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★GBAゲームレビュー★
任天堂が世に送り出した2大キャラクタの、マリオとドンキーコング。この1人と1匹が、GBAで相まみえる!! まさにドリームマッチだが、「対決」といった殺伐としたものではない。ドンキーが盗んだミニマリオ(オモチャ)を取り戻すため、マリオが様々な仕掛けが待ち受けるマップをクリアしていく、アクションパズルゲームになっているのだ。
古いゲームを遊んでいる人なら、アーケードの「ドンキーコング」を彷彿とさせるはず。そのテイストを盛り込んで、ひと癖もふた癖もあるゲームに仕上げられている。
■ 3つのモードで変化するルール ファーストプレイでプレーヤーを待ち受けるのはノーマルモード。このモードは、ドンキー戦を含む8つのステージが1つのワールドになっていて、これが合計6つ存在する。ちなみに、7ステージ目にあたるmmステージとドンキー戦以外は、前半後半のパートに分かれているため、プレイするマップ数は倍近くある。
ステージ前半部は、制限時間内にマップ内にあるカギをもって、ドアへ移動することでクリアになる。ここでポイントになるのは、カギを手に入れた後で、マリオがカギを頭上に掲げて移動するため、行動に制約がかかってしまうこと。この状態でマリオができることは、移動とジャンプ、そしてカギをなげる(手放す)だけ。これらのアクションだけでドアを目指さなければならない。マップによっては、仕掛けや敵などを上手く利用しないと、ドアに行けないこともあるのでカギをとったからといって油断はできないのだ。
さて、無事に前半部をクリアできれば、後半部のマップに突入する。後半部はマップ内におかれている、ミニマリオの入ったカプセルのところまでいって持ち上げればクリアとなる。ここでも制限時間が設けられているが、前半部の残りタイムが加算されるので多少の余裕がある。
なお、後半部でミスをすると前半部の残りタイムがリセットされてしまう。これは、後々ハイスコアをとるために見落とせない要素になる。
後半部をクリアすれば1ステージクリアとなり、次のステージを選択できるようになる。これを6ステージまでこなせば、mmステージがプレイができる。 7ステージ目のmmステージは少々特殊。まずは6体のミニマリオを誘導して、T・O・Yの3つのプレートをとらせる。この後にマップ上にあるおもちゃ箱まで誘導し、ミニマリオ達を中へと入れてあげてクリア。
ミニマリオ達はマリオの後を追いかけはするが、高い段差は上れないし、画面外にでるとその場で留まってしまう。また、ミニマリオが敵などにぶつかれば、ステージからいなくなってしまう。このため、マリオと同時にミニマリオの動きに注意して進めていかなければならない。思い通りにミニマリオが移動せず、急ぐと遅れるミニマリオがでてきて戻るハメになると、ファーストプレイではかなり苦労するステージだ。
面倒だから2~3体だけでもなどと手抜きをしたくなる。しかし、このmmステージでおもちゃ箱に入れたミニマリオの数が、次のドンキー戦でマリオの体力になるので、手を抜くと手痛いしっぺ返しが待っているのだ……。
そして、ワールドの締めになる8ステージ目には、ドンキーとの一騎打ちが待っている。ドンキーの押すカラースイッチに反応して床やバケツが出現したり、切り替えスイッチでベルトコンベアの向きを変えて敵をぶつけたりなど、ワールドごとに違った仕掛けが用意されている。ドンキーや敵の攻撃をかわしながら、物や敵を投げつけて、ドンキーを倒す。他のステージとは大きく違って、アクションに特化したステージといえる。
以上が1つのワールドをクリアする流れだ。序盤のワールドではアクションの利用方法を教えてくれるチュートリアルデモが用意されている。多少、淡泊なデモだが、以後のマップ攻略で重要なヒントになってくるので、見落とさないようにしたい。 6つ目のワールドをクリアすると、続いてエキスパートモードが出現し、ルールがガラリと変わる。まず、ステージの前後部がなくなり、1ステージ1マップになるのだ。またmmステージもなく、1つのワールドがドンキー戦を含めた7ステージで構成される。
ドンキー戦以外のステージでは、カギをもったミニマリオをつれて、ドアを目指すことになる。マリオとミニマリオのどちらかが敵にぶつかったりすれば、その場でミスとなってしまうので、いかにミニマリオをドアに誘導するかが、エキスパートモードのポイントとなる。
そして、エキスパートモードをクリアすると、チャレンジモードがプレイ可能となる。これは、ボーナスマップの要素が強く、全12ステージと数も少なく、カギをもってドアへ行くだけでクリアになる(ノーマルモードの前半部だけのマップ構成)。だが、チャレンジというだけあって、難解度はノーマルとエキスパートの比ではない。純粋にクリアする手順で悩むものもあれば、高度なテクニックを駆使するものもある。高みを目指す人には遊びごたえのあるモードといえるだろう。 なお、チャレンジモードをプレイするには条件があり、設定されているスターの数を集める必要がある。スターをとる方法は、各ステージ(チャレンジモードを除く)でハイスコアをとればいいだけだ。 簡単ではあるが、用意されているモードを紹介してみた。当然だが、後半のワールドになればなるほど仕掛けが複雑になり、クリアも難しくなってくる。ただし、絶望的なまでに高度なテクニックを要求するわけではない。ちょっと頭を働かせけばなんとかなるものばかりなので、この辺りのバランスはさすが任天堂といったところ。
しかし、引っかけが随所にあって、一度ミスをしないと正しい方法がわからない、そんな意地の悪さはストレスが溜まる。この意地悪さがこのゲームを面白くしている部分でもあるので、ぜひとも「見事なまでに」だまされて欲しいところだ。
■ アクションや仕掛けの使い方を考える楽しみ
マリオができるアクションは多くないが、どれもステージ攻略には欠かせないものばかり。基本的な移動やジャンプは省かせてもらって、以下に重要なアクションを紹介していく。
バケツやカギと重なったり、上にのった状態でBボタンを押すとマリオが物をもちあげる。もちあげた状態でBボタンを押せば、正面へと投げつける。なお、敵キャラも持ち上げたり投げたりできる。この場合、相手の上にのることが条件(重なるとミスになってしまうため)。
体制を低くするため、飛んでくる弾をかわしたり、狭い隙間をくぐるときに利用する。
進行方向と反対側に十字ボタンを入力すると、マリオが振り向くモーションを行なう。この瞬間にジャンプをすると、振り向いた方向へ高いジャンプができる。
立った状態で十字ボタンの下とAボタンを押すだけ。この状態で左右への移動が可能で、さらに足で落下物を弾くことができる。
逆立ち状態でジャンプをすると、通常のジャンプより高く跳ぶことができる。ただし、バックフリップより高度は低い。
逆立ちジャンプから着地したときに、すぐジャンプすると身体を丸めてさらに高く跳ぶ。バックフリップと同等の高度をもっている。このジャンプになるまで2ステップ必要になるが、バックフリップより入力やタイミングがとりやすいので、バックフリップが苦手な人はこれを使っていくといいだろう。 これらのアクションを駆使して、ステージを攻略していくことになる。中には、敵の上にのってバックフリップといったテクニックも要求されるので、自分の置かれた状況にどのアクションが適しているかを見極める目も必要になる。 そしてマップには、カギやドアなど以外にも、様々なアイテムや仕掛けが用意されている。代表的なものでは、赤、青、黄の3色のスイッチがあげられる。これを踏むことで、スイッチが作動して、対応する色のブロックや床が出現し、他の色に対応したものは消えてしまう。これで目的地に行くための足場を作ったり、行く手を阻むブロックを消していくことになるのだ。 他にも、一定速度で決まったルートを移動するリフトやエレベータ、ベルトコンベアとその方向を切り替えるスイッチなど、多彩な仕掛けがある。これらが、ステージ攻略のために必ず関わってくるので、それぞれの仕掛けがどのように動作するかを見極める必要がある。また、仕掛けの中には、アクションに関わるものも登場する。 例えば、ロープや鎖はよく出てくる仕掛けで、ジャンプでこれらに触れればつかまることができて、十字ボタンの上下で上り下りが可能。また、左右でその方向へ手を伸ばして、別のロープを掴んで移動することもできる。ロープを掴んだ状態によっても変化があり、1本のロープにつかまっている状態だと、上りが遅く下りが早い。ロープを2本掴んだ状態だと、上りが早く、下りが遅くなる。自分の行きたい方向によって、適した状態にして移動する必要が出てくるといえるだろう。 別の物では、ワイヤに触れたときに十字ボタンの上を押せば、ぶら下がることができる。この状態で左右へ移動が可能で、さらに上を押していれば大車輪を始める。大車輪中にジャンプボタンを押せば、回転数が増えればジャンプ時の高度も高くなる。
これらはプレイをしてみると、実によく考えられて設置されている。はじめのうちは「この仕掛けを、このタイミングで使えば、ここに行ける」など、使ってみて判断するのだが、慣れれば周囲の仕掛けを見るだけで把握できるようになる。この辺りの慣れを実感できるのもこのゲームの面白いところだ。ただし、中には引っかけもあるのだが……。
■ ハイスコアを狙うと、さらに熱中できる チャレンジモードをプレイすると、ハイスコアをとってスターを手に入れる必要に迫られる。ここで改めて、ハイスコアを取るために各ステージをプレイするわけだが、これが意外と難しい。 ハイスコアをとるには、ステージクリア時のタイムがキーになってくるため、できるだけ早くクリアしなければならなくなる。残りタイムは1秒につき100点で、100秒以上残してクリアするのが当たりまえになるため、トータルでみると馬鹿にできない。 ノーマルモードでは、前半部でできるだけ多くの残りタイムをキープしたつもりでも、後半部でミスをすれば前半部の貯金がなくなり、ハイスコアが取れなくなる。よって、前後半共にノーミスで、迅速にクリアする必要があるのだ。さらに、マップに登場する赤、青、黄のプレゼントを3種類必ずとってクリアしなければならないのも重要なポイントだ。このため、プレゼントを回収してカギを取り、ドアにむかうための最短ルートを見つけ出さなければならないのだ。 実際にやってみると、まずノーミスでクリアするのが辛い。仕掛けや敵の動きが絶妙で、最短ルートでクリアしようとすると、マリオの着地点の近くに敵が迫ってきたり、焦ってジャンプするとリフトが離れていって落下するなど、プレーヤーのミスを誘発するような作りとなっている。 すべてのステージがそうではないのが、また憎たらしい。軽快にハイスコアが出せて油断しているところで、そんなトラップが待ち受けているので油断ができない。さらに最短ルートできたつもりでも、ハイスコアに届かないことがある。この原因は敵を倒したときの点数が関わっていることが多い。特にハンマーを使って敵を倒す場合、同じハンマーで敵を倒せば、300点→600点→1,200点と倍になっていく。ハイスコアを出すためには、複数の敵をひとつのハンマーでいかに倒すかといった、考慮もでてくる。ここでもこのゲームらしい(?)いやらしさがあり、ひとつのハンマーで倒せる場所に、別のハンマーを用意しておいてプレーヤーを「騙そう」とするのだ。 なお、敵を倒すときに高い点が出せれば、その分、残りタイムに余裕ができる。無理に最短ルートでなくても、タイム以外でのスコアで時間に余裕を持たせるといった、柔軟性もこのゲームにはある。 敵を倒し、最短ルートを通ったつもりでも、たまに100点、200点でハイスコアに届かないこともよくある。特にエキスパートモードのステージで起こるのだが、これはリフトに乗り遅れて戻ってくるなどの、些細なミスと考えられる。そのために、最適の手順で仕掛けを使い、さらにタイミングをとるポイントも把握。このように、無駄な手を省いていって、最善のルートを見つけ出すのだ。 ちなみに、ドンキー戦はノーマルモードの場合、mmステージから始めないと、例えハイスコアをマークしてもスターは取れない。mmステージがドンキー戦の前半部の役割を果たしていると思って欲しい。加えて、ドンキー戦ではダメージを受けた時点でスターが取れなくなる。
ここまで徹底することで、はじめてハイスコアとスターが取れるようになる。たった100点(1秒)も疎かにできない緊張感は、ゲームに熱中させてくれる、いいスパイスだ。このゲームの最大の面白さは、この部分にあると言っていいだろう。
しかし、すべてのスターを集めた後にすることは、チャレンジモードのクリアだけ。難易度は高めであるがゆえに、クリアの方法が絞られてしまい、ノーマルやエキスパートほどの自由度を感じられなかった。
トコトン遊ぶには少々ボリュームに物足りなさを感じるが、短時間で遊べるし、やり込もうと思えばそれなりの手応えがあると、非常にバランスのよい作品であることは確かである。
(C) 2004 Nintendo
□任天堂のホームページ (2004年8月19日) [Reported by 渡辺洋二] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
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