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東京ゲームショウ2004レポート
Gravity、「ラグナロクモバイル」、「ROSE Online」を初公開 |
会場:幕張メッセ
入場料:1,200円(小学生以下無料)
今年初めて東京ゲームショウにブース出展したGravity。昨年のショウでは、日本でのパートナーであるガンホー・オンライン・エンターテインメント株式会社を介して、「ラグナロクオンライン」を中心としたコンテンツを展開していたが、今年は単独で出展し、独自展開を印象づけた。
■ 発表会の途中に「ROSE Online」のオープンβテストを電撃的にスタート
ゲーム外では、順にアジア展開が予定されている「RAGNAROK THE ANIMATION」と「ラグナロク」オフィシャルグッズを取り扱うRO SHOPなども出展されていた。今回の出展の戦略的意味合いは、ひとつは日本市場への本格展開の意思表示、そしてアジアから駆けつけてきているメディアに対するGravity最新情報の提供にあるようだ。
ショウ初日は、「ボランティアサポーターズ」の任命式が行なわれた。これはGravityならびに同社の日本法人であるグラヴィティエンタテインメントを支援する目的で募集されたボランティアスタッフのことで、「ラグナロクオンライン」のコミュニティに対して直接呼びかけを行なったRAG-FES事務局の前川氏を代表に10人がサポーターとして任命され、ブース内で来場者の対応に当たっていた。
続いて行なわれた「ROSE Online」の記者発表会では、Gravity会長の金正律氏の挨拶もそこそこに唐突にカウントダウンが開始され、0の合図と共に「ROSE Online」のオープンβテストが日本でスタートしたことを知らされた。オープンβテストが突然、しかもこういう形で始まるのも珍しい。いかにも奇抜な演出を好むGravityらしい仕掛けである。
「ROSE Online」は、韓国Triggersoftが開発しているファンタジーMMORPG。7月のGravity本社レポートでもお伝えしたように、Gravity初の大型パブリッシングタイトルとなる。日本での運営は子会社であるグラビティエンタテインメントが担当する予定で、同日日本語版の公式サイトもオープンしている。正式サービス等の細かいスケジュールについては未定となっている。
ゲーム内容は、7つの星を舞台にしたMMORPGで、トゥーンシェーダーを用いて童話とSF、そしてファンタジーをミックスしたような不思議な世界観を創り出している。これらの星は、それぞれ異なるテーマを持ち、プレーヤーは惑星間を行き来しつつ、個性に富んださまざまなエリアで冒険を楽しめるという。
同作の魅力はなんと言っても多彩な乗り物の数々で、広大なフィールドを高速で移動できるカートや戦闘に特化した大型ロボット「キャッスルギア」、そして惑星間を結ぶ空飛ぶ船「飛空艇」など、SFファンタジー的なエッセンスを随所に感じさせる。
基本的なゲームデザインは、韓国産MMORPGとしては定番であるPvPを主軸にしており、具体的にはクラン同士が戦うクラン戦、ユニオン(騎士団、教団などの集団)同士が戦うユニオン戦、そして最終的には惑星間で星の取り合いを行なう惑星戦も行なわれるという。先述したようにオープンβテストも開始されたので、興味を覚えたMMOファンは一度試してみるといいだろう。
メリハリの効いたビジュアルが特徴的。キャラクタだけでなく、装備品や武器の類、それから建物なども微妙にディフォルメされている。「Warcraft III」の影響が感じられるグラフィックスだ |
■ 「ラグナロクオンライン」との連動機能を備えた「ラグナロクモバイル」
「RAGNAROK THE ANIMATION」は、Gravityとガンホーが共同出資したROプロダクションの作品だが、ROプロダクションやガンホー、そしてテレビ東京からの出席者はいなかった。このため、アニメ事業については具体的な回答ができず、韓国メディアの満足度もいまひとつという印象だった。明らかに日本サイドとのリレーションシップがうまくいっていない感じで、Gravityは少し急きすぎではないかという印象を強くした。
日本のメディアとして要注目なのは「ラグナロクモバイル」。モバイル関連の開発会社Mobilenatureを2004年1月に買収し、Gravityが自社開発ブランドとして力を注いでいる携帯向けのゲームコンテンツだ。
ゲームの内容は、「ラグナロクオンライン」のエッセンスを取り込んだオフラインRPGとなっている。剣士、アーチャー、商人、アコライト、シーフ、マジシャンの1次職6タイプを職業別にゲーム化していくというプランで、韓国では2004年8月より「ラグナロクモバイル 1st Episode マジシャン」の公開が始まっている。オフラインRPGのため売り切りのダウンロード販売を採用していて、1コンテンツごとに200円、現在までの会員数は5万人に達するという。
「ラグナロクモバイル」の魅力の源泉は、2002年のKAMEXでの発表当時から明らかにされていたように、「ラグナロクモバイル」内で入手したZeny(お金)やアイテムを、「ラグナロクオンライン」の自分のキャラクタに贈ることができるという連動機能。つまり、「ラグナロクモバイル」があれば、どこでもお金稼ぎができるということになる。
1時間で数千Zenyから1万Zeny程度を稼ぐことができるという。200円で、携帯電話がZeny稼ぎ端末になるわけで、「ラグナロク」ファンなら興味を覚える人も多いだろう。ただし、日本で展開するとなると、その実現までには多くのハードルをクリアしなければならない。
現時点ではまだパブリッシャーも決まっていない段階で、その後にキャリア(携帯会社)の選択、そして移植作業、PCと携帯というクロスプラットフォーム間におけるセキュリティの確立、さらに仮にパブリッシャーがガンホー以外になる場合、最大のウリである連動機能の実現のために、個人情報を共有しなければならない。それを既存ユーザーが許容するかどうかという問題がある。
ただし、韓国携帯コンテンツの日本キャリアへの移植という試みはそのものは非常にチャレンジングで興味深い。韓国携帯コンテンツはどちらかというと、ゲームの仕様に対して、ハードウェアスペックが追いついておらず、今回、会場で「ラグナロクモバイル」を試遊した人ならわかるように、解像度が低い割に、処理が非常に重い。つまり、ゲームプラットフォームとしては、まだまだ発展途上の段階にある。
これを日本のキャリアに移植した場合、快適にプレイできる可能性は高い。計画によれば、11月にシーフ、12月に商人、2月にアーチャー、4月に剣士、6月にアコライトが順次公開予定になっている。将来的には2次職以降もカバーしていく考えで、2次職までカバーした暁には、レベルや経験値の連動も視野に入れているという。まだ未知数な部分が多いコンテンツだが、今後の展開が楽しみだ。
「ラグナロクモバイル 1st Episode マジシャン」のゲーム画面。インターフェイスは「ラグナロクオンライン」同様シンプルで、カーソルキーでキャラ移動を行ない、♯や*キーなどを使って登録したアクションを行なう |
□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□関連情報
【7月20日】Gravity本社訪問レポート 開発やサポートと同規模の海外向けスタッフを擁し、世界に「ラグナロクオンライン」を提供
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040720/hou.htm
(2003年9月25日)
[Reported by 中村聖司]
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