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コーエー、「信長の野望 Online~飛龍の章~」を正式発表
トライアルダンジョン、武家屋敷など新システム満載で日中2カ国展開

9月22日開催

会場:コーエー本社

 株式会社コーエーは、9月22日本社において、MMORPG「信長の野望 Online」初の拡張パックとなる「信長の野望 Online~飛龍の章~(以下、飛龍の章)」の記者発表会を開催した。会場にはコーエーの関係者に加え、同日正式発表となった中国での業務提携先である中青創先軟件産業発展有限公司(ブランドネーム:TRANSOFT)のCEO 劉乃発氏も出席し、同作の発表を祝した。「飛龍の章」の発売時期は12月中旬を予定し、価格は7,140円。オンライン限定のアップグレード版は2,940円としている。


■ 「飛龍の章」は日本と中国の2カ国展開

向かって左が中青創先CEOの劉乃発氏、右がコーエー代表取締役会長の襟川恵子氏
挨拶を行なう「信長の野望 Online」ゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウ氏。「信長の野望」シリーズで登壇するのは久しぶりではないだろうか
「飛龍の章」の説明を行なうプロデューサーの松原健二氏。「中国市場では日本の10倍のユーザー数獲得は堅い」と明言
松原氏が提示した「飛龍の章」の基本コンセプト。仮想世界の拡大路線ではなく、様々なアプローチによる新しいゲームプレイに注力されているのがわかる
 発表会ではまず最初にコーエー代表取締役会長の襟川恵子氏が、9月15日より募集を実施したWindows向けMMORPG「大航海時代 Online」のβテストへの募集が初日で16,000名を越えたことを報告。続けて、中国との深い繋がりや想いなどを自身のエピソードを交えながら紹介し、「飛龍の章」を中国で配信できることを祝するコメントを発表した。

 続いて襟川会長の紹介により中青創先CEOの劉乃発氏が登壇し、コーエーがすでに中国内で高い知名度を持つメーカーであり、「信長の野望 Online」のクオリティの高さ、そして主人公である織田信長が中国からさまざまな影響を受けた人物であることなどを挙げ、「『飛龍の章』の中国展開の成功を確信している」とコメント。「信長の野望 Online」が、武侠モノが定番である中国市場での親和性の高さを伺わせるコメントといえる。

 今回の業務提携は、「信長の野望 Online」単独の包括提携で、単なるライセンス契約による丸投げではなく、ゲーム開発や運営、ローカライズ、そしてコーエーが構築した「GAMECITY」の課金システムやアカウント管理、インゲームサポート等も含んだ提携となる。つまり現在コーエーが「信長の野望 Online」のビジネスモデルがそっくりそのまま中国市場で展開されるということになる。

 ただし、中国では課金決済がプリペイドカードが主流だったりするため、細かいアプローチに若干の違いはありそうだ。また、一口に中国市場といっても広範に渡るが、対象エリアは中国本土のみで、台湾や香港、マカオは今回の提携には含まれないという。といっても中国語版が出れば、台湾、香港ユーザーの流入は避けられないわけで、このあたりはどうなるのか今後注目されるところだ。

 発売プラットフォームはWindows版のみ、正式サービス開始時期は日本が今年12月中旬予定に対して、来春スタートが予定されている。見込みのユーザー数については明示しなかったが、松原氏の概算に寄れば「日本の10倍は堅い」としており、累計で100万、課金者数で55万程度は見込んでいるようだ。

 ゲームの概要説明では、ゼネラルプロデューサーのシブサワ・コウ氏が登壇し、「正式サービスから1年3カ月ぶりにサーバーとクライアントソフトを作り替え、さらに生き甲斐のある新戦国コミュニティを提供する準備が整った」と報告。自身もハマっているようで、「毎日2時間、休みの日で時間があるときは5、6時間プレイし、時には会長から白い目で見られながら、オンラインゲームの楽しさにハマっている」と報告。

 同社の最高顧問がバリバリ現役のプレーヤーというのは、開発サイドからすればやりにくくてしょうがないような気もするが、ユーザー側からすればこれほど強力な追い風もないだろう。いずれにしても氏の全面的プッシュのコメントといい、中青創先の包括提携といい、コーエーは「信長の野望 Online」というコンテンツに対してまだまだチャレンジを続けていくという意志を強く感じさせた。

 実際のゲームの説明は、同作プロデューサーの松原氏が担当。「飛龍の章」は、新エリアや新職業といった既存のデータディスクなどとは性質が異なり、既存ユーザーには新しいアプローチの楽しみを、そして新規ユーザーのためには間口をグッと広げる工夫を凝らした内容となっている。

 これは「甲信越、東北、北陸、近畿地域の21カ国でスタートし、サービス開始後は徐々に国を広げ、最終的には日本全国をカバーする」という初期の構想からはずいぶんかけ離れた内容で、事実上の大幅な軌道修正と言える。ただし、初期の構想と今回の発表内容のどちらがおもしろそうかというと圧倒的に後者で、同社もようやく地に足の着いたMMOビジネスが展開できるようになったという点で、肯定的に評価できる。


■ MMOのトレンドを詰め込んだ魅力の新要素の数々

 さて、「飛龍の章」で追加される新要素を箇条書きにすると以下のとおりとなる。

・レベルキャップを50から60まで引き上げ
・「武家屋敷」の所有、増改築が可能に
・「トライアルダンジョン」システムの実装
・装備品の多数追加&装備箇所に「腕」、「足」、「お守り」、「紋所」を新設
・新しい経済基盤「知行」の導入
・合戦システムに「兵種」、「前哨戦」のシステムを導入
・「流派」、「官位」など数百種類の称号を導入

「飛龍の章」の目玉要素である武家屋敷。庭石、灯籠、井戸、池、花畑といったものが確認できる手前にあるのは門だろうか
装備品は「腕」、「足」、「紋」、「守」の4カ所も増える。これらのアイテムは「飛龍の章」をインストールしないと装備できない
 中でも要注目なのが「武家屋敷」、「トライアルダンジョン」、「知行」の3項目だろう。「武家屋敷」は、いわゆる自宅を持てるというシステムで、土地を購入し、庭園付きの武家屋敷を建てることができる。ただし、お金さえあれば、無尽蔵に豪邸を建てられるというわけではなく、土地の規模は、所属勢力の規模と、自らの身分に比例する。

 屋敷内は、布団やタンス、囲炉裏、屏風といった和風アイテムを自由に飾ることができ、防具一式を見せ物としておくこともできる。庭石や池、灯籠などを購入すれば、美しい日本庭園を構築することも可能。納屋にはアイテムを保管しておくこともできるなど、ビジュアル、システム両面で、プレーヤーの楽しみが大きく広がる機能だ。

 この「武家屋敷」は、既存エリアのフィールド上に存在するのではなく、専用エリアへの移動が必要となるようだが、友人を呼ぶことも可能だという。仮想戦国世界の雰囲気は維持しつつ、自分と自分のコミュニティだけの専用エリアが用意されると考えると、このシステムの魅力が理解できるだろう。

 「トライアルダンジョン」は、「飛龍の章」でもっとも大きなチャレンジと言えそうな新要素で、ここ数年で主要MMORPGがもれなく実装しているトレンド機能のひとつ「プライベートダンジョン」の「信長の野望 Online版」と捉えると理解しやすい。

 仕様的には、物理的な移動時間、レベルと目的の合致したユーザーを捜す時間、探索からクリアまでに必要な時間といった数々の時間的な制限を打破する目的で用意されたダンジョンで、「低レベルから高レベルまで、1人から7人まで、全体の所要時間は2時間程度」と、要するに全ユーザーを対象とした夢のようなダンジョンだ。

 このシステムの素晴らしさは、単にプライベートエリアで冒険ができるというだけでなく、ユーザーのレベル、徒党の規模に応じて、敵の強さまで含めてダンジョンが自動生成されるというスケーラブルなシステムを採用しているところだ。まだ、ダンジョンへの入り方や、ボス撃破時の報酬など、具体的な仕様については明らかにされなかったが、「町と直結」しており、特定のNPCに自らのダンジョン行きを申請すると「レベル・職業バランスのとれた徒党を自動編成する」という。繰り返すが本当に夢のようなダンジョンである。

 ここまで親切設計だと「果たして実現できるのか?」と疑ってしまうが、世界観の整合性より、ユーザーニーズを優先させたこのチャレンジはいちユーザーとして大きく評価できる。ぜひとも実現に向けて開発を進めて頂きたいところだ。

 なお、既存の高レベルを対象にしたダンジョンも、「飛龍の章」でのレベルキャップの解放に伴い、新しくレベル60向けのダンジョンが用意される。場所については「ぜひ自分の足で探してみてください」ということだが、今回新エリアは追加されないため、既存エリアのどこかということになりそうだ。

 3つめの「知行」については、生粋の「信長の野望」ファン、そして生粋の生産要素好きのための新要素。プレーヤーは「飛龍の章」で、新たに所属勢力の規模や、身分に応じて「知行」を獲得する。自分の知行地では、NPCを雇って「開墾」や「治水」を指示したり、投資金額を決めたりすることができる。知行地が発展すれば、特産品の収穫量が増え、より高級な特産品が得られる仕組みだ。

 松原氏はモデルケースとして、「今日はプレイする時間がないから、自分の知行地でNPCに指示だけ出しておく」というプレイスタイルを紹介。トライアルダンジョン共々、マイペースで楽しめるMMORPGを目指していることを強くアピールした。

 ちなみに「信長の野望 Online」のメインコンテンツである戦闘システムは、従来の合戦システムに「前哨戦」と「兵種」という2つの要素が新たに盛り込まれる。「前哨戦」は、合戦の告知から合戦開始までの1週間(現実時間)で行なわれる戦いで、合戦ではプレーヤーキャラとNPCが入り乱れての戦いとなるが、前哨戦にはNPCは存在しないため、純粋なPvPが楽しめるようになっている。

 この「前哨戦」では同じレベル帯のプレーヤー同士をマッチメイクするというトライアルダンジョンに似たシステムを採用しているため、純粋にプレーヤースキルを試す戦いが堪能できる。いまのところ「前哨戦」の結果が合戦に与える影響は不明だが、興味深い新システムだ。

 「兵種」は、「信長の野望」シリーズ的な概念で、従来の近接戦闘(エンカウントバトル)に加えて、兵種が持つ「特殊コマンド」によって戦いの趨勢を左右することが可能になるというシステム。兵種は歩兵、射手(鉄砲手)、騎兵の3種類があり、騎馬突撃などの特殊コマンドを使用することによって相手を攪乱したりすることが可能になるようだ。

 なお、発表会の最後に「飛龍の章」の販売に関する告知が行なわれた。まず、「信長の野望 Online」所有者は、アップグレードサービスが受けられる。オンライン専用でパッケージ版は用意されない。新クライアントはアップデートにて入手する。価格は2,940円(1アカウント)。

 パッケージは、PS2とWindowsの両プラットフォーム版が用意される。パッケージの内容は「信長の野望 Online」本編を含んでおり、価格は30日無料アクセス権が付いて各7,140円。

 なお、現在市場に流通している「信長の野望 Online」については、9月29日より、無料アクセス期間を30日から90日に延長するキャンペーンを実施する。実質的に60日間(2,520円)を無料にすることで、別途必要となるアップグレード費用を補填するという措置だ。「武家屋敷」や「知行地」に備えて、9月29日から新規参入するというのも賢い選択かもしれない。

「信長の野望 Online~飛龍の章~」のゲーム画面。新技能については、レベル50以降のものだけでなく中レベル帯のも多数追加されるという。右の画面は、レベル50~60のモンスターがひしめくという高レベルダンジョン

「信長の野望 Online~飛龍の章~」で実装される新要素の数々。新エリアこそ実装されないが、非常に中身の充実した拡張ディスクだ

(C)2004 KOEI Co.,Ltd.

□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「信長の野望 Online」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/nob_online/
□関連情報
【2004年4月5日】コーエー、Windows版「信長の野望 Online」体験版を公開
正規版にデータを引き継げる14日間無料体験版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040405/nobuon.htm
【2003年10月24日】コーエー、PC版「信長の野望 Online」を正式発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031024/nobuon.htm
【2003年4月17日】コーエーが贈る2大ネットワークゲームの全貌を探る
「信長の野望 Online」、「三國志 Battlefield」詳報
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020417/koei2.htm

(2004年9月22日)

[Reported by 中村聖司]


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