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★PS2ゲームレビュー★
“一騎当千”といえば、同社の「無双」シリーズを思い浮かべるユーザーが多いのではないだろうか。「無双」のウリである1対多数の世界は、究極ともいえる爽快感を体感できるアクションゲームの革命的存在だ。本作は「無双」シリーズのゲームシステムを引き継ぎ、歴史を題材にした「無双」シリーズとは異なり、サイエンスフィクション(Science Fiction)をモチーフとしている。いわゆる“SF”の世界だ。 題材が史実(コーエーの独自視点も含まれているが)から、架空となるとこで「無双」シリーズと異なった“一騎当千”を体感できる。なお、筆者は前作をプレイしていない。よって、前作との違いについては触れることができない。この点を考慮して頂けると幸いである。 複数の惑星によって構成されている「テオフィルス星系」に出現した謎の生命体。あらゆる生命体にプラグを撃ち込み、自らの仲間とする怪物を人々はメネス(脅威)と呼んだ。テオフィルスの治安を守る星系機構IAG(Intelligence Agency of the Galaxy)は、レジスタンスとしてメネスに対抗していたが圧倒的な力と数で攻め込んでくるメネスに屈するのは時間の問題であった。
だが、人類には残された希望があった。数年前にテオフィルスの危機を救った戦士“ショウ”。しかし、ショウの力を持ってしても戦況を大きく変えることはできなかった。絶望的な戦いが続く中でショウは、メネスに対抗できる力を持つ少女“フィーネ”と出会う。ショウとフィーネ、人類は2人の手にテオフィルスの未来を託すしか道がなかった。
■ シンプルな世界観 ゲームの舞台となるテオフィルス星系は、「グラーヴェ」、「アジタート」、「センプリーチェ」、「弦」、「メノ・モッソ」の5つの惑星から成り立っている。「グラーヴェ」、「アジタート」、「センプリーチェ」の3つの惑星は特にメネスの侵攻が激しい。この3つの惑星をメネスの手から解放するのが本作の大筋だ。
活動の拠点地となるIAG本部から、各惑星におけるメネスの侵攻状況に応じてさまざまなミッションが与えられる。IAG本部から惑星間の移動は、「惑星間転送システム」と呼ばれる瞬間移動装置によって行なわれので、目的の惑星へ移動するまでの戦闘行為は一切存在しない。これによりゲームの流れはミッションを受ける(IAG)、ミッションを遂行する(惑星)といった感じで、IAGと惑星の間を行ったり来たりの行動となる。
シンプルな流れで「すぐに飽きそう」と思うかもしれないが、ミッション数は数多く存在する。気になるミッション内容であるが、逃げ遅れた民間人の救出、姿の見えないメネスとの戦闘、未確認メネスの実態調査など、さまざまなタイプのミッションが用意されている。また、ストーリーの要となるキーミッション、ユニークなエピソードを収録しているサブミッションも登場し、プレーヤーを飽きさせることのない展開となっている。
ただし、ミッションが異なっても舞台となる惑星が同じならば、ステージ構成は全く同じものとなってしまう。この一点が筆者には不満であり、残念に思えた。
■ シンプルな操作で爽快感もバツグンだが…… 基本的な操作方法は、十字キーor左スティックでキャラクタの移動。□ボタンでガン攻撃、△ボタンでブレード攻撃、〇ボタンで「ネオサイオニクス(必殺技)」となっている。ゲーム開始直後はこれだけの操作方法でも、迫り来る大量のメネスをなぎ倒していくことができる。 この他に使用するのは×ボタンでジャンプ、R1ボタンでロックオンorメネスが照準内にいない場合はその場を軸に回転移動、R2ボタンで「タイムエクステンド」、L1ボタンでシフト移動orメネスをロックオンした場合は、ロックしたメネスを中心に移動する照準移動、L2ボタンでガンチェンジを行なうことができる。
プレーヤーが操作できるキャラクタは、ショウとフィーネの2人のみ。基本的にはどちらのを使用しても操作方法、攻撃方法は同じである。好みのキャラクタを使用し続けることも可能であるが、特定キャラクタ専用のミッションも登場するのでどちらのキャラクタもレベルが同じになるように育てていくといいだろう。
基本攻撃の他に、いくつかの特殊攻撃も用意されている。特殊攻撃はどれも状況を一変するような強力なものばかりである。また、見た目にも派手なエフェクトがかかり見ているだけでも爽快な気分になれるだろう。 〇 「グラビティブレード」
通常のブレード攻撃よりも威力があり、攻撃ヒット時にはメネスがのけぞったり、空中に浮いたりと特殊な状況を作り出すことができる。
グラビティブレードを出した後に、□ボタンを押すことで自動的にガン攻撃で追い討ちを仕掛ける。通常は、ガンによる攻撃は画面左下の「ガンゲージ」が減っていき、ゲージがなくなるとガンは一時的に使用不可能となってしまう。が、オーバードライブによるガン攻撃はゲージ消費が0。これがオーバードライブのメリットだといえる。
こちらもグラビティブレードと同様に1撃目~4撃目までに固有のオーバードライブが用意されている。
プレーヤーの周囲にいるメネスに対して「時の流れ」を遅くすることができる。タイムエクステンドを発動させるには2種類の方法がある。ひとつは、画面左下にある6角形の形をしたゲージが「NPゲージ」。このゲージをひとつ消費して、自分の意思で発動させる方法。この場合の効果時間は5秒。もうひとつは、30コンボを達成することで自動的に発動。この場合の効果時間は3秒。
タイムエクステンド発動中は攻撃方法が通常とは異なり、□ボタンでガンを両手に持ち高速で連射する「クロスフィア」、△ボタンで前方にいるメネスに対して瞬間移動をして近づき攻撃を行なう「アサルトブレード」、×ボタンで行きたい方向瞬間移動ができる「ソニックムーブ」、ソニックムーブ中に□ボタンを押すことでガンとブレードによる同時攻撃行なう「ソニックチャージ」となる。
「NPゲージ」をすべて消費することで発動する大技。発動中はメネスにダメージを与えると同時に、自キャラクタの体力を回復してくれる。回復する体力はメネスにダメージを与えればあたえるほど、大きくなっていく。また、ネオサイオニクス発動中はメネスから攻撃を一切受け付けないといった効果も付いている。
使える「ネオサイオニクス」はショウ、フィーネ共通の攻撃もあるが、特定のキャラクタしか使用することができない専用攻撃も用意されている。 行動に関してだが筆者が一番混乱したのがR1ボタンとL1ボタン。この2つのボタンはプレーヤーとメネスの距離(ロックオンされたか、されていないか)により使用用途が異なる。ゲーム序盤ではさほど問題には感じないが、中盤以降やクリアタイムの決められたミッションなどでは、ロックオンの切り替えや照準移動は必須ともいえる。早い段階で慣れてしまえば特に問題はない程度ではあるが……。
また、本作には「ガード」が存在しない。メネスの攻撃に対しては、R1ボタンorL1ボタン+左スティックor十字キー+×ボタンで前後左右にすばやくジャンプして相手の攻撃を回避するのだが、こちらもある程度の慣れがないと素早い対応を行なうことができない。
■ 育成とやり込み要素 主人公キャラクタにはレベルが存在する。メネスを倒す、ミッションをクリアすることで経験値が得られ、一定値の経験値を得ることでレベルアップ。レベルが上がることで体力などのキャラクタの能力値が上昇する。これはRPGと同様のものだと思ってもらいたい。 そして、本作にはキャラクタのレベル以外に「武器」レベルというものが存在する。武器レベルを上げるためにはメネスを倒した時に出現する「オリジン」が必要。オリジンをチャージ(注入)することで、武器は強烈な兵器と進化していくのだ。 チャージは、ミッション中でも行なうことができるのでレベルアップまでに必要なオリジンをゲットしたら即座にレベルアップ行なうといいだろう。 また、キャラクタを強くする要素として特殊アイテムが用意されている。ダメージを軽減するもの、メネスを倒した時に得る経験値が増加するものや、瀕死の状態になると攻撃力が上昇するものといった感じで、さまざまな特殊アイテムがある。これらの特殊アイテムは持っているだけでその効果を発揮する。ただし、「ショップロボ」で購入できる特殊アイテムの数は非常に少ない。特殊アイテムを得るためには、ミッションを完璧に近い状態でクリアすると得られる「RANK S」を獲得しなければならない。しかも、すべての項目において「RANK S」を獲得しなければならないのだ。 筆者は「RANK S」を獲得するために、最短時間でのクリア方法、コンボを繋ぎやすいメネスの出現ポイント、ダメージを喰らわない細心の注意を何度も考え、ひたすら「RANK S」を目指してプレイし続けた。一箇所だけ「RANK A」だった場合など、「……マジ」と小言を言いながらも再びプレイしてしまっていた。ここに本作の面白さがあると感じたぐらいだ。
ただし、オール「RANK S」を獲得しないと特殊アイテムが得られないというシステムは、アクションゲームが苦手なプレーヤーに対してはキビシイと感じるのではないだろうか。
■ 語られるエピソード 本作は、前作のストーリーより2年後の世界。ということは、前作をプレイしていないと本作を楽しむことができない? と、考えてしまうユーザーも多いと思う。
だが、安心してほしい。本作の活動拠点となるIAG本部には、前作で共に戦った仲間「ヤンチン」、「ボーラン」、「ケチャ」の3人が登場する。ヤンチンは、思い出を語るように前作での激闘を語ってくれる。ただ、テキストに沿って語りかけるのではなく、「ムービー」も随所に盛り込まれている。また、ボーランとケチャのコンビは、「紅の海」で使われる用語を詳しく説明してくれるという親切ぶりだ。これにより「紅の海」の世界観を理解できる。このあたりの配慮は好感が持てる。
「無双」シリーズが“斬る”ことに爽快感を求めているというのであれば、「紅の海」は“撃つ”ことに爽快感を感じるはずだ。さしずめ“ガンナーズハイ”の境地といったところだろう。「無双」ファンのみならず「SF」ファン、アクションゲームファンは、とにかく1度はプレイしてもらいたい良作のタイトルである。 (C)2003 KOEI Co., Ltd./KOEI NET Co., Ltd. All rights reserved.
□コーエーのホームページ (2004年5月20日) [Reported by 志賀康紀]
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