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UKゲームショウ現地レポート

3つのゲームイベントがロンドンにて同時開催
ECTS 2004、European Games Network、Game Stars Live

開催時期(いずれも現地時間)
ECTS 9月1日~3日まで開催
会場:Earls Court London

EGN 9月1日~3日まで開催
Game Stars Live 9月1日~5日まで開催
会場:ExCeL London


 ヨーロッパ最大規模のゲーム関連のトレードショウ「ECTS 2004」が、現地時間の9月1日より、Earls Court Londonにおいて開催された。ECTSは、ゲーム関連のトレードショウとしてはE3を上回るもっとも長い歴史を誇るゲームイベントだが、今年は大きな変革の時期を迎えつつある。GAME Watchでは本日より3日間にかけて、現地レポートをお届けしていく予定だが、今年の現地レポート1発目は、複数のゲームショウが同時開催されるという前代未聞の事態を迎えた英国のゲーム事情からお伝えしていく。

ECTSの会場としてEarls Courtが使われるのは今年で3回目。これは開幕前日のお昼頃に撮った写真だが、Game Developers Conferenceの参加者以外の人影はほとんど見られず寂しい限りだった
European Games NetworkとGame Stars Liveの会場となったExCel London。まだドイツ系メーカーが参加していた2001年のECTSの会場としても使われたことがある
Game Stars Liveの会場の模様。手前の人混みは、「Halo 2」の試遊台の順番待ちをする人々。待ち行列が歩道に大きくはみ出すほどの盛況ぶりだった
 毎年、英国では8月末から9月初旬にかけて、ECTSを中心としたゲーム関連のイベントが集中的に行なわれる。対象となるのはデベロッパーやリテイラー、メディアなど、要するにゲーム業界関係者ばかりで、純粋にインタラクティブエンターテインメント産業の発展を目的としたイベントとなっている。

 ところが、近年では東京ゲームショウの成功を例に取るまでもなく、エンドユーザーをターゲットにしたゲームイベントが世界的な主流になりつつある。その一方で、トレードショウとしては後発のE3に大きく水を空けられ、また時期的にもホリデーシーズンのタイトルの商談をするには遅すぎるといった具合に、ECTSは多くの泣き所を抱えている。

 こうした状況下でいち早く反旗を翻したのがドイツ系のパブリッシャーで、2002年からはドイツ国内でエンドユーザーをターゲットにしたゲームショウ「Game Convention」を開催するという運びとなった。

 ECTSを主催する団体CMPもこれに対抗して、SCEEを抱き込んで「Playstation Experience」と呼ばれるエンドユーザー向けのゲームイベントを併催したり、英国でも圧倒的な知名度を誇るNintendoに出展を要請したりしていたが、時季はずれのトレードショウというボトルネックを打ち破ることはできず、入場者数もようやく万の数字に届くというレベルまで落ち込んだ。ここまでが昨年度の状況である。

 そして今年ついにECTSの低迷に終止符を打つため、ELSPA(日本のCESAに相当する)が重い腰を上げ、純粋なゲーム関連のトレードショウであるEuropean Games Network(EGN)と、エンドユーザー向けのゲームイベントであるGame Stars Live(GSL)を同時に立ち上げたわけである。期日が同じばかりか、ECTSと併催しているGame Developers Conference Europeに対抗して、European Developers Forumまで開催するという徹底ぶりだ。

 わざわざECTSと同時期の開催にした理由は不明だが、来年度以降はECTSに完全に取って代わり、なおかつドイツにはヨーロッパゲーム産業の主導権は渡さないというELSPA側の強い意志が感じられる。

 ELSPAでは、EGNとGSLを「新世紀のゲームショウ」と位置づけている。規模としては、EGNとGSLを合わせて、東京ゲームショウをやや上回る程度。E3よりは小さいが、ECTSよりは断然大きい。特にGSLはエンドユーザー向けのゲームイベントということもあって、会場は常に多くの来場者で賑わっていた。これはまさに年々縮小傾向をたどっていた英国のゲームイベントの復活を印象づける光景といえる。

 以下、イベント初日をひととおり回ってみた感想を簡単に述べておくと、まず、EGNは完全に商談向けイベントという位置づけ。各ブースは小規模のコンパートメントに区切られ、ドアを挟んだ内側にはテーブルとイス、ソファといったものが置かれ、スーツ姿の担当者同士でミーティングが繰り返される。

 GSLは、Nintendo、EA、Vivendiなど大手メーカーによる大規模なブース構成で、タイトル別に複数の試遊台がずらりと並べられるというE3や東京ゲームショウに近いスタイルを採用している。各メーカーとも申し合わせたように完全にエンドユーザー向けのブース構成となっていて、カウンターもなければ、説明担当者の数も少ない。ただひたすら発売前の最新ゲームを遊びまくるという他に類を見ないタイプのイベントだ。

 そしてECTSは、ソフトウェアベンダーの過半が出展を取りやめたことで、European Computer Trade Showの正式名称が示すように、もともとの出発点であるコンピュータ関連のトレードショウに戻っていた。扱っている内容は、ゲーム開発用のソフトウェア、スピーカー、ジョイスティック等のペリフェラル関連、ゲーム出版、流通、エデュテイメントソフト、そしてE-Sportsと、要するにゲームコンテンツ以外のすべてとなる。

 ECTS自体は我々ゲームメディアとしては、正直に言って取材する意義が極端に薄いショウとなってしまったが、ゲーム産業の多角的な発展のためにはあってしかるべきイベントであるような気もする。ECTS 2004の詳細については、別稿にて詳しくお伝えするつもりだ。

【European Games Network】
EGNは純粋なトレードショウだけあって落ち着いた雰囲気の構成となっている。Elixir Studiosのような新進気鋭の英国系メーカーも出展しているところが最大の特徴だろう。ちなみにフロアの奥には酒、タバコOKのバーがあるところはECTSと変わらない

【EGN Waterfront Rooms】
EGNは2階も用意されており、20ものメーカーのミーティングスペースが200メートルあまりに渡って続いている。「ファイナルファンタジー XI」を出展したスクウェア・エニックスや、韓国のNC Softなどもルームを構えている

【Game Stars Live】
東京ゲームショウのUK版といった雰囲気のGame Stars Live。各メーカーとも特大のブースを構え、趣向を凝らしたデモンストレーションを行なっていた。エンドユーザー向けということもあって、とにかく試遊台が多く、ゲーム以外の運動施設なども充実していた。中でもVirtual vs Realityと題された特設コーナーでは、実際に戦車に乗ることができた。こうしたダイナミックな試みはまさしくE3譲りだ

□ECTSのホームページ
http://www.ects.com/
□European Games Networkのホームページ
http://www.europeangamesnetwork.co.uk/
□Game Stars Liveのホームページ
http://www.gamestarslive.co.uk/

(2003年9月2日)

[Reported by 中村聖司]


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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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