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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】

幻から現実へ
遂に姿を現した「Phantom」が本格的な活動を開始

会期:5月12日~14日

会場:Los Angeles Convention Center

 PCベースの本体に、ネットワーク配信のみによるゲーム供給。その過去に例を見ない突拍子もない仕様で大きな話題となりながら、なかなかその姿が見えてこず、一部で“幻のゲーム機”とまで呼ばれていた「Phantom」が、今年のE3でついにその全貌を表した。そして、その驚くべきサービスの内容が明らかになった。

 サービスの正式名称は「Phantom Gaming Service」。一般的なゲーム機の場合、まずゲーム機本体を購入し、次に遊びたいゲームソフトを購入してゲームを楽しむことになる。つまり、ユーザーはゲーム機本体もゲームも買わなければならない。しかし、Phantom Gaming Serviceでは、そういった概念が基本的に存在しない。ユーザーは、まずはじめにPhantom Gaming Serviceのサービスを提供するInfinium Labsと、Phantom Gaming Serviceの利用契約を結ぶ。すると、Infinium LabsからPhantomの本体が送られてくる。そのPhantom本体をブロードバンド回線に接続し、ネットワーク経由で対応ゲームをダウンロードしてプレイする。利用者が支払うお金は、1ヵ月あたり29.95ドルの利用料金と、保証金199ドル。これで、Infinium Labsから配信される基本ゲームタイトルに関して制限なくプレイできるようになる。プレミアム的な存在となるゲームタイトルに関しては、別途利用料金が発生する場合もあるようだが、基本的にはこれ以上の料金はかからない。

 基本となる契約期間は2年。さらに、実際に契約から2年が経過したら、保証金の199ドルは利用者に返還される。つまり、驚いたことに本体料金は事実上無料となっている。

 こういったサービス形態は、ケーブルテレビのサービス形態に非常によく似ている。ケーブルテレビを契約すると、サービス会社からレシーバーが送られてきて、月単位の利用料を支払うだけで基本となるチャンネルが見放題となる。また、有料チャンネルは別途追加料金を支払えば見ることができる。Phantom Gaming Serviceは、まさにこれと全く同じことをゲームの世界で実現しようとしているのである。

 Phantom Gaming Serviceで配信されるゲームは、全て一般に市販されているPCゲームで、オリジナルのゲームは存在しないそうだ。つまり、感覚的にはPCでゲームをプレイするのと全く同じというわけだ。また、PCゲームであれば、どれも全く問題なく動作するとされている。となると気になるのは、Phantom本体のマシンスペックだ。

 CPUは、AMDのAthlon XP 2500+、チップセットはNVIDIAのnForce2 Ultra400、グラフィックはNVIDIAのGeForceFX 5700 Ultra、メインメモリは256MB、ビデオメモリは128MB、内蔵ハードディスクは40GBとなっている。このスペックは、現在のPCから考えると、ハイエンドとまではいかないものの、ミドルクラス程度の実力は十分兼ね備えていると考えていい。メインメモリが若干少ないように感じるが、OSがWindowsXP Embeddedであることを考えると、十分だろう。

 最近のPCゲームは高いスペックを要求するものが多く、生半可なスペックでは快適にプレイできない場合も少なくないが、このスペックであれば、大半のゲームが十分快適に利用できるはずだ。また、特に高いスペックを要求する最新ゲームであっても、表示デバイスがテレビであることを考えると、描画解像度をあまり高くする必要がないため、十分なパフォーマンスを発揮できるのではないだろうか。事実会場のPhantomブースでは、Phantom実機を用意し、「Unreal Tournament 2004」のデモ版を動作させていたが、若干の処理落ちを感じる場面もあったが、全体的にはスムーズに動いていた。

 このように、非常に画期的と言ってもいいPhantom Gaming Serviceであるが、気になるのは、ゲームのダウンロードにどれだけの時間がかかるのか、という点だ。最近のゲームでは、インストール容量が数GBに及ぶものも少なくないが、数Mbpsという比較的高速なブロードバンド回線を利用したとしても、ダウンロードに相当の時間を要することは確実だ。ゲームを選択して実際にプレイできるようになるまでに数時間を要するとなると、かなりつらい。

 また、実際にどういったゲームタイトルが配信されるのか、という部分も気になる。サービス開始時には、少なくとも100種類以上のタイトルを用意するとしているが、現時点では、まだゲームメーカーとの契約を行なっている段階で、具体的なタイトル名は公表されていない。Phantom Gaming Serviceの成功には、大手メーカー製のメジャータイトルが不可欠と思われる。実際に「Ulreal Tournament 2004」などのメジャータイトルをどれだけ用意できるかが、成功の鍵を握っていると言っていいだろう。

 Phantom Gaming Serviceは、北米において、2004年11月18日よりサービス開始が予定されている。また、日本でのサービスについては、現時点では未定となっている。

【スクリーンショット】
遂に姿を表したPhantom。以前公開されていた本体とは大幅にデザインが変更されている 月ごとの利用料金を支払うだけで、PCゲームを好きなだけ楽しめる。しかも、本体は実質無料だ メニュー画面。ダウンロードしたゲームはMy Gamesに登録される
このように、メニューからプレイしたいゲームを選択すると、ネットワーク経由でゲームがダウンロードされプレイできるようになる Phantomに付属する入力デバイス「Lapboard」。くの字型のトレイにキーボードが取り付けられ、キーボードの下でマウスを利用する。キーボードは180度回転するようになっており、左利きでも問題なく利用可能 Lapboardはこのように利用する。まさに膝の上に置いて使えるキーボードである
こちらは付属のゲームパッド。LapboardもこのゲームパッドもUSBデバイスである


□Phantomのホームページ(英語)
http://www.phantom.net/
□関連情報
【5月11日】Electronic Entertainment Expo 2004 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040511/e3link.htm
【1月10日】MicrosoftブースでWindows Embeddedベースのゲーム機を発見 幻だった「Phantom」の実機も確認
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040110/ces1.htm

(2004年5月16日)

[Reported by 平澤寿康]


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