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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】

任天堂合同記者会見でNDSとGC「ゼルダの伝説」に新事実

5月12日(現地時間) 開催

会場:E3任天堂ブース

 任天堂株式会社は、E3会場においてラウンドテーブル(合同記者会見)を自社ブースで開催した。

 まず、宮本 茂氏、手塚卓志氏(『ピクミン2』やニンテンドー・ディーエス[NDS]のテックデモの制作に関わっている)、紺野秀樹氏(『ルイージマンション』や「メトロイドプライム:ハンターズ」、「マリオカートDS」の制作を担当)が登壇。

 まず、宮本氏の最近の動向として、「昨日もホテルで1kmほど泳いだ。LAは快適なんですが、自分の仕事も快適にやっている。なぜかというと、自分の仕事の責務をいくつかに分けたこと。岩田社長も開発に携わっていることもあって、開発組織をいくつか改造した。今、明確にプロデューサー制を敷こうとしているところだ。ここのところセカンドパーティ、コラボレーションタイトルが増えていたので、それを全て監修していたら、数えたらすごい数になっていた。予算に関する書類に判を押すだけでも毎日ものすごい数になっていた(笑)。
 そこで、自分は今後ファーストパーティの作品だけに集中することにした。さらに東京にブランチを作って、チームを独立させた。東京のチームは「ドンキーコング ジャングルビート」などを制作している。今日はニンテンドー・ディーエスのお話をするが、私自身も直接関われるようになって非常に快適に仕事をしている」とあいさつした。

■ 「NDS」は据え置き型でも携帯型でもない、任天堂の第3の柱

右より手塚氏、宮本氏
 宮本氏はNDSを指して「これはゲームボーイではない」と前置きしながら、「NDSは据え置き型でも携帯型でもない、任天堂の第3の柱として制作した」と語った。「任天堂も新しいものを作るといいながら、ここしばらくシリーズのハードはやはり高性能化へと向かっていた。そろそろ高性能という進化を見直そうと考えた。今までもコントローラに関しては新しい世代を目指してきたけれども、今度は本体全体の機能を新しい世代に切り替えていこうという試みです」とNDSのコンセプトを紹介した。

 「任天堂はハードを設計しているし、ソフトも内部で多数作っている。NDSはそんな特徴が生きたハードだ。GBのシリーズからさらに発展したグラフィックチップを開発し、ソフト側ではコネクティビティなどのチャレンジをこのNDSのハードの中に詰め込んだ。ワイヤレスによる通信もかなり長い間「通信で遊ぶゲーム」に関していろんなことを考えてきた。GBではケーブルを使いましたが、ハードが換わるたびに新しいものを用意したり、コネクティビティに関しては、ユーザーさんがいろんなものを買わなければならないなど、面倒なことになっていた。マイクも内蔵しているが、これもマイクを使ったゲームを作りたいといういろんなアイデアが会社に蓄積されている」と任天堂ならではのハードウェアであることを強調した。

 また、宮本氏は最近のゲーム業界について、「ゲームが好きな人はどんどん新しいゲームを求めているが、ゲームをしない人がすごく増えてきた。ゲームをする人、しない人がはっきりわかれてきていることを心配している」と危惧したうえで、「昔ならマリオがジャンプするぐらいでみんながめずらしがって喜んでいた。NDSはゲームをしない人が初めて触って直感的に面白さを体感できるものを作りたかった。そこでタッチパネルにかなり注目しました」とタッチパネルの採用理由を語った。

 「ゲームを遊ぶ人もそうでない人も、同じスタートラインに並んでこのマシンのゲームを遊べる可能性があります。だからNDSは据え置き型でも今までなかった、携帯型にもなかった、過去のどのゲーム機でも作れなかったゲームがたくさん作れる可能性がある。だから第3の柱と呼んでいるんです。

 このアイデアに対して、今までGBでゲームを制作してきたクリエイターはみんな魅力を感じて、積極的にNDSでゲームを作りたいと言ってきてくれている。例えばナムコさんの「Pac-Pix!」は会社の中でずっとアイデアはあったしいろんな研究をしてきたけれども適正なハードがなかった。そこにNDSの話を持っていったところ『すぐにやりましょう』といってくれた。

 今任天堂のスタッフは元気にこのマシンでのゲームを考え、どんどん作っていこうという意欲がわいているところ。画面が2つついているからといって2つ使わなければならないことはない。ワイヤレスがついているからといっても必ずしも使う必要があるわけでもないし、マイクがあるからといっても、タッチパネルだからといっても……というように、ディベロッパーが自由に機能をチョイスしてもらえばいい」とNDSのアピールを続けた。

 「今回、E3という会場なので単純にすぐ遊べるゲームを用意した。触ってもらって感じてもらおうということで皆さんには申し訳ないが、短いものを用意させていただいた。とにかく触ってもらうことが大事だから」と、NDSのゲームだけでないテックデモの出展理由を語った。「インタラクティブは本来、触らないとその面白さがわからないもの。今、触らなくてわかるものがすごく評価されている」。とNDSの魅力を続けた。「我々はNDSに関して、ポリゴンが何個出るとか、色が何色、といったアピールはしません(笑)」と締めた。

■ さらに広がるNDSの可能性

「何ができるか」よりも「何をしたいか」が重視されたNDS
 集まった記者からの質問タイムでは、やはりGBAとの互換機能を持ちながら、あえてNDSに「ゲームボーイ」の名称を用いなかったことについて質問が出された。手塚氏から「まったく新しいハードとしてみんなに知ってほしい。だからあえてつけなかった。GBAとの互換を最初にアナウンスしなかったのは、NDSそのもののコンセプトを知っていただいてから、付加機能を説明したかったからだ」と補足が行なわれた。

 タッチパネルの耐久性に関して質問されると、「タッチパネルの耐久性など、かなりテストをしています。スタイラスに関しても最も適したものにしたいし、パネルの保護や保護シートの研究など行なっている。品質については安心してください」と宮本氏は太鼓判を押した。ちなみに宮本氏は「メイドインワリオ」を遊ぶときは綿棒を使っているという。

 また、携帯電話との競合に関しては「2通りあると思います。任天堂のファンは幅広い。携帯を持たない世代にも広がっていくと思うし、極端な例では家庭で無線LAN環境が構築されていれば……マイクロソフトさんがどういうかはわからないが、ネットを通じてインスタントメッセンジャーに接続することもできるだろう」とNDSの可能性を示唆した。

■ 公開された「ゼルダ」の映像は実機で操作したもの

宮本氏は青沼氏(右)と順調に開発している「リンクの冒険」について語った
 続いて、新「ゼルダの伝説」についての解説が行なわれた。ディレクターとして前作「風のタクト」などに関わってきた青沼英二氏が登壇した。

 宮本氏は、「彼がGDCで語ったことは間違いではない」と前置きしながら、今作の16歳のリンクの姿については「そうしてほしいとたくさんのお客さんがいたことはもちろんです。ただ、『風のタクト』において、子供のリンクを表現するためにいろいろ模索した結果、トゥーンシェードが適していた」と説明。GCで独特の世界を作りたいという狙いもあった。その当時から16歳のリンクを描くにはどうしたらいいかを研究し、いくつかのモデルを作ってみた。最終的に落ち着いたのは『時のオカリナ』のリンクが一番イメージ近かったということだ。GDCで彼が何も言わなかったおかげでこうして初めての情報を公開できた(笑)」と語った。

 続いて青沼氏が、「公開した映像は、プレイアブル状態のものをプレイしているところを録画したもの。宮本が昔から“馬に乗ったリンクで、そのまま剣で戦いたい”といっていたことが今回実現した。そういう意味でもリンクは大人になったと思います(笑)」と新「リンク」について解説。

 また、進行状況としては「全てがプレイアブルで動くところまできている。来年のE3ではたっぷり遊んでもらえると思います」とソフトの発売が2005年度であろうことを明らかにした。また、今作のテーマに関しては「皆さんに遊んでもらえるようになった状態で明らかにする。ひとついえるのは、今回は大人のリンクを表現する、というコンセプトである」と続けた。

 宮本氏は「みんな完全に出来上がるまでなかなか見せてくれない。ところどころで見せてくれれば“ちゃぶ台返し”をしなくていいのに(笑)」とジョークを飛ばしながら、「かなり完成しているので安心してください。無理やりだそうと思えば出せるところまで来ている」と順当に開発が進行していることをフォローした。

 最後に、「ゼルダは18年前から同じようなアイデアを使っている。今回は謎解きなど、今作にあったユニークなものをどんどん入れてほしいとチームに要望している」とチームにエールを送った。

(C) Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【5月11日】Electronic Entertainment Expo 2004 記事リンク集
http://watch.impress.co.jp/docs/20040511/e3link.htm

(2004年5月12日)

[Reported by 佐伯憲司]


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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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