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UKゲームショウ現地レポート

Game Stars Live オンラインゲームレポート
「Final Fantasy XI」がヨーロッパ初上陸、サービスインは9月16日

開催時期(現地時間)
Game Stars Live 9月1日~5日まで開催
会場:ExCeL London


 Game Stars Liveでひとつ特徴的だったのは、ECTSではほとんど見られなかったオンラインゲームに対する具体的なアプローチが示されたことだ。といってもアジアのゲームショウや、E3ほど積極的にというレベルではないが、オンラインゲームはゲームジャンルではなく、プレイスタイルの一形態であり、オンライン対応は有力な選択肢のひとつとして考えるべきだという認識にはなってきたようだ。本稿ではGame Stars Liveを通してみたヨーロッパオンラインゲーム事情を紹介していく。


■ オンラインゲーム=FPSのヨーロッパ市場に変化あり!

「European Online Gaming Championship」の模様。対戦タイトルは、「Call of Duty」や「Unreal Tournament」、「Joint Operation」
 ヨーロッパでは、オンラインゲームといえば「Unreal Tournament」や「Counter-Strike」、「Halo」といったFPSのマルチプレイを指すことが普通となっている。日本や韓国で主流になっているMMORPGに関しては、Mythic Entertainmentの「Dark Age of Camelot」とSony Online Entertainmentの「EverQuest」がある程度で、ファンタジーの母国でありながら、世界に誇れるMMORPGというものをヨーロッパはまだ持っていない。

 これはユーザーが興味がないというわけではなく、単純にインフラが未達であったり、母国語の問題、そしてクレジットカード決済が主流ではないという理由による。MMORPGは、シンプルな英語のテキストが読め、課金を気にせずに楽しめるFPSとは、乗り越えるべきハードルの高さがずいぶん異なる。日本ではもうあまり意識されることは少なくなったが、ヨーロッパではMMORPGはかなりリッチなコンテンツとなってしまっているようだ。

 このため、毎年ECTSでは、MMOタイプのタイトルを積極的に展開するメーカー、ましてや主催者のCMP側が特設コーナーを設けてバックアップするといった光景は皆無である。一応、韓国のGame Infinityは毎回オンラインゲームを出し続けているが、Game Infinityの場合は、出展によるプレゼンスそのものを目的としているようなところもあり、実質ゼロといっていい。

 それがGame Stars Liveでは、オンラインゲームに対してずいぶん積極的になっていたのには驚かされた。会場の奥に設営した特設ゾーン「European Online Gaming Championship」では、IntelやATIの協賛のもと、100台を超えるPCを設置し、各種FPSの対戦大会を行なっていた。

 「European Online Gaming Championship」の手前には、トレーラーカー風の試遊コーナーも設置され、そこにはSquare Enixのヨーロッパ参入第1弾となる「Final Fantasy XI」と、Novalogicの新作アクションシューティング「Joint Operation: Typhoon Rising」が出展されていた。

 そのほかにも、Square Enixと同様ヨーロッパ初参入となるNC Softやヨーロッパでマッチングサービスを展開するJoltなどがブースを構え、まさしくシングルプレイゲーム限定だった展開に明らかな軌道修正が加えられた。

 これまでは、「Final Fantasy XI」のようなMMORPGや「Joint Operation: Typhoon Rising」は出展する場所すらなかったのだが、今回の試みはオンラインゲームの展開を希望するメーカーにとっては歓迎できるところだろう。

【European Online Gaming Championship】
対戦席は常時埋まっていたが、解説などがないため、外部からは今何が行なわれているところなのかがよくわからない。大会運営のノウハウは、まだ日本の方があるといった感じ

【European Online Gaming Championship その2】
「European Online Gaming Championship」の入り口を囲むようにして出展されていた「Final Fantasy XI」と「Joint Operation: Typhoon Rising」

【Jolt】
Joltは、英国を中心に展開しているマッチングサーバービジネスを提供しているメーカー。もっとも注目を集めていたのはGSC Game Worldの「S.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYL」。同社はMMORPGは提供していないのだが、「Asheron's Call 2」の最新拡張セット「Fallen Kings」といったタイトルも出展していた


■ ヨーロッパ版「Final Fantasy XI」は、「Chains of Promathia」までを同梱して9月16日発売

ユーザーはコントローラーには手を触れず、キーボードでプレイしようとしていたが、操作を覚えるだけで手一杯という人が大半だった
ブースでコミュニティマネージャーのSage Sundi氏と偶然遭遇。彼は英国支社のスタッフでもあるということで、ヨーロッパ版成功のためにさまざまな手を打っているようだ
 さて、ヨーロッパ版「Final Fantasy XI」についてもいくつか情報を集めてきたので簡単に触れておきたい。ヨーロッパ版「Final Fantasy XI」は、発売プラットフォームはPCのみで、「ファイナルファンタジー XI プロマシアの呪縛」と同じ9月16日の発売が予定されている。時差の関係で日本の発売の方が8時間ほど早くなるが、「プロマシアの呪縛」の発売当日は、ヨーロッパから来た新規ユーザーでサーバーが賑わうことになりそうだ。

 クライアントの仕様は英語版のみで、英語圏以外の国に対しては“パッケージのみ”ローカライズしたものが店頭に並べられる。出荷国数は20カ国で、流通はこれまでヨーロッパ方面でのパブリッシングを行なっていたUbi Softが担当。接続サーバーについては、すでに発表されているとおり、既存の日本サーバーが利用される。

 見込みのユーザー数については、「ヨーロッパ市場は新規参入なので未知数」としているが、「Dark Age of Camelot」の14万という数字を一応の目標にしているようだ。月額課金はドル建て限定で12.95ドル。北米版同様初月は無料となる。

 ブースでは、10台の試遊台を設置し、日本サーバーに接続した状態で試遊が行なえた。ヨーロッパ市場でスクウェア・エニックスが自らパブリッシングするのは今回が初めてとなるが、FFシリーズそのものはEidosやEA、UbiSoftといったメーカーがこれまで取り扱ってきたということもあり、ヨーロッパにおいても高い知名度を誇る。

 実際の試遊台のほうは、サポートスタッフが付かず、いきなりレベル60でプレイさせられるということもあって、初体験のユーザーは皆悪戦苦闘をしていた。異なる文化圏の、異なるインターフェイスのタイトルなのだから、もう少し丁寧な見せ方をしたほうがいいのではと思ってしまった。

 ただ、今回スクウェア・エニックス側が重視していたのは、エンドユーザーよりむしろヨーロッパプレスへの対応で、「FF XI」プロデューサーの田中弘道氏自ら渡英し、英国やフランスのプレス10社前後のインタビューに応じたという。スクウェア・エニックス側がヨーロッパ市場をいかに重視しているかを伺わせる。

 また、試遊台では、「ジラートの幻影」までしかプレイできなかったが、ミーティングスペースではヨーロッパ版に含まれる「Chains of Promathia(プロマシアの呪縛)」の体験会も行なわれたという。すでにGMにはドイツ語やフランス語、スペイン語等を操るスタッフも揃え、万全の体制だという。ヨーロッパ版のセールスがどの程度になるのかは未知数だが、ヨーロッパユーザーの参加によって「Final Fantasy XI」がより一層盛り上がるのは間違いなさそうだ。

【Final Fantasy XI】
ヨーロッパ向けのプレスキットには、比較的最近撮られたスクリーンショットなども収められている。ヨーロッパでの評価は未知数だが、数年おきにやってくる日本ブームに乗れば大化けすることもありえるだろう

(C)2002-2004 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.

□Game Stars Liveのホームページ
http://www.gamestarslive.co.uk/

(2003年9月3日)

[Reported by 中村聖司]


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