BOUT】 |
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N-LOGsoft製作のロボット対戦アクションゲーム。方向キーと、ジャンプ、攻撃そして「変身」ボタンで戦っていく。リズミカルにキーを叩くことで爽快なコンボを繰り出せるほか、ボディーパーツを装着し変身を行なうことで状況に合わせた戦い方が可能になる。ネットワークを介して、最大8人の同時プレイが楽しめるとのこと。
N-LOGsoftはこの他に、「Mystic Nights」というPS2のネットワーク対応タイトルを開発中。こちらは奇怪なモンスターに現用兵器を向かって立ち向かうホラー色の強い「生き残り」ゲームである
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■三国志と武侠ものが中心の台湾のゲーム
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台湾コーナーで最大のブースをかまえていたWay International |
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UserJoy Technologyは日本語の解説が入ったゲームムービーを紹介 |
韓国ブースの隣にありながら、非常に対照的な台湾のブース。台湾政府の働きにより、場所を確保しメーカーを募ったという形で、8社のメーカーが出展を行なっている。政府が関連しているということで、ゲームインフィニティーと他のメーカーとの関係に似たものがありながらも、そのブース構成はまったく異なっている。
各社がそれぞれカウンターを置き、自社のタイトルを紹介しているのだが、試遊台を置き、ユーザーに積極的にプレイを誘っているのはWay Internationalのみで、他はテレビに自社タイトルの紹介ムービーを流しているのみ、数社が1、2台の試遊台を設置しているという状況だった。
話を聞いてみてわかったのだが、今回出展した台湾のメーカーの多くは、ゲームのパブリッシングを行なう日本のメーカーへアピールしており、自社のタイトルへの紹介は、紙資料やノベルティーを配るという手法をとっているのだ。
そうなると、来場者は表層を見るだけで判断しがちになる。ぱっと見ただけだと、台湾のメーカーは、三国志をテーマにしたものか、かわいいキャラクタが剣法服を着て立ち回りをしているもののふたつに大別されてしまい、「似たようなもの」と判断されかねない。せっかくの各社の個性が、スポイルされてしまっている印象を受けた。
筆者は、今回出展しているUserJoy Technologyが開発し、日本ファルコムがローカライズを行なった「幻想三国志」を最近プレイしたのだが、三国志の英傑達の描写に唸らされた。曹操の器の大きさや、劉備の徳などが、翻訳された日本語メッセージからでもちゃんと伝わってきて、それは、日本の作家が書く三国志とはどこか違った感触があるのだ。
台湾の作品も、日本語にローカライズされてサービスが開始される作品も増え始めているとのことだ。台湾の人々ならではの感覚を活かした作品は、日本のユーザーにも面白い感触を与える可能性を秘めていると筆者は思っている。
【天下無双】 |
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Way International制作のMMORPG。10月15日より日本公式サイトがオープン、年末にサービスを開始する予定とのこと。古代中国の神話的世界観が舞台となり、プレーヤーは4つの武門(職業)からひとつを選択、魔族達と戦いを繰り広げていく。攻撃技が連鎖する「連招」というシステムがウリであり、爽快な戦闘が楽しめるという。
本作のキャラクタは、四川省にある開発スタジオで、いくつもの賞を受賞した「武芸の達人」たちのモーションキャプチャによってリアルな動きをする。達人のキャプチャデータは次回作であるMMORPG「SANGUO ONLINE」にも活用されるとのこと
※画像はゲーム紹介用のムービーからのもの
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【三国群英伝Online】 |
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UserJoy Technology制作の三国志をテーマにしたMMORPG。プレーヤーは武将となり、中原に覇をとなえることを目指す。最大16人の兵士を雇うことができ、彼らを率いて戦っていく。パーティーを組み、ギルド戦を行なえば、数対数の三国志そのままの戦いが体験できる。
劉備や曹操と言った英傑達もNPCとして登場し、彼らと協力することも、敵対することも出来る。ギルドシステムなども用意される予定。階級制度などもあるという
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■日本で既にサービスを開始している中国メーカー、ネットドラゴン
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既に日本進出を果たしている中国メーカー、ネットドラゴン |
中国は、台湾や韓国のように、政府主導でまとめての出展ではなく、各社での出展のようだった。大きく目立っていたのはネットドラゴン。福建省に本社があり、自社のMMORPG「幻創遊記」をサービスするために、ネットドラゴンジャパンを設立したとのこと。
ネットドラゴンの方に、「台湾では三国志のゲームが数多く出ていますが、中国ではどうでしょうか」と言う質問をしたところ、「ちょっと昔の流行だと捕らえていますね。私たちがサービスしている『幻創遊記』は、“暴力”よりも、コミュニケーションに力を入れたゲームです」とのこと。中国では600万人ものユーザー数を記録した作品とのことだ。ネットドラゴンは、今後、中国で4つほどのMMORPGの発表を予定しているという。
【幻創遊記】 |
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古代中国を舞台にしたMMORPG。ペットを育て上げる部分に特徴があり、スタート時から共にいるペットを育て交配を行ない、より優秀なペット育成を目指していく。ペットは3世代まで交配させることができるという。優性遺伝子が引き継がせ強力なペットとしていくことができるという。現在既に日本でサービスを行なっているタイトルである
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□ゲームインフィニティーのホームページ
http://www.gameinfinity.or.kr
□BinaryCraftのホームページ
http://www.binarycraft.co.kr
□N-LOGsoftのホームページ
http://www.n-logsoft.com
□Way Internationalのホームページ
http://www.wayi.com.tw/
□UserJoy Technologyのホームページ
http://www.uj.com.tw/indexJP/
□天下無双のホームページ
http://www.elysium-online.jp/
□ネットドラゴン・ジャパンのホームページ
http://www.netdragon.jp/
□関連情報
【2003年11月21日】Korea Amuse World Game Expo 2003が開催
バラエティに富んだユーザー密着型のショウに変貌
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031121/kamex_01.htm
【2月7日】Taipei Game Show 2004が開幕
ますます盛り上がる台湾オンラインゲーム市場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040207/tgs_02.htm
(2004年9月27日)
[Reported by 勝田哲也]
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