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★GBAゲームレビュー★
ゲームボーイアドバンスとゲームキューブをプラットフォームに、快調にリリースを重ねる「メトロイド」シリーズ。その流れで登場した本作「メトロイド ゼロミッション」は、かつてファミリーコンピュータディスクシステムで登場した、オリジナルの「メトロイド」のリメイクという位置づけ。正確には「メトロイド」の後、オリジナルの追加要素が展開する。
コアなファンであるなら、ゲームシステム的オリジナルのリメイクはスーパーファミコンでリリース済みの「スーパーメトロイド」として記憶しているだろうが、さらに本作はそのSFC版からゲーム性を発展させ、2003年2月に発売された「メトロイドフュージョン」の操作性を取り入れ、なおかつ初代「メトロイド」に新たなシナリオが追加されたという内容になっている。リメイクの域を出て、もはや新作と呼べるほどのその仕上がりは、SFC版「スーパーメトロイド」、GBA版「メトロイドフュージョン」をプレイしたことがあるプレーヤーにも受け入れられるであろう完成度だ。 ■ 歴代シリーズとの違いは? 脈々と続くシリーズものという言葉を聞くと、やはりオリジナルのどのあたりを踏襲しているのかという点が気になるわけだが、10数分もプレイすれば、難易度やボスなど、実にさまざまな違いに気付く。特にベースとなっていると思われる「スーパーメトロイド」との比較をメインに、そのあたりの差異と仕様について、いくつか抜き出して書き留めておこう。
・【難易度】……本作の難易度はいたってマイルドで、どちらかというと「メトロイド フュージョン」の感覚に近い。
すでにCMなどで大々的に露出されているが、これまでは公然の秘密として扱われていたサムスの容姿や性別が、追加シナリオによって完全にオープンとなったのは「メトロイド」シリーズにおける革命的なできごとだと言えるだろう。お手軽なリメイク作ではなく、これからもリリースを重ねていくにあたって、本作には「世界観にひとつの区切りをつける」という重要な使命が与えられているような気がしてならない。
■ マイルドな難易度で万人向けのタイトルに……というわけではないが シリーズもののタイトルにつきものなのが、「前作をプレイしていなければ敷居が高いのではないか?」という疑問による取っつきにくさだが、その答えは残念ながらイエスだ。アクションの難易度自体は「スーパーメトロイド」よりも大幅に引き下げられているが、「メトロイド」シリーズのキモである「なんでもないような場所を攻撃して隠し通路を見つける」というシステムは健在なので、この感覚が肌でわからないと攻略は難しいかもしれない。 ただし、逆に言ってしまえば「その感覚」さえ何とかしてしまえば、取っつきにくさが解消されて良質なアクションゲームの楽しさだけを堪能できる。プレイモードにもNORMALとEASYが用意されているので、シリーズ史上もっともマイルドな難易度と思われる本作から、「メトロイド」の世界に触れるというのはおすすめだ。
もちろん、シリーズを通してプレイしてきているツワモノはこの限りではなく、むしろとっととクリアしてしまって、クリア後に選択できるHARDモードに挑戦していただきたい。
■ パワーアップすることで新しい場所に行ける、という不変の楽しさ 迷路のようなエリアを探索し、パワーアップアイテムを入手しながらボスを倒していく。乱暴にまとめてしまえば、これが本作および「メトロイド」シリーズのゲームの流れである。だが、ここには重要な要素が抜けている。パワーアップすることによってサムスの能力が増え、その能力を使うことでこれまでは進入できなかったエリアの探索が可能になる、という楽しさを抜きにして「メトロイド」シリーズは語れない。 例えば、モーフボールという能力を手に入れるとサムスは小さく丸まって進むことができるようになり、これによって狭い場所の通り抜けが可能になる。また、モーフボール状態で設置できるボムはフェイクブロックの破壊には不可欠な武器で、さらにはハイジャンプの能力を入手することで、モーフボール状態でのジャンプも可能に……といった具合で、新たな能力を手に入れることでアクションの幅が広がり、それらのアクションを使用することによって、行動範囲も広がっていくわけだ。 当然、その楽しさは本作にも大々的に継承されていて、序盤~中盤まではパワーアップすることで先に進める、という繰り返しによる1本道で、中盤~ラストにかけては、さまざまなエリアを自由に行き来することができるようになり、手に入れた能力の応用や、地道な探索によってさらなるアイテムの発見&入手ができるようになっている。
1本道である中盤までがチュートリアル的な構成で、中盤以降はゲームのクリアを優先しても良し、しらみつぶしに探索してマニアックに楽しんでも良し、といった絶妙のバランスだ。
■ パワードスーツを脱いだサムスが登場する追加シナリオ 勇ましいパワードスーツ姿のサムスだが、スーツを脱ぐと、実は長髪のブロンド美人だった……というのは長らくシリーズの公然の秘密となっている設定だったが、本作にはパワードスーツを脱いだサムスが活躍するシナリオが追加されており、サムス=長髪のブロンド美人という設定が公然のものとなった。
本作で初めてメトロイドに触れるプレーヤーにはピンとこないだろうが、従来のファンにとって、追加シナリオの存在はちょっとした事件である。シリーズの流れに区切りをつけるといったスタンスさえも感じ取れるこの追加シナリオでは、シリーズの重要なキーワードである「鳥人族」とサムスの関わりについて明かされるシーンまでもが用意されており、シリーズのファンであれば、ぜひともプレイしたくなる魅力に満ち溢れている。
ゲームクリア時に表示されるエンディングポスターが、クリア時間とアイテム回収率に応じて変化するのは「メトロイド フュージョン」と同様のお楽しみ要素。一度確認したエンディングポスターは「ギャラリー」の項目で何度でも鑑賞することができるが、フュージョンのセーブデータとリンクさせることにより、ギャラリーにフュージョンのエンディングポスターを追加することも可能となっている。 また、ゲームをクリアすることでNES版のオリジナルメトロイド(ディスクシステム版をもとに、海外向けにマイナーチェンジされたバージョン)をプレイできるという特典も用意されており、コアなファンへのサービス精神も満載だ。コアなファンならずとも、オリジナルと「ゼロミッション」でどれほどゲーム性が変わっているのかを確認できるのは興味深いところだろう。
腕に自信がついてきたなら、ぜひ公式サイトで行なわれているタイムトライアルに参加してもらいたい。参加コースは2つあり、とにかくクリアまでの時間を登録する「スピードランキング」と、アイテムを全回収した上でのクリアタイムを登録する「パーフェクトランキング」の2つが開催中だ。参加登録すれば抽選で「サムスツートン」カラー(刻印入り)のGBASPが当たるチャンスもある。イベントの目的がいわゆるランキングとはちょっと異なるので、ランク上位に入ったからといって豪華商品が得られるわけではないが、腕試しには十分だろう。 (C)2004 Nintendo
□任天堂のホームページ (2004年6月22日) [Reported by 平田 洋] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
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