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ガンホー森下社長、Gravity 金会長特別インタビュー |
会場:東京ビッグサイト
「ラグナロクオンライン」に関連するあらゆるコンテンツを一堂に集めたイベント「ラグナロクオンライン ドリームスタジアム」。「ラグナロクオンライン」単体としては世界最大規模となるこのイベントに注目したのは日本人だけではない。韓国、台湾などアジアを中心に多くの国々から報道陣や関係者が訪れ、イベント開催のノウハウやアニメ事業に関連した話、その他諸々の要素について多くのことを取材していったという。
ホスト役であるガンホーの代表取締役社長森下一喜氏が、今回、開幕とフィナーレにしか登場しなかったのは、実は分刻みのスケジュールで膨大な数のインタビューをこなしていたためである。インタビューでは、「ラグナロク」関連のイベントではお馴染みの顔であるGravity会長の金正津も同席していただいた。
残念ながら「ラグナロクオンライン」制作プロデューサーの廣瀬氏は、ステージの不具合により急遽インタビューが中止となったため、今回は森下、金の両氏に、「ラグナロク」の周辺事情を中心に話を聞かせて頂いた。
なにぶんタイトなスケジュールのなか行なわれたため、聞きたいことが十分に聞けなかったきらいはあるが、今後の方向性やBOTを初めとした諸問題に対する現状の取り組みなどについてある程度のことは確認できた。なお、廣瀬氏とのインタビューは機会を改めてお届けするつもりである。
■ 「ラグナロクオンライン ドリームスタジアム」について
一日中、ウチワや熱い声援が飛び交ったメインステージ。後日発表された「ラグスタ」の総入場者数は18,500人ということだ |
ガンホー森下氏 「ラグナロクオンライン」のイベントはこれまでにもやってきましたが、「ラグナロク」オンリーイベントを、東京ビッグサイトという大手展示場で開催でき、また多くのユーザーに来場いただけたことは大変嬉しいことだと考えております。
多少、トラブルなどもありましたが(笑)、現在スタッフが奮闘しておりますし、最終的には成功だったと思ってもらえればいいなと。綺麗事に聞こえるかもしれませんが、すべてのユーザーが家に帰り着くまでがイベントですから、大過なく無事に戻っていただいて、来場者に「疲れたけど楽しかった」といってもらえれば成功だと言えると思います。
Gravity金氏 私はRAG-FESの1回目から日本での「ラグナロク」のイベントを応援してきて、RAG-FESも早7回目になるわけですが、回を経るごとに、日本でどんどん「ラグナロクオンライン」に対する結束力が強くなってくるのを感じてます。同人の方々が制作されるグッズや同人誌にしても、日本に来るたびに内容が良くなってきてます。
(Gravityが主催する)Ragnarok World Championship(RWC)については、予選で若干スケジュールに遅れなどがあったようですが、無事終了し、強い日本代表が決まることを心から願っております。重ねて、日本において「ラグナロクオンライン」がゲームの枠を超えたひとつの文化となることを願っております。
編 個人的にこの規模で入場無料というところが驚きでした。今回いくつか協賛メーカーも名を連ねてますが、いずれにしてもメーカーとしては少なくない負担だったのではないでしょうか。
森下氏 来場者からお金を取るということも選択肢のひとつではありますが、我々としては、大前提として、日々「ラグナロク」をプレイして頂いているユーザーに対する感謝の意があります。
日本でサービスを開始して1年半になりますが、ある意味「ラグナロク」というのはユーザーによって育まれたオンラインゲームであり、それ以外に最近ではアニメ、ラジオ、モバイル、カードゲームなども育ってきています。我々としてはこうして大きく育った「ラグナロク」をユーザーの皆さんに見て頂こうと、半ばお祭りの気分でやらせていただきました。お祭りでお金を取るわけにもいきませんよね。
また、「ラグナロク」は、同時接続が10万人を突破しましたが、これは小都市の人口に匹敵する規模に相当するわけです。このバーチャルな市民をサーバー上の1カ所に集めるのは不可能ですが、オフラインなら可能になります。リアルな世界でソーシャルな場を提供しようというのが、今回の狙いのひとつでもあります。欲を言うと、ユーザーがこの機会に「ラグナロク」を知らないお友達を連れてきてくれて、結果的にユーザー増に結びついていけばいいなと。
編 「ラグスタ」は、RAG-FESのように定期開催のイベントという風に理解していいのでしょうか。
森下氏 そのつもりです。
編 今回は、「ラグナロクオンライン」のイベントでしたが、「ラグナロク」をプレイできるスポットがないのは少し寂しいなという感じがしたのですが。
森下氏 昨年の東京ゲームショウでは、ブース内に試遊台を設置し、対戦イベントなども行ないました。ユーザー参加型のイベントは我々としても今後考えていかなければならないことだと思っています。ベストなのは、会場全体がアトラクションのようなイメージですね。
■ RWCの状況と今後の展望について
あたかも韓国のプロゲーム大会のような集客を見せたRWC。次回は是非とも全年齢層で大会をやってほしいところだ |
森下氏 今回に関しては、本戦を韓国で行なう。しかも日程的に平日とどうしても重なってしまうということで、18歳以上という制限を設けました。本来、「ラグナロクオンライン」のメインターゲットは中高生ですから、学校を休ませることは妥当か否か社内でも意見が割れました。今回は学生をはずすという選択をしたわけですが、次回は学生のユーザーでも参加できるようにしようということは現在考えています。
ただ、そうした制限にもかかわらず、多くのギルドに参加してもらえたことは大きな収穫だったと考えています。我々運営側も至らなかった部分は多々あったのですが、今回の予選で入賞した代表ギルドは、ぜひとも本戦でも優勝を勝ち取ってもらいたいなと思ってます。こればっかりは応援するしかないです(笑)。
編 金会長は、RWCの日本予選を観戦されてどのような感想を持ちましたか? あるいは韓国とは違った印象をもたれたかと思うのですが。
金氏 実は、現在、韓国でも代表を決める決勝大会が行なわれています。
編 ということは自国よりも日本を優先されたということですか?(笑)
金氏 そうです。台湾や中国ではもう代表が決まっていて、日本と韓国は今日ついに決定することになります。RWC本戦については、率直に言って日本が有利だと感じています。
編 それはどのあたりに感じられたのでしょうか?
金氏 ひとつはサービス期間が韓国とほとんど変わらないこと、それから日本のプレーヤーは、世界と比較してゲームに対する忠誠度(?)が非常に高い。日本のギルドが優勝するのではないかと私は見ています。
編 私も一般来場者に混じって観戦してましたが、展開が早すぎて何が起こっているのか把握しづらい。観戦者に対する配慮は十分ではなかったように思うのですが。
森下氏 準決勝と決勝では解説を入れる予定です。1回戦は、ステージイベントと時間が重なって、声がかぶってしまうため、あえて外しました。決勝では解説も入れますし、メインステージにも映して観戦しやすくする予定です。
編 ちなみに韓国で行なわれるRWC本戦では、観戦者に対してどのような施策を考えているのでしょうか。
金氏 韓国の本戦では、まず大型スクリーンに試合中の映像を映し出して、アナウンサーひとりと解説者ひとりという形で進めていきます。アナウンサーはプロを使用し、解説者は弊社のRWCの企画立案者が担当します。韓国では見せ物としてもしっかり考えています。
編 その模様は当然テレビ中継もされるわけですか
金氏 NBC GAMEというゲーム専門のケーブルテレビチャンネルもしくはNBC地上波での生中継を予定しています。
編 それは当然韓国語での放送になる思いますが、RWCは世界のユーザーが注目する世界大会です。他言語のサポートはいかがですか?
金氏 残念ながらそこまでは今回は無理です。ただし、他言語をサポートするというのはいいアイデアだと思います。リアルタイムでは無理ですが、録画したものを他言語のテロップを付けて流すと言うことは可能だと思います。
編 いずれにしても本戦では、韓国数百万のゲームファンが、日本人選手らの熱戦を見守るということになるんでしょうか。
金氏 そうです。韓国ではゲームに対する関心が非常に高いので、「ラグナロク」をやっていないユーザーも見るでしょう
編 ガンホーさんのほうでは、日本のユーザーに対して、何らかのサポートは行なわないのですか?
森下氏 弊社でも専門の撮影スタッフを派遣して、インターネット放送などを介してお伝えしていく模様です。もちろん、解説も加えます。生放送ではなく、こちらで編集したものを後にお見せするという形になります。
■ BOTの抜本的解決のためGravityの技術者を常駐化
「ラグスタ」では本年度いっぱいにかけてのアップデート情報が公開された。しかし、以前のように、不具合に関する進捗状況の情報開示がなかったのは残念なところ |
森下 アニメ事業に関しては、Gravityさんと一緒に設立したROプロダクションを通じて、ゲームとのシナジー効果を狙って展開しているものです。これはキャラクタビジネスとしての展開も含まれています。
編 質問を変えますが、今後「ラグナロク」以外のゲームコンテンツがアニメ化あるいはキャラクタビジネスの対象となることはありえるのでしょうか。
森下氏 それはないです。あくまでアニメ事業は、「ラグナロク」に特化したビジネスとして考えています。
編 現在、「ラグナロク」以外に5タイトルを運営しておりますが、ゲームアーツさんとの業務提携で現実味を帯びてきたオリジナルタイトルについてはいかがですか?
森下氏 それは未定です(笑)。現時点でコメントするとすれば、仮に将来オリジナルタイトルを展開する場合、海外展開する暁にはGravityさんと一緒にやっていければなと、これはあくまで将来の構想ですが。
編 「ラグナロクオンライン」の将来の構想について聞かせてください
金氏 「ラグナロクオンライン」は世界展開を果たし、多くの皆さんに愛されるゲームに成長しましたが、まだまだ満足している状況ではありません。今後もこれから年末にかけて定期的にアップデートを続けていきます。我々の目標としては、アップデートがひととおり終わる12月には、ユーザー数20%増を狙っていきたいと考えています。
森下氏 日本では同時接続者数が10万人を突破し、現在も伸び続けております。現在同時接続者数が多いのは台湾ですが、ゲーム大国日本として今後は追い抜いていきたいと認識しております。
それから「ラグナロク」そのものをもっともっと魅力的なコンテンツにしていきたい。それは今後のアップデートを充実させていくことはもちろんですが、現在存在する様々な課題点に対する解決についてもスピードアップを図っていきたいと思っております。
編 様々な課題点というと、やはりBOTの問題が一番大きいということになるのでしょうか。BOT対策についてはいかがですか?
森下氏 これまで社内では、Gravityの技術スタッフはいなかったのですが、解決のスピードを速めるために、BOT対策専門のスタッフとして日本に常駐してもらっています。
編 それでBOT問題に対する具体的な進展は見られたのですか?
森下氏 BOTは最近の問題ではなく、サービス以来ずっと検討と対策を続けている課題です。日々対策を行ない、日々取り締まる状態ですが、我々としてはもっと根本的な解決策を考えています。そのひとつが5月から導入したGravityの技術スタッフの常駐です。効果についてはこれから徐々に出てくるのではないかと思います。
金氏 我々も問題のひとつとして認識している。BOTに関しては韓国と日本の間で認識に差があるが、社内でもBOT対策のスタッフがおりますし、近々対策を施したシステムを導入する考えです。
編 頭の痛い問題だと思いますが、実効が上がることを期待しております。本日はありがとうございました。
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□ガンホー・オンライン・エンターテインメントのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ラグナロクオンライン」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□関連情報
【6月28日】「ラグナロクオンライン ドリームスタジアム」開催
ROコンテンツを一堂に集めたファン感謝イベント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040628/ragsta.htm
【6月1日】ガンホー、「ラグスタ」を6月27日に東京ビッグサイトにて開催
過去最大級の「ラグナロクオンライン」オフイベント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040601/ragsta.htm
(2004年6月28日)
[Reported by 中村聖司]
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