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★PS2ゲームレビュー★
読者諸兄は「スポーン」という作品を知っているだろうか? 名前は聞いたことあるが、内容までは知らないという人が多いのではないだろうか。これが日本におけるスポーンに対する評価かもしれない。原作はコミックであるが、近所の本屋さんにいけば買えるというわけではない。だが、世界では累計部数1億2,500万部を越える人気作品で、映画化され、過去にゲーム化されてもいる、世界120カ国の人々に愛されているヒーローなのだ。そんな人気コミックを題材にしたアクションゲームが本作である。
■ 爽快さを重視したバイオレンスアクション
パッケージの前面をみると「CERO 18(18歳以上対象)」となっていることでもバイオレンス性の高いことがハッキリとわかる。 操作方法はシンプルなもので、左スティックで移動、○ボタンでマントを具現化した斧である“アゴニー”を使っての攻撃、□ボタンでサブマシンガンなどのウェポンの使用、△ボタンでヘルパワー(特殊攻撃)、×ボタンでジャンプ、R1ボタンでロックオンとなっている。このほかにも、方向キーの左右でウェポンの変更、ステージによってはL1ボタンでチェーンを使っての特殊移動となっている。また、○ボタンで攻撃は左スティックや×ボタン、ロックオン状態などの組み合わせで6種類の特殊な攻撃方法が用意されている。 スポーンのアクションの特徴としては、マントによるグライディング(×ボタンを押しっぱなし)と、チェーンを使った特殊行動にある。チェーンは敵を倒すだけでなく、「グラップルポイント」を使って離れた場所へと移動する手段としても使える。このチェーンと、ダブルジャンプ(俗に言う2段ジャンプ)と、壁を蹴って高所に登る壁ジャンプなどを駆使した3Dフィールドを探索する楽しみこそ本作の真骨頂といえる部分だろう。 その分、戦闘に関して細かい操作スキルは必要がなくシンプルだ。本作の位置づけは“アクションアドベンチャー”となっていることからも想像できると思うが、マップ上にはさまざまな仕掛けが存在する。これを多彩なアクションとプレーヤーの推理力で切り抜けていく、これがこのゲームの重要なポイントといえるだろう。ただ、この部分に関しては、ヒントが極端に少なく、一度詰まるとなかなか先へ進むことができないかもしれない。そういった意味での難度は高めという印象だ。
敵が登場する場面ではBGMが激しいロック調のものとなり、戦闘が終了すると落ち着いた雰囲気のBGMへと変化するので、見えない場所に敵がいたとしてもBGMによって敵の存在を確認できるというアイディアはユニークで好感が持てた。
スポーンのユニークな点としてもうひとつ挙げられるのが必殺技・ヘルパワーの存在。本作では5種類のヘルパワーが用意されているが、「ネクロプラズム」を消費することで使用可能といった制限はついているものの、ミッション中にアイテムを取ることで回復するので自由自在に使うことができる。 では原作ではどうなのかというと、原作にもヘルパワーは存在する。瞬間移動を行なったり、死者を蘇らせることもできるなど、ゲーム中よりもさらに万能な力が登場するが、その力は無限のものではなく制限がつけられていた。数字で表記されたその制限は回復することはなく、いつかは「0」となってしまう力だ。「0」となるとスポーンが持つ人間性は完全に失われてしまい、悪魔となってしまうといったものだ。
このヘルパワーを使用する際の葛藤が原作の面白さでもあったが、ゲーム中にはこの設定は反映されていない。安易に使用できるという点はうれしいが、原作のファンとしては少し残念な感じがする。
■ どう進むかではなく、どう倒したかが重要 敵を倒すことで出現する「ソウル・オーブ」というアイテムが登場する。これを集めることで、ミッションクリア後にスポーンとウェポンの強化を行なうことができる。RPGでいうところの経験値と同じ意味であると考えると理解しやすい。 敵を倒してミッションをクリアしていくというのが基本的なゲームの流れではあるが、敵を倒す際に定められた条件をクリアすることで「テクニックポイント」と呼ばれるものが加算されていく。テクニックポイントは、ミッションクリア後にソウル・オーブに換算されるので、スポーンをより強く成長させることができる。 このテクニックポイントは非常に重要な存在で、序盤からキッチリと狙ってスポーンを成長させていかないと、後半がかなりキツイ状況となってしまう恐れがある。なので、ステージをいかに早く攻略するかを考えるよりも、テクニックポイントをいかに稼ぐかを考えることが重要だといえる。ミッション序盤に登場する敵に関しては、マニュアルに掲載されているのでそちらを参考にしてテクニックポイントを稼ぐといいだろう。
掲載されていない敵に関しては、手当たり次第に可能な攻撃を行ない自分でテクニックポイントを発見するしかない。この探索要素が本作の魅力のひとつであるといってもいいだろう。
■ 貴重な資料を大量に収録 上記でも触れたが、日本でスポーン関連のグッズなどを集めるのは非常に困難な状態だといえる。ただし、アクションフィギュアはその完成度の高さから日本でも人気があり、コレクターも大勢存在している。 そんな状況のなか本作の「ボーナスメニュー」には、これでもか、という数の資料が用意されている。最初の段階では閲覧できないが、ミッションを進めていくと徐々にボーナスメニューがオープンされていく。
まずは、敵を戦闘を行なうことでオープンとなる「デーモンの書」。これは登場する敵の情報が細かく表記されている。これは4つのパートに別れており、敵を倒したときの状況によって各パートの情報が浮かびあがるといった仕掛けになっている。ゲームを進める中でもっとも重要なテクニックポイントも掲載されるので、こまめなチェックが必要だ。
「コンセプト・イラスト」は、ゲーム製作の過程において使用されたキャラクタのラフスケッチやミッションのイメージ図を閲覧できる。こちらもかなりの数が用意されている。
そしてコミック版「スポーン」の表紙が見られる「コミックカバー」。これは、ミッション中に登場するアイテム「コミックカバー」を取ることで観覧することが可能となる。ゲーム難易度ごとに集めれる「コミックカバー」は決まっているので、コンプリートするためには「EASY」、「NORMAL」、「HARD」3つの難易度でコレクションする必要がある。
本作は、スポーンという人気アメコミを題材としているが、土台ともいえる原作のバックボーンが一切説明されていない。このことが原作を知らないユーザーには厳しいかもしれないが、逆に「スポーン」という作品を知るきっかけにはなると思う。 ただし、難易度に絡むゲームの作りに関して言及すると、本作は俗に言う“洋ゲー”であり、カメラワークなどに絡む部分など、全体的に少々ケアが足りないと感じさせる部分が多々出てくることはご承知おきいただきたい。特に、敵をロックオンしてしまうとそれを基準に動くカメラのせいで、キャラクタが壁などの障害物に接近すると見えなくなる戦闘時のカメラワークはプレイアビリティとして厳しいものがある。また、攻撃の当たり判定の曖昧さ、行き先が判りにくいマップなど、ざっと見ると大味な部分が散見される。
反面、アクションゲームが得意というユーザーには、自分で道を切り拓く、という「探索部分の遊び応えはある」といえるだろう。特に後半から落下=ミスというシチュエーションが格段に増えていくだけに、そのバランスをどう受け取るかで評価は分かれると思われる。「コミックカバー」をコンプリートするのに、全難易度でコレクションしなければならないという発想は衝撃的であった。アクションゲーマーにはぜひ挑戦していただきたいタイトルといえよう。
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□ナムコのホームページ (2004年6月3日) [Reported by 志賀康紀] また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved. |
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