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【東京ゲームショウ2004】TGS2004 「コナミMGS3特設ステージ」イベントレポート会場:幕張メッセ
入場料:1,200円(前売1,000円)
ステージのビックビジョンには東京ゲームショウ2004が初出となるトレーラーが流された。10分ほどの映像の中で、ザ・ボスとスネークの人間模様を中心に、舞台背景や敵対する存在の面々などが次々と公開された。中でも、オセロットがガンマンのように延々と二挺拳銃をクルクル回すシーンや、5人の中ボス的存在であろう「ザ・ペイン」、「ザ・フューリー」、「ザ・フィアー」、「ザ・ソロー」、「ジ・エンド」が次々と名乗りを挙げるシーンは、往年のスパイ映画の名ライバルたちを彷彿させる熱い出来栄えであった。
わずか20分と短いものの、「MGS3」のトータル紹介、発売日の発表など様々な仕掛けで来場者を魅了した【SURVIVAL1 PROLOGUE】。ここでは、映画「スカイハイ」などで活躍中の女優・菊地由美さんとコナミの倉野さんが司会を務めた。早速登場したのはメタルギアシリーズの生みの親としておなじみの小島秀夫監督。
当の小島監督は浜村氏と海外のゲーム事情の話で「日本のゲームクリエーターは元気がない。海外に負けてる。今回の『MGS3』では海外ゲームの持つセンスを多く取り入れました」とマジメなコメントをする一方で、「僕は『MGS』が好きな人のためにやってますからね。ライトユーザーなんか●●でしまえ! 11月に他のゲームなんか買うやつはやらんでええわー!」と過激なジョークが飛び出した。しかし、その熱意はステージイベントに訪れたファンに通じたようで、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
ここでは「MGS3」のシステムが実演された迷彩パターンや姿勢などで周囲の環境に溶け込む「CAMOUFLAGE」と、スネークのスタミナゲージを回復させるためにジャングルの動植物を捕獲し食べる「FOOD CAPTURE」。そして、戦闘システムの「CQC」と東京ゲームショウ2004が初出となる医療システム「CURE」が公開された。司会は坂内さんとコナミの倉野氏。プレイの実演は開発スタッフの今泉氏が行なった。 「CAMOUFLAGE」と「FOOD CAPTURE」については本誌の既出レポート記事を見ていただくとして、ここではブースで詳細に説明された「CQC」と「CURE」に的を絞って紹介していこう。
「CQC」とはクロースクォーターコンバット(近接戦闘術)の略。ジャングル、室内での接近戦に効果的で、「MGS3」ではつかんだ敵を投げる、盾にする、床に倒して脅して情報やアイテムを入手する、といったことが可能。ここで「MGS3」のモーションキャプチャーを監修した軍事アドバイザーの毛利元貞氏がゲストとして登場。
「CURE」は読んで字のごとく、スネークが負った傷を治すシステム。メニューからCUREを選択することで、スネークの全身のダメージが表示される。「ヒルに吸い付かれている」状態は葉巻をヒルに当てて焼き殺す、骨折は包帯を巻くなどして対処する。CUREはパーセンテージで表示され、0%は何も処方がされていない状態。包帯を巻くと40%にまで回復し、骨折部位に固定具を当てると100%になり、完治するという具合だ。また今泉氏は「スネークには自然治癒能力もあり、矢が何十本と刺さった状態でもエンディングを見ることができます」とコメント。このコメントから察するに、どうやら必ずしも「CURE」とする必要はないらしい。とはいえ、迅速な「CURE」がゲームを円滑に進めるということに間違いはない。 最後にスネークの迷彩パターンを募集した「カムフラージュキャンペーン」の採用作品発表会が行なわれた。有効作品5,482点の中から選ばれたのは「suna-nami wrap(豹柄)」、「SAMANOTERENCE(包帯柄)」、「BANANA(バナナ柄)」、「Lucky Boy(排泄物柄)」。
採用作品はゲーム内のカムフラージュパターンとして採用されることが説明され、特にバナナ柄と排泄物柄をスネークに着させるとなにか特殊な効果があるとのことだ。
このステージイベントでは、プレイステーション・ポータブル用ソフト「METAL GEAR ACID」の紹介が行なわれた。同作のディレクターである野尻氏、ラインプロデューサーである日並氏が登場した。
司会者の「METAL GEAR ACID」の“ACID”の意味を教えてほしいという質問に、日並氏は「この“ACID”は小島秀夫監督に付けて考えてもらいました。音楽の新しいジャンルにアシッドテクノなどがありますが、そのような今までとは異なるメタルギア、いわば“アシッドメタル”という意味が込められていると思います。また、その他にも色々な意味が込められています」とコメントした。
さらに司会者のキャラクタイラストのテイストが変わっている、というツッコミには野尻氏が「今回のビジュアルは『アヌビス ZONE OF THE ENDERS』のイラストを描いてくれた、政尾翼氏にお願いしました」と答えた。たしかにメタルギアシリーズの持つ力強さの反面、どこかクールな印象を受ける絵になっている。
ここからはさらにゲームの中身に踏み込んだトークとなっていった。日並氏は「この『METAL GEAR ACID』の時代設定は『METAL GEAR SOLID 2』の後の世界です。ストーリーは、アメリカ上空で起こった航空機ハイジャック事件の解決を、アメリカ政府からソリッド・スネークに依頼されるというものです。ゲームはミッションクリア型で、1ミッションは15分から30分くらいになります」とコメント。携帯ゲーム機として考えると、1ミッションが15分程度というのはプレイしやすいサイズといえるだろう。 また、野尻氏は「このテリコという女性キャラクタはスネークの潜入ミッションの前に先行した特殊部隊の生き残りです。時にはテリコもプレーヤーキャラクタとなり、テリコとスネークを同時に操作するシーンもある」と語った。
この2人同時操作の意味は、プレーヤーターンにスネークとテリコを順番に動かすのか、それとも本当に2人同時に操作するのかは語られなかった。今後、続報が入り次第お伝えしよう。
「METAL GEAR ACID」は、スネークの移動手段、攻撃手段としてキャラクタや武器、医療品が描かれているカードを使用する。このカードを「MOVE」として使うことで、へックスで区切られたマップ上をスネークが移動。「USE」として使えば武器や体力回復として使うことができる。日並氏によると「カード枚数は200枚以上。今までの『メタルギア』シリーズに登場したキャラクタやスキルが登場する」とのこと。たしかにメリルやロイ・キャンベルなどシリーズにゆかりのある人物のカードが画面には映し出されていた。
最後に野尻氏は「この『METAL GEAR ACID』はまったく新しいメタルギア。ぜひ、皆さまに会場で体験してほしい」とコメントした。日並氏は「現在、鋭意製作中です。PSP本体との同時発売を目指します」と力強いコメントを残した。
このステージイベントは、小島秀夫監督が司会者とともに「MGS3」の制作秘話を語っていった。このプログラムは日替わりであり、ユーザーズデー初日のテーマは、ゲームの中でスネークや敵の動きに用いられている技術「モーションキャプチャー」。ゲストとして実際にアクターをステージ上に招き、収録現場の映像を交えてのトークショーが行なわれた。
アクターと開発チームによる収録期間はなんと半年以上。まるで家族のように親しい関係になっていたという。スネーク役の吉田氏は「厚い台本が3冊ほどあり、覚えるのに苦心した。また、ラブシーンもあり、そこの収録シーンはやるまでがとても緊張した。当日はやるしかないと思った」とコメント。ザ・ボス役の平田氏は「モーションキャプチャーもCQCも初めての体験でとても大変だった。ザ・ボスのストーリーを全て把握した上で動きを付けたが、初めてストーリーを聞いたときは目が潤んでしまった」とした。オセロット役の金澤氏は「小島監督に自分の考案したアクションを提案して色々と取り入れてもらえたのが嬉しい。私がイメージしたとおりにオセロットを演じた」と撮影風景を振り返った。イベントの最後には、三者がステージ上でアクションを実演。間近で見るアクターの流麗な動きは、来場したファンの目に焼きついたことだろう。
「MGS3」特設ステージイベントの最後を飾るのは、「SURVIVAL4 THE APE」。ここでは、ソニー・コンピュータエンタテインメントのタイトル「サルゲッチュ」シリーズの人気キャラクタ「ピポザル」が登場。なぜ、「MGS3」ステージに猿が……と首をかしげずにはいられない波乱に満ちたステージとなった。
筆者のみならず会場が爆笑していたのはスネークのボイス。声優大塚明夫氏の野太い声で「ゲッチュ!」と叫ばれた日には笑うしかない。さらに台詞もギャグを真剣にやっている感じでシュールな笑いを誘う。キャンベルからの通信でピポザルの捕獲を依頼されたスネークが「猿の捕獲なら、カケルかヒカルに任せればいい」と言い放つシーンは思わず「アンタずいぶん詳しいやないの!」と誰しもが心の中でツッコむポイントだ。
小島監督はコラボレーション実現の経緯について「今回の「MGS3」はジャングルが舞台の1つ、ジャングルといえば猿しかない(笑)。実は僕は『サルゲッチュ』の大ファン。2年前に太田氏と雑誌の対談でお会いして、何か一緒にやりたいですね、という話になった。さらに1年後にメタルギア開発チームとサルゲッチュ開発チームの飲み会を行ない交流を深めました。そして、ピポザルを試しにジャングルに置いてみたところ非常にマッチしたためにコラボレーション企画を提案しました」と語る。太田氏は「私も『メタルギア』シリーズは大好きなので、やるしかないと思いました(笑)」とコメント。 さらに太田氏の口から「サルゲッチュ」の続編を鋭意製作中であることが語られ、ゲーム内に「スネーク」を登場させることが発表された。こちらの情報も追いかけていきたいところである。
最後に小島秀夫監督は「現在は最終調整の真っ最中。皆さん大いに期待してください。明日の東京ゲームショウ2004の最終日もイベントステージがあり、プログラムが違うのでぜひご来場ください」とイベントを締めくくった。
(C)1987 2004 Konami Computer Entertainment Japan
□コナミのホームページ (2004年9月25日) [Reported by 福田 柵太郎]
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